投稿者 kawa5emon 日時 2020年1月31日
書評 Jimmy 原作・明石家さんま
読後感が何とも心地よいのは、10月課題図書「ケーキの切れない非行少年たち」では、
確実に問題児に分類され、社会への適合が難しいと考えられる大西氏が、ハラハラ展開ながらも、
本書内で語られる様々な人々との出会いと新たな環境との接触を経て、
社会の中で認められる適所に落ち着き、幸せな人生への入り口に立てたからであろう。
最終的には、そのような個性的なキャラクターは個性自体が問題なのではなく、
周囲の理解と受容、社会参加機会の提供などが重要なのだと前述課題図書の振り返りにもなった。
人の人生を扱った本は本当に学びが多い。本書内だけでも、
他人を理解することの難しさ、奥深さ、仕事に向き合う姿勢、仕事の意味、人材育成手法、
コミュニケーションの重要性やその実例を見るなど、引用できるポイントが多岐に渡る。
その中でも今回の学びは、大西氏の人生が変化した要因に絞って書評を展開していこうと思う。
大枠の結論は、活動環境の選択と人との出会い、そして各々との関係性構築が非常に重要ということ。
更に大西氏の人生変化展開軸で分析していくと、以下の諸要因も重要なポイントだと考える。
1、恐ろしいぐらいの大西氏の真っ直ぐさ、正直さ、必死さ
ここでの正直さとは、自分に嘘をつかない、自分を偽らない、自分の信条に忠実と定義する。
他人とのコミュニケーションは苦手だが、自意識は高く、周囲への気遣いは元々出来る。
大西氏の言動は、一見痛々しいが、その真っ直ぐな言動に心が洗われる感覚を覚えた。
イマルちゃんが大西氏をお気に入りで絵本読み聞かせで即寝する場面が、純粋な心を証明している。
そして結果論だが、必死だからこそ拓けた運命と付け加えたい。
2、さんま氏の傍に居たいという大西氏の一貫した想いと覚悟
少し脇道に逸れるが、大西氏の真っ直ぐな行動は11月課題図書「サードドア」を思い起こさせた。
その想いと覚悟は一貫してブレが無い。強い想いと覚悟が、実現化に繋がった点に反論は無いだろう。
3、さんま氏との出会い、そしてさんま氏の直接、間接のお世話
ここでは、大西氏の人間性を見抜き、会話が成立するさんま氏の人間性、価値観に注目したい。
更にさんま氏の言動から考えさせられる、人材育成のためのスキル、マネジメント手法にも触れたい。
その要点は、相手の理解・許容、きっかけの提供、随時の状況確認、一旦腹を括ったら、
最後まで仲間を守る覚悟・姿勢に見ることができると考える。
4、大西氏を通し、自分自身を振り返るさんま氏の謙遜さと飽くなき自己成長意欲
売れっ子の上昇気流にあっても有頂天になることなく、師匠を慕い、芸を盗もうと努力し、
世間一般には無視されそうな大西氏の個性、言動からも、笑いや人生の多様性を学ぼうとする低姿勢。
5、新たな環境で発生する偶然の出会い(吉本興行や芸能人絵画、外部接触など全てを通じて)
本書に登場するありとあらゆる出会いは、そのどれも無駄ではなかった。
一時的には心身の痛みも伴い、暗雲が垂れ込める場面がありながらも、
そのどれもが関係者含め、血となり肉となり、最終的には笑いの対象となった。
笑いの対象、おいしいネタと考えると、一見厳しく、不都合出来事ほど、価値がある。
換言すると、発生する全ての出来事に意味があると言えるだろう。
結論、現在の環境で行き詰った時は、活動環境を変えるか又は出会う人を変える、そこに本人の意思、
覚悟が加われば、人生を変化させる(停滞を変化させる)ことが出来るとの学びである。
大西氏の場合、各々の歯車が上手く噛み合わない場面も多々あったが、結果的に歯車が入れ替わり、
幸せの入り口に立てたのは、結果論としても本人の必死さと覚悟があった点は再度強調しておきたい。
最後に、やはり笑いの威力を明記しない訳にはいかない
その威力最大化法は、自意識を一旦自分自身から切り離し(他人事のような客観視)、
あたかも自分の人生を他人事かのように笑い飛ばせるか否か(過去のよい思い出とする)。
笑いはやはり最強の開運法の一つと再認識した。心底からの、これ以上ないという至福の幸福感。
大西氏が弟子になれると感じた瞬間の止まらぬ笑いが、その状態を感じさせてくれた。
この状態を意図的に作れたら? 如何に日々が、そして瞬間瞬間が充実するか?
そんな状態を想像するだけでも楽しく、実践しない理由がない。
人生を戯曲と捉え、如何に客観視し、物語を紡ぎ、笑いの状態を作れるか?
さんま氏コメントのように人生を笑い飛ばせれば(過去の清算)、
間違いなく人生の勝者になれるだろう(笑っている、幸せの状態に既に居るということ)。
S塾で学んだ幸せの極意、「どんな苦境にあっても、その状況を笑い飛ばせるか?」を反芻した。
今回も良書のご紹介及び出会いに感謝致します。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。