投稿者 0992092 日時 2020年10月27日
14歳で“おっちゃん”と出会ってから、15年考えつづけてやっと見つけた「働く意味」を読んで
私が感じたことを書いていきます。
「働く意味」とは。
筆者は『「働く意味」は挑戦することで見つけられるものだ』と書いている。
そもそも働くとはどういうことなのか。
辞書には、目的にかなう結果を生ずる行為・作用をする。仕事をする。と書いてある。
私は「仕事」にフォーカスしてこの本を読み進めた。
仕事をする意味。それは、コロナ禍や時代が激しく移り変わっていく今、
多くの人が考えるテーマだと感じる。かくゆう私もその一人だ。
私は、本のタイトルの“おっちゃん”に興味が湧いた。
私が真っ先に想像したのは、おじさん1人だ。
筆者に影響を与えたおじさんがいて、その人との話が展開されると思いきや、
それがまさかホームレスの人達のことだとは想像もしなかった。
ホームレスの人達を“おっちゃん”と表現することで、
ホームレスから想像する強いマイナスのイメージを柔らかくし、
遠く離れた存在と思われがちなホームレスの存在に親近感が湧く表現だと思った。
そして、筆者が高校生の時に一枚の絵を描いた場面がある。
それは、ホームレス問題の根本原因にアプローチする為に書いたものだ。
その絵を描き上げる為にホームレスのことをどれだけ深く思い、考え、
自分事として感じているのかがヒシヒシと伝わってきた。
筆者はそれを「夢」だといった。
夢を実現する為に筆者の挑戦が始まる。
挑戦することで何が変わり、何を得ることができたのかそのストーリーにとても興味が湧いた。
中でも私が興味深く読んだのは、ホームレスになったおっちゃんたちには、
「共通項」はあるものの、ホームレス状態になった理由はさまざまだ。というものだ。
筆者は現場や当事者の声を最も大事にしている。
おっちゃん達がどういう経緯でホームレスになったのかを把握することで、
本当に必要としているものは何かを見極め、一人一人に合ったものを提供している。
その中で最も特徴的なのが「仕事」の提供である。
それは、おっちゃん達のほとんどが働きたいという意欲が高いからできたサービスである。
働き口を決める為の働く場所の提供。
それが筆者の考えた新しい価値観である。
それは、筆者がNPO法人を立ち上げたことにも大きく関わっていると感じる。
本文に『NPO法人は理念が達成され、いつかその存在が不要になる、つまり解散することを目標に立ち上がる。
ホームドアだって問題が解決し、その存在が必要なくなる社会の方がいいのだ』と書いている。
要するに、筆者は社会が変わることを目的とし、その目的の為に様々な価値を提供し、
解散することを目標としている。
だからこそ株式会社ではなくNPO法人を立ち上げることを決めた。
この筆者の視野の広さ、視点の高さ、自分の思考にも取り入れたいと思った。
そして、筆者が『はじめに』で語っていた
『おっちゃんは、「怠惰で仕事を長く続けられない人」だったのではない。』ということが深く理解できた。
おっちゃん達の中には広報から営業活動まで自分で考え、自分で行動できる人がいるということを初めて知った。
拾った材木で自ら看板を作る人、他の地域にも拠点を増やそうと役所に直談判しに行こうとする人。
仕事をすることに意欲的な人が多いということだ。
サラリーマンが多い日本は、指示されたことをこなすことが正しいとされ、指示待ち人間が多い。
そんな日本社会に重要な人材に思えた。
自分の為ではなく、人の為に行動するおっちゃんの行動力を見習うべきだと感じた。
また、筆者は『挑戦することへの不安がなくなれば、みんなが自分なりの「働く意味」を追求できるようになる』と書いている。
それは筆者が不安を抱えながらも自ら挑戦し、行動したからこそ言える言葉ではないだろうか。
失敗から立ち直るルートが自分なりの働き方になり、それが多様化につながり、そして新たな価値観を生み出す。
その積み重ねと広がりが社会を変えることにつながるのではないかと感じた。
この本から私も挑戦し続け、社会に貢献できる存在に変わらなくてはいけないと感じた。
「誰か」がやってくれるのを待つのではなく、
社会に必要なことを「提供する側」に回ることが大切なのではないだろうか。
そして、安心して立ち直ることが出来る社会を自分達で築き上がる必要があるのではないだろうか。
他人事ではなく、自分事として考える。
当事者意識を持つことがホームレスへの偏見をなくし、社会が変わることに繋がると感じた。
また、今私が住んでいるアメリカでもホームレス問題は大きいと感じる。
コロナ以降、ホームレスの数は圧倒的に増えた。
ビーチ、高速道路周辺にブルーシート、キャンプ用のテントで生活する人を多く見かけるようになった。
ホームレスの問題は、日本だけに留まらないと感じている。
筆者は『当事者たちの声に耳を澄まし、必要なことを提供すること。
そうやって失敗しても安心して立ち直っていける社会を作ることが「働く意味」だ』と締めくくっている。
私も筆者のように安心して立ち直っていける社会を作る側の人間になりたいと感じた。
以上が私が感じ、学んだことです。
良書のご紹介、ありがとうございました。