ログイン | 新規登録

第94回目(2019年2月)の課題本


2月課題図書

 

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣


ネット界で話題沸騰中でして、ツイッターではこの本についてのツイートが流れてこない

日を探す方が難しいくらいです。

人間の認知バイアスがどこから来るのかを、分かりやすく解説している本なんですが、そ

れだけなら類書はあるんですよ。本書が面白いのは、例示している事例と、そのウラに存

在している数字なんです。

 

まずは数字で話を使ってしようよ、ということなんですが、これってビジネスの世界でも

出来ない人が大多数です。

 

「○○だから××にした方が良いと思います」って言いながら、○○の数字も、××の数

字も持っていない人がどれだけいることか。そこをツッコむと、担当者の人がそう言って

たとか、最近はそれがトレンドだからとか、ヒドい場合には自分に都合の良い数字だけを

持って来たり。

さらに言えば、複数の数字の間にある因果関係を正しく理解出来る人はもっと少ないです

から、正しい施策なんて作れないんですね。そういう人は善意で人を騙しますし、同時に

悪い人から簡単に何度でも欺されてしまうんです。

 

これ全部、この本に書かれたことを理解し、実践出来たら避けられますから。

 【しょ~おんコメント】

2月優秀賞

 

今回はみなさんの投稿を読みつつ、何人かの人の投稿にツイッター

でコメントをしました。色々な人からどこがイケないのか、どうしたら良いのか、個別に

コメントが欲しいというリクエストを頂いていたので、今回初めてやってみました。とい

っても、ツイッターをやっていない人には届きませんね。これは仕方ありません、過去何

度もツイッターはやらなきゃダメって言ってるのに、それでもやらない人を考慮するつも

りはありませんから。

 

では一次審査を突破した方を発表します。sikakaka2005さん、BruceLeeさん、gogowestさ

ん、kayopomさんの4名が突破しました。そして今月は、gogowestさんに差し上げることに

します。この方、日本語はまだまだ稚拙で、次回このレベルの日本語のままだと、一次突

破も難しいのですが、今回は

 

"この著者は病院に来ることができる一部の人だけでなく、この地域全体で救える人の数

を最大化するために、自分が使える力の配分を考えて行動しています。"

 

という大事なところを拾えたところが良かったと思います。ここに気付けただけではなく、

 

"数字とその比較という客観的な指標を用いながら、それを使って判断するのは、人間で

あって、その判断の幅は、その人の視野の広さと関連すると、このエピソードから、思い

ました。"

 

というそこからの思考の深掘りが素晴らしいと思います。私がツイッターで、読み込みが

甘いとか、深掘りが欲しいと書いたのは、こういうことを書いて欲しいということなんで

す。ということで、初受賞おめでとうございます

【頂いたコメント】

投稿者 audreym0304 日時 2019年2月25日


 世界から貧困層が減少しつつあるということを感じたのは、絶対貧困ラインが1日当たり1ドルから1.9ドルに引き上げられたということを知ったときだと思う。貧困が減少しつつあると感じながらも、絶対貧困ラインを引き上げることで貧困層とされる人を増やしたんではないかと勘繰ってしまったが。
 本書は漠然と感じていた世界は徐々に豊かになっているという感覚と我が家で時々繰り返される質問に対す回答にもなったし、今後どのようにものを考えて行ったらいいかの指針にもなってくれたと思う。
 我が家の夫は本書で書かれている「あの人たち」の一人であり、こんな質問をよくしていた。

”ねえ、奥さん。日本人にとってアフリカは貧しい場所じゃなきゃいけないの?”

「わたしたち」は無意識かつ本書で書かれたいくつかの本能で、「あのひとたち」と接していることがよくわかる一言で、私は返事に詰まってしまった。TVに映し出されるアフリカの姿、多くは本書のレベル1の生活をしている姿を見て、日本人が持っているアフリカのイメージに彼は愕然としたという。それは、彼が知っているアフリカの姿とははるかにかけ離れていたからだ。ちなみに彼の知っているアフリカの姿はレベル3からレベル4であり、所属する階級が違うと生活も認識も分断されているのだと感じた。

 そんな背景もあり、私は本書の最初に出題されたクイズに対して、非常に違和感を感じた。「いくらかでも」電気が使えることや「なんらかの」病気に対するワクチンを打てることはそんなに胸を張って誇るべきことなのか、と。
 確かに人類史における病気との戦いやインフラを整えることは人々は苦労し、心血を注いできただろうし、その結果、近年で急激な進歩をしているのだろう。レベル3から4の生活をする人々には電気が使えることも病気のワクチンが打てることも当然なのにもかかわらず、「いくらか」「なんらか」と言った言葉でレベル1やレベル2の生活を表現することは人々に劣等感を与え続け、レベル4の生活をする人々に優越感を与えることになりはしないのか?そこから無意識に差別的な思想も生まれるのではないのか、と思ったのだ。
 たとえ、今はどんなに後れをとっていようとも、レベル1やレベル2の人々が到達したいのはレベル4と同等の生活をすること、更には超えていくことだろう。レベル1,2に属する人たちにとったら、収入や教育レベルはもちろんそうだし、レベル4に位置する国々で良い観光客として迎え入れられ、対等なビジネスパートナーとして歓迎されることじゃないだろうか。
 そんなことを考えながら読んでいたら、著者が出会ったアフリカ系の女性との話を紹介してくれていた。著者のような人が、レベル1、2の人々にとって希望がなんであるかを指摘されるまで気づかないというのは分断本能と言うのはあまりにも無意識に根強くすべての人に根付いているのかもしれない。
 絶対貧困ラインが引き上げられ、世界から貧困が減ってきていることは喜ばしいことだ。しかし、「いくらか」「なんらか」といった言葉を使っているうちは「わたしたち」「あの人たち」という言い方と分断する考え方から逃れるのは容易ではないと思う。

 世界には、今目の前に見えている世界の外からある日突然、今までの価値観をひっくり返すような出来事が起こる可能性だってある。頭ごなしに否定するか、切り捨ててなかったことにしないと従来の価値観や考えを守ることのできないことだって起こる。「世界はよくなっている」「貧困は減少している」ということもその一つだ。信頼のおけるデータや数字をみることで私たちは客観的な視野を持つことができ新たな価値観、そして、良い悪いを感じるバランス感覚を生み出すことができるのだと思う。
 一方で、成人ですら読解力や数的思考がないとされる人が多くいるというデータもある。これは信頼のおけるデータや数字を見ても理解すらできずに、客観的に物事を判断することすら拒絶する成人が一定の割合で存在することにはならないだろうか。
読解力や数的思考のない人は無意識のうちに自分が持っている価値観や考え方で私たちは物事を判断して、理解した気になってしまうのだろう。理解した気にならないためにも信頼のおけるデータや数字を見て判断すること、客観的な視野を持ちつづけるためには、何よりも日々の情報の更新やたゆまぬ学習とさらには理解力を鍛える必要があるだろう。

 個人的には今現在、「あの人たち」に分類されていたり、つい最近まで分類されていた人たちの本書の感想を国、地域、性別、階級、学歴、職業、年齢問わず広く聞きたいと思った。本書は「わたしたち」に世界の正しい見方を教えるだけでなく、レベル1,2に属する人たちには実感を伴った世界の正しい見方を教えるだろう。
「わたしたち」にだって「あの人たち」と同じような生活をしていた時期があり、それを知ることは無意識に植え付けられた「わたしたち」に対する劣等感を拭い去り、生活レベルを発展させることができるという、未来への希望にもなるに違いないのだから。

投稿者 tsubaki.yuki1229 日時 2019年2月26日


『ファクトフルネス』は、私にとって“eye-opener”となる本だった。
この本が私にくれたギフトは2点ある。

1.自分の中の「上から目線」と「思考停止」に気付いた

 冒頭の第1章から、頭を殴られたような衝撃を感じた。
「世界の国々を、先進国と発展途上国のたった二種類に分類できると考えるのはナンセンスだ。
国民の所得や生活水準により、世界の国々は4レベルに分類される」
-この主張に、あっと言わされた。
 というのは、大学時代に出会った教授の言葉と、この主張が繋がり、一つの線となったためだ。

 その教授はドイツ文学の専門家で、普段は穏やかな彼がある時、怒りを声に滲ませて語ったことがある。
「僕は、先進国と発展途上国という2つの言葉が、大嫌いです。
西洋諸国の先進国の人々が、アフリカやアジアの国々を見下していることが、この2つの分類法に良く表れています。
developed countries, developing countriesと英語では表現しますが、develop(発展)することが、そんなに偉いことでしょうか?」

この言葉を聞き、なるほどと思ったし、私自身“developing countries”という言葉を、自身の英語の授業で中高生に教える時、その教授の言葉を常に引用してきた。

 一方、『ファクトフルネス』の著者達は、そこからさらに一歩踏み込んでいる。
緻密な調査を行い、グラフと写真資料「ドル・ストリート」という読者に分かりやすい表現方法で、
世界の4レベルの国々の状況を鮮やかに提示してみせた。

 それを見せつけられる中で、自分の心の奥底に、恐ろしい先入観があることを浮き彫りにされた。
●私は先進国(レベル4の国)に生まれ、高度な教育を受け、恵まれた生活をしている
●ゆえに、他(レベル3以下)の国々に住む人は、かわいそう

という「上から目線」で傲慢な思考だ。それだけではない。無意識のうちに

●先進国(レベル4)とそれ以外の国(レベル3以下)という世界の分断は、今後数百年間、永久に続く

…と思考停止し、確たる証拠もないのに自分の先入観を疑いさえしてこなかった。(つまり第1章の分断本能と、第3章の直線本能に支配されていた。)何と恐ろしいことだろう。
 先月の課題図書『ソウルメイト』によれば、私が今世で日本人として生まれてきたことには意味があるはずだ。平和で豊かな日本に生まれて感謝するのは当然だが、他の国々に同情を感じたまま思考停止と怠惰に陥るなど言語道断である。今ここで、与えられた人生で、自分に何ができるかを考えて実行するのが筋であろう。

2.読書して学んだ知識を最大限に生かす

 そこで自分の光と指標となったのが、310~314ページに紹介されるコンゴの女性だ。
ロスリング博士が「血を盗みに来た邪悪な医者」として群衆達に疑われ、襲われそうになった時、
「村の子供達の病気を治すために、この先生の調査が必要なのよ。みんな、採血に協力しなさい!」
と演説し、村人達を説得したのが彼女だった。

 著者も言うように、彼女は村を出たことがなく、文字も読めず、統計学など学んでいない。
しかし、一番大切なもの-勇気と冷静さがあった。

 私はこれまで「人々を動かして世界を良くするリーダーとなるためには、学歴と地位と名声(とお金)が必要だ」と漠然と信じてきた。
しかし『ファクトフルネス』の13問のクイズでは、学歴や地位の高い人も3問しか正解していない。
ちなみに、著者は13問のテストを世界各国で行い、いかに正解率が低かったかをグラフで提示しているが、そこに載っている国々は全て、西洋諸国と日本のみ。
これこそが「西洋諸国+日本の人々の知性や教育のレベルの高さは、本当に誇れるのか?」と、著者最大の皮肉だろう。

 コンゴの女性には学歴も地位も名誉もなかったはずだが、彼女は、一般大衆や感情に流されず、事実だけを冷静に見つめ、村人に何が必要かを自分の頭で考えて判断を下し、分かりやすい言葉で村人達を説得した。
 そこで、私も今自分のいる場所で何ができるか考え、実行に移すことにした。

 幸い私は英語塾の講師なので、自分の塾の授業で、生徒達に13問のテスト(英語版)をやってもらった。
 現在、中2・中3・高1の生徒達にクイズに挑戦してもらったが、子供達の反応を見ていると非常に楽しいし学ばされる。多くの生徒から出た反応が「世界は自分が思うほど悪くない。良いこともたくさん起こっているんですね!世界を良い方向に導いてくれた人たちに、感謝したい」であった(自分とほぼ同じである)。
中には7点・10点を取る子もいた。このクイズの全世界の平均点が2~3点程度であり、教師の私自身が3点だったと言うと、生徒達は大笑いだ。
「わ~い!先生に勝った!」「このクイズを親/友達にもやってみよう!」「この本、メルカリで買います」など、様々な反応が返ってきて、私自身も授業をやって良かったと感じた。
 この経験から、当たり前だが重要なことを学んだ。
本を読んだら、自分の知識量を増やすだけでなく、周囲にその内容を伝えるべき、ということだ。
『ファクトフルネス』著者が315ページで語るように、好奇心と謙虚さが大切だ。
「大人の私の方が、若い生徒より知識豊富だ」などと傲慢になるのは以ての外で、謙虚な姿勢で情報収集し、学び成長し続けたい。他者に影響を与えられる、高い人格の持ち主でいたい。学んだ知識をため込むのでなく、それを最大限に活用したい。

 また自分自身、メルマガとYouTubeで情報発信しているが、悪いニュースだけでなく、世界の良いニュースも積極的に伝えるべきだと体系的に理解した。情報発信の本当の意味は、人々に現状を正しく伝え、希望と勇気をもたらし、より良い世界を共に作れるよう、世界に貢献することだ。それを著者ロスリング氏と、その息子夫婦から学んだ。

投稿者 MKY 日時 2019年2月26日


『10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』

この本には、10の本能が著者が経験した事実とデータで示されている。
思い込みで行動する、と言うことは人間であれば誰でも経験があると思う。
これらのものを10に区別し、これが本能であると著者は言う。
分析本能、ネガティブ本能、直線本能、恐怖本能、過大視本能、パターン化本能、宿題本能、単純化本能、犯人探し本能、焦り本能。
なるほど、確かに思い当たることがある。と普通の人は思うのではないだろうか。
2:8の法則に基づき、私はこの示された10の本能から2つを抜き出して見ることにした。自分が今までしてきた失敗を思い返し、自分はこの本能が強いのではないだろうか、と思ったものを。
その結果、犯人探し本能と焦り本能が私が警戒すべきものであるとの結論に至った。
詳細は個人的であるから割愛するとして、この二つを念頭に置き行動していると徐々に客観視出来るようになってきた気がしてきた。
気がしてきた。と言った通りで、現段階では頭にあるからと言って常に出来るわけでもないからである。後からこの本能が強く働いていたのではないか、と気づいたときにはまだまだ冷静でいられなかったことを反省。

そして、この感想文を書こうと決めてから繰り返し考えていると、これらの本能は繋がっている部分もあるのではないかと思い始めた。
例えば、私が一番気にする焦り本能。これは何故焦るのか、と思考していると実は恐怖本能やネガティブ本能が絡み合い作用を引き起こしているのではないか?
犯人探し本能は分析本能やパターンか本能が関係しているのでは?など。
果たして、著者が伝えたかったことは何なのか。
私が感じたことは、本能に支配されている時点では動物と変わらない。人間が発展出来たのはこの本能に従ったからではなく、頭を使い、知性を身につけ、数字という感情に左右されないものを扱ってきたからなのだ。と、いう事ではないかと感じた。
本能ではなく、知性によって事実を見つめること。
その手助けが本書を理解することで得られる。
冷静に本能を制御しつつ、より良き人生を歩んでいくための1歩を手に入れたような気がした。

投稿者 toshi121 日時 2019年2月26日


「ファクトフルネス」を読んで

 本書を読んで、自分を含めた多くの人々が思い込みにとらわれて、世界の真実を知らないということを知り、大いに衝撃を受けた。具体的なデータを基に、世界が良くなっていること、そしてそのことを理解していない人が多いことを、しつこいぐらいに紹介していることは圧巻ですらある。

 多くの気づきがあったが、一番強く印象に残っているのは、「所得と寿命」と「女性ひとりあたりの子供の数と5歳まで生存する子供の割合」の2つのチャートである。世界に多くの国がある中で、これほど明らかな相関性があるということを、はっきりとわからせることができるチャートの素晴らしさに強く感銘を受けた。特に「女性ひとりあたりの子供の数と5歳まで生存する子供の割合」の1965年と2017年とを比較してみると、世界全体で子どもの生存率が高まり、少子化に向かっていることが歴然とわかる。世界は確実に良くなっているのである。
 
また「先進国」と「途上国」というのは完全に古い考え方で、レベル1から4という分類があり、レベル4に暮らす我々が、ほかの3つのレベルのことを想像することすら難しいことも、よく理解できた。そして、ここでも多くの国々が確実にレベルアップをして、世界はよくなっているのである。世界が明確によくなっていると知ることができたことも、この本を読んだ大きな収穫の一つである。

 実データを見て考えることの大事さ、事実の本質をつかむことの重要性を耳にすることは多かったが、それらは当然のことであるとわかっているものの、どうしたらそれらが実施できるのか(なぜ実施できないのか)が、よくわからなかった。本書でその理由として10の本能を上げて、それぞれを詳しく紹介していることも秀逸である。

私にとって特に強く心に残っているのは分断本能とネガティブ本能の2つである。本書の最後にある「ファクトネスの大まかなルール」の中で、この二つの本能を抑える方法として紹介されている「大半の人がどこにいるかを探そう」と「悪いニュースのほうが広がりやすいと覚えておこう」の2つを、今後常に意識していきたいと考えている。
 
毎月課題図書を読むようになって一年以上になるが、私にとって本書は最良のである。こうした本をご紹介いただいたことに感謝するとともに、今後も毎月課題図書に取り組んでいこうという思いを強くしている。

以上

投稿者 tajihiro 日時 2019年2月27日


ハンス・ロズリンク著「FACTFULNESS」を読んで

ハンス・ロズリンク著の「FACTFULNESS」について、私なりに考えたことを以下にまとめてみたいと思います。
まず、一番の感想を一言で申し上げます。それは、「人間の認知バイアスは至る所に転がっていて、扱い方次第ではプラスにもマイナスにもなる」ということです。

上記を踏まえ、さらに深堀りしたときに、以下の2点について新たな気付きを得ました。

1. 『「極端な数字の比較」に注意』(P60)
2. 『自分の考え方を検証しよう』(P259)

1. 『「極端な数字の比較」に注意』(P60)
まず、1.の『「極端な数字の比較」に注意』についてです。以前の私は、物事を比較するときにおいて、ある数字と別の数字で開きがみられる場合、どうして開きがあるのかを比較するということを行っていました。
例えば、P35にあるような、先進国グループと途上国グループとのバブルチャートで、大きな開きがある場合、なぜ、このような開きがあるのだろう、と理由を探すことに躍起になっていました。そして、「女性一人あたりの子供の数が多く、5歳までに生存する子供の割合が低い」のは「途上国」特有の特徴であり、「女性一人あたりの子供の数が少なく、5歳までに生存する子供の割合が高い」のは「先進国」特有の特徴であり、その理由は、途上国の気候環境が先進国の気候環境と比較して、極めて過酷であり、その国々のGNPの大小が原因であるという、自分なりの仮説を立て、そして悦に浸っておりました。別な例で例えると、「A型の男は、細かくて面倒くさい」「AさんB君は雨女・雨男」というのと同じです。前者の場合は血液型が違っても、脳の構造自体は同じだからであり、後者は、自分の仮説がたまたま一致しただけであるからです。よって「血液型による性格の傾向」「人間の存在自体が気候に影響」に、科学的な根拠は存在しません。いわば、確証バイアスというものでしょう。確証バイアスは、時に、冤罪をも引き起こします。法心理学者であるピーター・ファン・コッペン氏はこう言いました、「人は誰でも欠陥のある刑事になる可能性があり、バイアスのない証拠を集めるのは容易ではない」と。
人は、情報が見つからなければ、その隙間を埋めようとします。もっともらしい物語、仮設ができれば、信じられないほどの自信を抱きます。
私は、この本を読んで、改めて確証バイアスの危険さを知見し、極端な数字やグループ間に開きがある場合、比較するときには事前に注意を払うべきであることを理解できました。

2. 『自分の考え方を検証しよう』(P259)
次に、2.の『自分の考え方を検証しよう』についてです。『自身が肩入れしている考え方が正しいことを示す例ばかりを集めてはいけない。あなたと意見の合わない人に考え方を検証してもらい、自分の弱点を見つけよう』(P259)はまさにその通りであり、また、ドキッ、とさせられました。
以前、私は営業職をしていました。商談をするとき、相手からイエスを引き出すために、あらゆるデータを駆使して、自身に有利になるような数表やグラフを作成していました。例えば、P254にあるようなバブルチャートのようなのは典型的な例と言えます。P254の上のバブルチャートは、ひとりあたりGDPで12,000USドルで境界線を設定した場合、その左側グループのキューバは11,000USドルで一番高く、平均寿命も75歳と高く、「途上国グループ」の中では一番、健康と言えます。しかし、P254の下のバブルチャートは、平均寿命75歳で境界線を設定した場合、その上側のグループの中では、ひとりあたりGDPで11,000USドルと一番低く、「健康寿命が高いグループ」の中では一番、貧乏であると言えます。この比較手法自体に、驚きを感じませんでしたが、この結論の出し方にドキッとさせられました。理由は、前者の分析手法はキューバを肯定するものであり、後者の分析手法はキューバを否定するものだからです。私がキューバ人であれば、後者の分析手法もありえるのでしょうが、キューバ国外の人間であり、「智の道」を学んだ現在の私からすれば、この後者の分析手法は「悪の道」であり、フェアとは言いがたいことに気づかされました。
ものごとを検証、そして比較説明するときは、相手のことを慮ることの重要さを知見し、場合によっては、相手を傷つけかねない怖さがあることを改めて理解しました。

---
最後に、今回の学びを今後の仕事や人生にどのように活かしていくかをまとめます。
仕事へのフィードバックという観点では「数字だけに頼らずにその背景も知ることで、正当な評価をできるマネージャーになろう」と思いました。具体的には、私は中小企業の管理職ですが、社員一人一人の数値成績だけを見るのでなく、その途中のプロセスや数字に表れない部分についても見ることで、今後に活かしていきたいと思います。
また、自身のプライベートや人生という観点では、身内や友人、大事な人に対し「何かしらの知識やデータを提供するときは、相手のことを慮って知識やデータを提供すること」で今後に活かしていきたいと思います。

以上、課題図書としての思ったこと、考えたことの記載を終わります。非常に有益で価値のある本をご紹介いただきありがとうございました。

投稿者 str 日時 2019年2月27日


FACTFULNESS ~10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣~

良い面も悪い面も、一部の極端な例ばかりが目に映る。それによって思い込み・思い込まされるのではなく『事実に基づいた世界の見方』をするべきだと教えてもらった。

極端な例であっても事実であることに違いはないのかもしれないが、我々に入ってきやすい情報はメディアが大きく取り上げた結果、誇張されインパクトのあるものが殆どだ。ピックアップされていないけれど、その裏では確かに起こった事実までを含めた、総合の値でモノゴトを見なければ真実は見えてこないという事なのだろう。

受け身で拾った情報だけでは思い込まされる
メディア側からしてみれば視聴数を稼ぎたくなるのも当然だろう。大々的に取り上げられるニュースや流行など、話題性のあるものに対してどうしても関心を持ってしまうことは否定しない。しかし、受けの状態で自然と入ってくる一面の情報だけを鵜呑みにして思い込むのではなく、様々な面を自ら知ろうとする攻めの姿勢も必要だ。一部の情報やデータだけをインプットした事によって「賢くなった」という思い込みが生まれ、講釈まで垂れ出したとしたら目も当てられない。そこで思わぬ方向からの質問が飛んできたとしたら、赤っ恥をかく事になるのは自分自身だ。逆に自分が講釈を受ける側の立場だったなら、おかしな情報に思い込まされる事を防ぐ盾になる。

『「悪い」と「良くなっている」を両立して考える』
知名度や規模によって見聞きするニュースに偏りが出てくるのは仕方のないこと。しかし、最近では“バイトテロ”なんて造語を造り出した若者や犯罪者など“悪いこと“を行った者の知名度は一気に上がってしまう。著者であるハンス氏も述べているように、『悪いニュースほど広がりやすい』のだろう。その方が数字が獲れる事をメディアも判っているからこそ、連日似たような話題で溢れかえる。バイトテロリスト達だってわざわざ動画撮影して発信しているのはほんの一部で、陰では似たような事をしている人がいるかもしれない。逆にプロ意識が高く、優れたスキルを持つアルバイト店員だって数多く存在するだろう。勿論、真剣に取り組んでいる人達は仕事中に動画撮影しようなどとは考えたりしないだろうが、悪いものばかりが注目されてしまうのも残念に思う。一部の悪い印象の所為で企業イメージを損なってしまい、それまで持たれていた良いイメージまでもが一瞬で霞んでしまう。本書を読み、冷静になって考えてみれば確かに衝撃的ではあるが、ごくわずかしか起こっていないはずのネタに思い込みを植え付けられていたのか分かる。

テレビもネットも“本日の良いニュース”と“本日の悪いニュース”を報じる回数や時間を必ず平等にしなければならない。なんて取り決めが仮に出来たとしても、あまり意味はないのかもしれない。結局のところは自ら思い込みに流されぬよう注意し、必要であれば納得のいく最新データを探してみる。更に可能なら自ら体験してみるべきなのだろう。初めて訪れる場所や国がイメージしていたものと全く違う事も多くある。想像以上であれ以下であれ、少なくとも自らの内にあった思い込みは消えるのではないだろうか。

小さな進歩の積み重ねが大きな変化をもたらす
私が初見で行ったクイズは13問中8問正解。当然なにも分かっておらず「大体これぐらいだろう」という根拠のない楽観的な思い込みで回答したもの。ヤマが当たっただけのチンパンジーのようなものだが、本書ではデータと分析に基づき世界は少しずつでも良い方向に向かっている事が良く分かる。

緩やか過ぎる変化故に一部の国だけでなく、本当は世界各国が好転してきているのだという発信をする機会が失われていたのか。変化に薄々気づいていたものの、それを認めず異論を唱える声が強かったのか。いずれにしろ本書のヒットが切っ掛けでハンス氏が遺した『事実に基づいた真実』を多くの人が知る事になる。事実は否定するのでなく受け入れるしかないし、最新のものでなければ価値は大幅に減るだろう。本書に記載されているデータですら数年後・数十年後には旧データとなる。そうなった時に「えぇ?いま世界ってこんな事になってるの!?」なんて事になっていないようにしたい。

投稿者 3338 日時 2019年2月27日


石井 みやこ

この本を読んだ後は自己嫌悪に陥りました。自分が如何に偏見に満ちた考え方をしていたかを思い知り、ニュースを頭から信じるのは止めにしようと思いました。それなら何を信じたらいいのかということになりますが、今度は全部自分で調べるなんて無理ですから途方にくれてしまいました。

社会に貢献したい思いがあり、去年の暮れあたりからいろいろ始めて、今年は毎月の援助を考えていましたが、どの案件も手を出せずにいます。本当に支援すべき案件なのかを考えてしまいます。これには去年、動物支援の団体が虚偽の活動報告をしていたにも関わらず、その後も支援を募り続けているのを見て、支援団体の活動の真偽を自分で判断できず、不信感が募ったからでもあります。

また、世界中の人々が、誤った世界の実相を信じているとすれば、いつまでも世界は誤った実相のまま取り残されてしまいます。自分もその一人で世界を悪いイメージで捉えることで、悪い現実化に加担して来たと思うと、かなり落ち込みました。実際はこの20年で世界はどんどん良い方に向かっていると知り、非常に安堵しました。世界中の人々が悪くなっているイメージでいるのに対して、どんどん良い方に向かっている現実を鑑みれば、世界は何かの意思で守られているに違いないと感謝気持ちが込み上げて来ます。
もっともっと良くなるように自分のイメージを変え、この事実を発信して行くにはどうしたらいいか、自分には何ができるのか考えたいと思いました。

本の中では、ジャーナリストも含めて誰も悪くないと書いてありましたが、本当にそうなんでしょうか?
私には何かの意思で、そういったものの見方を刷り込まれているように思われました。では誰の意思か?それはその方が都合がいい人たちの意思。あちこちに見え隠れする、自分たちの野望を達成するためには、人々の命も意に介さない人たち。歴史の中で、そして今も世界のあちこちで、暗躍する人たち。そんな勢力にも負けないように、しっかりと世界の実相を認識して、より良いイメージをしっかりと持ち、行動して行くにはどうしたらいいのか考えたいと思います。

自分ができることは一体あるのか?
1、この本で知り得たことをしっかりと上書きすること。
2、世界は悪くなる一方だという思いを改めて、世界はどんどん良くなって行くとイメージし、本当に良くなるよう尽力すること。
3、先進国と後進国という振り分けをせずに、どんな国でもレベル1〜4を内包していることを認識して、物事を考えること。
4、物事の真偽を見る眼を養うこと。

1に関しては、この本を何度か読み返し知識をしっかりと吸収すること。
読む本がたくさんあるとか言ってる場合じゃないな。

2、これは今日から変えられます。
世界はどんどん良くなって行く、人々は幸せになって行く❣️瞑想にも取り入れて行きます。

3、レベル1〜4の条件をしっかりと認識して、物事を考えたり、他のことと関連づけたりコツコツと資料を見ながら認識して行く他にないと思われます。国連の資料や紛争があればそのニュースを詳しく見るなど、自分のレベルでできることをやっていきたいと考えています。

4、これが一番難しくて…でもしっかりと身につけたいと思うことです。
何をするかと自問自答を繰り返し…やはり考えた挙句、人間性の向上しかないように思われました。花や美術品を多く観て、心を豊かにすること。日々起こる事柄を検証し、心を研ぎ澄ませること。人と関わって、心からの交流に携わり、ネットワークを構築すること。結局は普段からしょおん先生がおっしゃっていることをコツコツやることでしか、身につかないと思い至りました。中でも脳のキャパを広げることは急務ではないかと思い、実際に四書五経を暗記してみようかと、漢文の参考書を引っ張り出して…もう頭が爆発しそうです。

最後になりますが、このメルマガを読むようになってから、いつかセミナーに参加したり、読書感想文を投稿したいと思っていました。
そして参加して、二回目でこの本に出会いました。面白いとか参考になるおいったレベルではなく、この本は私の考え方や物事の捉え方を変える切掛になったと思います。人々のイメージが世界を変えることができるのが分かりました。この本から受けたイメージを体感できる人々が増えたら本当に世界が変わるのではないかと信じられました。

投稿者 masa3843 日時 2019年2月28日


私は、本書のメイン著者であるハンス・ロスリング氏のTEDトークの大ファンでした。
躍動するバブルチャートと軽妙な語り口は、思わず引き込まれてしまう魅力に溢れており、
統計データの無味乾燥なイメージを一変させてくれました。

そのため、Twitterで本書の存在を知ってから即座に購入し、読み始めました。
そんな本書が課題図書になり、自分の大好きな著者が認められたようで無性に嬉しくなりました。


本書は人間の持つ認知バイアスについて、
10の本能により分かりやすく解説した本です。

イントロダクションの中で著者は、
「ドラマチックすぎる世界の見方」をしてしまう原因は、
知識のアップデートを怠っていることではなく、
脳の機能、すなわち思い込み・先入観にあると説明しています。

これはつまり、インターネット等を通じて情報を簡単にかつ大量に入手できる現在の社会でも、
誤った世界の見方をしてしまう、ということを意味します。

むしろ、情報が大量に入ってくる現代だからこそ、
思い込みや先入観が拡大すると言えるのかもしれません。

私が本書の中でまず印象に残ったのは、
P133で説明されている「関心フィルター」です。

私達の頭の中には、外の世界を遮断する「関心フィルター」が存在し、
このフィルターには10個の本能に対応した10個の穴が開いています。

ほとんどの情報はフィルターを通過できませんが、
私達の本能を刺激する情報だけが、この10個の穴を通過できるというのです。

そして、マスコミはそのことを熟知しており、
だからこそ、私達の本能を刺激するような情報だけがマスコミから流されることになります。

ただ、人々の関心を得るような情報を発信したいと思うのは、
マスコミに限らず誰でも同じです。

情報には、発信時と受信時に必ず一定のバイアスがかかるものですが、
情報の発信者と受信者がこうしたフィルターを通して情報の授受をしている限り、
中立で客観的な「ファクト」を集めることは困難です。

加えて、情報量が増えていく現在の環境では、フィルターの網が細かくならざるを得ず、
バイアスの傾き度合いがますます大きくなるのは当然と言えるでしょう。

ここで私が感じたのは、
情報過多で1つ1つの情報を縮約して取り込まざるを得ない現代では、
人々が演繹法的なアプローチで思考を進めることが多いのでは、
ということです。

「関心フィルター」を通過してきた、バイアスのかかった前提をベースに
演繹法による推論を構築すると、
誤った結論になるのは自明のことです。

本書の第6章で解説されている
「ひとつの例がすべてに当てはまる」という思い込み=パターン化本能
はその端的なものです。

第8章の
「世界はひとつの切り口で理解できる」という思い込み=単純化本能
も同じです。

バイアスのかかった主観的な情報を、
普遍的で広範的な考え方・理論であると思い込んでしまうことで、
決定的な誤謬につながってしまうのではないでしょうか。

もしそうであるならば、私たちがすべきことは、
思考を進める中で、帰納法的な思考アプローチを意識的に行うことです。

本来、演繹法的な思考と帰納法的な思考に優劣はありません。
問題解決のアプローチとしてはどちらも必要不可欠なもので、
双方のアプローチを併用しながら試行錯誤することが求められるはずです。

しかしながら、現在はSNSやインターネットを通じて、
極端なメッセージが強調された情報ばかりが大量に行き交う社会環境です。
そのような中では、より客観的で具体的な「ファクト」のみを集めて結論を導く、
帰納法的なアプローチの必要性が極めて高いと感じます。

本書を通じて、改めて当たり前を疑い、ゼロベースで思考することの大切さを再確認できました。


最後に、私たち自身の気持ちのあり方について。

11章で著者は、子供達に謙虚さと好奇心を教えることの大切さを説いています。
この2つは、大人達も大事にすべきことだと強く心に響きました。

本能を抑えて事実を正しく見ることがどれほど難しいかに気づくこと。
自分の知識が限られていることを認めること。
堂々と「知りません」と言えること。
新しい事実を発見したら、喜んで意見を変えられること。

新しい情報を積極的に探し、受け入れるということ。
自分の考えに合わない事実を大切にし、その裏にある意味を理解しようと努めること。
答えを間違っても恥とは思わず、間違いをきっかけに興味を持つこと。
『どうしてそんな事実も知らなかったんだろう?この間違いから何を学べるだろう?
あの人たちはバカじゃないのに、どうしてこんなことをしているんだろう』と考えてみること。


考え続けること。
謙虚であること。
好奇心を持つこと。

本書は、私たちが世界と向き合っていく上で、
大切にしなければならないことに改めて気付かせてくれました。


本書を人生の最後に書き上げてくれたハンス・ロスリング氏に、
深い感謝と哀悼の意を表したいと思います。

今月も素晴らしい本を選んでいただき、ありがとうございました。

投稿者 akiko3 日時 2019年2月28日


読み終わって癒しを感じたのはなぜだろうか?チンパンジーに負け、いかに狭い視野で自分の見たいもののみを見て生きているかに気づかされたのに、人生ってやっぱりいいな、生きるって素敵なことだと優しさに包まれた。
数字がでてくるだけで、統計ってだけで何も読み取れないとネガティブブロックがあったが、著者の経験談や解説により数字の背景にあるものが見えてきて数字(事実)って面白いと思えてきた。

正しく数字を読み取る為に謙虚さと好奇心が大切とあり、いかに傲慢な視点で世の中を見ているのかがわかった。“謙虚”と”感謝“が大切だと気をつけていた時期もあったが、その謙虚さが歪んでいたことを反省し、改めて大切だと心に刻みたい。

事実を正しく見極められたらおのずとやるべきことが浮き上がってくるのも興味深い。また視点が中庸になっていくようにも思えた。
許すことの大切さを説いていたことも印象的だった。
著者も本能に支配され失敗していた。35年間胸に秘めていたモザンピークでの出来事も告白し、「皆、許しあおう」と人生において大切なことを教えてくれた。
著者は「世界についての人々の圧倒的な知識不足と考え方を変え根拠のない恐怖を退治し、誰もがより生産的なことに情熱を傾けられるようにしたい」、その為に自分の経験が活かせる、まさに人生をかけてこのテーマに取り組まれた。

TEDを見てみた。バブルチャートの前で両手を広げ、早口で実況中継する姿は子供のようなひたむきさを感じた。もうこの世にいらっしゃらないとは…。
2005年にギャップマインダーを作り、2015年1月に知識のアップデート不足ではないと気付き、9月に本を書こうと決め、2016年2月5日に末期のすい臓がんとわかる。余命2,3か月あるいは1年!
著書に「ファクトフルネスのおかげで命拾いをした」とあったが、命の終わりを意識し、ファクトフルネスで自分の人生を振り返り、使命を確信されたのだろう。本の執筆に集中され、「皆が楽しんで世界を知る助けになる」狙い通りの中身にした原稿を胸に救急搬送され、4日後の2017年2月7日お亡くなりになられた。最後の時まで本が世に出るワクワク(皆の幸せや未来に希望)を胸に抱かれていたと想像できる。
「事実に基づく世界の見方を広げる」、10のルールに当てはめると死という恐怖さえも、“どう生きるか”がより感じられ、心穏やかに喜びに満ちた生き方ができるとハンスさんは人生を通して最後に伝えたのだ。

『何かひとつ世界に残せるとしたら』とこれは命を授かった一人一人への問いかけだ。まだ“何かひとつ”は意識できていないが、事実に基づいて日常生活を見ていき、具体的なよき行動がとれるように10のルールに照らし合わせながら生活してみようと思う。
ありがとうございました。

投稿者 KomuStrauss 日時 2019年2月28日


目に見えないものを想像すること

 私にとって「世界が良くなる」とは一体どういうことなのかは、曖昧なものでした。貧困が無くなることや戦争が無いことなどという漠然としたイメージしかありませんでした。それは抽象的で目に見えず、想像することが難しいものでした。そのため、本書を読んでいて感じた目を開かれた感覚は、「世界は思ったより良くなっているんだ」という衝撃と共に、「世界が良くなるって、こういう風に表現できるんだ」という爽快感を伴っていました。
 本書には「世界が良くなる」とはどういうことかが明確に書かれ、議論はそれを前提として進んでいきます。目に見えにくい社会の諸要素を数字で分かるように言い換え(赤ちゃんが無事に育つ→乳幼児死亡率が低い)、数字から目の前にない現状をイメージし(女性一人あたりの子供の数→生活や教育のレベル、女性の社会進出の可能性(→生理用品の需要まで!))、その社会がどういう状況にあって、何を必要としているのか想像することを、本書は教えてくれています。
 なぜ本書において「世界が良くなる」イメージが明確なのか、数字と社会の在り様が具体的に結びついているのかは、著者の経験が物語っています。表の縦軸と横軸のラベル、数字の裏には、著者によるスウェーデンでの、インドでの、モザンピークでの、世界各地でのリアルな体験と、そこから培われた想像力(過去の歴史の振り返り・未来の予想をも可能にする)があるのです。そして、なぜ表と数字で語らねばならなかったのかは、著者がモザンピークで経験した実情と周囲からの無理解があり、なぜこのような思い込みに関して啓発する本を書かなければならなかったかは、著者が各国で経験し続けた無理解がありました。
 目に見えない物事や変化を捉えるには、指標を明確化して数字にして、目に見えるものへ変換する必要があったのです。

『目の前にある命と同じくらい、目に見えない命は重い』
 モザンピークで著者が実践した、目の前にいる人を救うことよりも、地域全体の健康水準を上げるべきだという考えは、大局的に見て正しいことだと思いますが、実際に私が著者の立場だったとして、「血も涙もない」と言われながら邁進することができたかどうか。周囲の無理解にも拘わらず、著者は多くの『目に見えない命』を救うために、公衆衛生の改善に取り組みました。そして、無理解と闘い続けました。
 公衆衛生や予防医学は、なにか悪いことが起こらないようにする仕組みであって、治療とは違って効果が見えにくいものです。このような「効果が見えにくいが重要な分野」は、多くの人が知らず知らずのうちに恩恵を受けているのに、脚光を浴びることも、感謝をされることも少ないように思います。ちょうど、世界が少しずつ良くなっていること、平和なことがニュースになりにくいのと同じです。地道な取り組みは見過ごされ、生活必需品やインフラは当たり前のものごとと化していきます。
 しかし、過去の歩いてきた道を振り返ってみれば、地域の、国の、世界の、健康寿命が延びてきたこと、所得が増えてきたことが分かるのです。本書を読み終えたならば、統計を見たときに、目に見えなくなっていた、先人たちの数々の積み重ねのおかげで今の自分の在り方があることが分かるでしょう。見たことも無い外国の現状を想像し、今何を必要としているか考えたり、自分たちに何をもたらしてくれるかイメージすることができるでしょう。将来生きる後進たちのより良い未来のために自分が生きていると信じることができるでしょう。

 目に見えないたくさんの先人への敬意と感謝を。
 目に見えないたくさんの同輩との連帯と相互扶助を。
 目に見えないたくさんの後進のための生を。

 私は「世界を良くしたい」「何かしなければならない」「真理を明らかにしたい」と思う一方で、結局は「いつか役に立つかもしれない」「おもしろそう」「自分の見る世界を豊かにしたい」という理由で勉強したり、本を読んだり、講義を受けたりしていました。「あらゆる学問には一貫した思想があるのだから、全て学んだことには意味がある」と、自分では思っていましたが、いざ専門分野に進むと、これまで自分のしてきたことに意味があったのか、これから自分のしていくことに意味があるのか、分からなくて不安になりました。何をしたら正解だったのか、これから何をすればいいのか、私が生きていても社会に何ももたらせないのではないか。
 しかし、本書を読むだけでなく、こうして読書感想文を書くことで、より本書の自分にとっての意味を深く考えたとき、「目に見えないもの」への敬意を感じさせてくれるこの本から、私は、「これまで」と「これから」を肯定してもらえた気がしています。そして、私の知らないたくさんの人の「これまで」と「これから」を、私に肯定させてくれると思います。
 私が生きてきたこと、生きていくことは無駄じゃない、と。
 あなたが生きてきたこと、生きていくことには意味がある、と。

投稿者 shinwa511 日時 2019年2月28日


私たちはどれだけ事実というものを正確に認識しているのでしょうか。正しいことを学ぼうとする努力を怠ってはいないか、得られるデータに悲観して事実から目をそらしてはいないでしょうか。今回の課題図書「FACTFULUNESS 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣」を読んで、それを考えさせられました。

本書に書かれている世界の事象に関わる13の問題を3択のクイズ形式で出題して私たちが、どれだけ思い込みに囚われているかを示しています。

この本に出てくる13の質問には、各国の医学生や教師、政界のトップやジャーナリストに対しても実施されましたが、高学歴で国際問題に精通していると思われている人達でさえ、質問の解答をことごとく間違えてしまい、世界の事実について十分に理解していないということを示してしまいました。

その原因は、事実に基づいて世界を見ることができていないからです。それは人間ならば誰もが持っている10の本能が認識を歪めてしまうからであり、この本能を抑えなければ事実に基づいて、正しく世界を見ることができなくなってしまいます。

わたしたちは世界を間違った判断で認識し、誤った見方をしている。そのことに危機感を感じました。

国や世界の事象について考えている政界のトップでさえ、間違えている判断を下しているのに、私自身も事実と向き合おうとせず、思い込みによって誤った認識をしてはいないか。普段触れる、テレビやネットニュースの情報を鵜呑みにするだけで情報に優劣の判断をつけ、事実を歪めて見てはいないか。

恐らく今までそういうふうに得られた情報については、考えてきてはこなかっただろうと気づかされました。

特に本書を読んで、今まで事実に基づいた正しい認識をしていないことについてなるほど、と納得したことが二つあります。

一つは10の本能にある「ネガティブ本能」です。世界はどんどん悪くなっているという思考をもたらす本能ですが、実は悪いニュースが良いニュースよりも心を刺激し、強い印象を残しているだけで、世界が悪くなっていると認識するのは、深く思考せずなんとなく感じているだけになってしまいます。これでは事実から遠ざかってしまいます。

もう一つは過去に学んだ知識が、今の世界の状況に変化が生じて、自分の認識とのズレが生じていることです。歴史などは特に新発見の資料があるたびに新しい情報に基づいて、歴史は塗り替えられています。それを知るには、新しい世界の最新の情報を得ていく必要があります。そうしていかないと、事実との認識にずれが生じたまま、間違った認識を持ち続けていくことになります。

身近なものだと、アプリケーションのアップデートと同じように、データの更新を続けていくことで、刻一刻と変化する状況の変化に対応していくことと同じです。良い悪いと判断する人間の好みに関係無く、データには事実があり鮮度があるのです。

物知り顔で人に話す情報が、実は自分の認識がデータを歪めて伝えてしまった、あるいは自身が知らない新しい事実に変化していてそれを知らなかった、ということが無いように10の本能を抑えながら、焦らず事実の情報を求めることを忘れないようにしていきます。

投稿者 collie445 日時 2019年2月28日


○認知の歪み

本書で書かれている10の思い込みから、思い浮かんだことがあります。
それは、心理学などで扱われる認知の歪みです。
私は、認知行動療法などの心理ワークに取り組んでいます。

その中で取り上げられている認知の歪みの項目には、
本書で扱われた10の思い込みの項目と通じるものがあると感じました。

例えば、
「分断本能」は「0-100思考」、
「ネガディブ本能」は「悲観フォーカス」、
「パターン化本能」は「過度の一般化」
と似ていると感じました。

私が取り組んでいる心理ワークでは、自分の身近で起きる出来事に対して、
心理ワークを行って、認知の改善に取り組んでいます。

同じ出来事でも受け取り方によって、
そこから導き出される見方は全く異なったものになってしまいます。
歪んだ受け取り方をすると、出来事や人間関係においてストレスを感じ、
人間関係が悪化したり、体調が悪化したりしてしまいます。

世界の見方を間違うと、間違った判断をしてしまいます。
目の前の出来事の受け取り方と同じであると感じました。



○どのデータをどう見るか

本書では、世界を正しく見る習慣を提唱しています。
テレビ、新聞、インターネット、SNSから見聞きする情報を鵜呑みにすると、
とんでもない勘違いをしてしまうことが実感できました。

冒頭のクイズは、ほとんど正解できませんでした。
間違った思い込みにハマってしまっていました。
日々取り組んでいる心理ワークと同様に、データを基に世界を正しく見る訓練をしなければなりません。

その際には、どのデータをどう見るかが重要になってくると思います。
テレビ、新聞などのメディアには、スポンサーがいます。
スポンサーの意向に沿うというフィルターがかかっている場合があるので、
注意が必要だと常日頃感じています。

特にデータから導かれる結論と、データからの切り取りには、注意が必要です。
データの読み取りとは少し外れるかもしれませんが、
インタビューから一部を切り取って報道されることで、
全く異なる印象を作り上げることも簡単にできてしまいます。

これは、10の思い込みが悪用されているからだと考えました。
つい横着をして、結論だけを見てしまいそうになりますが、それではいけません。

元データはどこなのか、一部だけが切り取られたものではないか、
引用元はどこなのかもしっかり、確認する必要があります。
できるかぎり、一次情報を使うのが好ましいと思います。



○データの信頼性

また、データの信頼性も考える必要があると思いました。
最近、問題になっている厚労省の「毎月勤労統計」のように
不適切に作られたデータも紛れています。

どこが調査したデータであるかが1つの指標になるのではないかと思います。
しかし、不適切なデータである可能性はゼロにはできないかもしれません。
ただ、相対的に比較することで、変化などは読み取れるでしょう。

データの信頼性を細かく考えると、本書の学びからは離れてしまうのかもしれません。
これは今後の課題とします。



○データの隠蔽

本書の学びとは外れてしまうかもしれませんが、本書を読んで気になったことがありました。
P148~149ページの福島やチェルノブイリの原発事故で被ばくにより死亡率が大幅に高まった
という証拠は見つからなかったという記述です。

死亡率ではありませんが、福島県が甲状腺がんの増加を示すデータを公表したと聞きました。
本書では死亡率のことしか取り上げていませんが、
チェルノブイリで病気が増えたというデータはないのだろうかと疑問に思いました。

死亡はしていないとしても、がんなどを発症して健康を害したというデータはないのでしょうか。
データが隠蔽されている可能性はないのでしょうか。
データの隠蔽に関しても考慮に入れる必要があるのではないかと感じました。



本書の学びを生かして、今後は、
世界を正しく見るために、データを確認し、データを自分で読み解き、
自分で結論を読み取ることを常に心がけることにします。

今月も素晴らしい本を紹介してくださり、ありがとうございました。

投稿者 nxxxxo1985 日時 2019年2月28日


ハンス・ロズリング著【FACT FULNESS】を読んで

本書を読んで、まず私は世界のことに常日毎から意識していない生活を送っていることに改めて気づいた。
発展途上国=貧困層だと勝手に思い込み、そのまま情報をアップデートしないまま過ごしていたことを痛感した。

「クイズ13の問題」
この問題は、8問正解。
チンパンジーに勝てたのは良かったが、ほとんどヤマ勘で何の根拠もなしに答えていた。
現段階で最新の正確なデータを基に説明があり納得いく内容だった。
このクイズを家族や職場の同僚・友人などとディスカッション(会話のネタ)にすることで
自分の周りから世界の現状を共有することができるコンテンツとして良いと感じた。
ただし著書でも記載されているとおり、常に時代は変化する。
この話題をする前には、最新の情報を仕入れないと時代遅れになるため注意が必要だ。


「世界はよりよくなっている。」
確かに、現在スマホを片手に世界中の人とSKYPEでテレビ電話ができるし、
人工知能(AI)の技術も発展し、車も自動運転技術が検証されている。
子供の頃の中国といったら自転車で移動する国だと思っていたら、
つい最近月の裏側に探査機を飛ばして成功を収めている。
時代は確実に進歩して、豊かになっていると改めて実感。

ただし、ツールの使い方を誤まると痛い目にあう。
例えば、SNSでふざけた内容を投稿し炎上し、企業から損害賠償を受ける羽目になるなど。
人々が幸せになるような建設的かつクリエイティブな使い方を自分の子供には教えて行きたいものだ。

「悪いニュースは早く広がる」
私自身、この2年間テレビの無い生活を送っている。
ニュースは職場の昼休みに弁当を食べながらヤフニュースで簡単に目を通すくらい。
エンタメやゴシップやスポーツの情報は興味がなく、
世界情勢(特にアメリカ・中国)や人工知能(AI)・技術の革新・デザインのトレンドなど気になることだけピックアップし見ている。
テレビが無くて社会に対して無関心では無く、自分が知りたい内容を選択し調べることは私自身にとってとても有効だと感じている。
またこの課題図書で自分の興味がない内容を半強制的に学ぶことは私の知識を広げる良い機会だ。


「いますぐに決めなければならないと感じたら、自分の焦りに気づくこと」
この本を読んで、知らないことを知ったことはとてもよかった。
知ると知らないでは大きな差だと思う。
しかし、この内容を私の人生にどう活かして行けば良いか疑問に感じた。
まずは、私の3歳の息子の発達障害(言語遅れ・会話ができない)の対処が
仕事以外の私の生活に大きく影響されているからだ。

まずは自分の生活を豊かにすること何よりも大切だ。
自分に余裕が出来てから、周りを見渡し困っているところへ手を差し伸べることができるようになりたいと感じた。

そのためにも、少しでも興味が出たら調べること。
最新の正しい情報なのか、人間本来の本能に惑わされず(偏った見方をしていないか)、ファクトフルネスを活用して行きたい。

以上

投稿者 wasyoi 日時 2019年2月28日


#ファクトフルネス を読んで

世界を、世間を見る目が変わった一冊です。
こんなに学びの多い本を読むきっかけをくださり本当に感謝します。ありがとうございます。
『p20 なぜ、一般市民から高学歴の専門家までが、クイズでチンパンジーに
負けるのか。知識不足を解決する方法はあるのか。何年もの間、
事実に基づく世界の読み方を教え、目の前の現実を誤認する人を観察し、
そこから学んだことを一冊にまとめたのがこの本だ。』
とある通り、この本の学びから数々の幻想を打破出来て良かったです。
ただし、本文にもありましたが話を聞いただけではすぐにまた元通りになってしまいます。
今後もこの本に書かれている考え方を維持していく事を意識して取り組む必要があるなと強く感じます。本書にもあるように、メディアで「今日も天気予報通り天気が良かった」というような牧歌的なニュースは取り上げられることはないでしょうから、これからもごく一部の、センセーショナルなニュースが取り上げられ続け、また洗脳させられ続けてしまうことでしょう。そうならないよう意識を高くして日々生きていこうと思います。

今回私が学んだところは、

『p14 世界の人口のうち、極度の貧困層の割合はここ20年で半減した。
なんとすばらしいことだろう。わたしができた世界の変化の中で、
最も重要なものといえる。しかし、これほど初歩的な世界の事実でさえ、
広くはしられていない。』
世界には貧困に苦しむ人が多くいるのだ、と漠然と思っていた自分が
恥ずかしいです。しかしながら今も貧困に苦しむ方がいるのも事実ですので、
自分がやれる事(寄付など)をこれからもしていきます。
また、それを自分の子どもにも伝えて行かねばと決意を強く持ちました。


『p112 昔の人は、自然と調和しながら生きていたのではない。自然と
調和しながら死んでいったのだ。世界は残酷だった。』
ここを読んで、以前読んだ「敗者の条件」に出てきた江戸時代のエピソードを思い出しました。まさに、「世界は残酷」だった。こういうことは、自分から率先して過去の歴史を調べて認識することによってしか、得られないものなのだと感じます。これからも知識を集め、過去に学んでいきたいと思います。


『p158 全死亡数の0.1%を占める自然災害、0.001%を占める飛行機事故、
0.7%を占める殺人、0%を占める放射線被ばく、0.05%を占めるテロ。
どれも年間死亡者数の1%にすら届かないにもかかわらず、
メディアは大々的に取り上げる。』
世の中にあふれるニュースに対しての考え方を、数字という情報を正しく持つことで変えられる、という所に感銘を受けました。こういう事実を話が出来る人には広めていきたいと思います。



 p194 『世界の大半の人たちの生活レベルは、着実に上がっている。レベル3の人口は、いまの20億人から2040年には40億人に増える。世界中のほぼ全ての人が消費者になりつつある。間違ったイメージにとらわれて、世界のほとんどの人は貧しすぎて何も買えないと思い込んでいると、史上最大のビジネスチャンスを見逃してしまう。』
世界にはまだまだ膨大な数の見込み客がいる。ここも大きな気付きでした。この本を読んでいなければここに気づけず、勿体無いことをしてしまう所でした。
現在すでに私の管轄部署内で、海外での営業も一部取り組んでいますが、これからアジアの中に本当に多くの見込み客がたくさんいるという事実を正しく認識し、もっと海外にも目を向け今後どう海外展開を考えていくか検討していかなければと思います。


『p92 過去をきちんと学べば、昔に比べたら、いまがどれだけ恵まれているかに気づくこともできる。そして次の世代はきっと、前の世代と同じように、たまには一歩後退しても、長い目で見れば平和、繁栄、問題解決の道を歩むことができるはずだ。』
このメールマガジンでは常にこの内容と同じことを説いてくださるので、毎日本を読む際に意識して行っている状況です。今の現状、特に今の日本の現状を恵まれていると感じられなければ、どうやっても人生うまくいかないな、と感じます。このような内容を自分の周りにいる人たちにも伝えていければと思います。

投稿者 tomooku 日時 2019年2月28日


FACTFULNESSを読んで

 私も自分の子どもがおじいちゃん、おばあちゃんになる頃かその次の世代には第3次世界大戦や核戦争などが起こり地球は滅んでいくのではないか…と思っていた。自分も世界はだんだん悪くなくなっているというドラマチックすぎる世界の見方をしていた。しかし、本を読み進めるうちに自分の勝手な思い込みだとわかって気分は明るくなっていった。

 この本を読んで大きく2点の学びがあった。人間の認知は歪んでいることを知ることと謙虚さが大切だということだった。

 本書を読む前から、バスケットボールの試合の映像を見てパスの回数を数えていた被験者が、試合中にコートに出てきたゴリラの着ぐるみを着た人に気づかないという“見えないゴリラ”という心理学の実験やしょうおん先生のセミナーでの話などで“人間は見たいものしか見ない、知らないことは見えない、記憶したいことしか記憶しない”ということは知識としてあった。認知が歪む原因が10個の本能に基づいていたことを知り、より理解が深まった。

 FACTFULNESSでは世界の見方に対して陥りやすいポイントが書かれていたが、人間の認知が歪んでいるということは人間の見方に関しても同じように認知の歪みがあるのではないか?コミュニケーション編セミナーでも意地悪なことを人にされた時に、意地悪なことをされたのは事実だが、その人が意地悪な人というのは事実ではないと言っていたし、花先生もイヤシロチセミナーで主観と客観を区別してイベントをふりかえろうと言っていた。

 自分が他の人に対する認知も歪んでいるのだとしたら、事実を本能に任せてドラマチックに脚本して理解しているのかもしれない。しかも人には世界のデータのように客観的に測れる物差しもない。ということは勘違いを訂正することが難しい、対策を講じなければどんどんネガティブな考えにはまってしまう。自分の認知を10個の本能に囚われていないかという視点で振り返れば、人間関係も心穏やかに、ストレスが軽減された見方(感じ方?)ができるようになるのではないかと思った。


 2つ目の好奇心と謙虚さが大切というところでは、人間の本能によって事実を正確に認知できないことを知っていれば、自分が間違っているのかもしれないという自己反省から謙虚になることができる。
 
 謙虚になれば自分の認識と事実が違っていても素直に認めることができるし、相手の間違いに過剰に反応することもなくなる。
 FACTFULNESSを実践し「これはパターン化本能に惑わされている?」「これは単純化本能で見えていない部分があるのでは?」と振り返ることもできる。
 マカンガ村での調査の際、著者が出会った村人を説得した女性のように新しい事実に出会った時に拒否反応を持たず自分で考えて行動することができる。

 謙虚という言葉をググってみた。「自分を偉いものと思わず、すなおに他に学ぶきもちがあること」と書いてあった。世界は変化していくし、良くも悪くも自分も変化してしまう。今の自分に満足せず、好奇心をもって、素直に学んでいきたいと思う。


 今月も課題図書を書くにあたりしょうおん先生、課題図書倶楽部の皆様、YSSの皆様から多くの気づきをいただきました。ありがとうございました。

投稿者 sujiemon 日時 2019年2月28日


「ファクトフルネス」

見開き1ページ目にあるバブルチャートにいきなり引き込まれました。
この俯瞰的な分析手法は、他の群でプロットしてみても面白そうです!

■歪んだ思い込み

本書に「私達はドラマチックな物の見方に偏り過ぎている」とありました。

メディアや火事場好きな人達の煽りにより、正しい判断ができなくなっているのは、
至極その通りだと思います。

著者の挙げる、10個の思い込み本能や具体例などを読み進めると、

・もともと世の中には、事実しかないはずだよな?
・どうしてそこに、これだけの巨大バイアスを掛けてしまうんだろう?

という疑問が湧きます。
なんでワザワザ、手間の掛かる作業を自らUpdateし続けているのか?

それに対し本書では、
「ヒトがドラマチックな出来事を欲しているからだ」とあります。

私たち日本人が感じる "フツー" は、地球全体の偏差値で考えると、
非常に恵まれた環境だったりするわけですが、そんな境遇はスッカリ忘れ、

「フツーのヒトがフツーのことをしています!」

という "フツー" な出来事には興味をそそられなくなり、刺激を求め、
暴飲暴食気味に生きてしまっている問題意識は私にもあります。

歪んだ思い込みを強め、訪れもしない未来への不安を膨らまして恐怖し、
そのカラクリにさえ気づいていないということは、
本書のクイズを解き、自身の回答率の低さを以てもよく理解できました。

■じゃあ「事実」だけを見れば良いの?

ググると、ファクト(事実)の反対はフィクション(虚構)と出てきます。

「虚構」に依存する現代人の問題や課題は、本書の指摘で鮮明になりますが、
では単純に、この「虚構」を見ず、「事実」だけ見よう!というのが著者の主張かというと、
私はそうではないと思います。

原理原則を理解せず、フィクション世界を終始受身スタイルで彷徨うことは論外だとしても、
もし「事実」しか存在しない世界だったらどうなるんだろう?

きっと私自身は、面白さをうまく見い出せないと思います。
ドラマチックで夢のような世界観を持ち、想像して生きているからこそ、
感情豊かに楽しく過ごせていると思えるからです。

・賢い人ほど「虚構」に囚われる

ここで言う「賢い人」には、
フツーに大学を出て、フツーにホワイトカラーしている、私も含めた、
フツーの日本人サラリーマンがピッタリ当てはまると思いますが、
そんな「賢い人」は、これまでの歴史の中で何を成してきたのか?

昨年末に読んだ「ホモ・デウス」の中で、この「虚構」については、

「ヒトが他の動物との差別化を生み、協力しあって、科学を進化させるために必須な能力」

と書かれていたと思います。

この理解が正しければ、「賢い人」のおかげで、
ヒトはテクノロジーを飛躍的に発展させ、他の動物達を圧倒し、生物界の頂点に君臨できている。
ドラマチックな出来事を欲っしていたからこそ、映画や音楽や芸術もここまで発展してきたはずです。

本書を読み、「事実」が大事だね!と納得して終わるのではなく、
人工的かつ意図的に「虚構」を自ら創り出してきたことさえ忘れ、
コントロール不能状態に陥り、「虚構」に振り回されている現在の状況を問題視し、
なぜそうなってしまったのか?を考え、改めていくことが重要だと私は感じました。

■なぜなら「虚構」は負のパワーも凄いから!

「事実」と「虚構」の関係は、
コンピューター世界のハードとソフトの関係に似ていると思います。

「事実」は、半導体メモリのようなハードウェア。
「虚構」は、そこに搭載する機械語やアセンブラ言語のようなソフトウェア。

そして「虚構」は徐々に進化し、WindowsOSのような巨大なアプリケーションになったと考えると、
便利さや多機能性の教授といった正の効果をもつ一方、
複雑すぎて、突然死などが起きても自分で修復することができずオロオロする負の効果も否めません。

「事実」との乖離が進み過ぎたせいで、「虚構」が難解極まり、誰もが理解できるものでなくなり、
自分自身で創り出したものなのに、ひどく依存的で受身的になり、コントロール不能状態に陥る・・

この状況は、現代のストレス社会の中で、人間関係に苦しむ感情の悩みにも通づるところがあります。
「事実」は大したことないのに、不安や恐怖という膨張し過ぎた感情に、自分自身が攻撃され、
さまざまな身体不良を引き起こす現象とも重なって見えます。

■まとめ

「虚構」が創り出す負の側面が膨らみ過ぎないよう、「事実」と「虚構」の違いを見分け、
感情をコントロールできる状況を作りだし、正の効果を効率的に伸ばすことが大事!

普段やれそうなことだと、瞑想とかの訓練がそれにあたるでしょうか。
レベル4に該当する国では、ここの感度が今後ますます重要になりそうと改めて再認識しました。

投稿者 diego 日時 2019年2月28日


数字が私にくれたもの

リーマンショックの一年後、私は、50店舗ほどの飲食チェーンの求人事務を担当することになった。主に、アルバイト募集の運営だ。日々店長に、状況確認の連絡をして、募集広告の手配を行った。
50店舗もあると、募集広告を出さなくても充分な店舗もあれば、いくら広告を出しても、応募がない求人難の店舗もある。日々連絡して状況確認をする相手はもちろん、求人難店舗の店長だ。募集しても人は来ないことが繰り返されると、広告費は高騰、店舗の運営も困難になる。求人難の店長は私に、応募がない、何がいけないのかと、苦しそうに伝えてくれる。そこで、なぜ応募が来ないのか、どうしたらいいのかを考え続け、「そもそも人が居ないのでは?」と思い当たる。店舗の周辺の交通網を確認してエリアに絞り込みをかけ、国勢調査の統計を細かに確認する。ターゲットの年齢層、例えば学生や主婦・主夫層。40代主婦・主夫層が狙い目なら、フルタイム勤務をしている割合を調べれば、フルタイムではない人の数がざっくりと把握できる。こうして出した数字を店長に報告した。例えば、大学生からの応募がほしい店長に、「エリアには大学生ぐらいの年齢の人は50~80人程度です。2クラス程度ですね。10人も20人も応募に来てもらうのは難しいでしょうから、例えば高校生を積極的に募集して、長い間勤務していただけたら」などと提案する。
この提案自体は、新しいものではなかったが、人数をクリアにした資料は、説得力があった。まず何よりも私は、募集をかけても人が来ないのは、店長のせいではないと言いたかった。店長や上司のSVにも、概算であってもこのリアルな人数を見てもらえたら、その数字が、何よりも雄弁に物語ってくれた。
新店が決まり調査依頼がある度に、こういった数字を必ず添えた。数字を基本とした資料は、アルバイト募集だけでなく、店舗の運営の際にも非常に役立ったと喜ばれた。

今月の課題図書は、私も大好きな統計がたくさん出てくる。だが、私の資料のように、マスな資料を抽出したミクロ、いや、マイクロな集計したのとは違い、そもそもが惑星レベルの統計を惑星レベルのまま確認していく。例えば、乳幼児死亡率は、何を示しているのか?赤ちゃんがちゃんと育ってくれるって、すばらしいね、その程度の想像力はあった。だがそれは、主体が赤ちゃん。そうではなく、『乳幼児死亡率からは、子供の健康状態だけではなく、社会全体の健康状態もわかるんだ』なのだ。弱い存在を、親だけでなく、みんなで守り育てる、それを反映しているから、乳幼児死亡率の低下はすばらしい。この発言だけで私は、心を打ち抜かれた。
私は、統計を使って状況を打開しようとしていたが、そもそも統計自体が、大きなエネルギーをかけて作成されたものだ。何のために?状況を把握するためだ。それを私は、分断して全国平均と比較するのに使っていた。業務上、そうなってしまったということは言えるかもしれないが、その姿勢が習慣化してしまい、世界平均と自分を比較してきたかもしれない。私は世界と分断されていたのか―――もちろんこれは、自分でやっていただけなのだ。
自分でやっていることは、自分で辞めてしまえば、終了―!
ということで、その上で、本書を再読し、TEDを視聴した。だが実は、本書にしてもTEDにしても、テンションが高くて楽しい反面、楽しいことに目を奪われてしまう。クイズは満点になったが、ファクトフルネスを知って意識してみても、やばり世界が怖い日も、世界にむっとする瞬間もある。有頂天な幸せを感じる時もあれば、罪悪感で死にたい日もある。それでも、本書を読んで実践して、私は大きく変わり、そして自分の世界が変わった。
私は、天然石にことばを添えるということをしてきた。10数年前、それをしたときは、まだまだ自我や我執が強くて、疲れたり影響を受けたりしやすかった。だが、最近では、ただただ石たちが私といて、とっても歓んで、慶んでくれているのがわかった。白濁した水晶たちが、同じ空間を共にするだけで、純化されていく。私はただ居るだけ、疲れもしない。仕事だからお金払ってくださいという概念を、忘れるぐらいに楽に自由になった。それでも収入が発生しそうなタイミングで本書に出会い、よき相談者も現れて、ダークサイドに堕ちることなく、この仕事を、ただ副業としてやっていく許可を得られた。私は、自分が石たちの媒介となることで、誰かの喜びとなり、そのことで得られたお金を記録できるようになったのだ。それで、例えば税金を払えるようになったら、更に誰かの支えになれるかもしれない。
細々とでも、私たちに恩恵を与えてくれた先人達の列に加われますように。
自分の暗い面に打克ち、大切な誰かを悪の道から救えますように。
そして、すばらしく美しい未来を、引き継いでいけますように。
ありがとうございました。

投稿者 sunao929 日時 2019年2月28日


「FACTFULLNESS(ファクトフルネス)」を読んで

信頼出来うるに足るデータには説得力がある。
著者が披露する事実にチンパンジー以下の正答率で、知識不足を痛感する。同じくK女史もメルマガでのたまわっていた。
著者が極貧地域の医療現場で実際に体験したことに裏打ちされた事実が紹介され、それらがさらに説得力を増すことになっている。

温暖化の原因は、自分を含めた所得水準レベル4の人々にある。
何となくわかってはいたけれども、改めてデータを示されて言われると正しいことを認識することの大切さが心に響く。何かしなければと思いが沸き上がり、行動につながる。
一方、識字率や安全な飲料水を利用できる人の割合など、よくないと思っていた数字が、全くの認識違いで改善傾向にあるなど、思い込みや古い知識のままいたことを猛省する。

一旦覚えた知識も、すぐに陳腐化してしまうことがあるので、人生は死ぬまで学ぶが必要で、常に脳をアップデートするよう心がける。
いくつになっても、どんな時も謙虚さと好奇心をもつこと。知ったかぶりやわかったふりをしない。
使える時間や労力は限られているので、頭を使ってやれるだけのことをやる。
ただし、焦りは禁物で、信頼できるデータから何をすることが一番良いのか比較検討して有効な手段を取る。
10の本能のうち、自分にとっての大敵は「焦り本能」だろう。
「すぐにやらなくちゃ」と焦って、視野が狭くなり、本当に必要なことができていないことがある。
焦りすぎることなく必要なことができるように、冷静沈着に、心穏やかに対応するようにしたい。

これから、本当のことを知るために、どのような情報を得ていくのか?
また、知りえた情報を伝える技術を磨き、それを伝えようとする勇気を持ち、謙虚さと好奇心を常に意識して、知り得た情報を家族、友人、同僚などに、教え合い、お互いを高め合う大いなる輪を広げていく。

次の世代のために、世界をより良くするために、今からできることは何だろう?
ネガティブな事柄に接しても、悲観的ならずにできることを一つ一つ着実にやる。
対峙した課題から逃げずに立ち向かい乗り越えていく。そこから何か学べることはないか?ということを常に意識する。
コンゴの山奥マカンガの女性の勇気を思い浮かべて・・・

どうすれば、個人がファクトフルネスを実践できるか?
思い込み、捉われていないか?
恐れが真贋を見誤らせる!
一つの数字を強調するような主張には十分注意する!
ネガティブニュースに注意!
まずは、常に意識すべく「ファクトフルネスの大まかなルール」をポケットに入れて持ち歩こう。

今月も良書を紹介していただきありがとうございました。

投稿者 mkse22 日時 2019年2月28日


FACTFULNESSを読んで


『数字がなければ、世界は理解できない。でも、数字だけでは世界はわからない。』(P247)
この本で最も印象に残っている文章のひとつです。

私はこの文章を以下のように解釈しました。

「現実を正しく理解するためには、現実を数字化することが必要である。
しかし、数字のみで現実を正しく理解することはできない。」

私は、これまで「数字化」という言葉にある種の嫌悪感を抱いていました。
理由は、数字化する過程で知識や経験に基づいた偏りが入りこみやすいと考えているからです。

まず、数字化とは抽象化のことです。抽象化とは特定の視点のみを取り出しそれ以外の視点を無視することを意味します。

問題は、特定の視点が、数字化する人間の経験や知識に依存して決定されるところにあります。
その人の都合の良いように数字化することが可能だと思われるからです。

例を用いて考えてみます。

私はシステムエンジニアとして働いており、現場の作業はWBSに従って行います。
WBSとは、簡単にいうと、スケジュール表のことです。
プロジェクトに必要な作業を洗い出し、それらを可能な限り細分化、
細分化されたそれぞれの作業項目に対して、必要な人員や作業期間を見積もり、それらを表として纏めたものです。

ここでいう見積もりとは、作業項目を作業量や難易度に応じて①必要な人員と②作業期間という
2つの数字に変換することであるといえます。作業量や難易度の数字化です。

過去に経験のある作業項目であれば、①と②に変換することは容易です。
作業の勘所や必要なスキルそして作業期間が既に分かっているからです。

問題は、未経験の作業項目です。これまでの経験や知識が直接役に立たないため、
作業量や難易度を把握できず、その結果として数字化しやすい視点を用いた
見積もりをおこないがちです。

例えば、設計書作成の場合、最初に、設計書の全ページ数を見積もります。
そして、作業者1人が1日に作成可能なページ数を見積もり、
最後に設計書の全ページ数をその値で割ることで作業期間を導出することがあります。
作業期間が想定より長くなった場合には、人員の増加を検討します。

この例では、ページ数(=作業量)の視点から、作業期間や人員を見積もっています。
しかし、設計書の記載内容によって作成難易度は異なります。
設計書作成前にサーバを使った実機検証が必要なこともあります。
他チームから設計書作成に必要な情報を収集するための時間が必要なこともあります。

つまり、ページ数(=作業量)以外の視点が数字化のときに十分に考慮されていないため、
それが原因で想定の作業期間で作業を終えることが出来なくなってしまうのです。

これまでの例から、数字化する過程で知識や経験に基づいた偏りが入りこみやすいことは
分かりました。

それでは数字化のときにどのようなことに気をつければよいのでしょうか。

『この世の人生のすべての機微を数字に表すことなんて絶対にできない。』(P248)
『数字いじりだけで引き出された結論は疑ってかかったほうがいい』(P247)

この文章に私は完全に同意しました。

まず数字化には限界があることをきちんと把握すべきと考えます。

設計書作成の難易度が全ページ同じであることはあり得ません。
極端な話、99%の設計書が完成していたとしても、残り1%の作成にこれまで以上の
作成時間がかかることもあり得ます。しかし、進捗上は99%完了しているのです。
見かけ上は99%の進捗率でも実態は全く異なる、まさに「数字いじりだけで引き出された結論」です。

以上を踏まえ、私は下記点に注意してこれからの社会人生活を送りたいと考えてます。
 ・数字化する前の現実を観察する
 ・できるだけ現実を数字化する
 ・どの視点から数字化したのかを考える

まず、数字の背景にある現実を観察することで、数字化されていない情報の把握を心がけます。
そして、可能な限り現実を数字化し、その限界の把握に努めます。
最後に、数字化するときの意図を把握することで、数字を正確に利用したいと考えます。

投稿者 AKIRASATOU 日時 2019年2月28日


ファクトフルネスを読んで学んだこと

イントロダクションのクイズをやったらチンパンジー以下で凹み、読み進めるうちに多くの部分で驚きや発見があったり、何故人は思い込みという沼にハマってしまうのかを考えてみるきっかけになったり、日本に限らず世界中の人が知っているつもりでよく分かっていない事が沢山あるなら、そういう何かを見つけるとビジネスチャンスがあるのでは?などと考えてみたり、本書を読んで様々な気付きや学びがありました。
本書の内容についてはみなさんが十分すぎる位触れているので、私が本書を読んで感じた様々な気付きの中でこれまでに出てきていない学びについてあげると
【SNS時代におけるマーケティング、バズらせかたとして、自分の主張が明確であり、伝える際の切り口が鮮やかであればあるほど多くの人に伝わり、感動・感銘を与えやすい】
という事です。
本書における著者の主張は「事実に基づいた世界の見方を広め、人々の世界にまつわる圧倒的な知識不足を無くそうと決意した」(P002)
「わたしは知識不足と闘い、事実に基づく世界の見方を広げることに人生を捧げてきた」(P324)
に集約されており、本書は【事実に基づいて世界を見ることを多くの人に広める】という明確なコンセプトを軸に構成されている。
著者は「本当の世界の姿を知ることは、生きていく上で役に立つし意義のあることだ」(P324)と述べており、本書を読んだ人ならばこの点について異を唱える人は少ないのではないかと思う。しかし、このコンセプトはわかりやすい反面インパクトに欠ける。そのためコンセプトを伝えるだけでは本書もしくは著者の主張に興味を惹かせることは難しいだろう。そこで生み出されたのが「チンパンジークイズ」ならびに10の本能という斬新な切り口、わかりやすい伝え方なのではないだろうか。しょ~おんさんも本書の紹介文で「この本についてのツイートが流れてこない日を探す方が難しい」と書いていたようにSNSでバズらせることを考え、出版までの間に周到な準備をしたのだろう。
「100円のコーラを1000円で売るには?」という本がある。この本はタイトルで釣られる人が多くいたのではないかと思うし、タイトルが釣り針の役割を果たしていた。本書においてはチンパンジークイズが「釣り針」の役割を果たしているだろう。自分が知っていると思っていた事が、実はチンパンジー以下の理解だったと言われたら大半の人は何か刺さるものがあるだろう。そんな釣り針を飲み込んでしまった人に「みんな世界の事を正しく理解していないけど、正しく理解するにはどうしたら良いと思う?それには10の思い込みが関係しているんだよ」と言われたら、中身が気になってしまうだろうし、読んでしまえば殆どの人が内容に感銘受けついつい周りに紹介したくなってしまうのだろう。
このようにバズらせるにあたっても本の内容・質が良いからこそ可能なのであって、何でもこういうやり方をする事でバズるわけではない。あくまでも内容が良いものであればこうしたやり方はとても有効なのだなという事を本書より学べびました。

投稿者 ktera1123 日時 2019年2月28日


本を入手して、はじめにパラパラとめくったところ、統計を図示したグラフがちらほらしている。本書の紹介文の内容の「まずは数字で話を使ってしようよ」や、新春セミナーのお題が「数秘術」だったこともあり、「数学的にいこう」的な話の内容なのかと思い読み進めてみました。本書の内容的には、事実を正確に認識するには数学的な裏付けが必要とのこと、人間本来の野性的な本能そのもので行動するのではなく、冷静に考えてみる、事実はどうなのだろうかと推測してみる。そのことの大切さをP325の「ファクトフルネスの大まかなルール」にまとめてある。そのように感じました。

自分個人としては、イントロダクションの「なぜ、チンパンジーに負けてしまうのか」のP17に「カーナビは正しい地図情報をもとにつくられていて当たり前だ。ナビの情報が間違っていたら、目的地にたどりつけるはずがない。」と書かれていました。前職で地図情報やカーナビの元データを調製していた身としてはとてもうれしいし、「当たり前の基準」が世間一般とは異なる世界に身をおいていたのかもしれない。そのことがいまの自分自身が統計的な裏付けのある本来生まれついている性格と変わっている原因の1つなのかもしれないと感じました。

 また、第9章「犯人探し本能」の「名もなきヒーローたち」に「物事がうまくいくのは、社会基盤とテクノロジーという2種類のシステムのおかげだと思ったほうがいい。世界の発展に貢献してきた名もなきヒーローを讃えてパレードをしようじゃないか。」と書かれていました。前職でも現職でも、社会基盤とテクノロジーを通じて世界の発展に少しは貢献できているのかと思うと、よく言われる「生まれてきた理由と生かされている理由など」の今生でなすべきことが明確になってきたような気がします。

今までの自分があるのは、過去に様々な知識を得たことと、「神様は乗り越えられる試練しか与えない」といわれる様々な経験をして来たことが、今の自分を作っているのではないでしょうか。「温故知新」のことばのように、古きことを知ることも大切ですが、新しい知識・見解を導き出すことも重要なのではないでしょうか。そのためにも、現実を直視するための情報を知ることも大切なことを感じました。ただ、今の状況では「報道しない自由」や「フェイクニュース」および「統計情報の信頼性の欠如」が世の中を騒がしている状態ですので、真実はなにか、一次情報源はなにかを追求することも必要なのではないでしょうか。

あの勝間さんですら、本書をよんで情報のインプット量が少ないことを自認してインプット量を増やしていることを最近のメルマガに書かれていましたが、本書を読んでいる間にこちらから入手すべく動いて入手した情報(翻訳者の上杉周作さんのサイトなど)や、向こう側からシンクロニシティ的に飛び込んできた情報(勝間さんのメルマガ、書評のメルマガ、電車の社内広告、Facebook上での知人のブログなど)がありましたが、今回は課題図書というきっかけをもとに、いろいろな知識が広まっていくのもまた読書の醍醐味なのかなと感じています。

投稿者 soji0329 日時 2019年2月28日


「FACTFULNESS」を読んで


イントロダクションのレントゲン写真がヒントだったのだ。常識にとらわれない発想の大切さ。それなのに私もチンパンジー以下の2問しか正解を上げられなかった。

著者のハンス・ロスリング氏は全世界を飛び回り、交友関係はレベル1の貧しい村民からレベル4のノーベル賞受賞者まで多岐に及ぶ。そして、平易な文章で専門用語や難しい話は一つもない。それどころか詳細な数字のデータと分かりやすいグラフをもとに、驚くべき実体験をユーモアたっぷりに話してくれている。だからこそ、その言葉に心の底まで染み込む重みが感じられるのだ。

ハンス氏は、私たちが犯したミスは、ドラマチック過ぎる世界の見方によるものであり、世界銀行と国連がまとめたデータによれば、世界は良い方向に進んでいるという。私は、事実を間違って解釈する原因である10の思い込みを「本能」と言っていることが気になった。

本能とは「動物個体が、学習・条件反射や経験によらず、生得的にもつ行動様式」である。つまり本能を改めるには、学習・条件反射や経験によって、無理やり矯正するしかないということだ。ファクトフルネスには食欲や性欲、睡眠欲といった基本的な欲望を制御するような、意志の強さが必要なのだろうか。

ハンス氏はこれらの本能を説明する上で、様々な体験談を紹介している。その中で強く印象に残ったのは2つだ。一つ目は、モザンビークで感染の疑いがある病気を拡散しないため、交通封鎖を行った話。そこで起こった悲劇は、ハンス氏の生涯の中でトラウマになるほどのショックだったという。おそらくこの本の執筆のためにやむなく紹介した、辛い思い出だったことだろう。

もう一つは、当時のザイール、現在のコンゴ民主共和国の貧しい村で起こった出来事。調査を誤解し、怒り狂った村人たちに殺されかけたエピソードだ。人を死なせるか、自分が死ぬか。こんな命のやりとりは、普通の人なら絶対ないであろう。ファクトフルネスをぜひ使うようにとのメッセージが、ひしひしと伝わって来た。

ハンス氏は、グローバルなリスクを5つあげている。その一つが地球温暖化だ。これは13番目の設問で正答率が最も良かったように、全世界で認識されていることである。現在日本での自然災害も、温暖化に起因することが多くなってきた。台風、集中豪雨による洪水や土砂崩れで、多くの世帯が家や財産、最悪は命まで奪われている。私はこうした自然災害対策に、ファクトフルネスの活用を当てはめてみた。

まずは事前の備え。「恐怖本能」では、恐怖と危険はまったく違うとある。災害はもはや恐れではない。完全なリスクととらえるべきだ。「宿命本能」でいろいろなものは変わらないように見えたとしても、現在起こっている天候不順はこれまでとは違うのだ。対策に向けた知識のアップロードが必要である。また気象や災害情報が発信された際、デマや誤情報に対する「犯人捜し本能」に惑わされそうになる。まずは犯人ではなくその原因を追及するべきだ。

さて、いよいよ避難を決断しなければならなくなった。幸い家族は無事だ。ここでは「焦り本能」を抑え、冷静に行動すべきだ。可能な限り「ネガティブ本能」に留意して、全員無事に避難所までたどりつかなければならない。そして避難所内では「パターン本能」が現状把握を邪魔するのに気づくことが重要である。

自分たちの家や財産はどうなってしまっただろうか。情報収集の際は「単純化本能」や「過大視本能」に留意なければならない。そしてもし、不幸にもすべてを失ってしまったら・・・その時は「分断本能」を思い出すことだ。世界で暮らすレベル1や2の人々の暮らしをイメージする。彼らに出来て自分たちに出来ないことはないと開き直ろう。これしかない。

さすがに国や自治体の援助で、何とかレベル3の暮らしが出来るまでは補償されるはず。そして「直線本能」で今後も直線的に悪くなると悲観せず、むしろ逆転し、必ず良くなると希望を持つのだ。

かなりのこじつけはあるが、10の本能を頭に叩き込むために一つのストーリーを作ってみた。ちなみに私が一番共感したのは「恐怖本能」だ。13の設問でことごとく間違えたのは、この本能がそうさせたに他ならない。

表紙裏とその次ページに、世界保健チャートが掲載されている。これらの国々の大半を私は知らない。名前は聞いたことがあっても、そこで暮らす人々の生活をうかがい知ることはできない。しかし地球温暖化によって、最初に被害を受けるのはレベル1の人々である。同じ地球に住んでいる者同士、決して知らないとは言ってはならないのだ。上梓直前で亡くなられたハンス氏。私は地球温暖化対策がまずは最優先だと、そんな彼の訴えを聞いた気がしてならない。

『謙虚さと好奇心』。私は現在の世界にある事実をほとんど知りませんでした。だからもっと関心を持ってデータを収集し、その裏側にある人々の暮らしの理解に努めます。さらに『まずは小さな一歩から始めよう』では地球の温暖化を防ぐために、私は自分の出来ることから環境配慮に向けて行動します。

私は、ハンス氏のメッセージをしっかりと受け止めて、これから生きていきたいと思う。

投稿者 BruceLee 日時 2019年2月28日


本書で重要だと感じたポイントは以下2点である。

1) 自分の常識を疑う習慣が大事

「価格が高いな~」

自分は営業職なので、時折こういうコメントを貰う事がある。営業職の人なら経験してる人も多いだろう。自分の場合、このコメントにはこう返す。

「何と比べて高いのですか?」

この質問に対する回答次第で、その発言者がどこまで考えて「高い」と発言してるのかが分かる。正直、大抵は感覚的な発言で深くは考えていない。大抵は曖昧な返事しか返ってこないのだ。そもそも価格が高いとは、仕様・品質・サービス等が同条件で、その上で価格差がある場合に言える事。それを分かってる人はこんなコメントはしない。「○○社の△△はもっと安価だけど御社のが高いのは何が違うの?」という言い方をしてくる。既に比較対象を持ち、自分の中で咀嚼して、差異を知りたいから質問をする。そのように真剣に情報収集をしてる人の「高い」は、時に競合他社の動きを知る有益情報ともなり得るし、その人自体が潜在顧客かも知れないから自分にとっては重要となる。

本書を読みながらそんな事を思い返した。本書が面白いのは、多くの人が思い込みをするのは、いい加減な思い込みでなく(ランダムに選ぶチンパンジーより正答率が低いのがその証拠)、「何も知らないというより、みんなが同じ勘違いをしている」という事実に目を向けた事。そこから詳述される10の本能。「あるある」と思いながら読んだが、という事は人間とは脳の機能により元から思い込みをしてしまうのが自然な生き物で、それは避けられないという認識が重要ではないか?自分的には本書を読まなかったら、その認識は持たなかった。そして自分の思い込みの酷さに落ち込んだだけだったと思う。が、自分だけが酷い訳ではないのだ。その他大勢も酷いのだ。が、そういう生き物だからこそ世界を正しく見るにはどうしたら良いか?が本書には書かれている。

自分としては、そういう生き物だからこそ、自分の中で常識となっている事を敢えて疑う習慣を持つ事が重要だと思う。自分を客観視する第三者を自分の中に持ち「自分の考えは本当に正しいの?何を根拠にそう思うの?」という自問を習慣とするのだ。そうする事が思い込みをなくすスタートポイントではないか?と思うのだ。

2) 思い込みをなくすと真の選択ができる

早速だが、上記で書いた自論を疑ってみたい。自分の常識を疑うって良い事なの?

。。。だと思う。何故なら思い込みが無くなり真の世界が見えるから。なるほど、でも真の世界が見えると何が良いの?

多分30代の頃だった。カミさんと家電量販店に入り、ふと掃除機のコーナーに立ち寄ると新製品の展示があった。で、その価格を見て驚愕した。72,000円(確かこんな価格だった)。はぁ~?ただの掃除機だよね?何、7万円って。掃除機なんて数千円で買えるよね?こんなの買うヤツいないでしょ?馬鹿じゃないの?と自分は思った。それがダイソンとの出会いだった。

上記で偉そうな事を書いたが、当時の自分も曖昧ヤローだったのだ。更に店員のロジカルな商品説明にハマり、後日ダイソンを購入してしまったのだ。「こんなの買うヤツ」はいたのだ。そして「吸引力スゲ~」と掃除が更に楽しくなった記憶もある。

何が言いたいかというと、思い込みをなくし真の世界が見えてくると、真の選択ができる。自分が良いと思ったものを選ぶという選択が出来る。この自分なりの選択って非常に重要で、何故ならそれがその人の価値観に通じるからだ。ベンツでもヴィトンでもロレックスでも良い。でも車とカバンと時計が必要なら幾らでも安いのある。それも価値観。重要なのは思い込みなく全体を見据えた上で何を選ぶか?一方、少しでも金銭的に余裕があるなら寄付したい、という価値観も勿論アリ。でもその前提は真の世界が見えてる事。つまり思い込みが無い状態だ。でないと後で騙された感に後悔する事になる。

思い込みをなくし、真実の世界を知ろう。本書には数字自体、また数字の比較の重要性が出てくるが、つまり自分なりに真実を見ようと思えば自分で確認出来るのだ。そうさせないのは脳の機能で、怠惰な訳ではない。でもそのままだと思い込みばかりで人生楽しく生きられないって事なのだと思う。

一方。。。

覆すようだが顧客の「高い」は実は大事。その価格帯で受け入れない人がいる、という事だから。企業としては、一定層以上の顧客が購入してくれる今は良くても永遠にそれが続く訳ではない。「高い」という人たちが受け入れる価格帯をどうすれば実現出来るのか?マテリアルの一括購入による単価低減?自動化による人件費削減?何れにせよそれが企業努力というヤツで、それが競合他社との競争優位を生むかもしれないのだから。「これで良いのだ」とバカボンパパ的に胡坐をかいたら企業はアウト、なのだ。

と、最後は優等生的にまとめてみました(笑)

投稿者 H.J 日時 2019年2月28日


私の感想を結論から言うと、
”思い込みの枠組みを取っ払って、学びを深める習慣になる”
である。

本書で語られる10個の思い込みは
そのどれもが言われると、
「あっ、無意識にやってる!」と認識できるように、
今まで深くは考えてこなかったが、見落としがちなとても大切なことである。
数字やファクトは誰に対しても公平であるが故に違和感を感じにくい。
数字やファクト=無条件に正しい
という前提にしがちだからかもしれない。
人々は数字やファクトを見ても、その中身を深くまで見ようともしない。
頭のどこかで「正しいものを掘り下げても、それ以上は出ない」と思っているからなのかもしれない。
実際は、数字やファクトの表面の一部をすくい取っただけで物事を判断していたということも指摘されて初めて気づいた。
与えられた情報に数字が付いていれば、無条件で正しいだろうと無意識のうちに思いこんでしまっていた。

さて本書を読んでから世間を俯瞰してみると、世の中にはドラマチックな世界の見方に沿って感情的に行動をしている人が大半だということが見えた。
その様子は、ネットでよく見られる著名人批判からも見て取れる。
たとえば、ある女性アスリートが未婚の母になると公表した際に、一斉に叩き始めた件では、
「産まれてくる子供がかわいそう」「結婚しないで産むなんて無責任」等と言ったバッシングが飛んだ。
未婚の母という情報とそのアスリートの恋愛歴から判断し、自分の常識に当てはめただけであろうが、それにメディアも同調したかの如く、拡散する。
こういった批判に同調が集まれば、一見正論の様に見えるが、本質は”自分の思い込みを肯定して、それに背くものをただ批判したいだけ”であるだろう。
当時は、その背後にある事情も確認しないで、おめでたい事に水を差す様な真似して、なんでこんなに叩けるのだろうかと疑問に思っていたが、本書を読んでその理由がわかった。
ただ、ここで批判する人たちを批判するだけでは、何も手に入らない。
ここは反面教師として、自分に落とし込もう。
何でもかんでも肯定するわけでもなく、否定するわけでもない。
すぐに答えを出す必要はない。
焦り本能を抑え、まずは物事を受け止める。

「エポケーすること」

それこそがファクトフルネスに必要なことだと考える。
10個の思い込みはすべて人間の本能に従ったことにより起きる結果である。
ならば、本能で動くことを抑える意識をするための”間”が必要だ。
”間”は数字やファクトを基に考えることができる余裕を作ってくれる。
たとえ、違和感がない物事に対しても見えてくることもあるかもしれない。

人々は各個人の思い込みで動いている。
だから、みんな違う。
同じホモサピエンスという生き物であっても、同じ日本人という国民であっても、それぞれに得手・不得手、趣味趣向、信条から好みまでバラバラだ。
自分と他人は違うという当たり前の事実。
時には喧嘩や争いもあるだろう。
それを批判や反発するのは簡単ではあるが、それでは自分の糧にならない。
違う考え方を持つ人からの指摘や行動から、数字やファクトを探し出し、学べることができれば自分の糧になる。

世界をあるがままに見て、受け止めて、学ぶこと。

ロマン・ロランという作家の著書に「世界に真のヒロイズム(勇気)はただ一つしかない。世界をあるがままにみることである。―そしてそれを愛することである」という言葉がある。
この言葉を本書と組み合わせて、私なりに解釈すると、「事実を基にあるがままを見て受け入れることこそが勇気である」
事実と自分の思い込みが異なっていたとしたら、自分の誤りを認める勇気も必要だ。
自分と違う考え方を持つ人の中にも必ずファクトはある。

人は学ぼうと思えば学べる。
事実を基にあるがままを見て受け入れる勇気さえあれば、どんな状況でも、どんな人からでも学べるのだ。
学びの幅が広がった素晴らしい一冊であった。

投稿者 2345678 日時 2019年2月28日


FACT FULNESS を読んで

 世界を飛び回った著者であるハンス・ロスリング氏の原体験が半端なく面白い。
キューバで故・フィデル・カストロ大統領に直接許可をもらい、病気の調査にあたった人。
2014年にエボラ出血熱が流行った際に、すぐさま西アフリカのリベリアに飛び、命をかけて感染を止めようとした人。
コンゴ民主共和国の田舎で病気の調査をし、村人に命を奪われそうになった人。
どんな人?想像は尽きない。
まさに読書の醍醐味を味わった。

 データをもとに厳しい判断をしてこられたハンス氏。第5章、目に見えない場所で、消えていく命。
これには自分の行っている業務の底の浅さを思いしらされた。
もちろん私が医療現場にいるのではないが、目の前にある命と同じくらい地域全体で亡くなる子供に対して、わたしは責任があるんだ。と言い切れる度量。

 限られた時間や労力でやれるだけこのことをする。
もっともコストパフォーマンスが良いやり方でその物語の裏にある数字を見て同時にその数字の裏にある物語をみようとするか?
生きざまを問われた気がした。思い込みにとらわれない。これは私にとっては大事な教訓。

 世界の見方を4つの地域・4つの所得レベルに分ける考え方は、色々な場面で有効なように感じた。
先だって行われた沖縄県の住民投票。
県全体の賛否が多数決では有効となるが沖縄県を仮に4つの所得レベルで地域を分けると住民投票の賛否
に違いがあるのかないのか?あるならなぜあるのかなぜ違いがないのか?
データは地域になればなるほどその場所の政治的色合いを増すと言われているので、自分の現状認識を改める一つのきっかけとしたい。

 事実に基づく正しい見方を行うため、知識ではなく思考の癖(本能)に気づく、
これは自分を客観視し思考や行動のパターンや長所短所を確認する(怒りの感情をモニタリングする)こと、さらにそこから得た情報をもとに次の行動に落とし込むことにつながる。
 これはスキルなので訓練できる。まだ1年すこししか経過していないが日記の継続で確実に習慣化する。

 自分を振りる機会を与えてくれる本書だから、ベストセラーになるのだと思う。

投稿者 dalir 日時 2019年2月28日


今月の課題図書(以下、本書)を読んで感じた事は以下の2点です。

・人は、思い込み(脳の仕組み・習性)から逃れられない。
・私は思い込みに対してどんな防衛手段が取れるか?

・人は、思い込み(脳の仕組み・習性)から逃れられない。
本書を読み、目が止まった事は以下2点です。

1.本書に13ヶの問いに対する各国とチンパンジーの正解率を載せている。
2.13問の中で最も正解率の低い問いについて、12の専門家(銀行、投資家、科学者、大学・政府職員等)
  毎に正解から最も遠い解答をした割合を載せている。

1.では各問いに対する、各国の国民全体の正解率の傾向がわかります。
読み初めは、人数が多いと思われる一般の人が正解率を下げる方向に引っ張り
人数が少ないと思われる高学歴の人間が正解率を引っ張り上げているのだろうと思っていました。

しかし、 2.から高学歴な人が正解から最も遠い解答に集中して答える傾向(50~85%)がわかります。
13問中1番正解率の低い問いという事は、言い換えると1番不正解率の高い問いです。
なので、高学歴な人が正解率の引き下げに大きく作用している事がわかります。

何が言いたいかというと
2.に出てくるような、過去に多くの教育を受け、教養・能力があり、現在でも多くの情報に触れる機会がある人間でも
脳の思い込み(脳の仕組み・習性)からは逃れられないのでは?と思います。


・私は思い込みに対してどんな防衛手段が取れるか?
本書の著者は、10ヶの思い込みに嵌らないように注意しながら、事実に基づいた正しい最新知識を持って
問い掛けに対して「ネガティブで極端な判断」しないよう主張しています。
以下は、本書を最初に読んだ後にイメージしていた、判断をするまでのフローになります。


ある問いかけ
 


事実に基づいた正しい最新知識を使い、フィルターにかける



 (思い込みがちな)
脳で判断する



「ネガティブで極端」では無い判断をする

フロー1

このフロー1を見て、私が取れる防衛手段は以下の2点です。

・最新知識のアップデート
・思い込みに気をつけて判断する

この2点について、私は風邪に対するマスクのような予防手段に見えたので
この2点さえ、守っていれば問題ないだろうと見ていました。

ですが、前述の ・人は、思い込み〜 で書いたように
多くの情報に触れる機会があり、能力のある高学歴の人でも思い込みからは逃れられない事から
私も思い込みからは逃れられないと思います。
つまり、風邪の対策のように思い込みを100%予防する事は私はできません。(私は凡人なので…)
なので、フロー1は不完全なものだと思います。

では、どうするか?
予防線を抜けて、思い込みを発症したら対症療法が必要になります。
その対症療法に当たるものが、人を介しての会話・議論といった
(インプットとアウトプットを同時に行う)コミュニケーションです。


ある問いかけ
 


事実に基づいた正しい最新知識を使い、フィルターにかける



 (思い込みがちな)
脳で判断する    ←   もう一度考え直す

↓   ↑(人からフィートバックを受ける)

人に自分の判断を話す

   ↓ ↓(人から同意をもらったら)

      「ネガティブで極端」では無い判断をする

フロー2


フロー2では、人に自分の判断を話す事、フィードバック(インプット)を受けるといった対症療法を加えました。
これなら、人から指摘・フィードバックを受ける事ができ
私1人では気づけなかった思い込みを無くす事や相手にフィードバックをすることができます。
ですが、フィードバックを行う人と私が気づいていない思い込みをしている
つまり、コミュニティのメンバーが全員が思い込みをしている事態が起こると
全メンバーが思い込みを無くす機会を得る為に、必要となるコミュニティの人数が益々増えていくことになります。
これでは、前述の ・人は、思い込み〜 で取り上げた高学歴の人達と変わらない。

どうやったら、思い込みから逃れられる仕組みができるかと思い、本書を再読していると次の言葉が目に止まりました。

「謙虚であるという事は、本能を抑えて事実を正しく見ることがどれほど難しいかに気づくことだ。
 自分の知識が限られていることを認めることだ。堂々と「知りません」と言えることだ。」

この言葉によって、物事を正しく見なくてはならないという思い込みに私は取り憑かれていた事に気づき
今回の課題図書を通して思い込みを無くすことは本当に難しいと実感しました。

   長くなりましたが、私の防衛手段は
思い込みから完全に逃れる事はできないが、思い込みに染まり切る必要も無い状態・環境に身を置くことになります。

投稿者 gizumo 日時 2019年2月28日


「ファクトフルネス」10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣 を読んで

 世界を見るために10の習慣を身につけ、“正しく”見ようというもの。10の習慣はどれも陥りがちな行動であり、中にはそれが正義であるかのように語られるものすらある。おそらくこの本を読まずにいればそのまま、考えることもなく生き続けていたかもしれないと思うとぞっとする。せっかくこの時代に生活しており、正しく次の時代へつなぐためにも「世界の正しい理解」は必要である。当然、個人での情報収集には限界がありリスクが発生するのに加え、見方が誤ったり偏っていては正しい理解はおぼつかない。
 13の質問は、解説を加えられると謎解きパズルのようで楽しく理解が進み納得する(テレビ番組の池上さんのよう・・・)。バージョンアップしない学生時代?!のままの知識で問題にあたると、チンパンジーにかなわない(決してチンパンジーを見下すわけではないが・・・)。
 特に、本のタイトルやネットニュースの見出し、スパムメールのタイトルなどはこれでもかというほどに煽ってくる。恐怖、過大視、パターン化、犯人捜し、焦りなど10の思い込みのほとんどが当てはまる。どちらかと言えば、人と違うスタンスを心掛けるようにしている(天邪鬼?)の自分はひいてみているつもりでいても心当たりは大いにあり、やはり被害者は多いのかもしれない。また、古い知識のまま「かわいそう」と同情から安易に寄付を決めていなかったか?大いに反省もすることとなった。しかし、そこで「思ったより良いのか~」と力を抜くことなく、「世界を正しく見る習慣」を身につけ、かつ自分の頭を使い判断、行動することがさらに大切で求められていると思った。
 著者のユーモアがあるやや早口のスピーチとバブルチャートをは見ていて飽きない。TEDでの語りが聞けなくなるのは少しさびしくあるがこの本との出会いに深く感謝して物事に取り組んでいきたいと思う。

medal1-icon.gif

 

投稿者 gogowest 日時 2019年2月28日


「ファクトフルネス」を読んで

正しく見るは仏教の八正道の最初にあげられているように、正しい認識のための第一歩として必要なことですが、本書を読んで、本当の意味で、自分は正しく世界の現実の認識ができていなかったということを感じました。イントロダクションの13問の質問に、私は正解が七つだけでした。

意外なことに、このイントロダクションの質問の正解率は、高学歴の有識者であっても非常に低いものであったということは驚きです。正しく見るためにデータと数字という基礎が大切だということが、この質問への正解率の低さからわかります。

正しい情報がなければ、正しく考えられないのは当然ですが、本書では人間の思考をゆがめてしまう10の本能のそれぞれについて指摘して、説明しています。それは実際、どれも私自身が持っている特徴です。

この本で一番、衝撃を受けたところは、第5章「過大視本能」にある極度の貧困の地域での医療における「命の勘定」の話のところです。
この著者は病院に来ることができる一部の人だけでなく、この地域全体で救える人の数を最大化するために、自分が使える力の配分を考えて行動しています。
医者という専門性が高い技術職であると、自分の目の前の命に、特に集中してしまう傾向があるのではないかと思いますが、この著者は今見えている範囲を超えた広い見地から救える命の最大化を図ろうとしています。その場に居合わせた、同じく医師である知人は医学的な観点から目の前の患者にベストの処置をするべきという主張をしていて、著者とは、考え方に明白な違いがあります。著者のハンス・ロスリングには、今自分の目の前にいない子供も意識の視野に入っているから、「コストパフォーマンス」が良い処置を施すという選択をするハンス・ロスリングはとても筋がとおった人物と思いました。これはなかなかできることではないと思います。
数字とその比較という客観的な指標を用いながら、それを使って判断するのは、人間であって、その判断の幅は、その人の視野の広さと関連すると、このエピソードから、思いました。今、目の前の子供と経済的な理由などで今病院にこられない重病の子供が同時にいるということ、それがハンス・ロスリングには、想像できていて、そしてその上で、今、自分にできるベストを行っていること、ここに衝撃を受けました。

なぜ著者は、こんな視点を持てたかを考えました。
1.レベル1,2の地域を含め、広く世界を見てきていること。国・文化の違う多くの現地の人と交流があり、さまざまな人と話しあい、理解しようとしてきていること。これで視野の広さと高さが培われている。
2.極度の貧困が何を意味するのかをそういった地域の現地を実際に見て、知っている。
3.数字で表し、比較する訓練をしてきていることで、単なる感情論に陥ることなく、理性と感情のバランスが取れていること。

数字でわかることをベースに人が主体的に判断をしていくのが人間の思考のあるべき姿でしょうから、正しい情報を手にした後は、思考する人の視点の高さが問題になると思います。
正しい情報をもって広い視野で判断するのが本当の知性のあるべき姿だとおもいます。 「命の勘定」は冷酷なのではなくて、より高い慈しみの現れだと思いました。

本書に挙げられている10の本能は、自分も含めた人間が「思考停止」してしまう障害も表していて、感情先行になったり、判断が硬直化したりすることを予防するチェックポイントになると思いますので、自分自身でも定期的に各章のチェックポイントは見返していこうと思っています。

最後まで読んで、こんな魅力的な本を書いたハンス・ロスリング氏は、すでにお亡くなりになっているということを知りました。惜しいことです。でも本書がより互いに理解し合える世界にむけた稀有の遺作として、読み継がれていくことになるでしょう。ありがとうございました。

投稿者 wapooh 日時 2019年2月28日


201901『factfullness』を読んで
 どこの本屋へ行っても、この本が山積みにされていて『目を啓け』と言っている。
 10の思い込みを乗り越え、データをもとに世界を正しく見る習慣。
 「私たちが日々、耳目にしてきたニュースはどれも心を揺さぶるようなドラマ性のあるものが多く、本当の世界をとらえていない」と本書は言う。
また、大抵の人のデータの切り取り方が、20年前の物差し(おそらく先進国の識者がその時の手段で取得した統計学的な数値であり、また、数値を当時の価値観で切り取って見せた調査結果)のまま、アップデートされていないので、『あなたの“常識”は20年前で止まっている』と、帯に書かれている。
その結果、筆者らが出題する3択の質問に対する正解率の実際は、ランダムに選んだ正解確立(=例えれば、チンパンジーが何も考えずに引く確率)の33%よりもずっと低くなる。
人々は考えて知識をもって間違えるのだ。
なぜこのようなことが起こるかと言えば、現代の人々の認識が間違っているから。その認識は皆が学んできたことであるのだが。
『データ』と言うと、この課題図書に選ばれる本の中でもしばしば取り上げられるトピックスなので、その記憶がしまわれている脳のあちらこちらでピリピリと電気が走るような感覚を覚えてしまった。やはり今の『ビックデータ』の時代だからこそ、た易くい広く本書のように、まるで地球丸ごとからデータを取ってくるような感覚を覚えるくらい広くまた大量のデータを取得し、蓄積し解析し、さらに画像化して、イメージにして、言語も超えて世界中の一般人にもわかりやすく提示することが可能なのではないかと、今の科学技術を実感する内容だった。私自身もアップデートしなくては。
「世界はフラットになってきている」と言う事を読みながら、質問に答えて間違えながら感じられた。10の思い込みを自覚して、認識したうえで、一旦捨てて新しい物差しで目を啓かかなくては。
相対的に見て世界が豊かにまた健康になってきていると言う事を私は知らなかった。謙虚に『知りません』と言ってしまおう。そして、本書の言う様に『どうしてそんな事実も知らなったのだろう』と考えてみた。
『世界は変わり続けている。知識不足の大人が多い問い問題のせいだ。解決策としては、次の世代を教育すると共に、大人の知識をアップデートする方法を見つける事。古い考えをリコールする事』
私は古い考えとして、一冊の本を書棚から引っ張り出してみた。その本のタイトルは、『不平等が健康を損なう』。2013年7月、第23回の課題図書。
原文が2000年、日本語版が2004年に出版された本だから、ほぼ20年。
 驚いたことは、p41に一人当たりのGDPと平均寿命のグラフ(1995年データ)が掲載されていた。取り上げられている12の国の数値を、FACTFULNESSの裏表紙のグラフと比較してみた。確かに、どの国も平均寿命もGDPもどちらも伸びていた。本書の言う通りだ。同時に、横軸の目盛間隔に気が付いた。今月の課題本の目盛は、等間隔に数値があてはめられておらず、ちょっと指数グラフっぽいのである。
これによって、直線になるように加工されている。
横軸を数値と等間隔でとると、GDPが増加するにつれて、平均寿命は頭打ちになっていく。それが『不平等が~』の本のp91のグラフ『所得と平均寿命との下に凹の関係』に示されている。そこで書かれていることは、ある一定のレベルまでは所得が人々の健康と平均寿命に大きく影響する、と言う事、さらに同じ平均所得で所得格差の異なる二つの社会の健康達成度は同じではなく、より所得格差の少ない社会の方が高い平均寿命をしめすであろうことが予想される。』と書きつつも、続くのは『理論的には貧しい人と裕福な人のどちらもが、所得格差が大きい社会に住む結果として、健康に悪影響をこうむる可能性がある』、と言う何となく暗くて、ネガティブで、手に持っていて辛く重くなるような気がしてくるのだ。
このグラフを、FACTFULLNESSの右肩上がりの直線グラフにすること、著者の言葉によって世界が明るく見えてくるから不思議だ。
 2つの本を並べて『比較しながら』、FACTFULNESSを読み進めると面白い。世界を、『先進国』『開発途上国』で2分せず、4つのレベルに分けてフラットに物を見ること。上から目線のゼロサムの価値観ではなく、人口の多いレベル2-3に重心を置いて、良い方向から見る事。
恐怖による凝り固まったからだと頭が柔らかくなってくる。
 最後に、特に気に入った言葉について感想を述べたい。
『悪い』と『良くなっている』は両立する、と言う考えを読んだときとても深い提案だと思った。『悪い』はある時点だけれど、『良くなっている』は時間の経過を要するものだ。
つまり、一点ではなく時間軸を伸ばして2点以上の事象を見て、良い方向へ向かっていく意識が重要。カッとなっても思いとどまって、10の本能を黙らせて、視野を高く、あるいは広げて冷静に、何かと比較して、母集団の大きさが違う時は割り算をして相殺して客観的に物を正しく見る。その時道具になるのは比較となる参照知識が自分の中にあるかどうか?また、冷静になるための道具は、自分の呼吸。
 初級編の肝が出てきた。とてもたくさん良書リストを読んでいて、最近いい感じの人に聴いてみたら「そうだね。たくさん本を読むことでいろんな考え方が自分の中に身に付いたことが、人生が良くなってきている理由かもしれない」と答えてくれた。
 私もアップデートして幸せな世界感で生きて行こう。今月も素敵な一冊を紹介してくださいまして、有難うございました。

投稿者 satoyuji 日時 2019年2月28日


FACTFULNESS-事実と謙虚で誠実に向かい合う態度とその方法

本書『FACTFULNESS』は人の思考にある癖を明示し、事実をありのままに見るための方法を記した本である。なぜ事実をありのままに見る必要があるかといえば、それが世界をよくしていくことになるからである。ではどのようにすれば世界をありのままに見ることができるのか。筆者はそのための有効な手段として、データを活用しようと提言している。テータという客観的情報を活用することで思考の癖から来る思い込みを超え、より良い未来を選択することができる。しかしデータを通じて物事を判断するだけでいいと言っていない。あくまでも私たちが思考の癖だけで物事を判断してしまうことをやめさせ、事実をあるがままに捉えるためにデータを活用しようと熱く語りかけているのである。それはつまり、データから判断すればいいという統計至上主義的主張ではなく、この世界を見渡すためにはデータを通じて世界を観る視野が必要であるという主張だ。

本書を読んで思い出した故事がある。一つは『鼓腹撃壌』。もう一つは『群盲象を評す』だ。第二章のネガティブ本能で人は物事の変化は悪い方に向かっていると思い込むと書かれてた。なぜそう思い込んでしまうのか。その理由の一つに良い出来事はニュースになりにくいことを挙げている。良いことは当たり前になってしまい、良くなったことすら気づかないということだ。中国の『鼓腹撃壌』という故事は、優れた皇帝の治世は誰が皇帝かも分からないという故事である。良いことは当たり前になってしまう。身近で言えば給料が上がってもすぐに当たり前になり、支出が増えてしまうようなものである。良き変化は感覚として当たり前になりやすい。だからこそ筆者はデータを活用しろと言っている。感覚という曖昧なものではなく、数値として固定された情報から事実を見るように努めることを薦めている。ちなみに私の収入はデータで観ると約6年前の収入より5倍ほど増えているが、もう当たり前になっている。慣れとは本当に恐ろしい。

そしてもう一つの故事である『群盲象を評す』は数人の盲人が同じ一頭の像に触れながらも全く違う答えは導き出す話である。足を触った者は柱のようだと答え、耳を触った者は扇のようだと答える。自分の感じている部分から勝手な予想や想像をしてしまう。故事の人物が盲人なので、自分はそうはならないと考えてしまいたくなるが、個人の認識は世界の事実を知るという点で、誰もが盲人と変わらない。むしろその事実を積極的に認める方がいい。本書の言葉を借りるなら、さっさと「思い込み」を認め、どうやったら事実と向き合えるかを誠実に考えた方がよっぽど良い人生を歩めるに違いない。なぜなら思い込みを乗り越えて事実を見ることができれば、世界が良くなっていることがわかるかである。それを知ることができる自体がとても幸せなことである。

とは言え、日常の中でこのFACTFULNESSを実行するにはどうしたらいいのだろうか。確かに世界で飢餓で苦しむ人が減ったり、電気が普及することは素晴らしいことである。FACTFULNESSは確実に希望を与えてくれる。しかし自分の日常生活に寄り沿ってその効用を実感したいと思うのもまた正直な気持ちである。そこで私は一つの妙案を思いついた。家計簿をつけることである。家計簿というデータを構築することでお金がないという思い込みを乗り越えることができるのではないか。支出の無駄に気づき、実はお金がたくさんあることに気付けるかもしれない。

自分ごとから世界ごとまで、FACTFULNESSは事実を見つめ、より良い選択をすることを可能にしてくれる。自分ができること全てをやり尽くしてあとは結果待つしかない、「人事を尽くして天命を待つ」生き方をするにはこのFACTFULNESSが必要不可欠である。

投稿者 vastos2000 日時 2019年2月28日


読む前は、この本は統計数値を正しく見る方法やビジネスに用いる数字の見方について書かれているものかと思っていました。しかし、本書を読んだみなさんはご存じの通り、どちらかというと心理学に近い、世界(事実)の捉え方、見方の話でした。私自身は認知バイアスをテーマにした本を何冊か読んだことがあったのですが、それでも本書から新たに学ぶことも多くありました。そして、確かにこの本に載っているデータに癒やされました。それは、世界はまだ『悪い』ところがありますが、『良くなっている』と知ったためです。

冒頭のクイズについては、チンパンジーなみでした。以前の課題図書『グーグルを驚愕させた日本人の知らないニッポン企業』を読んだ際に「アフリカでもスマホが普通に使われとるのかっ!」と衝撃を受けたので、以前ほど厳しい暮らしを強いられているわけではないと知っていたためかもしれません。

それでも今回、「そうだったのか」や「確かにそうだ」という箇所が十数カ所あり、以下に、特に付箋を貼った箇所が多かった3つの章について触れます。

●分断本能 
かつては一億総中流などという言葉もあったと記憶していますが、今は本当に二極化が進んでるんかいな?と思い、本書にならって国内の世帯所得の分布を調べてみました。(厚労省の国民生活基礎調査を元にしていますので、若干不安はありますが)
まず全体を25%ずつ4つで分けると、分かれ目の所得は次のようになりました。(H29年度の場合)
 LV1と2:年収250万円、LV2と3:年収600万円、LV3と4:年収750万円
世界全体とは違い、日本はここ10年ほどはだんだん所得が下がってきているようです。
もちろん分断などされておらず、連続して分布しているのですが、幼児教育や高等教育の無償化対象となる対象が住民税非課税と決められているので、(all or nothingではなく)段階的な補助金額にすればよいのになぁと思っています。
もう一つ、最近の話題だと沖縄の県民投票があります。「賛成」「反対」のほかに「どちらでおない」があったのが印象的でした。白黒ハッキリつけられる人ばかりではなく、濃淡はあれどグレーの人たちもいますからね。


●恐怖本能
この章を読んで思い出したのが、東日本大震災の後に購入した土地(現在の住まい)のことです。
東日本大震災の報道で目にした津波の恐怖は非常に強烈なものだったようで、海に近い土地の値崩れはひどいものでした(だから今の土地を買えたのですが)。過去の浸水状況を見ると床上浸水はするかもしれないけど、家をまるごと海に持って行かれるようなでかい津波が来た痕跡がありません。それよりも揺れに対して備えておく方が大切だと思い、土地の価格で浮いた分の費用を耐震ダンパーにつぎ込みました。
地震は頻繁に起きますが、防波堤を乗り越えてくるような津波は滅多に起きません。Yahoo!などで最近起きた地震の記録を見ても、かろうじて2月21日の北海道の震度6弱は記憶にありますが、1月26日の熊本の5弱はすっかり忘れていました。
自分としては冷静に対処できたと思います。最近は津波の記憶も薄れたのか、土地の値段もだんだん戻ってきている状況です。

ただ、一つ引っかかっているのは、リスクを低く見積もるのもいけないということです。福島の原発の津波防壁の高さもそうですし、少子高齢会の進行に対する昭和末期から平成初期の時の政府の考えもそうですが、リスクを甘く見ていたと感じます。本書の趣旨とは逆のテーマかもしれませんが、現実を甘くみることは、現実を実物より悪く見るのと同じように害があると思います。
そして普段は気にすることがないのですが、わたしたちは『どんな情報を無視しているのだろうか?』(p133)という点にも時には思いを巡らすことも必要でしょう。
たまに東京に出張しますが、「東京にはおしゃれな人がたくさんいるなあ~、でも記憶に残らないだけで、そうでない人もたくさんいるんだろうな」と思います。


●単純化本能
いくら知的能力が高い人でも、自分の専門以外のことは全然知らないという例をよく目にします。仕事柄、大学教員を接する機会が多いのですが、彼ら彼女らは、時に常識だと思えるようなことも知らないケースがあります。例えば、大学関係者のみならず一般層にも広く知られている(と、私は思っている)近大マグロを知らない教員がいました。知的職業を代表するような大学教員ですら、こんな例があるので、第8章の章末にあるように、知ったかぶりはやめようと思います。(もちろん、人並みに常識を備えた教員もたくさんいます。単純化してはいけません)
実行するのは難しいのですが、とかく、私は自分の考えに沿ったデータを無意識のうちに、選択していると思います。例えば「この事業にはもっと予算を割くべき」と考えると、それを裏付けるデータをピックアップし、そぐわないデータは見ないということがあります。
幸い、自分と考え方が違う同僚が隣に座っているので、自分の弱点を補ってもらえます。


以上の通りです。一度にいくつもの考えを導入するのは難しいので、まずは一つ、二つ、心がけるようにしようと思います。

投稿者 eiyouhokyu 日時 2019年2月28日


ファクトフルネスを読んで

 今まで自分が認識していた世界は、確かに二分されていた。「豊かな国」と「貧しい国」。幸せとは程遠い世界の国々。どこかに明確に悪さを引きこしている原因があるはずだと信じていた。ところが、本能が情報の認識を脚色して、事実と異なる結果を導いていると知り、驚いた。
 知識のある学者よりも、権威のある人たちよりも、収入がある大企業の人たちよりも、無知であるチンパンジーの方が正解率が高いという結果が出たチンパンジークイズ。たくさんの情報や知識を持っている人たちが、無知に勝てないテストなんてあるのかと衝撃的だった。こんなテストは、今まで学校で受けたことがない。
 
本書は世界レベルでの間違いを正し、世界をより良くすることについて私たちが考えるきっかけを与えてくれる。ハンス氏が実際に体験したことが各章の始めに書かれており、あえて二分された世界を際立たせるような書き方をしている。対比から入り、その見方が正しいのか問いかける。本書のファクトフルネスを意識して考えると、世界で本当に必要とされている技術や支援の形、方向性のベクトルが見えてくる。

 この本を読んで良かったことは、世界が良くなっていると分かり、安心できたこと。そして、データに対して興味をもつことができたことである。

 一つ目の「世界が良くなっている」ことで得た安心感は、思い込みが認識を作っていたと気づけて良かった。今までは何となく危機感があり、どこへ向かっているのだろうと世の中に不安を感じていた。地球環境もどんどん悪くなって、住みにくい世の中になっていると思っていた。
しかし、近年の技術開発により、私たちの生活はどんどん便利になっている。自分たち人類に自信と希望をもてると、生きていることが楽しいと感じる。明日はどんな変化があるのかな、この変化は前向きな変化かなという期待。新しいことに対する拒否感よりも、アップデートする楽しみが増している。過去の人類からつながって、今の自分がいることへの感謝。今を生きれる幸せ。この実感はレベル4の暮らしだから言えることなのかもしれない。世界規模で考えたときに、いかにレベル1の人たちをレベル2、そして3へできるのか考え、貢献することがより世界を良くするための行動ではないか。今はまだ答えは出ていないけれど、募金以外にできること、人に対する支援を考え続けたい。

 二つ目のデータに対する興味は、数値がどこから出てきたのか、そこから推測されることは何かといった思考ができるようになった。ちょうど仕事で2030年に向けて会社のテーマを考えて欲しいという依頼があった。将来を考えるにあたり、データを用いて年代別割合の変化を考察をした。すると、拡大路線を進めていた中期経営計画の難易度が見えてきて、計画の甘さが分かった。恐らく、私が関係のない部署だからこそ気づけた部分があったと思う。数字は客観性があるが、受け取る側の考え次第で結果も変わってくる。ハンス氏が伝わるように図やグラフを工夫したように、数字を使って伝えたいときは、相手に分かるようなデータの用い方をするのが私の課題だ。

 ハンス氏が、世界の見方「ファクトフルネス」を教えてくれたが、この見方は自分自身を見るときにも役に立つ。失敗を恐れずチャレンジし、昨日よりも今日、今日よりも明日世界が豊かになるためのお手伝いをしていきたい。

今月も良書をありがとうございました。

投稿者 kawa5emon 日時 2019年2月28日


書評 FACTFULNESS ハンス・ロスリング 著

地球儀規模ビジネス推進のためのプロジェクト、細かくは情報流通インフラ改善から、
仕事のやり方(業務フロー)までメスを入れる立場として、見事にガツンと一撃見舞われた。

誰も気付けないギャップをいち早く見つけ、それを常に仕事のヒントとしてきた方向性には
自信を持ちつつも、本書で証明された誤認識は、まさかまさかの連続であった。
その証拠に本書冒頭13質問への回答は見事にサル以下の正答率。

また読中、読後に湧き出てきた自身が過去に起こした、また現在も起こしているかもしれない
各種誤認識が自覚できたことは、将来に対し非常に有益なコンパス機能を得たことを証明した。


特に本書で示された10個の思い込み本能にはハッと思わされた瞬間が多々あった。
その本能が自分に発動していないか?訳者の上杉氏が述べるように、
自分自身をセルフチェック出来るか否かが、ファクトフルネス実践の可否判断基準である。

本書は、正しい数字の扱い方と情報処理に良くあるバイアスの掛かり方を通し、
正しい数字の見方をし、より確かな現実認識をしましょうというのが主旨であるが、
世界中の誤認識集団、個人に対し、熱意を失わず精力的に活動された生き方にも敬服する。


数字の扱い方を間違えば(意図的操作も含む)、その後の行動は筋違いのモノになる。
この構図は、昨年8月課題図書にて対米対戦を決める一因になった石油備蓄量と、
その予測を基に成された大いなる誤判断と全く同じ構図である。
数字を客観的判断基準とせず、別の意思で数字の意味を変え対米参戦を決断、それである。

日々を回顧すると自身も含め、これらの誤認識が氾濫している例は枚挙に暇がない。
本書でも度々指摘されるように、特にレベル4でのそれは要注意と再認識できた。

殊、日本は、世界的にも非常に恵まれた生活環境でありながら、
生きている実感が乏しい等の残念な情報によく触れる。本当にそう感じているなら、
それこそ10個の思い込み本能に犯されていると認識すべきだろう。
事実に基づいた正しい世界(現実)認識が出来ていない証拠だと思わざるを得ない。


そう思わせてくれたのが以下のフレーズである。
「数字がなければ、世界は理解できない。でも、数字だけでは世界はわからない。」

深く唸った。特に後半の「数字だけでは世界はわからない」とのもう一撃は、
前述の日本に関する残念な感じ方と共に、昨年1月課題図書「逆さメガネで覗いたニッポン」
の「脳化社会」を思い出させてくれた。
想像(脳内思考)があるだけで、現実実態(身体と自分外部への影響)が無い、それである。

数字は物事の全体プロセスの中で、あるポイントをある基準で抽出した一つの結果であり、
全体プロセス(物語)は表現しない。著書中に登場する幾つものデータも、
あるポイントの国別、文化別、宗教別など、固定した基準を元に比較データは示しても、
それを生み出した背後のプロセスが同じとは言えない。

ここで重要なポイントが示唆されていると思う。それは数字を鵜呑みにせず自分で確かめること。
正に「百聞は一見に如かず」である。
事実、本書中で著者は多くの実体験をしている。数字と現実の整合性を常にチェックした上で、
データを正しく扱おうという著者の主張である。「逆さメガネ~」での文武両道、知行行一。


そして最後にこのコンパスを有益に使う基本姿勢も得た。それが謙虚さと好奇心。
実践は難しいかもしれないが、外部環境変化が早い今だからこそ非常に重要である。
子供に教える前に、自身が自覚、実践しなければならない。

マクロに見て、ミクロで動く。
一番危険そうな焦り本能を抑え、ファクトフルネスで地に足をつけるにはこれが良さそうだ。


今回も良書のご紹介及び出会いに感謝致します。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

投稿者 nagae 日時 2019年2月28日


FACTFULNESSで冒頭に世界に関する13の基本的な三択クイズについて、専門家、学歴が高い人、社会的地位の高い人ほど間違える傾向にあり、チンパンジーの方が正答率が高いという結果にビックリしました。

チンパンジーに勝てない原因は無知(Ignorance)ではなく先入観(Preconceived Idea)の問題です。

世界はどんどん良い方向に向かっており、アジアやアフリカは厚い中間層を形成するようになり、数十年前の欧米と同じような暮らしをしており、先進国と途上国という分断は過去のものにも関わらず、生まれ育った環境、20年前に学校で教わった知識がアップデートされる機会がない、メディアを流れる情報は極端にセンセーショナルな悪いニュースばかり、といった要因が積み重なって事実に反する誤った見方(先入観)が形成されるようです。
FACTFULLNESSでは陥りやすい思い込みのパターンを人間の10の本能というユニークな視点から整理し、その対処方法を示しています。

ハンス・ロスリング氏(2017年に他界)のTEDトークは超有名で、なかでも途上国はいまでも子沢山で寿命が短いと思っている欧米人のバイアスを動くバブルチャート(子供の数を横軸、寿命を縦軸に取り、国をバブルチャートで表現し、過去数十年の軌跡を動的に見せる動画)を使って30秒ほどで粉砕するシーンは必見でした。

私も仕事で、無味乾燥なスプレッドシートの数字をスタティックなチャートにしただけで満足しているようでは駄目だと痛感させらました。

これからしっかりとUpdateしていかなければと思いを新たにする本との出会いでした。

投稿者 nagae 日時 2019年2月28日


FACTFULNESSで冒頭に世界に関する13の基本的な三択クイズについて、専門家、学歴が高い人、社会的地位の高い人ほど間違える傾向にあり、チンパンジーの方が正答率が高いという結果にビックリしました。

チンパンジーに勝てない原因は無知(Ignorance)ではなく先入観(Preconceived Idea)の問題です。

世界はどんどん良い方向に向かっており、アジアやアフリカは厚い中間層を形成するようになり、数十年前の欧米と同じような暮らしをしており、先進国と途上国という分断は過去のものにも関わらず、生まれ育った環境、20年前に学校で教わった知識がアップデートされる機会がない、メディアを流れる情報は極端にセンセーショナルな悪いニュースばかり、といった要因が積み重なって事実に反する誤った見方(先入観)が形成されるようです。
FACTFULLNESSでは陥りやすい思い込みのパターンを人間の10の本能というユニークな視点から整理し、その対処方法を示しています。

ハンス・ロスリング氏(2017年に他界)のTEDトークは超有名で、なかでも途上国はいまでも子沢山で寿命が短いと思っている欧米人のバイアスを動くバブルチャート(子供の数を横軸、寿命を縦軸に取り、国をバブルチャートで表現し、過去数十年の軌跡を動的に見せる動画)を使って30秒ほどで粉砕するシーンは必見でした。

私も仕事で、無味乾燥なスプレッドシートの数字をスタティックなチャートにしただけで満足しているようでは駄目だと痛感させらました。

これからしっかりとUpdateしていかなければと思いを新たにする本との出会いでした。

投稿者 jawakuma 日時 2019年2月28日


FACT FULNESS を読んで

事実をベースに判断して行動する。この重要性はわかっていて気をつけているつもりなのですがデータの確認を疎かにすると、本書で書かれている通り、誤解、偏見、思い込みでトンチンカンな判断を下してしまうことがあります。
本書ではなぜそんな罠に陥ってしまうのかを人間が古代から培ってきた能力に結びつけながらわかりやすく解説してくれています。なるほどですよね。昔は生き残る為に欠かせなかった能力が現代では逆に足枷になっているわけです。これは気をつけていないとかなりマズイです。データはひっきりなしに更新されていきますし、多角的な面から判断する為には追いかけるデータも数多くなるでしょう。本書では 80 20 の法則として大枠を捉える方法なども伝授してくれています。自分では気をつけていこうと思っても自分の上司や会社の上層部が本書に登場する身なりのいい元軍人投資家のようにイメージと過去の経験で判断する輩だった場合にはお手上げ状態になってしまうでしょう・・・
でも大丈夫!そんな時こそファクトフルネスです。
その人と自分が分断していると思わず
ネガティブに状況を捉え過ぎず
悪くなり続けると直線で考えず
恐れず
目の前のその人を過大視せず
そんな人ばかりだとパターン化せず
宿命と諦めず
その切り口だけだと単純に考えず
その人を犯人にせず
焦らず にじっくりと取り組めばいいのですね。
世界の見方だけでなく日々の生活にもファクトフルネスを活かしていきたいです。

ビジュアルでの表現の話をするとDollar Street の写真掲載が見事でした。世界を分断して捉えずに4つのレベルに分けて考える。とはじめ聞いたときはなんでその金額でわけるのかが疑問でしたがDollar Street の写真を見て納得しました。ネパールでもメキシコでも寝室の写真は日本と変わらないじゃん!いや部屋の広さを考えたら日本以上じゃん!と驚かされました。本書に抱えれている通り、これはGoogleで画像検索しても見ることができない知識ですね。世界の人々の生活は本当に収入の多寡でレベル分けされているのだということが画像から実感できました。

また、もう一つ非常にすぐれたビジュアル表現がありましたね。そうです本書で紹介されているバブルチャートです。縦横の座標軸の要素だけではなく、円の大きさで量の大小が同時に比較できるのがとてもいいグラフです。マーケティングでは商品のシェアを表す際などによく使われているのですが、それに時間軸を加えてアニメーションで動かす魅せ方は秀逸ですねー!数字で並べるより1000倍いいです。プレゼン映えするし。そりゃTEDに出るわけだと納得しました。著者の息子嫁恐るべしですね。イントロで書かれていた通りチームで良い仕事をしているんですね。

また本書で面白かったところは、クイズの正解率が収入の大小や頭の良い悪し住んでいる地域に関わらずチンパンジー以下になってしまうケースが多かったところです。人間であれば誰しもが陥ってしまう思い込みがあるということです。レベル4に住む多くの人が多少の差こそあれ同じ幻想を抱いているなんて凄いですよね。加速度的に生活が改善しつつあるレベル1、2、3の国々をターゲットにビジネスを考える可能性を感じることができました。極度の貧困に苦しむ人をなくすという項目をはじめ環境負荷、温暖化の話など冒頭のクイズはSDGsの流れに沿ったものが多く、今後解決すべき社会課題だと認識していた私は過去のイメージに囚われてしまい、クイズ結果は散々たるものでした。日頃しょ~おん先生から読書を通じて情報の更新が必要だと言われながら、現状の世界に対する認識は学生時代から止まっていたうえ、10の思い込みに縛られまくってがんじがらめになっていたわけです。でも正直、世界の見方はまた都度機会があるときに更新すればいいのです。本書で得られた10のバイアスに注意しながらファクトフルネスを実践することで今後の人生の重要な判断を客観的なデータに基づいて行っていくことが大切だと理解できました。


今月も良書をご紹介いただきありがとうございます。

投稿者 kayopom 日時 2019年2月28日


最近「あの頃は〜だったよね〜」ってよく発言してしまう自分の過ち

「人生とは選択の連続」である。最良の判断をするにはどうすればいいのか、日々考え続けるのが人生とも言える。
選択の判断材料となる事実や情報には、それまでの体験や環境などから個々人のバイアスがかかっている。
だが当人は往々にしてバイアスの存在に気づかない。本書「FACTFULLNESS」はバイアスを自覚させ、事実を直視させ、現実をアップデートしてくれる。

p78~81では「減り続ける16の悪いこと」「増え続ける16の良いこと」がグラフで挙げられている。
私たちは悪いことばかり報道するメディアに翻弄され、世界が悪い方向に向かっていると考えがちだが、
世界は住みやすく、人間が生きやすいように徐々に良くなっている事実が叩きつけられる。
ただし「全体として」である。ここに判断や認識の難しさがある。
私たちは往々にして「個人として」、主観的に世界を見て判断しているから、曇りなき眼で世界を見ることは難しい。

例えば、2016年には全世界で420万人の赤ちゃんがなくなっているとある。この数字はとてつもなく大きい。
ただし1950年は1440万人だった事実と比較すると、乳児の死亡率は低下してきているのは間違いない。
その死亡率の観点においては、減少しているのだから、大変喜ばしい事実である。
だが、もし420万人のうちに自分の赤ちゃんが含まれていたら?
どうしてその悲劇の集団に自分の子どもが入ってしまわなければならないのか。
なぜ我が子がそこに含まれなければならなかったのか、自問し嘆くことだろう。

罹患数や犯罪発生件数や事故の数は、数字として扱うと客観的になれるが、
その裏にある「人」とその人を取り巻く人々が存在している。
当事者以外には「数」でしかなくとも、「数」となってしまった「人」の人生を慮らなければならないし、
また悲劇的な事象の「数」に関わらない「人」であるために、自分自身でリスクを考え臨まねばならない。

現在、個人的には娘に子宮頸がん予防のHPVワクチンを接種させるか悩むところだ。
日本では副作用が重篤化した例が報道され、接種が推奨されていないが、世界的にはその安全性は認められているそうだ。
さらに日本がワクチン接種後進国となっている事実が懸念されているという。

対象の物事と、自分との関係性が遠ければ客観的にもなれるが、近いほど主観的にならざるを得ない。
遠く離れた異国の地震の被害者数と、日本で起こる地震の被害者数では感じるものや関わり合いは異なるのだ。

また、時代の趨勢や個人の年代も判断を鈍らす原因となりうる。
出てきたばかりのものには、良し悪しの判断がつきにくい。
例えば原子力は、1950年代はとんでもなく未来の希望に満ち溢れたエネルギーだった(政治的な威力によって)。
だが今やこの地震多発の日本国土において、それを安全と見る向きは少数派になろう。

怖いのは、「事実の認識を間違って」いたとしてもそれはその判断が下される時代に非常に分かりづらいことである。
社会的に形成された価値観はそうそう変わらない。
特に世代が上になると、情報が更新されにくくなる。
(いまだに卵のコレステロールが高いから1日1個といっていたり、、)

そしてジャッジは往々にして上の世代に任されることになるので、
out of dateの意思決定が命運を左右することになる。
それが企業や政治の世界で、行われると組織は後々路頭に迷うことになるのだ。
軽減税率導入なんてその最たるものだと思う。

事実を語る尺度から「バイアス」「感情」を抜いて考えられるか
数字から冷静に導き出される客観的な判断がどれぐらいできるか。
重大な意思決定権者、政治家や経営者には絶対読んで欲しい本だ。

投稿者 gogowest 日時 2019年3月1日


「ファクトフルネス」を読んで

正しく見るは仏教の八正道の最初にあげられているように、正しい認識のための第一歩として必要なことですが、本書を読んで、本当の意味で、自分は正しく世界の現実の認識ができていなかったということを感じました。イントロダクションの13問の質問に、私は正解が七つだけでした。

意外なことに、このイントロダクションの質問の正解率は、高学歴の有識者であっても非常に低いものであったということは驚きです。正しく見るためにデータと数字という基礎が大切だということが、この質問への正解率の低さからわかります。

正しい情報がなければ、正しく考えられないのは当然ですが、本書では人間の思考をゆがめてしまう10の本能のそれぞれについて指摘して、説明しています。それは実際、どれも私自身が持っている特徴です。

この本で一番、衝撃を受けたところは、第5章「過大視本能」にある極度の貧困の地域での医療における「命の勘定」の話のところです。
この著者は病院に来ることができる一部の人だけでなく、この地域全体で救える人の数を最大化するために、自分が使える力の配分を考えて行動しています。
医者という専門性が高い技術職であると、自分の目の前の命に、特に集中してしまう傾向があるのではないかと思いますが、この著者は今見えている範囲を超えた広い見地から救える命の最大化を図ろうとしています。その場に居合わせた、同じく医師である知人は医学的な観点から目の前の患者にベストの処置をするべきという主張をしていて、著者とは、考え方に明白な違いがあります。著者のハンス・ロスリングには、今自分の目の前にいない子供も意識の視野に入っているから、「コストパフォーマンス」が良い処置を施すという選択をするハンス・ロスリングはとても筋がとおった人物と思いました。これはなかなかできることではないと思います。
数字とその比較という客観的な指標を用いながら、それを使って判断するのは、人間であって、その判断の幅は、その人の視野の広さと関連すると、このエピソードから、思いました。今、目の前の子供と経済的な理由などで今病院にこられない重病の子供が同時にいるということ、それがハンス・ロスリングには、想像できていて、そしてその上で、今、自分にできるベストを行っていること、ここに衝撃を受けました。

なぜ著者は、こんな視点を持てたかを考えました。
1.レベル1,2の地域を含め、広く世界を見てきていること。国・文化の違う多くの現地の人と交流があり、さまざまな人と話しあい、理解しようとしてきていること。これで視野の広さと高さが培われている。
2.極度の貧困が何を意味するのかをそういった地域の現地を実際に見て、知っている。
3.数字で表し、比較する訓練をしてきていることで、単なる感情論に陥ることなく、理性と感情のバランスが取れていること。

数字でわかることをベースに人が主体的に判断をしていくのが人間の思考のあるべき姿でしょうから、正しい情報を手にした後は、思考する人の視点の高さが問題になると思います。
正しい情報をもって広い視野で判断するのが本当の知性のあるべき姿だとおもいます。 「命の勘定」は冷酷なのではなくて、より高い慈しみの現れだと思いました。

本書に挙げられている10の本能は、自分も含めた人間が「思考停止」してしまう障害も表していて、感情先行になったり、判断が硬直化したりすることを予防するチェックポイントになると思いますので、自分自身でも定期的に各章のチェックポイントは見返していこうと思っています。

最後まで読んで、こんな魅力的な本を書いたハンス・ロスリング氏は、すでにお亡くなりになっているということを知りました。惜しいことです。でも本書がより互いに理解し合える世界にむけた稀有の遺作として、読み継がれていくことになるでしょう。ありがとうございました。

投稿者 LifeCanBeRich 日時 2019年3月1日
 知るは力なり。

 本書をとおして著者が読者に知ってもらいたい、そして常日頃から頭の片隅に置いてもらいたい事は、人は目の前で起きている出来事を本能的に歪曲してしまっているという事実だろう。

 人は勘違いをしてしまう生き物なのだ。例えば、気になっている異性とちょっと目が合った途端に舞い上がり、その異性がこちらに好意があると勝手に思い込み、その後のストーリーを頭の中で都合良く作り上げるものの、結局は勘違いだった故に空しい思いをするという経験の持ち主は、なにも私だけではないだろう。これは、まさに著者の言う「ドラマチックな本能と、ドラマチックすぎる世界の見方」の身近な例の1つだと思う。
 そして、この本能の暴走を抑える術が著者の推奨するFACTFULNESSである。巷では、MINDFULNESSが人生を充実させる術、幸運を呼び込む術として広く紹介されている。ではFACTFULNESSはどうなのか?そんなことを思いながら本書を読み、また実際にFACTFULNESSを試してみると、結果として私は人生を語る上で欠かせない要素、成功と失敗の関係、幸せと成功の関係について深く考えることなった。


 まずは、成功と失敗の関係から。

 結論から言えば、失敗は成功の一部となりうると考えるべきである。

 成功事例と失敗事例、成功した人と失敗した人、成功した時と失敗した時などと、ある事象をある時の状態で判断し成功と失敗に分けることはよくある事だと思う。それは、おそらく本書で説明される分断本能が、世界を分かりやすく見立てるためにしているのだけど、本来、成功と失敗は分断されるべきではない。例えば、つい先日の『はやぶさ2』が『小惑星・りゅうぐう』へ無事着陸した事は、その時点では間違いなく成功事例だが、この成功の裏には大小多くの失敗があるはずだ。もう1つ例を挙げれば、現在の朝ドラ「まんぷく」のモデルである日清食品創業者の安藤百福氏も数々の失敗を重ねた末の成功だった。

 成功は失敗を内包し、失敗は成功の一部となっているのである。現時点で失敗として扱われている事例や失敗しているように見える人にも、成功するチャンスはあるということであり、本書の「『悪い』と『よくなっている』は両立する」に擬えて言えば、

 “『失敗』と『成功に近づいている』は両立する”

となる。私は、ネガティブ本能や恐怖本能が強いせいか、新しい物事に挑戦しようとする時、ついつい失敗した時の想像を膨らましてしまい、行動に移すことを躊躇してしまう事が多々ある。今後は、

 ”失敗があるからこそ成功がある“

を合言葉に行動を増やしていく。


 次は、幸せと成功の関係について。

 上述したように、私は人生において成功を追い求めている。今回、成功を追い求めるにあたっては注意が必要であることを本書から学べたことは幸運である。その注意点とは、
 
 “成功を追いかけすぎると幸せが逃げていく”

ということだ。

 一般的に、成功者と言われて思い浮かぶのは、財を成した人や社会的な地位や名誉を確立した人だろう。そして、日本ではこれらの成功者たちを所謂『勝ち組』と呼び、その他を『負け組』に呼ぶことがある。
 ただ、抽象度を上げて日本を全体で見てみると、世界の中では日本は経済的側面で見れば『負け組』に向かっているし、また、精神的側面で見れば、既に『負け組』に入っていると言わざるを得ないと思う。

 先ずは、経済的側面であるGDPを見てみる。現時点の日本のGDP推移は、1980年の2兆5000億円から1992年の4兆9500億円と12年間でほぼ2倍になった時期の勢いは無いものの、2018年でも5兆5700億円と未だに僅かながらではあるが成長を続けている状態である。ただし、今後さらに人口減少が続くのだから現在の日本経済は既に、

 ”『良い』と『悪くなっている』は両立する”

と言う、本書が指摘した「『悪い』と『良くなっている』は両立する」のとは、ちょうど逆の状況にあるのかもしれない。

 ただし、日本を全体で見た時にもっと深刻なのが精神的側面である。国連が行う幸福度調査では、日本は初回調査時の2012年の43位から2018年には54位まで順位を下げている。この幸福度調査が示唆することは、経済的な成功を収めた日本が、精神的には豊かさを失っている事だろう。これらのデータを基に、事実を基に、日本を見ると現実が浮かび上がってくる。

 日本全体がこのような状態になってしまった原因は何か?

 私は、単純化本能が一つの大きな原因になっていると思っている。
単純化本能とは、世界で起きている事象をひとつの切り口で理解できる、解決できるという思い込みである。日本の現状を招いたのは、戦後から現在まで経済的成功というひとつの切り口で多くを理解、解決できると偏った思い込みのもとに国政を進めてきた結果なのではないだろうか。

 “成功を追いかけすぎると幸せが逃げていく”

 これが、私がFACTFULNESSを実践することで知り得た、成功を追い求める時に常に胸に留めておくべきことだ。


 最後に、FACTFULNESSの効用について。確かに、FACTFULNESSを実践すると、自身の本能が歪曲した出来事が正され、冷静に物事が見れるようになり、それは気苦労を減らすことになる。こうした状態でいると、自然と前向きな気持ちになり、行動も積極的になり、新しい世界が見えてくる。これは、『運がいい人の法則』においてのワイズマン博士の示唆と重なるところがある。

 MINDFULNESSとFACTFULNESS、手段は全く違うけれど人生において目指す所は同じなのだなぁと知ることが出来た。

 知ることは力である。


~終わり~

投稿者 eiyouhokyu 日時 2019年3月1日
ファクトフルネスを読んで

 今まで自分が認識していた世界は、確かに二分されていた。「豊かな国」と「貧しい国」。幸せとは程遠い世界の国々。どこかに明確に悪さを引きこしている原因があるはずだと信じていた。ところが、本能が情報の認識を脚色して、事実と異なる結果を導いていると知り、驚いた。
 知識のある学者よりも、権威のある人たちよりも、収入がある大企業の人たちよりも、無知であるチンパンジーの方が正解率が高いという結果が出たチンパンジークイズ。たくさんの情報や知識を持っている人たちが、無知に勝てないテストなんてあるのかと衝撃的だった。こんなテストは、今まで学校で受けたことがない。
 
本書は世界レベルでの間違いを正し、世界をより良くすることについて私たちが考えるきっかけを与えてくれる。ハンス氏が実際に体験したことが各章の始めに書かれており、あえて二分された世界を際立たせるような書き方をしている。対比から入り、その見方が正しいのか問いかける。本書のファクトフルネスを意識して考えると、世界で本当に必要とされている技術や支援の形、方向性のベクトルが見えてくる。

 この本を読んで良かったことは、世界が良くなっていると分かり、安心できたこと。そして、データに対して興味をもつことができたことである。

 一つ目の「世界が良くなっている」ことで得た安心感は、思い込みが認識を作っていたと気づけて良かった。今までは何となく危機感があり、どこへ向かっているのだろうと世の中に不安を感じていた。地球環境もどんどん悪くなって、住みにくい世の中になっていると思っていた。
しかし、近年の技術開発により、私たちの生活はどんどん便利になっている。自分たち人類に自信と希望をもてると、生きていることが楽しいと感じる。明日はどんな変化があるのかな、この変化は前向きな変化かなという期待。新しいことに対する拒否感よりも、アップデートする楽しみが増している。過去の人類からつながって、今の自分がいることへの感謝。今を生きれる幸せ。この実感はレベル4の暮らしだから言えることなのかもしれない。世界規模で考えたときに、いかにレベル1の人たちをレベル2、そして3へできるのか考え、貢献することがより世界を良くするための行動ではないか。今はまだ答えは出ていないけれど、募金以外にできること、人に対する支援を考え続けたい。

 二つ目のデータに対する興味は、数値がどこから出てきたのか、そこから推測されることは何かといった思考ができるようになった。ちょうど仕事で2030年に向けて会社のテーマを考えて欲しいという依頼があった。将来を考えるにあたり、データを用いて年代別割合の変化を考察をした。すると、拡大路線を進めていた中期経営計画の難易度が見えてきて、計画の甘さが分かった。恐らく、私が関係のない部署だからこそ気づけた部分があったと思う。数字は客観性があるが、受け取る側の考え次第で結果も変わってくる。ハンス氏が伝わるように図やグラフを工夫したように、数字を使って伝えたいときは、相手に分かるようなデータの用い方をするのが私の課題だ。

 ハンス氏が、世界の見方「ファクトフルネス」を教えてくれたが、この見方は自分自身を見るときにも役に立つ。失敗を恐れずチャレンジし、昨日よりも今日、今日よりも明日世界が豊かになるためのお手伝いをしていきたい。

今月も良書をありがとうございました。