投稿者 mkse22 日時 2021年5月31日
「NO RULES(ノー・ルールズ) 世界一「自由」な会社、NETFLIX 」を読んで
本書を読んで思い出したのが、HIUだ。
HIUは堀江氏による会員制オンラインサロンで
同サロンではメンバーが主体で行動することが求められる。
ここでは堀江氏が教えたり与えたりすることはなく、彼自身も
HIUのメンバーの1人と考えてほしいとサロンの説明に
記載されているほどだ。
なぜ、HIUを思い出したのか。
HIUもNETFLIXと同じく自由と責任に特徴のある組織と考えたからだ。
ここで2つの組織を比較してみたい。
まず自由の観点から比較する。
NETFLIXでは休暇規定や意思決定にかかわる承認プロセスがない。
各社員が通常の会社では上司承認が必要な事柄についても決定することができる。
HIUもサロンメンバーは行動することが求められるだけで、
行動内容に制約はないので、自由と見做すことができる。
自由すぎてメンバーの中には具体的な行動指示がないため、
何もせずに会費だけを払い続けている人もいるらしい。
次に責任の観点から比較する。
NETFLIXでは各社員が自分の行動がNETFLIXのためになるかどうかを基準に行動し、
その結果については最悪クビという形で責任を取る必要がある。
HIUでは行動するひとには得るものがあるかもしれないが、
行動しない人には何も得るものが全くない。むしろ、毎月の会費分だけ損をしている。
したがって、こちらも自身の行動によっておかれる境遇が変わるという意味で
責任を取る仕組みがあるといえるだろう。
しかし、両者には大きな違いがある。
HIUにはお金を払う必要があり、NETFLIXには不要な点だ。
HIUはメンバーとして継続参加するためには毎月1万円払う必要がある。
当初、私はこのHIUのようなお金を払って働くことが理解できなかった。
仕事はお金を得るためにすることだと考えていたからだ。
本書を読んだあとにたまたま見たホリエモンチャンネルの動画で
堀江氏が会費の意図を説明していた。
堀江氏いわく、HIUの会費は1万円フィルターと呼んでいるもので
月々1万払える余裕のある人はそれなりに優秀な人物に違いないと
という考えのもとに設定したものだそうだ。
ここで気づいた。堀江氏もNETFLIXと同じように能力密度が高い場所を
つくろうとしており、会費は優秀な人材と判断するために基準だったわけだ。
ここまででNETFLIXもHIUも優秀な人材を集めようとしている点では同じと理解できたが、
疑問は残ったままだ。その集め方は真逆だからだ。NETFLIXは個人レベルの最高報酬であり、HIUは会費だ。
しかしどちらも成立している。なぜ、成立するのだろうか。
本書にあるように、優秀な人材が求めているのは、能力密度が高い会社だ。
おそらくは、私が考えていた以上に、優秀な人材は能力密度が高い場所で働くことに価値を
見出しているのだろう。
もちろん、お金に重きを置いていないわけではない。これも重要な要素だからだ。
能力密度が同じで、さらに、NETFLIXのような個人における最高水準の報酬を提供されるなら、
優秀な人材はその会社を選ぶだろう。
しかし、お金より能力密度を優先する場合がある。
HIUのように会費分はマイナスかもしれないが、能力密度の高い場所に身をおけるなら
今後の自身のビジネス展開の成功率あがる可能性を考慮すると全体としてプラスだと
考えることができるからだ。
対HIUでは収支はマイナスでも、HIUを通じて得た経験・人脈により自分のビジネスが
プラスになり、全体としてプラスなら問題なしというわけだ。
もちろん、HIUに関しては楽しいから参加しているという人がいることも否定しない。
ただ、優秀な人材が求めているのは、能力密度の高い場所だけではないような気がした。
同番組で堀江氏が次のようなコメントをしたからだ。
「組織としてベクトルが同じ人が集まったほうがよいのでは」と。
堀江氏は組織の観点から上記コメントを述べたが、これは優秀な人材の観点からも
同じことがいえると思った。なぜなら、能力密度の高い場所でかつ同じ方向性を目指す仲間がいれば、
優秀な人材はより能力を発揮可能だと思ったからだ。
このとき、コンテキストによるリーダシップのことを思い出した。
コンテキストによるリーダシップでは、上司から可能な限りの情報と会社の戦略に合致するための条件が提示され、
部下はその条件を満たす範囲で、自由な意思決定決定ができる。
本書を読んだとき、コンテキストによるリーダシップの目的は
社員の自由度を増やし意思決定能力を鍛えることにあると思っていたが、
それだけではなく、上司と社員が目指すべき方向の認識合わせを行うことを通じて
同じ方向性を目指すことができない社員をあぶり出すこともできるとおもってしまった。
コンテキストによるリーダシップは、ベクトルが同じ社員で選別するための手段となるわけだ。
本書を通じて、NETFLIXとHIUをより深く理解できたことは収穫だった。
今月も興味深い本を紹介していただき、ありがとうございました。