投稿者 H.J 日時 2023年3月31日
西洋占星術の世界では、2020年12月より「風の時代」と呼ばれている。
それは約200年に1度、エレメント(火、地、風、水の4種類が順に移動)が変わることによるものだ。
本書は「風の時代」の説明から適応する考え方までを教えてくれる一冊だ。
「風の時代」とは、一言で言うならば変化が激しく予測が困難な時代。
残すべき大切なものを残しながらも社会全体が大きく変化する時代であり、空気感や精神的な要素が更に重要とされる。
そんな「風の時代」に、似た様な概念はビジネスの世界にも存在する。
それがVUCA(Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性))である。
変化が激しく、全体が複雑化し、予測が困難な状況を指している様に概念は似ている。
双方の方向性は一致している。
私はこの様な時代の中で「どうなりたいか」よりも先に「どうありたいか」という在り方を持つことが大切だと感じた。
理由を述べる前に、それぞれの言葉を簡潔に定義すると、
「どうなりたいか」は夢や未来像
「どうありたいか」は自分自身の在り方や自己の軸
である。
そして、上記の結論に至った理由は、風の時代では変化が速く、未来の状況や社会状況などの外的要因を予測することが困難なため、夢や未来像を固定しても思う様なところに辿りつきにくいからだ。
辿り着いてもその先はわからない。
この点は、変化が比較的ゆったりとしている土の時代(今までの時代)には当てはまらなかった部分である。
例えば、土の時代は「どうなりたいか」に会社員を設定すれば、良い大学を出て良い企業の会社員になれば終身雇用の元で安定した生活ができる。
しかし、本書でも述べられている様に、風の時代は変化が速く、終身雇用の神話は崩れようとしている。
そうなる以上「どうなりたいか」だけでは厳しい。
そのため、「どうありたいか」という軸を先に持つことが、風の時代の生き方としてポイントになる様に思う。
なぜならば、「どうありたいか」という自分自身の在り方や軸があれば、どのような状況下でも、柔軟に変化に対応することが可能となるからだ。
つまり、大切なことは自分が「どうありたいか」を先に考えることだ。
例えると、メジャーリーガーの大谷翔平選手の二刀流決断のエピソードがある。
大谷選手といえば、メジャーリーグでMVPを獲得するなど、今や世界を代表する野球選手の一人である。
そんな彼を象徴する言葉が「二刀流」だ。
投手と野手の両方をこなすことができる選手のことを指し、投手でも野手でもレギュラーを張れる実力を持つ者がそう呼ばれる。
だが、元々メジャーリーガーになる夢はあったものの、二刀流になる夢までは描いていなかった。
彼の高校時代の目標を書き記した曼荼羅チャートを見ると、投手に関するものだけで、野手については記載されていない。
ドラフト時の報道では、投手と野手のどちらで行くかを決めていなかった。
「元に戻すことが難しい」と言う理由から投手に絞って身体作りをしていたという話もあったほどだ。
しかし、高校卒業後すぐにメジャーを目指していた大谷選手を強行指名した日本ハムファイターズのフロントや当時の監督である栗山氏からの提案に心を動かされ、二刀流に挑戦することを決断した。
実力に幅があるアマ球界では投げて打ってという二刀流は珍しくない。
しかし、プロの世界やメジャーリーグは実力者の揃う世界であり、
その世界で二刀流に挑戦することは極めて異例だ。
ここで過去の発言を遡ると「誰も成し遂げていないことに挑戦することに意味がある。」と語っている。
これこそ私の言うところの「どうありたいか」である。
そして、この「どうありたいか」という自身の在り方と球団からの想定外の提案がマッチしたからこそ、日本から世界に名を残す二刀流が生まれた。
もし、単にメジャーリーガーになりたいという「どうなりたいか」だけを追いかけていたら、メジャーリーガーにはなれただろうが、今の二刀流の大谷選手を見ることはできなかっただろう。
勿論、二刀流で成功する大谷選手が凄すぎるのは言うまでもない。
例え話が長くなってしまったが、風の時代において、自分が「どうありたいか」という軸を先に明確に持つことが重要だ。
風にも負けない軸という柱を持つことで、外的要因の変化にも柔軟に対応ができる。
「どうなりたいか」も重要ではあるが、変化が早い時代では、こだわるのは危険だ。
「どうありたいか」が先にあり、その延長線上に「どうなりたいか」がある。
風の時代では、この両輪を回すことの重要性が増している様に感じた。
では、私自身に「どうありたいか」と自問自答すると答えに詰まる。
このままでは、風に流されていくだけである。
早めに「どうありたいか」を持とうと決意した。