第56回目(2015年12月)の課題本
12月課題図書
異文化理解力――相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養
外資系で働いている人は、過去一緒に仕事をした外国人を思い出しながら読むと、
頷いたり、呆れたり、後悔したりするんじゃないでしょうかね。文化って超えがたいギャップ
があるのだなあと思うはずです。そんな文化の違いがどうやって生まれたのかを考えながら
読むと思索が深まりそうです。
【しょ~おんコメント】
12月優秀賞
私はこの本を読んだ時に、確かにこの多国籍に亘る分析や、細かなマッピングにも驚いた
んですが、これってそのまま日本人同士にも通用するじゃん、というところに感銘を受け
たんです。人なんて生まれも育ちも全然違うんだから、本書で挙げられている差違を持っ
ているのが当たり前で、それって丹念に社内の関係者でマッピングをしていくと、仕事を
進める上でアドバンテージになるんじゃないのかなぁ(もうサラリーマンじゃないから要
らないけど)と感じたんです。
そうしたらやっぱりそう考える人が何人かいらっしゃいました。今回の一次選考通過者は、
sakurouさん、6339861さん、BruceLeeさん、andomanさんです。その中でこの違いを程良
い粒度で書いてくれた6339861さんに差し上げる事にしました。おめでとうございます。
【頂いたコメント】
投稿者 akiko3 日時 2015年12月25日
「異文化理解力」を読んで
語学の勉強をしていると、言葉の背景にある文化や価値観が無視出来ないことを実感する。著書の中で繰り広げられる国際ビジネスシーンは、そんなおしゃべりレベルの自分とはかけ離れた、もっと上位の高い世界のことと思われたが、いやいやスーパーエリート達、普通じゃんと胸をなで下ろした?。彼らも異文化に接し涙きそうになったり、怒ったり、自信喪失、自己卑下とそんな人間らしい戸惑いを乗り越え、スーパーエリートとして成長しキャリアを広げているんだとその人間ドラマに感心してしまった。成長っていいなと刺激が欲しくもなった。
異文化という大きい言葉に引きずられたが、日本でも県民性の違い、人間関係、家族でさえも環境で違うし、年をとることで変わる価値観もある。常に変わっていく環境、心に対し、違う人間が交わる時に“気が利く”人になる気づきが多くあった。“同じ人間だけど違う。”その時のその人の環境、行動、思いを配慮して、コミュニケーションを沢山とって歩み寄る。ビジネスも子育ても介護もご近所付き合いも、人間関係の中で起こりうる“なんでこんなことするの?”に憤り、思考停止せず、なぜ?の深堀りをし、壁をとっぱらうよう努力する。徹底的に話をし、理解しようとする。なんだか兄弟げんかをした時の母の対応を思い出した。互いの言い分を個別に聞き、架け橋となってくれていた。無関心は愛情の反対語。互いを尊重するには愛情を持たねば。母は双方に愛情を持っているからつなぎ直せたのだろう。
生きていくだけで精一杯の厳しい現実に生きているうるんだ瞳の幼子に胸を痛める一方、実際にそういう時代を生き抜いてきた人達の価値観に寄り添うことなく、今の当たり前にヌクヌクとまったく見えていなかった、水を知らない金魚は自分のことだ。
異文化に触れることはストレスを感じることでもある。面倒臭い、慣れたやり方で出来ないもどかしさ。だけど、気が付いて理解しようとして歩み寄ることで、自分の幅を広げたり、生き方を変えることもできる。
また、「あの人は〇〇だよね」と性質を1言でまとめることには無理があるのに、そういう思い込みをしがちだ。視点は多面的に柔軟に見る能力を身につけたい。
慣れた環境で、特に問題もなく無難に生きているが、環境も変わるだろうし、新たな出会い、経験もあるだろう。年をとるとはそういうことともいう。そんないつもの日常ではない非現実に対し、本書から学んだ違いを読み解く力で、よりよい関係を築きながら、新しい自分に成長できるよう頑張ってみようと思う。まずは、年末年始に相応しく?、日常で小さないざこざが起きないように、現実を見極め、相手の立場を理解し、対話すること、変化を望むなら自分からを実践していきます。
今年最後の課題本「異文化理解」は、今年の課題本で垣間見たいろんな世界の思い返しにもなりました。まず“知る”ことが変化の前の一歩だとしみじみ感じました。読む(知る)ことで生まれた自分の中の変化、多くを学べた一年に感謝致します。ありがとうございました。
投稿者 J.Sokudoku 日時 2015年12月27日
「異文化理解力」を読んで
1.内在的時空の広がり
今回も一冊の本からたくさんのコトを学ばせて貰った。読書中に自分の内にある感覚の広がりは、以前の課題図書“この世界が消えた後の科学文明のつくり方”で受けた感覚とちょうど逆であった。逆というのは90°違うという意味。“この世界が…”から受けた感覚は、モノコトについての知識が比較的身近な範囲で垂直方向に開けて行くという感覚(縦方向)であった。それは、主に自らが“時間”(過去と未来)軸を上下行き来しているような時間軸的思考運動のようであった。対して本書からは、まるで池に石を投げ落とした時に、水紋が広がるようにスーッと薄くドンドン遠く遠くに水平方向に広がって行くという感覚を受けた。それは、主に自らが今までに行ったことのない“空間”を飛んでいるような時空的思考運動であった。そして、やはり“この世界が…”と同じく自分の無知を思い知らせてくれた1冊であった。“この世界が…”で縦軸(時間)がとんでもなく広がり、本書で横軸(空間)がとんでもなく広がった。今年この2冊に出え会えたことに感謝。
2.懺悔
まずは、自らの懺悔から。それは、現在に至るまでかなり大雑把に他文化を必要以上に一括りにして、その人達に接し、またこの世界を見ていたことである。当方には5年間のアメリカでの生活経験があるのだが、その当時、アジア人(特に、日本人、韓国人、中国人)を一括りするアメリカ人に対して強く憤りを感じていたことを思い出す。アメリカ人側から見れば、見かけや地理的に近ければ同じに見える。しかし、見られる側(日本人、韓国人、中国人)が互いに見るとそうではない。至極当然のことだ。ただ、当方の脳ミソからはその逆のケースも然りであるという事実がスポリと抜け落ちていたのである。これは、自分自身が見えていないイタイ奴の典型的な例であろう。
白人は殆ど一緒。アメリカにいた当時アメリカ人を見るのと同じ感覚で、今の今までドイツ人やフランス人等を一括りに見ていたのである。アメリカ人と比べるとドイツ人は「説得」において全く逆の「原理優先」であったこと、フランス人は「コミュニケーション」において「ハイコンテクスト」であったこと。全く知らなかった。1人の日本人として、白人種としての絶対性を見て、彼ら間の相対性を見ていなかったのである。非常に大まかで且つ間違ったステレオタイプで判断していた。“人こそ人の鏡”この言葉をもう一度肝に命じた次第である。
3.「ローコンテクスト」&“部分から全体へ”
日本の英語教育が「原理優先」であるが故に日本人は英会話ベタなのは周知の事実だし、身を持って体験した。ここでは、本書の読書中に起きた“Aha Moment(あぁ、そうだったのね。と過去の出来事を理解した時)”について2点挙げる。1つ目が“Because/WhyとMaybe” そして、2つ目が“授業の進行”、である。そして、これら2点が“ローコンテクスト”“かつ”部分から全体へ”というアメリカ人のコミュニケーション及び理解構造でありそれに対しての懸念を簡潔に述べたい。
まず、語学学校では、“自分の意見を言ったらBecauseをつける”ということを日々教えこまれていたし、実際につけるようになると彼らとのコミュニケーションは円滑になったのである。また、“日本人はとにかくMaybeが多いからなるべく使わないように”と言われていたし、確かに日本人がMaybeを使う頻度は、留学生の中でも群を抜いていたのを覚えている。当初は、エッセイを提出すれば、赤線と?マークがたくさん書かれて返されたことは数えきれないほどである。その当時は、“何でこの人達は言わなきゃ分からないのだろうか?”とただ不思議に思っていたが、本書を読んで”Aha Moment”がきた。彼らは、非常にローコンテクストな文化であり日本と対極をなしていたということを。そして、その理由は国民国家として共有認識範囲が日本人と比べて非常に少ないということに、なるほどとうなった。
次に、“授業の進行”についてである。大学での授業中、とにかく生徒からの質問が多いのである。分からないことがあると質問。また質問。そして、質問。各々に疑問があると質問なのである。これも日本人と真逆である。当然、“おぉ、よく訊いてくれた”ということもあるのだが、“おいっ、もっと先生の話を聞いてからでもいいだろうよ?”とか”そんなこと質問しちゃって恥ずかしくないのかい?”という質問もよくあった。当時は、これは、単にアメリカ人の個人主義と羞恥心の欠如(良い意味で)から来るものばかりと思っていたが、本書を読むとそうでは無いらしい。やはり、彼らは順序を立てて理解を進めいくという理解構造だということが分かった。
このように、アメリカは「ローコンテクスト」、かつ“部分から全体”への文化なのである。そして、このアメリカ式コミュニケーションの明快簡潔さが大いに役立つことは、現代のビジネスシーンを見れば説明する必要は無い。ただ、懸念は“部分から全体”をいつの時でもアプライするとマズいであろうということである。やはり、“全体から部分”という理解構造も重要であろう。例えば、仕事の時でも業務の伝達の時も、その業務が大事な部分であればあるほど、その背景(全体)を知らせるということが重要になってくる。“部分から全体へ“と”全体から部分へ”どちらが優れているのではなく適宜に使い分けることが重要だろう。
4.
本書は、グローバルな生活をしてない人にも、有益な本といえるだろう。外資系企業に勤めていなくても、海外出張に行く機会が無かろうとも、そして海外旅行に行くわけで無くてもだ。なぜなら、1つは、世界情勢に関するニュースの読み方が変わり、理解が深まり面白くなるから。そして2つに、個人もそれぞれの文化を持ちそれを知り尊重することで人間関係を改善できるからである。
本書を読んでいる途中から世界情勢のニュースの読み方が著しく変わった。何故、イスラエルがあんなにも他国と対立して孤立を厭わないのか。また、問題に直面した時のプーチンの直接的モノの言い方と強気の姿勢、そしてそれをしっかりと支持する国民達。ギリシャ危機の際の、ドイツのギリシャに対する強硬姿勢。これらの出来事の背景がうっすら見えてきた。勿論、文化的背景を知れば全てが分かるわけではないことに論は俟たない。
次に、本書にもあるとおり個人の性格(人生)は極小化された文化である。これを理解することで対人関係改善に有用なはずだ。人はそれぞれ、様々な要素で組み立てられた文化を持っている。地理的文化、ジェンダー的文化、経験知識的文化、世代的文化もあるだろし、右脳左脳的文化なんてモノもあるかもしれない。とにかく様々な要素から成り立っているのである。
当方は、自分を知るために日本とアメリカと日本のカルチャーマップを作ってみた。(「説得」トピック以外は全て違う位置取りとなった)そして、気づいたことは、当方の場合、アメリカ生活の影響でカルチャーマップ上の8つトピック全てがアメリカ側に寄っていたことだ。この他にも、自分の過去の経験/出来事を思い出し自分自身がどういう文化を持っているのかを知ろうと思っている。また、他者のこういう部分にも意識的に目を向けていくつもりである。そして、これらを知ることによって当方の他者への接し方は自然と変わってゆくであろう。
最後に、今後胸に刻んで行くべき文章を本書から3つ抜粋させて頂きます。
1.「目はふたつ、耳もふたつ、でも口はひとつ。その数に応じて使いなさい」
2.「互いの文化が話し合えば話し合うほど、自然に調整できるようになっていく」
3.「謙虚さを持ち、偏見なく議論を行う…自分の文化を笑い飛ばし、相手の文化をポジティブな言葉で表せば表すほど、誰もが自分の考えや意見を防衛的にならずに語ることができるはず」
~終わり~
本年は大変お世話になりました。
課題図書を始めて5ヶ月間、アウトプットの重要性を身を持って知ることができたのが一番の収穫です。
引き続きご指導の程、どうぞよろしくお願いいたします。
良いお年をお迎えください。
投稿者 nkatani 日時 2015年12月28日
~異文化理解力を読んで~
最初は、外国の風習や習慣についての辞典のような内容を期待して読んでいましたが、
各国の国民性についてフォーカスした内容で、
各国・文化の特長についてマッピングし、それぞれの対応の仕方について、
詳しいエピソードを添えて説明されていて、とても理解しやすく感じました。
また、読み進めるうち、文化について国ごとにてんでばらばらに分かれているのではなく、
ある程度の傾向があることに気づきました。
おおむね下記の要領で別れています。
・明文化する/行間を読む文化の違いを生むもの
「その国の歴史の長さと国を構成する民族の多さ」
歴史が浅い、またはたくさんの民族で構成されている国であるほど明文化し、
歴史の長い、または少ない民族で構成された国であるほど行間を読む傾向にある。
・ネガティブなフィードバックの直接的/間接的の違いを生むもの
「西洋圏かアジア圏か」
一部例外(※)はあるものの、西洋圏では直接的な表現を好み、
アジア圏では間接的な表現が好まれる
※例外として、
アメリカは西洋圏の文化であるがポジティブなフィードバックを好む
・原理主義/応用主義の違いを生むもの
「どの文化圏に位置するか」
アングロサクソン文化圏(アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダ等)は応用主義の傾向が、
ラテンアメリカやゲルマン系の文化、フランス、ロシアなどは原理主義の傾向がある。
また、アジアと西洋系では上記と異なり、
全体との関係性を重視する傾向がある(マクロからミクロへと考える)
#儒教がその考え方の根源になっている様です。
#チームワークを重んじるのはアジア圏のくせなのかも。
・平等主義/階層主義の違いを生むもの
「どの文化圏に位置するかと信仰している宗教」
西洋のローマ圏及びカトリックは階層主義的、
バイキング圏の人達やプロテスタントは平等主義的な傾向にある。
また、アジア圏は儒教の影響を受け、家父長的な階層主義的である。
・合意志向/トップダウン式の違いを生むもの
「その文化圏が階層主義的か平等主義的かどうか」
一部例外(※)はあるものの、おおむね階層主義の文化圏はトップダウン式、
平等主義的な文化圏は合意志向な傾向がある。
※例外として、
アメリカは平等主義的な文化圏に位置するがトップダウン式、
ドイツは階層主義的な文化圏に位置するが合意志向、
日本は階層主義的な文化圏だが、合意志向かつトップダウン式(稟議システム)
・タスクベース/関係ベースの違いを生むもの
「司法制度が安定している文化圏かどうか」
司法制度が安定している国はタスクベース、安定していない国は関係ベースな傾向がある。
#タスクベースは、仕事と人格を切り離して考えるという姿勢で仕事をする
#関係ベースは「その人」と契約をするという姿勢で仕事をする
また、多くの国では「関係こそが契約」である
・対立型/対立回避型の違いを生むもの
「その文化圏が階層主義的か平等主義的かどうか」
一部例外はあるが、おおむね平等主義か階層主義かに影響する
平等主義型の文化では対立型になりやすい
人にはそれぞれ意見があるという前提にもどついている。
「より正しいと思われる答え」を追求するために対立する
階層主義型の分化では対立回避型になりやすい
目上の人に敬意を表して従うことが重要だという考えが根底にある
・直線的な時間/ 柔軟な時間の違いをうむもの
「その文化の(工業的な)発展の度合いと人間関係の構築を重要視する文化かどうか」
工業化された文化や人間関係の構築を重要視しない文化では直線的な時間で考える傾向、
発展途上の文化でや人間関係の構築を重要視する文化では柔軟な時間で考える傾向にある
さて、階層主義かつ合意主義なドイツ、平等主義かつトップダウン式のアメリカのケースの紹介を見て、
なぜ彼らはこうなったのか?とふと思いました。
彼らの国のおかれた状況や歴史を切り口に、下記のように考えると妙に納得がいきました。
ドイツが原理主義的でで融通がか効かない傾向にあるのは、
地政学的に複数の国にはさまれ、その脅威に苦労してきたからではないか?
隣国に隙を見せられなかったからこそ、慎重に慎重を重ねて吟味しベストな選択を取ろうとしたのではないか?
アメリカが応用主義的で柔軟な傾向にあるのは、
見知らぬ土地で一刻も早く生活圏を広げる事に注力したためではないか?
だから理屈がどうこうよりも実際役に立つのかを重視するし、
行動的な人が先導し状況に応じて柔軟に対応を変えていく必要があったのだと思う。
上記をもとに考えてみて、飛躍した考えになると思いますが、
それぞれの国や文化の性質を決めているのは、その国や文化が置かれてきた状況や歴史なのではないか?と思いました。
「日々の行動の集積が性格をなす」という旨の言葉がありますが、
それぞれの文化がおかれてきた状況への対応が、年月を経るうちに国民性へと昇華されていったのだと考えます。
#いわゆる国ごとの「家訓」みたいなものでしょうか。
上記のように考えると、文化の違いには惑わされますが、
容易に自分たちのやり方を押し付けてはいけないという事がよくわかります。
それは、「相手の歴史を否定する」ことに等しいからです。
今後、こういった文化の違いを目の当たりにしたときは、
今回の課題図書で得られた指針を基に、相手の文化の歴史に思いをはせ、
尊重するという意識を持ったうえで対応をしたいと思いました。
投稿者 audreym0304 日時 2015年12月30日
感想 ー 異文化理解力――相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養
この本を要約するなら、『「異文化理解力」とは、相手の発言や真意を理解すること。-そして、自分の言動を相手がどう捉えているか理解すること。 育った環境や価値観が異なる人と働くときに行き違いや対立を避け、確かな信頼を築く技術』で十分だと思う。
仕事を通してイヤというほど行き違いや対立を経験したことで相手に対するタブーや習性を理解しながら、多少の行き違いはあっても対立を避け、業務を円滑に進めることを徐々に身につけた人は筆者を含め多いだろう。
英語のタイトルにもある「THE CULTURE MAP」では8つの軸のどこに各文化が位置するかを見ることでどの国の人がどういう特徴を有し、なにを良しとし、なにが気に障り、不快なのかということ、「見えない境界線」を可視化する。このカルチャーマップも作成者の文化的背景で多少なりとも変化が出て来るだろうが、そんな基準も外国人とチームで働く場合にも顧客やサプライヤーとして取引する場合にも役に立つだろう。
「THE CULTURE MAP」というくらいだから、歴史的背景や宗教的背景、さらには地政学的視点からみてもそれぞれの文化も価値観も異なるのだ。他所の地域からみれば同一視されるような国々がそれぞれの文化や価値観を持っているように、世界中の国がその近隣諸国とまったく異なる文化も価値観も有しているものだ。他所の地域から見てもその明らかな差異を可視化する方法がカルチャーマップである。
グローバル化している今、そのカルチャーマップがあれば、日本人である私たちは全て特定の国の考え方やり方だけに従うのではなく、外国人だからとひとくくりにした考え方で無駄なトラブルを呼ぶこともなくなり、彼らの考え方や習性を理解した上で日本人的考え方ややり方を用いることもできるのではないだろうか。そして、こういった知識や経験、技術は外国人とチームなり、取引先となり働く際に求められる手腕の一つになって行くのではないだろうか。
例えば、言葉一つとっても英語は日本語よりも直接的な言い方が多いが、そんな直接的な表現を好まない日本人も多いだろう。であれば、相手に合わせ、「失礼ですが」「恐縮ですが」などの枕詞を入れて、指示、要望、希望などを直接的に伝えることも一つの手かもしれない。
個人的な経験になるが、海外の工場の現場の作業者やサプライヤーとは一緒にランチを共にしたり、協力してくれたことに対する最大限の感謝をするだけでもそれまでの疑心暗鬼の関係性は良くなり、互いの信頼感が生まれ、業務は円滑に回るようになった。さらにはちょっとした異常があると真っ先に連絡が来るのもそこに信頼感ができあがったからだろう。
本書を読んで「異文化」があることやカルチャーマップであることを理解できたとしても、その見えない境界線を自ら失敗を経験することで自分なりの異文化理解ができ、カルチャーマップを作り、同じような失敗を繰り返すことがないよう生かすことが必要ではないだろうか。
また、帯にあるように本当に日本人の8割にこのビジネス書はいらないのだろうか?
工場に行けば現場の従業員がほとんどが外国人なんてこともあるだろう。そのときにトラブルとは行かないまでも「不快感」はないのだろうか。「日本にいるんだから日本人と同じように考えて、行動しろ」というのなら、それはあまりにも乱暴ではないか。なぜなら彼らは日本のカルチャーマップの中に入っていないかもしれないのだから。
日本に外国人観光客を呼び込む、COOL JAPANを発信する、そういったときにも情報発信のターゲットを絞り込むことにも失笑を買うような独りよがりの政策にならないようにするためにもカルチャーマップは応用できるかもしれない。
そうするとこの「異文化理解力」というのは今は8割の日本人には不要かもしれないが、仕事でもプライベートでも早々に身につける必要が出てくる技術となるのではないだろうか。
投稿者 dukka23 日時 2015年12月31日
この本では
「異文化理解
=相手の発言や行動の真意を理解すること
そして、自分の言動を相手がどう捉えているかを理解すること」
と定義され、各国の文化を8つの対立軸で評価するフレームワーク、
「カルチャーマップ」によってその理解への指針が表されます。
このカルチャーマップに盛り込まれているモノがすごい。
例えるなら、人事(?)組織系のコンサルティング会社が
3か月のワークショップで切り売りするようなレベルの
知識とノウハウと細やかな現場対応例が1800円で買えてしまいます。
これから思うのは、「やっぱり、人って分かり合えるかも」ということ。
多くの事例が掲載されていますが、国が違えば、誠意を持ってやっていることでも、
「失礼だ」と腹立たしく思われてしまうことがあります。
それでもこの本に出てくるビジネスシーンでは、最終的に和解し、ビジネスが成功しているのだから、
基本的には誠意を持って、一生懸命に仕事をしている、
性善説として語れる人がなんと多いことかと、うれしく思ってしまいます。
それぐらい異文化への理解はたやすく、ズレが分かればすぐに解消できるんだなあと前向きなことを思わせてくれます。
でも、一方で「やっぱり戦争ってなくならないかも」ということ。
例えば面積としてはそれほど大きくない、しかも陸続きの欧州でも、
細かい微妙なニュアンスの違いによって、ある振る舞いが、A国ではよくても、B国ではKYとなったりするんですね。
(この微妙なニュアンスの違いを説明する表現がこの本では素晴らしいのですが)
KYぐらいで済めばよいんですが、相手が思いっきり腹を立ててしまい、文化のズレを理解できないまま
「あの国の人間はおかしい。失礼だ」となったまま決裂することもあっただろうに、と思います。
これに人種間のいざこざが加われば、そりゃ世界大戦も2回も起こるでしょうな、
という感想が素直に出てきます。
一方で、この本に出てくるフレームワークを日常に、自分の生活にどう生かすかを考えると、
(帯には「日本人の8割にはこのビジネス書はいらない」とありますが)
夫婦の関係に役立つのではないかと思います。
評価の軸はまだ思いついていませんが、
カルチャーマップで、夫、妻の育った環境=それぞれの家の文化を明示する。
それをすることで、どこがズレていて、どこが同じ感覚かが一目瞭然。
ズレているところは、どうズレているのか、内容はどんだけ違うのか、を話し合ったうえで
どこで折り合いをつけるべきかを決めればよいと思います。
子供の教育方針から、食事の内容、重視する家族生活のポイントから、
バスタオル一回ごとに洗うかどうかや、靴は靴箱に収納するかよく使う靴は出しっぱなしにしておくか、などなど。
もしかしたら、つまらない夫婦喧嘩を60%カットしてくれるフレームワークになりうるかもしれませんね。
ただ、一つ難点が。
夫婦間カルチャーマップを作って話をしても、「それって普通じゃないよね?」みたいな発言が出てくれば台無しになるんですよね。
この発言って裏には「私のほうが普通でしょ」という無意識があるから。
いろんな文化が混ざり合って、普通の基準もないはずなのに、「自分が育ってきた文化が普通だ」と思う意識から脱出できていないんでしょうね。
こうなると、カルチャーマップも全然意味を持たなくなりますね。どれだけ違いを見せても、違いのズレを埋める方向には向かないような気がします。
ということで、 ビジネスであれ、日常であれ、
「普通なんてないんだ。人が違えば常識も違う!」
「だからこそ、言動となって表れてくるものだけではなく、真意をつかむ努力をしなければならない」
「表面上の言動だけで腹を立てて、話し合いをストップするのは愚の骨頂」
というような、気づきを整理しつつ、
昨日の夫婦喧嘩をどうやって収束に向かわせるかを考える年末からの投稿でした。
投稿者 mekiryoku 日時 2015年12月31日
異文化理解力を読んで
約72億人もの人間が生きている世界で、異文化と交わらずに生活することは不可能だ。今着ている服も、食べ物も、使っている道具も、この形になって自分の手に渡るまでに様々な文化の影響を受けた賜物である。しかし、いまいち異文化と接触した気になれないのは、留学経験もないまま学校を卒業し、昔ながらの日系企業に勤め、日本国内で日本人の人達に囲まれて毎日を送っているためだろうか。異文化を意識するのは、海外の支店への勤務になったり、研究発表会への参加者に抜擢された時だけだろうと思っていた。もしくは、海外旅行に行く数日間だけ、違う世界を楽しむために異文化を意識するものと考えていた。それで充分事足りていたため、今まで自分は異文化を認識することなく生活していたことに気がつた。
本書は、海外で仕事をするビジネスマンにとってはものすごく価値の高い1冊であると思います。しかし海外ビジネス未経験の自分にどう活かすべきか、そればっかり考えながらページをめくり始めた。
しかし本書を読み進めるにつれ、無意識に当たり前と思っていたことこそが自分の文化を形成しているバックグラウンド、外国人から見る「日本人」らしい部分なのだろうな~と感じた。そして、それはどのような部分なのだろうと気になり始めた。
そういう意識になり始めると、海外でのビジネスマン向きの事例が多く載っている本書も、少しずつ身近に感じ始めてくる。あぁそうか、日本人は言葉を額面通りに捉えるわけではなく、空気を読むことがコミュニケーションで重要な能力なのだ。そういえば、ランチタイムに同僚の女性が毎日、同じ部署の空気が読めない男性社員をボロカスに言っていたし、女友達が気持ちを察してくれない旦那の文句を言っていたのを聞いたことも多々ある。
そういった傾向は日本人の中でも特に女性に強いかもしれない。
「いついかなることがあっても、飲みに行った晩の会話は次の日に掘り返してはいけない」これって日本の文化だったんだ。何度この素晴らしい文化に助けられていたことか。
などなど、気にもならなかった出来事が、少し新鮮に思えてくる。ページが進むにつれ、目線が少しズレてきたのかもしれない。
これまでの人生で、何も考えずに受け入れていたことを改めて思い返してみる。日本人は発言内容より発言者は誰かということに重点がおかれたり、会議は話し合いの場所というより、結果報告会のようになっていたりする理由も鮮明になり、スッキリする。いったん思考が整理されると、場所によってどのような選択をするべきか、今までは感覚でなんとなく選んでいた言葉や行動が選びやすくなる。
こういった今まで考えなかったことや、新しい感覚に出会うと、思考を広げることの重要性をとても感じる。
著者の出身国であるアメリカが、相対的に図化したものでは中心よりに来ることが多いのは、様々な文化が入り混じっている歴史の浅い国だからだろうか。そんな日本よりはるかに多文化の集まったアメリカでも、全体として一つの人格のようなものを形成している。国の性格とは「歴史や文化からもよくわかること」である。それぞれ国民性を持っており、その国の文化教育を受けてきた人は、その性格を受け継いだ振舞いをする。国の文化や価値観の話なのに、それはまるでひとりの人間の性格の話をしているようだ。
自分と異なった人間とのコミュニケーションを円滑にするにはどうしたらよいか。という、違う人間であるがゆえに必ず生じる「見えない境界線」を取り除くエッセンスが、海外ビジネスの事例を通して多くちりばめられていた。
「ある文化にとっては建設的に見えるものでも、別の文化からは非建設的に見える」「衝突を取り除くには気づきとオープンなコミュニケーションが大いに役立つ」「ほんの少し言葉を変えるだけで大きな違いが出る」「柔軟性を身につけなければならない」「試して、失敗して、また試して、そうやって次第に能力が身についていく」
そして、「世界の文化が互いのことをどう見ているかを理解する必要がある」という言葉。異文化。自分とは違う部分の価値観を理解することはまず、自分自身を理解しなければならない。そうしなければどこがどう他と違うのか分からないからだ。自分の立ち位置を知らずに、相対的に比べることはできない。自分自身を知り、自分が教育を受けた文化を知り、その国の歴史を知ることが、異文化を理解する第一歩になる。
そして相手の文化を理解して受け入れることができる。お互いが理解し合うために必要なことである。
「文化の障壁を越えて自分の力を発揮したいと願う私たち全員に対して有効なものだ」とあるように、学ぶことによって、国内の企業に勤めていて海外と接する機会が皆無の自分でも、世界に飛び込む一歩になればと、付箋だらけの読み終わった本を眺めながら思いました。
投稿者 vastos2000 日時 2015年12月31日
本書を読み、(仕事面においては)現時点で自分は、『このビジネス書はいらない』グループに属するとわかった。そして、同じ文化的背景を持った人を相手に仕事を進めることは、いちいちコミュニケーション方法の背景を気にしなくてすみありがたい、と感じた。
もしも、異文化で育ってきた人たちを相手に仕事をするとしたら、日本はたいがいの指標において右端に位置することが多いので、左方向だけ気にすればよい点は楽だ。それに対し、中ほどに位置する国の人は、ある国の人を相手にするときは左、また別のある国の人を相手にする時は右、と左右どちらにも振れるということになるが、日本人は、程度はともかく一方向に振れていけば良いのはわかりやすい。
先だってのマクドナルドの使用期限切れ鶏肉事件から一連の異物混入問題の際のカサノバ社長の振る舞いがきわめて日本的な態度ではなかったこと、あのような事例が起こる原因も見えてくる。
本書を読むまでは、「アメリカも中国もイタリアも日本とは考え方が違う。ドイツとは時間に正確なところや几帳面なところは似ているけど、あんな観念主義は日本では馴染まないなあ。よく日独伊で同盟を組もうなんて思ったもんだ」などと、漠然と「違う・似ている」と感じていたが、本書では項目ごとに各国がマッピングされており、ある点では似ていてもある点ではまるで異なることを視覚的に理解できた。
すぐに異文化圏の人と接する見込みはないが、知っておいて損はない知識を仕入れることができたと思った。子どもたちも、世界史の流れを一通り学んだくらいのタイミングで本書を読むことを勧めたい。
投稿者 sakurou 日時 2015年12月31日
「異文化理解力」を読んで
本書はビジネススクールで異文化コミュニケーションを通じた組織行動論を教えるエリン・メイヤー氏が、グローバルに活躍するビジネスパーソン向けに、カルチャー・マップという異文化可視化ツールにより、異文化理解への一助とするものである。
本書でまず特徴的なのは監訳者である田岡恵氏のまえがきから始まる点である。
通常、監訳者はあとがきで出ることが多いが、読み始めるとまえがきで始まる理由がよく分かる。
まえがきには、グロービス教授である田岡氏が授業カリキュラムを開発中にたまたま英語版を読み、惚れ込んで翻訳を買って出たとある。異文化コミュニケーションという分野やカルチャー・マップというツールを学ぶのに最適という話はあるが、僕はそれに加えて、本書で取り上げられている内容について、KYや阿吽の呼吸等、日本人特有のコミュニケーションスタイルを非常によく捉えていて、日本人が読んでもとっつきやすいというのも理由にあるのでは、と思う。マイヤー氏は日本人のコミュニケーションをよく知っており、日本のコミュニケーションスタイルが度々取り上げられているのを見ると、本書が日本人向けに書き下ろされているかのように感じる。
ここで言えるのは、異文化とコミュニケーションを取るには日本人自らのコミュニケーションスタイルを客観的に捉えられなければ、異文化コミュニケーション以前の問題であるということだ。
P299にある各国のカルチャー・マップを見るとよく分かるが、日本人はハイコンテクストから始まり、極端な合意思考での決断、対立回避等、日本人なら誰もが納得するが他国と異なるコミュニケーションスタイルを取っていることが客観的によく分かる。その点を再認識し、この図を頭にいれるだけでも外国人とのコミュニケーションが円滑になるはずだ。
私自身、何度か外国人と仕事をしたことがあるのだが、こちらの主張を聞き入れず、自分の主張に固執するアメリカ人や自らのミスを決して認めようとしない中国人に悩まされた経験がある。個人的なものもあるのかも知れないが、こういう文化的背景の違いをよく知ることの必要性が益々高まっているように感じる。
本書の中で僕が一番興味を惹かれ、かつ実践が難しいと思ったのは5章の決断の部分である。組織として行動する上で方向性を決める、承認する等、もっとも重要なのは決断である。その決断に大きく影響を及ぼす合意について、本書では、章の冒頭で「合意は禁句」と厳しく戒める。大きな決断、小さな決断の話も興味深い。メンバー間でこの認識がずれると、あるメンバーは合意事項を蒸し返したように思い、逆の場合、いつまでたっても決まらないとイライラを募らせることは想像に難くない。この内容はチームの結束力に非常に重要な影響を及びすと同時に、各々の決断が大小どちらの決断かをメンバー間で認識を合わせておく必要がある。時間がかかる作業だが、この本のおかげで実践できると思う。畳水練にならないよう、その時に備えておきたい。
本書のメインであるカルチャー・マップに示された、フィードバック、スケジュール等、組織運営上、考慮すべき事項について読み進めるうちに、あることに気付く。本書で書かれているような、フィードバックの伝え方を気になければならない人、時間にルーズな人、そういう人はどのチームにも1人はいるのではないだろうか。ということは、これはグローバル企業向けではなく、どんなチームでも役立つということだ。
そう考えると、本書は別にグローバル企業に勤務する人でなくても十分役立つ。もちろん、どの企業でもグローバル化は避けて通れないものであり、誰でもいつどういう形で外国人と仕事やプライベートでも付き合うことになるか分からない。その上でも本書は非常に重要と考える。
少しずれるが、僕が好きな言葉にThink globally, Act locallyというのがある。元々は世界レベルで考え日常レベルで行動すべし、という意味の言葉だが、グローバル企業に勤務する人はもちろん、そうでない企業に勤める人でも、本書の内容を学び、日々の行動で実践すれば、チームのコミュニケーションは少しでも円滑になるのではないか。
2015年の年末にこのような仕事の基本に立ち返るような本を読めたのは幸せだった。
来年はまた様々な本に触れ、新たな世界に思いを馳せられるよう、また課題図書活動を進めていきたい。
投稿者 diego 日時 2015年12月31日
今を遡ること30年程前、エスペラント語の集まりにて
こんな話を聞きました。
別々の国の2人が、エスペラント語(世界共通語をめざした人造語)学んで、
エスペラント語で文通をしていました。
お互いに、お互いの国に憧れを持っていて
もっとよく互いの国のことを知りたい、理解したいと思っていました。
そんな中。相手のことを思って、
ちょっとしたプレゼントを同封しました。
「つまらないものですが」と書き添えて。
受け取った方は、「つまらないなら贈らなければいいのに
どうしてそんなことをするのだろう」と思ったそうです。
そのことがきっかけで、一時文通は途絶えました。
ですが、それは文化や習慣の違いであったのです。
それをお互いが理解し、また文通が再開されました。
このエピソードを聞いたとき
自分たちにとって当たり前のことが、他の国では
違う意味になること
誠実に相手を思うことはできても、表現することはできても
相手がそれを理解して、受け入れてくれるかどうかは
実際やってみないとわからないだけでなく
相手を傷つけることもあるのだということを
知りました。
今月の課題図書を読み、
ある明確な指標が、たくさんの人々の
これからを明るいものにしてくれるように感じました。
例えば、本書の「ハイコンテクスト」という概念の中で
日本人の「空気を読む」能力が登場します。
この能力を持つ教育を受けてきたことに
初めて歓びを感じました。
日本人は気を読むんですね。
言語や身振り手振り、表情や姿勢だけでなく
気を読むための教育を受けている。
しかもそこに「空」がついている。
まずはそのこと、
自分自身のことを理解した上で、
様々な国の志向を知り、深く理解ことで
人生はますます豊かになっていくように思いました。
国レベルほど極端ではなくても
私のまわりの人たちを見て
理解しよう、通じ合おう、も
真似してみようとすることでも
きっと新しい能力を得ることが
できるのではないかと思っております。
ありがとうございます!
投稿者 2l5pda7E 日時 2015年12月31日
201512 課題図書
「異文化理解力」を読んで。
帯に佐藤瑛人さんの言葉で「残念ながら日本人の8割にこのビジネス書はいらない」と
書かれていました。
私は仕事では英語を使わない為、8割に入るかと思いますが、読んでいて面白く
勉強になった部分がありました。
私は仕事上やプライベートで、同僚や友人から空気を読みすぎだと言われます。
ほかの人からすれば余計なことを考えすぎているようです。
ハイコンテクストの度合いを、日本人の中でもヒストグラムにしてみたとき、
私は属するのは、きっと分布の上方ではないかと感じました。
さらにハイコンテクストかつ間接的なネガティブフィードバックの項目は、まさに私のことです。
メッセージをボヤかして曖昧に人に伝える事が多かったため、またその様な癖から抜け出せていません。
学生時代にオーストラリアに留学した会社の後輩のしゃべる言葉は
直接的に感じました。
妹もオーストラリアに留学して、内気だった性格がおおらかな性格になって
帰ってきのを思い出しました。
私も今からでも遅く無い、全てをリセットして留学したいなぁ、
と考えておりますが、中々難しい状況に自分自身で追い込んだ状況になります。
良き書をご紹介いただきまして、誠にありがとうございました。
投稿者 tractoronly 日時 2015年12月31日
異文化理解力――相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養 を読んで
本書はビジネスにおける各国のアプローチやスタンスの違いが紹介されているが、他国との比較により自身を始めとした日本人というものを客観的にとらえることができたのはとても面白い感覚で、下手な日本人論よりも腑に落ちる内容だった。
その日本人論の観点に着目すると、やはりというか各指標で両極端かそれに近い評価となっていて、アジアの中でも特に日本人は理解に苦しむ人種だと、世界から奇異な目で見られても仕方のない結果だと感じた(ニュアンスは違うもののその意味では中国人も同一)。
もちろんいい点も多分にあるが、過去の課題図書「(日本人)」でユートピアにもっとも近い位置にいると分析され、悪く言うとその平和ボケしたマインドは、海という天然のバリケードに囲まれ、長い間鎖国にあった影響が今でも色濃く残っているためだと考える。本書のオビの「残念ながら日本人の8割にこのビジネス書はいらない」という皮肉は、悔しながら事実であり、その通りだと言わざるを得ない。
大震災以後、日本人身内礼賛の記事や、逆に個人都合を優先したとか思えない支配層への罵詈雑言が世の中に溢れている(コミュニケーション編セミナーでの教えを逆で行く考え)。何かアイデンティティを見失ったかのようなこの動き、世界からどう見られているのか。一度各個人が考えてみてもいいのではないかと思う。
その意味でも「残念ながら鎖国マインドの8割の日本人のために、この本は絶対に必要」ということを提唱したい。
もちろん、本来の文化という意味では食文化をはじめ、民族文化、伝統文化、芸能文化など枚挙にいとまがなく、何らかの手段で補完は必要だが、異文化と最初にかかわるのは経済活動を通じてという人が多いのではないだろうか。
これから日本国内の経済は徐々に衰退し、数年後にはTPPも始まり、ゆくゆくはこのカルチャーマップが必須の前提知識となってくる時代が来る。留学経験者や旅行好きな人を別にするとビジネス以外で鎖国マインドを払拭できるのはほんの一部ではないだろうか。
だから、異文化というものに対して免疫がなくても、他の文化と距離ができやすい日本の文化との差を楽しみながら接して行けばいいのではないかと思う。
「私たちはみんな同じで、みんな違う」のだから。
以上。
追伸。
末筆ながら本年も課題図書を通じて、しょ~おんさんには自己研鑽の場を頂き、投稿仲間のみなさんには場を盛り上て頂き、大変お世話になりました。そのおかげで自分自身も頑張る事ができました。
来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
投稿者 6339861 日時 2015年12月31日
グローバルビジネスにおいて、多国籍・多文化的チーム形成をするにあたって、落とし穴を回避する有益な方法が理解できた。
具体的に8つの指標ごとに異文化でのコミュニケーションの相違を事例を使いつつ、対処策まで書かれており、非常に参考になった。
さらに欲を言うならば、異なる文化の強みを組み合わせて、今までになかったモノを生み出すイノベーションについてもリサーチしてくれるともっともっと興味深い内容になったであろう。
この本では、少しだけこのことについて触れているが、もっと具体的な例示があれば、もっと読んでみたいと思うだろう。
環境、歴史、文化の違いは、物事の考え方、コミュニケーション方法にも大きく影響を与える。
異なる文化を持つ人々がコミュニケーションを図るとき、この本で紹介されている
【カルチャーマップ】があれば、無駄な誤解を回避することができるであろう。
というかコミュニケーションは、ビジネスだけでなくどんな場面でも最重要なものである。
で、あるならば、コミュニケーションを円滑にし、目的を達成するためには、特にグローバルビジネスを
展開する企業であればあるほど、文化の差異を把握してそれに対する対策を講じるという発想は極めて重要になる。
この【カルチャーマップ】が秀逸なところは、国別に相対関係が見えるよう各指標を可視化しているところである。
たとえば、ローコンテクスト/ハイコンテクストの図を見れば、ある国のコミュニケーションが別の国と比較して、ローコンテクストORハイコンテクストかが一発で分かる。
もし、世界各地で仕事をするマネージャーであれば、異国の部下とコミュニケーションを図るのに、これほど便利なツールはないであろう。
なぜなら、ある国の水準がどの程度かは、比較して初めて高いor低いと判断できるものであるが、この図を見れば比較する国の位置関係で、それが瞬時に把握できるからだ。
しかし、面白い事にこの本の帯にも書いてあるとおり、「残念ながら日本人の8割にこのビジネス書は
いらない」のかもしれない。・・のかもしれないという書き方をしたが、私は本音では、【そうではない】と思っている。
まず、このカルチャーマップを参考に、日本の強み/弱みが把握できる。
そこから立てられる戦略としては、
1.日本人が最も得意とする関係ベースの仕事重視の国での事業展開
この本では、新興国BRICにおいて関係ベースのコミュニケーションが有効ということであるから、
日本人には、機会となりうる。これらの国(BRIC)はハイコンテクストという指標でも日本と親和性 が高い。
2.日本人になじまないトップダウン方式やタスクベースの国については、両方の文化になじみのある
人材の配置や 現地文化と日本文化の橋渡しをしてくれるエージェント(コンサルタント)雇用
などが考えられる。
次に、
1.日本に外国人がやってきて、日本人がマネジメントするパターン
2.日本人が海外進出し外国人をマネジメントするパターンの
2つを考えてみる。
これから、かつて経験したことがない少子高齢化時代に進んでいく日本において、外国人の受け入れが進んでいく可能性がある。
すでにコンビニや吉野家などでも流暢に日本語を話す黒人の店員を見かけるようになってきた。
日本とそれ以外の文化の違いを説明する資料として、【カルチャーマップ】が使えるようになる日が来るかもしれない。
コミュニケーションでいえば日本は世界でも最高にハイコンテクストな文化を持つ国なので、対策はハイコンテクストな方向に指導することになる。
そして、関係ベースのコミュニケーション、平たく言うと仕事以外でも飲みに行ったり、一緒にカラオケで歌って仲良くなることで、日本の仕事のやり方になじんでもらうようになる。
外国人にこのことを理解してもらうため、この本を要約した小冊子を配布してみるのも面白いかもしれない。
ここまで丁寧に文化を説明し、実践してくれる企業があれば、もし本人が日本国内で転職しても次の職場になじみやすいであろう。
反対に日本人が海外へ進出し、マネジメントするときはどうなのか考えてみる。
日本人はハイコンテクストで、阿吽の呼吸とか、行間を読むといった言葉があるが、他にも「郷に入れば郷に従え」という言葉も持っている。
日本人であれば、環境の異なる異国の地で最初はとまどうことがあっても、時間とともに周りの文化を把握し、それに柔軟に合わせていくことができるのではないだろうか。
そんな日本人にとって、この本は答により早く到達するための有力なショートカットツールになるだろう。
またせっかくだから、この本に書いてあることを日本国内で、日本人相手に行うビジネスに生かすことも考えてみたいと思う。
私をはじめ、ほとんどの日本人がそういうビジネスを行っているからである。
私は営業の仕事をしているせいか、自然に相手のタイプに合わせてアプローチ方法を変えている。
・自分の主観中心で、あまり人の意見を聞かないお客様
・じっくりと複数の提案を吟味してから、採用すべき商品・役務を選定するお客様
・上司を説得するため、品質・価格・期間、費用対効果等をロジカルに吟味する客様
・自分の思いを適切な言葉にすることが苦手だが、求めるものについては明確なお客様
など、日本人といっても実にいろんなお客様が存在する。
この本では、文化の違いは、組織や、業界や、職業や、集団の違いなどを伴い、また個人ひとりひとりの性格も異なり、これがお互いの理解の障壁となることも当然に認めている。
しかし、だからこそ、文化の違いを無視すると失敗の落とし穴に嵌ると警鐘を鳴らしているのである。
では、グルーバル企業ではなく事業活動を日本国内に限定した企業の場合は、この本の内容をどのように
活用すればよいのか考えてみてみたい。
日本でも西日本と東日本のように多少の地理的文化の違いや価値観の違いはある。
しかし、どちらかというと企業的文化から受ける影響のほうがはるかに大きいと感じる。
外資系企業と公共機関、あるいは大企業と小規模企業ではあきらかに仕事に関する考え方、やり方が異なっている。
顧客企業ごとに、「カルチャーマップ」を作成して、営業戦略の参考にすることも可能であろう。
顧客が公的機関であれば、関係ベースのアプローチは比較的難しい。
逆に民間企業であれば、日本的な関係ベースアプローチ、べたにいうと飲み会やゴルフ、ボーリング、カラオケなどのいわゆる接待が有効であることは、言うまでもない。
スピード感でいうと、大企業が稟議制度で意思決定までに時間がかかるのに対し、小規模企業では社長の一存でどんどん決定していくので、スピードが速い。
営業でプレゼンテーションを行う際にも、顧客ごとに進め方に気を使うことが多い。
この本でいう【説得】の指標の違いである。
日本の文化は、総じていうとこの本のとおりアジア的な包括的思考なのかもしれないが、近年は
戦略論やマーケティング、ロジカルシンキング、ラテラルシンキング、等々アメリカ的な思考法や
実践方法が多数導入されていることから、ビジネス上アメリカ的なアプローチが有効な意思決定者や
昔ながらの稟議制度のように日本的意思決定が根強い会社など、企業、あるいは個人ごとにお客様の性格や考え方は千差万別である。
お客様の意思決定経路も顧客毎に異なるし、人事異動で意思決定者も定期的に変更になる。
そのようなときに適切なアプローチ方法を考えることが営業職には求められる。
相手がアメリカ的な応用優先的な思考で、結論から説明されるのを好むタイプであれば、先に提案内容から話し始め、成功事例と効果を紹介したあとに、その理由や根拠を説明する。
反対に、ドイツのように原理優先のお客様の場合は、まず概念的・一般的な話から初めてそれがお客様の
実際の環境に照らしてどのように問題解決していけばよいかを提案していく。
そして、プレゼンの場ではお客様は複数人いる場合がほとんどである。
そのとき、いわゆるキーマンを見定め、その人に合わせた提案方法を組み立てることが求められし、その他の人も飽きさせないよう原理と応用の説明を行ったり来たりする構成が有効であろう。
それがうまくいけば、一匹オオカミ的気質で、暗黙知がなかなか形式知に変換できない営業のような職種でも営業のアプローチ方法や、プレゼンテーション方法についてもカルチャーマップのような指標を用いて可視化することができる可能性は十分ある。
会社のトップが自社の顧客特性を把握したり、人材育成研修などに応用できるだろう。
ということで、日本でビジネスを行う私は、8つの指標を今後の営業活動に反映してみることにする。
投稿者 chaccha64 日時 2015年12月31日
「異文化理解力」を読んで
今まで、日本人の仕事に対する態度、時間間隔などは特殊だとよく言われているので日本だけが特殊なものだと考えていました。ところが、この本を読むと、そんなことはなく、各国それぞれが特殊なものの考え方、姿勢、対応をしていることがわかり、目からうろこでした。
これは、それぞれの文化の違いによって出来上がったものである。それは、環境、政治、教育がなせる業だということ。それにより、価値観、対応方法、考え方が違ってくること。そして、そのために人間は自分の価値観が当然のことだと思い、それで他人を判断してしまい、自分の価値観で行動してしまうこと。それが当然の行動であり、正しい反応だと考えて。ところが、文化が大きく違うと、つまり国が違うことで、価値観が全く正反対になってしまう。正しいと思われる行動、反応が間違いになる。
そのために、多国間のグループでビジネスを行う場合、カルチャーマップを作成し、心理的な壁があることを認識し、文化的な偏見をなくし、相手の考え方を理解するようにする、その上で、初めにビジネスの進め方を合意しておくことを説いている。
実例もわかりやすく、対処方法も納得のいくものでした。しかし、現状、そして近い将来このような環境になるようなことはなさそうなので、関係ないのかなと思います。
しかし、身近なところでも、これほどの違いはないにしても同じようなことは起こっているのではないでしょうか。国内でも、会社が違えば考え方、やり方も違います。また、地方によっても少しずつ考え方も生活様式も違います。もっと身近なところでは、夫婦の間でも違いがあります。結婚するまで別々の家庭で少なくても20年以上別々の環境で生活をしてきているため、違った生活、やり方をしています。食事の盛り付け方(大皿にすべて盛り付ける、小皿に分けるとか)、お風呂の後のバスタオルの使い方とか。そういう意味で、この本は国家間のビジネスという観点だけでなく、身近な人間関係という観点を考えながら読んでも面白いと思いました。
投稿者 magurock 日時 2015年12月31日
『異文化理解力』を読んで、ああ、こんなに多くの国のビジネスマンが、他国に歩み寄ろうとしてくれているんだ、となんだか嬉しくなった。よく「日本人の意見の曖昧さにあきれる」とか「日本の仕事の進め方は非効率だ」なんて批判されることが多いので、あちらさん(特にアメリカ人)は責めるばかりで、自分たちの方に合わせさせるというイメージが強くあったからだ。
ふと、以前勤めていた会社にいた、英語が堪能なことを鼻にかけている同僚が頭を過ぎった。
「日本人もアメリカ人のように思ったことはハッキリ伝えなくては」、「正しい意見なら、どんな言い方をしようが関係ない」というのが口癖だった彼女は、当然のごとく上司にも仲間にも嫌われていて、すべての提案は頑固で威圧的な専務に通さなければいけないルールがあった部署の中では、彼女の意見が取り入れられることは非常に少なかった。
そんな空気を「皆が優秀な自分に嫉妬している」と捉えていた、アメリカナイズもどきに毒された彼女に本書を読んでもらったら、異文化を理解することの大切さに気づいてくれるだろうか。
いや、たぶん無理だろう。こういったことを素直に取り入れるのにも、知性と客観的な視点、そして思いやりが必要なのだ。
本書のサブタイトルには「相手と自分の真意がわかるビジネスパーソン必須の教養」とありながら、帯には「残念ながら、日本人の8割にこのビジネス書はいらない。」とある。
確かに本書で得るものは、私の仕事にも直接的な関わりはない。でも、こうして自国の特徴を客観的に見たり、他国の文化が行動に影響を及ぼしていることを知るのは、決して意味がないことではない。これは地政学にも通ずることで、こうした視点をインストールしておくことは、すべてのコミュニケーションで役に立つだろう。
柔軟に、臨機応変に、相手の立場に思いを馳せて理解しようとすることが、対人関係の基本なのだということを、本書は教えてくれているのだ。
そしてこれは、和の心の真髄でもある。
こういった意味でも「日本人の8割にこのビジネス書はいらない」というのは真実かも!?
とはいえ、やはり知識は必要で、和の心を持った日本人が異文化理解力を身につけたら、鬼に金棒だ。
最後に、本書の著者であるエリン・メイヤー氏は、さまざまな国の特徴をよくこれだけ調べたな、と感心するが、ひとつだけ引っ掛かるところがある。
それは、インドのホテルマンの道案内のくだりで、メッセージをほのめかして伝える国に日本も括られているが、日本はお節介すぎるほど親切な道案内をすることを、日本を訪れた外国人がうるさがるほどの電車内のアナウンスからも窺える。
でも、これも逆にわかりにくいということなのかなぁ……
投稿者 morgensonne 日時 2015年12月31日
「異文化理解力」を読んで
今まで文化の違いといえば、なんとなく日本人は他の国に比べて曖昧な表現を多く使うというような認識を持っていました。この本は具体的に8つの指標を使って各文化の位置関係を示すことで日本人に位置づけが客観的に見ることができたと思います。
私も含めまだ日本では日本人だけでビジネスをしている人が多いと思います。その意味で本書の帯にある通り、まだこの本は必要ない人が多数かもしれません。
しかし、世界の中で日本が競争力を持つためにはこの本を読んで他国の文化を知りそれをビジネスに活かしていくことが今まで以上に必要になっていくるでしょう。同時に、日本人はもっと日本の特徴を知りそれを世界に発信していけるようになる必要があると思います。そういった意味でも、本書で日本の文化の外から見た目を知り、そして世界の文化の概念を知ることができるのは貴重かと思います。現実には文化だけでなく、各個人の個性も加わり、もっと複雑になるかと思います。まだ日本人だけの環境で働けることを幸運と思い、いつか来るグローバルな環境への備えになったのではないかと感じています。
今回も私個人では見つけることができないような興味深い本を紹介いただきありがとうございます。
投稿者 BruceLee 日時 2015年12月31日
「異文化理解力」を読みながら思い出した、個人的な体験談を2点紹介したい。
1点目は現在の会社での話である。自分は某外資系メーカに勤めているのだが、本社がある米国
よりもアジア地区(APAC)の統括である、香港とのやり取りが多く、日本メンバーは日本顧客と
香港との間でビジネスを進めるのだが、そのやり取りはどうしてもメールか電話がメインになる。
また担当が細かく分かれており、しばしば会った事も無い相手(容姿や性格は勿論、時には性別
も不明な場合もある)とコミュニケーションを進める事もある。
ある日、自分が新たに担当する事になった顧客の案件で、ある商品の出荷履歴と価格の確認が
必要になり、香港の担当者(名前から女性である事だけは分かった)と連絡を取った。そして
メールで何度かやり取りが始まったのだが、価格情報が曖昧だったので、何故そのような回答に
なるのか率直に聞いてみた。その問いに対するレスは以下であった(ほぼ原文)
「To be honest, I pick up XXXX(日本の顧客) just recently like you. I used to take
care of China and Korea business only. For Japan, the sales before you were YY-san
(前任の営業担当), she has told me very very very limited information before she left.
So I am not knowing much better than you…. I don’t know why YY-san use such prices too. Besides, I think those are sample price, Mass production price should be different」
なるほど、丁寧な引継ぎも無いまま前任者が去り、ドサッと仕事振られてストレス半端無いのは
文面から読み取れた。外資系では(日系でも?)良くある事だし、自分も同じ様な状況だったの
でも彼女の気持ちは良く理解出来た。そこで自分の過去経験から、まずはお互いの状況理解が
必要だろうと感じたので、自分からは以下メールを出してみた。
「I can understand what you mean because I’m in totally same position (www.
Therefore, please be frank with me, I mean if I ask you anything and in case
you don’t know, please just reply like that, because I also don’t know how
much you know. If I find you don’t know, I can go to next stage to find
someone else who may know. Of course, if you know, please answer. Let’s keep
communication like that way」
尚、誤解無きよう書くが、自分は仕事においては社外は勿論、社内でもメールのやり取りに
「www」とか「(笑)」、その他顔文字等は一切使わない。が、この時ばかりは打ち解ける事
が重要だと感じたので敢えて入れてみたのだ。これでどんなレスが来るのだろう?暫くして
以下レスが返ってきた(完全に原文)。
「ありがとうございます おこられると思いました ハハ
そうですよね、素直に話したほうがいいですね
今度いつ香港に来ますか?ゆっくり話しましょう」
なんと、日本語でメールが返って来たのだ。その後のやり取りで分かったのだが、彼女は日本語
を勉強してるらしく、また「ハハ」から想像出来るように一気に雪解けの感じになり、この後の
コミュニケーションはスムーズに進み、お互いの間にあった壁が取り払われた感じがした。
2点目は、かなり昔の話だが、自分が某日系企業に勤務していた時の事。ある顧客と契約締結が
必要となり、社内の法務担当者を探り当て、まずは状況説明のため、情報を整理してメールを
送った。その法務担当は女性だが面識は無かったので、自己紹介含め極々普通のメールを送った
つもりだった。が、彼女からのレスには法務部門の他メンバーと思われる人間がやたらccで入って
おり、そのメールはこう始まっていた。
「私はあなたが何をしたいのか全く分かりません!」
はああああああああああああああああああああああああああああああ?
な、何なんだこのクソ女は?お互い面識も無いのにいきなりこういう返しは無いだろう。 それに
やたらcc入れやがって、(当時は知らなかったが)これじゃ「異文化理解力」でも日本のビジネス
文化では最もやっちゃイケナイとされてる、皆の前で罵倒してるのと同じじゃないか!あ~腹立つ!
ぶっ殺してやりたい!と、まだ青かった若き日の自分は思ったものである(笑)
以上の2点なのだが、実際の話である。で、何が言いたいかと言えば、本書では異文化とは、国が
異なるが故に生じる文化的差異がベースに書かれてるようなのだが、日系でも外資でも、数年の
経験でも持つ自分からすると、確かに土台としてそれはあるにしても、その上には国の違いなど
関係なく、純粋に相手を思う気持ちとか、気遣いとか、基本的に人としてどうなのよ?的な部分
が問われる段階が国レベルを超えて存在し、分かる奴は分かるし、逆に言えば分からない奴は同じ
日本人同士でも分からない部分があるんじゃないの、と言う事なのだ。結果、何通かのメールで
分かり合える香港女性もいれば、殺したくなってしまう日本人女性もいた、という事で(笑)
これ、転職(特に外資系)を体験してる人なら理解して頂けるのではなかろうか?
転職先の文化(ルール、スピード感、上下関係、マナー等含む)に慣れるまで、戸惑い、困惑、
或いは苦労と、どう呼ぶかは別にしてもその種の経験を皆持っていると思われる。「前の会社
では○○だったんですけど」なんてのは全く通じない世界で、つまりそこでは新しい会社の文化
に自分を合わせるしか道は無い。その点から感じたのは、実は本書が一番有用なのは外資系で
働く人でも、英語を使って 働く人でもなく、日系企業1社のみで働き続けている人かもしれない
という事だ。何故なら、本書でもかなり日本のビジネス文化に触れられているが、これは日本の
ビジネス文化が、世界からしたらそれだけ異質な証でもあるのだ。自分も外資系に勤め、日系
企業を顧客に持つ立場になると、自分が日系企業にいた頃は当然に思っていた、稟議書、根回し、
飲みニケーションは外国人からすると奇妙なんだな~と気付かされた事がある。そして、本書に
出てくる、プレゼンをやる前に結論は出ていた、と言う話のくだり、日系企業には大いにアルアル、
で大きく頷いた反面、この文化を知らない外国人上司にこれを理解して貰うのは大変だろうなぁ、
と感じたのだ。
*幸い、現在の外国人上司は日系企業との付き合いが長いので、この点は理解してくれている。
その日本のビジネス文化が、世界からすると異質である事に一番気付きにくい人たち、それは
実はその中で働いてる日本人自身ではなかろうか?とは言え、今日では日系企業もある程度の規模
ならばグローバル化を図ってるだろうから、外国との取引が生じたり、外国人社員がいる場合もある
だろう。その時にどう接するか?が社員一人一人に問われる事になるのだから。
そしてもう一点感じたのは、この異文化理解力って日本人同士でもフツーに問われてる 時代になり
つつあるんじゃないか?という事。それは例えば、定年後に何処かに移住してもその地域の人たちや
文化に馴染めず、数年で元の場所に戻ってしまう人。また商品購入後のサービス対応が悪いと言って、
店員を叱りつける老人クレーマー。恐らくその人の価値観や所属していた社会人経験を基に「こうで
あるべき、これが正しい」という感覚が身に付いてしまっているのだろうが、そうではない世界が
同じ日本に存在しているのだ、という事を理解出来ない、また理解する努力もしないの姿勢に問題が
あるでのではなかろうか。だとすれば、そんな事が問題の要因になっているのは大いなる不幸であるし、これぞまさに、この異文化理解力の欠如から生じる事態ではなかろう?
日本はこれから高齢者が増える一方の国だ。会社員として働いてるうちは良いが問題はその後の
人生で、皆「○○社で○○(部門と役職)をやってます」が通用しなくなる日は必ず来る。
その際、自分が知ってる文化が全てではない事、そちらの方が合理的で、素晴らしいかもしれない
が、そうではない世界がある事、いや、そもそも自分が知ってる文化なんて、それ以外と比較したら、
ほんの小さな狭いエリアでしか通じない世界であり、つまり殆どの人と自分の文化は違うモノなのだ、
くらいの認識を持っておいた方がよい事を教えてくれる本でもあると感じたのだ。定年後、元気で
健康なのに周囲と合わせられないが故に老後の引き篭もり、では寂しすぎるではないか。いや実際、
そういう人を自分は何人か見ている。だから、それに対応するためのヒントが本書にある事に気付
いた。
「自分を下の立場に置くと、相手のメッセージを受けて取れない落ち度を認めると同時に協力を
求めることができる」
これ、つまり「実るほど 頭をたれる 稲穂かな」って事だろう。幾つになっても、どんな立場に
立っても謙虚でありたい、そう感じた本でもあった。
最後に、今年も一年この場で多くを感じ、学ばせて頂き感謝しております。有難うございました。
来年もまたよろしくお願いします。
以上
投稿者 andoman 日時 2015年12月31日
「異文化理解力」を読んで
15年ほど前、SE時代に客先の取引先の関係で、アイルランドのエンジニアと仕事をした事があり、日本との違いを大きく感じた事がある。
それは働き方のスタイルと、ミスを犯した時の行動だ。
当時の私は、日本では、成果に対して残業や徹夜をしてでも守る事が常識と考えており、ある意味それは世界でも同じだろうと思っていた。
しかし、仕事で関わりのあったアイルランドのエンジニアはそうではなかった。
相手は自国にいて、メールでのやりとり等には、商社の営業担当が間に入り、直接コミュニケーションを取る事はなかったが、彼らの状況は見えていた。
彼らは定時になると、進捗が遅れているにも関わらず即帰宅しており、その遅れが日本側にも飛び火していた事もあり「なんて無責任な奴らだ!!」と怒り心頭だったが、後に彼らは自宅で家族で食事をした後、書斎で仕事をしている。と聞いて驚いた。
日本では仕事を家に持ち込まないのが当然の事であると考えていたからだ。
また、問題が発生した時にも、個人のミスを認めない点も日本と大きく違った。
システムの設定変更をするマニュアルを作成して、英訳し現地にメールで送付した所、設定通りに動かない。と返答が来た。
日本側で手順を繰り返し検証をして渡していたのにも関わらず…。
試しにもう一度、マニュアルの最初からトライする事を依頼した結果「いつの間にか勝手に起動した」という回答が…。
どう考えても、担当者の設定ミスは明らか。
それでも、それを認めない。
日本であれば、他人のせいでも自分のミスとしてかばうケースもあるが、彼らの場合は「ミス=評価が下がる=クビ」という絶対的なルールがあるため、ミスを認めない事をその時に知った。
バグについても、日本では出ないのが当たり前。という考えだったが、アイルランドでは、バグは出て当たり前。
という大きな考え方の違いがあった。
海外のエンジニアと仕事したこの経験が、それまで「仕事の常識」と考えていた、様々な概念が崩れた。。。
本書を読んで、この事を一瞬で思い出した。
『国が違えば文化が違う。』
これを過去に経験していたため、本書の話に出てくる事例やコミュニケーションが上手く行かないという内容に「あ~。」「だよね~。」と共感する部分が多々あった。
本書では、様々な国の文化によって、習慣や考え方が違う事を図と事例で説明していたが、日本国内、同じ地域の人間同士でも、異なる時はある。
例えば、ネガティブフィードバックの方法一つにしても、日本は間接的が良いとされているが、人によっては直接的に伝える方が良い場合もある。
リードにしても、階層主義でもありつつ、メンバーによっては平等主義なケースもある。
人は育った環境によって、考え方が違う。
民俗単位では、過去の課題図書にあった「世界史で学べ! 地政学」を読んだ結果その辺りは頷ける。
本書の場合は、国ごとに一般的という立場で語られており、納得できる部分が多いと思うが、最終的には、全てのパターンを把握し、同僚や取引先との関係で、機転を利かせて相手によって、都度対応を変える事が理想と考える。
今後はこの事を意識して、会議やプレゼンに対応して行きたい。
今月も素晴らしい図書をご紹介いただき、ありがとうございました。
投稿者 gizumo 日時 2015年12月31日
「異文化理解力」を読んで
タイトルからすると「自分にはあんまり関係のないテーマだな」と思いなかなかスタートがきれない課題図書だった。
著者の経歴からするとこんな“仕事”もあるんだと驚きも感じつつ読み始めると、今自分が向き合っている課題がまさにこれだ!!と感動した。
職場での異動を経験し、業種が変わったという前提を抜きにしても、あまりにも“文化”が違いすぎるのである。環境が違うと考え方や行動が違うとは頭では理解できているが、やはりなかなか考え付かず、「どうしてうまくいかないのか・・・」とひとりあれこれ悩んでいるばかりであった・・・。
同じ、国と地域でそれくらいの違いがあるのだが、ましてや地球規模で仕事をするとなればやはり想像以上の違いが生まれるのだろう。
年齢や性別でも違いが出て、さらにその人の性格そのものが加わればバリエーションは無限大だと。
やはり、コミュニケーションは大事だなと痛切に感じたことと、やはり双方が居てのコミュニケーションであり一人での解決はできないのだろうと思われた。
2015年の最後に現状の課題に光がさしたようで、2016年の明るい展望を確信できた一冊でした。ありがとうございました。
投稿者 ken2 日時 2015年12月31日
「異文化理解力」を読んで
まず思い浮かべてしまったのが、アメリカ人芸人「厚切りジェイソン」だ。
「ワーイ、ジャパニーズ、ピーポー("Why Japanese people...?")」を決まり文句にし、カルチャーギャップを笑いのネタにしている彼は、少なくともアメリカと日本の違いを熟知している。
この本で紹介されている事例は2国間にとどまらず、多文化間(われわれ日本人が「欧米」とひとくくりにしがちな国々)についても詳細に調査、分析され、解説されてところが面白い。
「ハイコンテクスト/ローコンテクスト」や「階層主義/合意主義」などさまざまなマトリクスにおいて大きく異なっている。
まるで、有名な船のジョーク(下記)の詳しい解説版のようだ。
「ある豪華客船に火災が発生した。船長は、乗客をスムーズに海へ飛び込ませるために、
イギリス人には『紳士はこういうときに飛び込むものです』
ドイツ人には『規則では海に飛び込むことになっています』
イタリア人には『さっき美女が飛び込みました』
アメリカ人には『海に飛び込んだらヒーローになれますよ』
ロシア人には『ウオッカのビンが流されてしまいました、今追えば間に合います』
フランス人には『海に飛び込まないで下さい』
日本人には『みんなもう飛び込みましたよ』と伝えた。」
番外編で、大阪人には『阪神が優勝しましたよ(笑)』と伝えた、なんてのもある。
国を県に置き換えて日本の中で「異文化理解力」という分析をしても面白いと思った。
ただ、こういった分類・分析には、傾向を示すことが重要だが、ステレオタイプに陥らないことも重要と思う。
絶対的な指標ではなく「すべては相対的」というのも重要なポイントだ。
最後に、
272ページから書かれている内容で、著者がブラジルで行なった講演時間に関する「時間の概念」の相違は興味深い。
「良い顧客サービス」が時間通りに行なうこと、なのか、盛り上がっているから時間を延長すべきなのか、とらえ方がまったく違うので。
たとえば、自分が好きなアーティストのコンサートがアンコールで時間オーバーしたりするのは歓迎だが、自分がサービスの送り手となった場合についてはどうすべきなのかとても考えさせられる。
今年も1年、さまざまなテーマでさまざまないい刺激をいただきました。ありがとうございました!
投稿者 jawakuma 日時 2015年12月31日
『異文化理解力』を読んで
“外国人とのコミュニケーションは難しい”言語以外の文化面においてもこの点はステレオタイプとなっています。しかし、その内実何がどう難しいのか?については、少なくとも私の周囲では各個々人のケースの体験談か、比較的やり取りの多いアメリカ・中国などの諸外国の国民性以外はひとくくりにまとめられてしまっている感があります。みなさんの周りでも“外国人だからしょうがない”その一言で済ましてしまっているのではないでしょうか。本書を読みその概念が根本から揺さぶられました。
2国間の関係だけでも十分理解が難しいのに、多国籍企業などは本当にどんなことになっているのでしょうか。究極の例はやはりスペースシャトルなどの宇宙を訪れるチームのコミュニケーションでしょう。危機管理はもちろん、円滑なコミュニケーションでミッションを遂行しなければなりません。そこで日本人がなかなかリーダーになれなかったのは本書でかかれている文化的な背景にも多くの理由があるように思いました。
「単一文化だと単純な作業効率は高まるが、イノベーションには多様性に富む文化を持っていた方が効率が高まる」という点は非常に納得がいきました。日本の高度成長時代は大量生産大量消費のいかに多く同品質の商品を作り出すかが勝負だったので、日本のような単一文化の方が効率が高かったのでしょう。しかし、新たなサービス・イノベーションが求められるようになると多様性を受け入れる土壌を持つ国、多国籍企業が高い成長率を示すようになったのですね。個人でも海外での経験を経ることで単純なその経験値以上の成長が得られることがあるのもこれが理由なのかもしれません。
先日高卒ながらイギリス系金融仲介企業にてキャリアを積み、グローバルリーダー育成の第一人者の池田哲平さんのお話を聞いたのですが、やはり外資系企業のマネージャーは本書に出てきたように、異文化でのコミュニケーション方法や会議進行のファシリテートの仕方など細かなレクチャーを受けているそうです。声が大きい人だけでなく言わない人にも意見させる。会議前に資料を配布し会議は決定の場とする。会議後には決定事項とアクションを誤解がないよう共有する。などのロジカルな会議進行の仕方などが紹介されていました。本書を読み進めるとそのノウハウの理由、裏付けが書かれているようでより理解が深まりました。そして資質を高めるには靴や鞄、スーツの着こなし方などの見た目や、どこの国の発音なのかという英語の訛りも相手の値定めには非常に重要だとも言っていました。
異文化コミュニケーションの一番ミニマムな例は夫婦だと思います。近くて遠い私の隣人(笑)異性は異星ということで違う惑星からやってきたという本もありましたね。我が家でもそれぞれ実家での習慣や価値観の違いでの行き違いが絶えません。本書の教えを応用してみたいと思いましたが、エリンのような経験豊富な第三者がいないので、軸の取りようがありません。それでもアンケート調査などのオープンデータなどから平均値、各家庭でもめるいわゆる“普通”を見極められるかもしれません。後は効果的なプレゼンテーション。たとえそれが上手くいったとしてもハイコンテクストな日本人のわれわれは嫁に背後にある意図を見透かされてしまうのであった。ちゃんちゃん♪
今月、そして今年も1年間、幅広いジャンルから良書を紹介いただきありがとうございました!投稿している塾生のみなさんも参考になる感想をありがとうございました!2016年もよろしくお願いいたします。(^^)/
投稿者 19750311 日時 2015年12月31日
20代後半から3年程NZに海外留学させてもらった際に、インドや中国、イギリス系のNZ人の方々と一緒に住む機会があった自分には前半部分は「あるある話」の様に楽しく読んでいました。
今となっては笑い話ですが、英語もまだまだ全然出来ない自分にも大きな要因があるのですが、どんな会話の時にもインド人の方が我々の価値観ではバカにしている様にさえ思える「首を横に振りながら話を聞いてる」態度に頭に来てしまう事が半年位ありましたが、実はそれは彼らの文化体系では一緒懸命聞いている事を伝えている事には驚きました。
生まれた場所や背景にある文化体系や宗教などの考え方が違くても、相手の価値観を理解する様に感じ、その方々の考え方で物事を考えれば問題などないはずと、井の中の蛙だった私は意気揚々と海外に出かけて行きましたが、現実は感情的になっていた自分がいました。たられば話は基本しないのですが、もっと早い時期に読む機会があったら、少しは海外での生活でも余裕を持てたのかな?と思いました。
そういった経験から、各国の方々の代表的な物事に関する傾向をまとめた一覧表は、シンプルながら大変有益な資料でコピーして、すぐ見れる所に保存しておきたいと思います。
今後も海外との接点を持って、日本の技術や人の良さを伝えたいと考えている自分には本当に良き学びの機会を頂きました。ありがとうございます。
投稿者 tsubaki.yuki1229 日時 2016年1月1日
実を言うと私は、「ビジネスマンは出身国によって、このような性格を持ち、このような言動をする傾向がありますよ」と分析することは、飲み会のネタ、雑誌のコラム、軽いエッセイくらいにはなるかもしれないが(そう言えば「ヘタリア」という漫画が数年前この課題に挑戦してヒットした)、これを正式な学問として成立させるのは難しいのではないか?と漠然と思っていた。理由は、42~43ページに書かれていたジョン・クレアりーのエピソードと、ほぼ同じである。
アメリカ各地を飛び回って仕事をしていたクレアりーは、アメリカ一国とは言えど、地域によって文化は全く違うため、「アメリカ人というのは・・・」と外国の人に言われることに違和感を感じていたという。私も同様に、「日本人と一口(ひとくち)にいっても、青森人と沖縄人では考え方は全然違うし、海外帰国子女やハーフだっているし、典型的な日本人像を一般化するなんて難しいのでは?」と思っていたのだ。(ちなみに、自分もいわゆる「帰国子女」にあたるため、「あなたは日本人だから、こういう風に考えて当然だろう」と言われ、カチンと来たことは少なくない。)
ところがクレアりーは、インドに転勤し、自分の国を海外から見つめ直して、「初めてはっきりと、アメリカの文化というものが目に見えました。(中略)自国の文化は強い特徴を持っているのに、その中にいるときは全く目に見えませんでした。」と述べている。(本書43ページ)
「中にいると見えない。」・・・私はこれを、恐ろしいことだと思った。
昨今はグローバル化の時代と言われ、日本では「英語教育が重要だ」と今さらのように言われているが、国際的な視野を持つというのは、ただ単に英語が話せればいいという単純なことではなく、この本に書かれているような知識こそが必要なのだと痛感した。メイヤー氏が本書の中で何度か提示しているカルチャーマップ。これを中学校の社会の教科書に載せ、一般常識として学ぶべきだと、私は本気で感じる。
そして、各カルチャーマップの中で、日本がどこに位置しているのか、私達日本人は「全体の中の日本」という俯瞰的な視点を持つべきだと思うのだ。
人は一人ひとり全然違う。それは国による違いだけに留まらない。信仰する宗教や、世代によっても考え方は全然違うし、性別(男女・LGBT)、既婚/未婚によっても、行動パターンは異なるだろう。今後、グローバル化が進む世界に生きる私達のために、宗教(プロテスタント教徒、イスラム教徒のスンニ派など細分化してほしい)によるカルチャーマップや、世代(20代、30代、40代、50代など)によるカルチャーマップなども、あれば便利だと思った。
また、個人的なことを言うと、自分は香港とスイスとインドネシアに友人が多いので、この3地域の人々の具体例がほしいと思ったのだが、実例が少なく残念だった。(もちろん、ページの都合で、全ての国の事例をカバーできない事情は分かるが。)
しかし、「自分に関係ないから、興味がない」といって、新しい知識を取り入れない姿勢は、危険どころか命取りになることを、昨年しょうおん先生の課題図書を読んでひしひしと感じた。現在自分は、ドイツ人やオランダ人の友人・同僚等がいるわけではないが、自分にとって一見全く関係のない人々の事例も、知識としてストックしておき、いつか自分の人生に適用したいと思う。
「国際人になる」というと「海外の基準に合わせる」と同義と捉えがちだが、実は本質はその真逆で、「限りなく日本人らしくあるべし」ということなのだとも思った。本書内の数々のカルチャーマップで、我々の国日本は、ぶっちぎりの隅っこに位置していた(地球上で最もhighテキストであり、対立回避的で感情表現控えめな国etc)。海外のことを何も知らないまま、自分自身のスタイルで全身でぶつかるという猪突猛進な姿勢は言語道断だが、海外それぞれの国の傾向を緻密に分析し、知識を蓄えた上で、かつ自分らしさを存分に出して世界で勝負するというのなら、それは個性となるだろう。
知識と知恵があれば、自分と全く違う考え方を持つ人に出会った時に、腹を立てたり憎しみの気持ちを持つのでなく、「こういう理由で違うのね」と冷静に判断し、ではどうすれば上手く交渉できるか?と考え、さらには解決策を創造することができる。この知識と智恵を使って、願わくば、弱い立場にある人々を助けることができる、「真の意味での国際人」でありたい。