投稿者 tarohei 日時 2022年11月30日
我々の生きている世界・宇宙とはホログラムなのではないか?と考えたのが宇宙ホグラフィック理論である。
本書を読了して思ったことは、この世は幻想かもしれないというホログラフィック理論の発想はブラックホールの謎の解明に端を発しているのではないかということである。そこでここでは、ホログラフィック理論とブラックホールの関係について考察してみた。
形や大きさや色、構成している分子や原子の配列など、モノと呼ばれるものはいろんな情報が含まれている。もし仮にそのようなモノの情報がブラックホールに取り込まれたとしたらどうなるか。
ブラックホールはある一定以上の質量を持つ恒星がその終末期において自らの重力のため一点に凝縮されたものである。そこではその巨大な重力によって、光すらも脱出できなくなり外部から見ると真っ黒な暗黒の領域に見える、そのためブラックホールと呼ばれる。
宇宙船でブラックホールに近づいていくと、ブラックホールの重力によって引きつけられるが、距離がある程度遠ければロケット噴射して脱出できる。しかし、ある一定の限界ラインを越えてしまうと絶対に脱出できない領域に達してしまう。この宇宙船はおろか光すらも脱出できない領域の一番外側の境界面のことを事象の地平面という。
この事象の地平面の内側は、光すらも取り込まれて脱出できないので、外側からは観測できず、中がどうなっているかは誰に分からない。ブラックホールの中がどうなっているのか。その答えの有力な学説の一つがホログラフィック理論というのである。
ブラックホールは一度取り込まれると、そこからは光すらも脱出することができない一方通行の世界となり、一度足を踏み入れたら二度と戻れないところというのは前述の通りである。そして、ブラックホールに取り込まれたモノの情報は、その巨大な重力によって無限小にまで押しつぶされ、消滅してしまうのであろう、と考えるのが自然である。
ところが、ブラックホールに取り込まれたモノの情報は消えてしまうわけではなく、ブラックホールの外側を取りまく事象の地平面に保存されるという説を唱えた人がいる。つまり、ブラックホールをシャボン玉に例えれば、シャボン玉の内側に入っているモノの情報は外側の虹色に煌めくシャボン玉の球面上に保存されるというものである。素直に考えれば、なんじゃそりゃである。
さらにこの考え方を推し進めると、ブラックホールの原理からこの現実世界に全てのモノやらコトは、どこか遠くにある二次元平面に書き込まれたデータの投影にすぎないというのである。ますますなんじゃそりゃである。
更にもっと驚くべきことは、実はこの世界はアナログではなくデジタルだと見なすことができるというのである。計算機は情報を0/1という二進法で記録するが、この世界の全てのモノやらコトも0/1のデータで表現でき、空間領域の外側にある球面上にコーディングされているというのである。この理論は、三次元映像を二次元のフィルムに記録するホログラムに似ていることから、ホログラフィック理論と呼ばれている。
普段、我々が見ている映画は、フィルムやメディアに記録された情報をスクリーン上に投影したものである。映画そのもの自体は写しだされた映像に過ぎず、実体はあくまでも記録メディアやフィルムの方にある。これと同じことをホログラフィック理論は主張していて、我々の存在自体は何かに投影された映像に過ぎず、実体は宇宙のどこか遠くにある球面上に記録された情報だというのである。
一方、別の学術方面からの考察もあり、ホログラフィック理論とは別のアプローチでこの世界の本質を突き止めようと導き出された学説が、素粒子物理学による「ひも理論」である。
実はこのひも理論が到達した結論は、偶然なのか必然の結果なのか分からないがホログラフィック理論が到達した結論と同じだったのである。例えて言うなら、別々の山だと思って登っていた各々の登山パーティが、同じ山の頂上で出会い、実はどちらの登山パーティもスタート地点は違っていても同じ山を目指していたのである。
ということで、ひも理論の強力な裏付けを受けて、それまで山師のような扱いを受けていたホログラフィック理論は一躍注目の的となったのである。いまや最先端の科学者・研究者たちの多くはホログラフィック理論を支持するようになったのである。
しかし、実はこの世界は、テーマパークやイベントなどで映し出されるホログラムのようなもの、実態は別のところにある、こんなとんでもない学説をどれだけの人が受け入れるのであろうか。
16世紀ごろにコペルニクスやガリレオ・ガリレイらが地動説を唱えた時と同じような反応、つまり従来の天動説を支持する人たちや新しい学説地動説を受け入れる人たちの葛藤を、21世紀の現代でテーマは違えど体験できるのでなかろうか。
そう考えるとなんだかワクワクしてきた。
ホログラフィック理論、バンザイ。