投稿者 vastos2000 日時 2023年1月31日
『はじめに』で言及されている「思考の錯覚を理解したほうがいい理由」が4つのうちで、特に気になった4番目と1番目、すなわち『錯覚資産がないと、実力をなかなか伸ばせない』と『詐欺に引っかからないようにするには、詐欺の手口を知っておく必要がある』について考える。
その考察を通して、今後の生活で錯覚資産に注意を向けられるようになった結果、他人を評価する時は錯覚資産があるかもしれないことを意識して評価できるようになり、また、自分が利用すべき時はどのようにしたらよいかを見極めたい。
良いものやおいしいものが売れるのではなく、良さそうに見えるもの、おいしそうに見えるものが売れる。と、いうようなことを故石原先生が言っていたような…
これも錯覚資産の一種だろう。
飲食店で、多くの人がリピートする人気メニューがあったとして、誰でも最初に食べる時はその料理の味を知らない。そのメニューを選んだ理由は「ネットや雑誌で紹介されていたから」、「有名人が好きだと言っていたから」、「その店の人気No.1であるから」とか、「メニュー表の写真を見ておいしそうに感じたから」といったところだろう。
その例のひとつが、静岡県内に何店舗か展開しているハンバーグレストランの「さわ○か」だろう。私も何回か食事をしたことがあり、味覚に自信があるわけではないが特別おいしいとは感じなかった(まずいというわけでもない)。だが、現在でも食事時は1時間待ちが当たり前のように発生しているということは、おいしいと感じる人が多くいるということなのだろう。
次に挙げる例は、本書の『はじめに』で言及されている「思考の錯覚を理解したほうがいい理由」4つのうち4番目、『錯覚資産がないと、実力をなかなか伸ばせない』にあてはまるだろう。これは自分が錯覚資産を使う、いわば攻めの使い方だ。
営業や販売など、結果がハッキリと数字で示される職種は状況が異なるのかもしれないが、総務や経理などの成績を数字のような客観的な指標で評価するのが難しい職種では錯覚資産の働きが大きいと思う。
私自身、昇進した時はハッキリとした数字で成果を残したわけではなく、ほかの人がやらないこと(数値分析、改善提案やマクロなど)をしていたことで、人事権者が「こいつはデキそうだ」と思ったことが要因だと思う。
およそ3年前、“本部・会計課への異動を命ずる”という辞令が出た時は晴天の霹靂で頭がクラクラした。1月1日付けという中途半端な時期であること、昇進とセットであることに衝撃を受けた。(「経理の経験ゼロだけど良いの?」と思った)
本書を読んだ後であらためてあの時の異動を考えると、当時の人事権者から評価されていたのだろう。
今でもそうだが、5桁以上の数字はなかなか頭に入らないが、3桁以下ならすっと頭に入ってくるし、覚えていられる。だから、常務理事を始めとした上役と話している際も過去の実績などがスラスラと出てきたので、「こいつは数字に強いな」と思われたのだろう。
ただ、機会を得た後は肩書に実力を追いつかせるための努力はしたつもりだ(勉強したり、関連資格を取ったり)。
おかげで会計と財務の実力をつけることができた。もとからIT系はある程度知識をもっていたので、これで「IT×会計」の経験を得られて、それなりに転職市場における市場価値を身につけることができた。
上記の例に対して、他人が錯覚資産を使っている場合の注意を促しているのが4つの理由のうちの1番目『詐欺に引っかからないようにするには、詐欺の手口を知っておく必要がある』だ。いわば守りの使い方だ。
仕事柄、高校教員や大学教員と接する機会が多く、「センセイ」と呼ばれる人でも問題がある人が一定数存在することを感じている。
教員は学校という狭い世間しか知らずに大人になったケースも多く、自分の専門分野に関しては確かにエキスパートであるが、一般常識が欠落しているケースがある。
生徒たちは特に疑いもせずに教員から就職指導を含めた進路指導を受けているが、企業で働いたことがない教員が、幅広い分野へ就職する生徒たちの就職指導ができるのだろうか?
最近見た例では、白のワイシャツの下にハッキリとした色使いのTシャツを着ていて、Tシャツの文字が読み取れる状態になっている教員がいた。それで教壇に立っていると思うが、中高生と同じレベルのことをしていると感じた。
また、予算組み(予算要求)も滅茶苦茶で、お金がないから借り入れを起こせば良いと言う。簡単に1億と言うが、その金額を得るために何人分の授業料が必要か考えたのだろうか。
話を戻すと、そんな人間でもそれなりの役職に就き、それなりに良い給料を得ている。きっと外部の人間には偉い人だと思われているのだろう。
本書を読んだ後に思い返してみると、錯覚資産を自分が使う時は無意識に使っていた時もあったし、ある程度意識的に使っていた時もあった。ただ、他人の錯覚資産に対しては気づかない時も多くあったように思う。
最近、また転職を意識するようになってきている。すぐにというわけではないが、2024年度から移れたらと思っているので、その時に備え、面接官に「この人材は活躍してくれそうだ」と思わせるような材料を今後一年積み重ねていきたい。
その際は、力を注ぐべき分野の順番に注意せねばなるまい。実力を増やすよりは、実績を増やす。例えばの話として、1億の売り上げを作るのに2億の販管費が使えればそれほど難しいことではない。だが、面接の場では販管費まで触れるケースは稀だ。
実際にそのような赤字を垂れ流すようなことをするつもりはないが、まっとうなやり方でインパクトがある数字や実績を今から仕込んでいけば、きっとよい結果を得られるだろう。錯覚資産とは言ってもその資産を作るための努力は必要だと思っている。ただ、努力に対するリターンが大きいという話であって、運だけに頼るのは悪手だ。
努力の方向性が見えてきたことだけでも本書を読んだ意義が得られたというものだ。