日本が当分戦争を出来ない5つの理由。

今日のネタは右寄りの人にはちょっと残念な、左曲がりの人にはうれしい内容かも知れません。ここ最近、安倍政権が右傾化しているとか、集団自衛権を行使出来たら日本は戦前のような軍国主義に戻ってしまうとか、色々な意見が出ていますがこれはちょっと頭を使って考えれば、心配する必要すら無いという事を、情緒や思想を排除して、論理的にハッキリさせたいと思います。これは言い換えると、日本が戦争をする国、戦争が出来る国になるにはこれだけのハードルを全部クリアする必要があるという意味でもあります。

【日本が戦争出来ない理由その1】
まずひとつ目の理由は財政です。戦争という行為にはとにかくおカネが掛かるんです。軽火器と言われる小銃や機関銃の弾だってタダじゃ無いんですから。オマケに軍隊を抱えていれば、移動するのも、メシを食うのも、風呂に入るのも、寝るのだってカネが掛かるんです。日本は日露戦争の時に、そのカネが無くなってジェイコブ・シフというユダヤ人を通して戦時国債を買ってもらってどうにか凌いだわけです。ちなみにこの戦時国債を利息を付けて返済するために、なんと80年かかったって知ってますか?つい先日、麻生財務大臣が「日本は借りたおカネは利息も、期日もキッチリ守って返済した」と発言したのはこの事です。

翻って日本の財政状況を見てみると、戦争どころか医療費や年金すら満足に払えないくらい金欠状態なんですよ。この状態で戦争するカネがどこにあるんだ?って思いませんか?今次大戦だって、政府はカネが無くて国民を騙して貴金属の供出をさせて、そのカネで戦ったんです。それでも足りずに膨大な戦時国債を発行した挙げ句、戦後は支払いが出来なくなってハイパーインフレが起こり、預金封鎖という荒業をせざるを得なくなったんですから。財政的にはその頃と変わらないくらいのヒドい状態が今なんです。日本に佐渡金山の数倍規模の金鉱が見つかったというような事態にならない限り、日本に戦争をするカネはありません。

【日本が戦争出来ない理由その2】
戦争というのは、軍人だけがやるモノではありません。これは国を挙げての総力戦ですから、極端な事を言えば、小学生が積極的に応援するような情熱が無いと遂行出来ないんです。そんな事がかつてはあったのかって?これがあったんですね、それが軍国教育です。戦前は教科書に兵隊の話がいくらでも題材として使われていて(有名どころでは日清戦争で戦死した木口小平というラッパ手が、死んでも口からラッパを離さなかったという事で、修身の教科書に掲載されて、全国民のほぼ全員がその逸話を知っていたなんてのがあります。)

その結果、小学生の将来の夢は陸軍大将か、海軍大将になる事。遊びと言えば兵隊ごっこだったんです。町で軍人を見かけたら尊敬の眼差しで見つめるなんてのも、軍人にとっては影ながらの応援ですよね。ところが今はどうかというと、自衛官は怖くて町で軍服(制服)を着られないって言ってますから。渋谷や新宿、北新地とかの繁華街で陸自や海自の制服を着ていたら、酔っぱらいに絡まれて大変な事になりますよ。それが今という時代です。

つまり、日本が戦争をするためには、国民の大多数が軍人(自衛官)に尊敬の念を抱き、子供たちの将来の夢や目標が軍人になる事だというレベルに国民を洗脳教育しないとならないんです。そしてあらゆる施策の中で、これが一番重要で、最も難しいと思います。

明治維新後に政府当局が打ち出した「富国強兵」とはまさに国民を戦争に駆り立てる洗脳を、生まれた時から確実にやるぞという宣言でもあったのです。生まれた時からというのは大袈裟だって?トンデモない、これが歴史上の事実ですから。このプログラムは出産時から綿密に作り込まれていますから。赤ちゃんが生まれて、産婆さんが取り上げる。そして分娩室の外にいる父親が、赤ちゃんの泣き声を聞いてようやく産まれたかとホッとして、分娩室に入ってくる。そこで父親が真っ先にする質問は何だか分かりますか?これは今でも同じで、ほとんどの場合、「(男か女か)どっちですか?」ですよね。当時の産婆さんはなんて答えたか知ってますか?男の子の場合には、「おめでとうございます、兵隊さんです」って答えたんです。では女の子の場合はなんと答えたんでしょうか?正解は、「おめでとうございます、海軍さんです」って答えたそうですよ。(海はドイツ語で女性名詞だからです。だから海に関するものは、女性を代名詞にしているんですよね。「兄弟」港ではなく、姉妹港ですし、「童貞」航海じゃなくて、処女航海ですしね)

スゴいでしょ。生まれた瞬間から将来戦争に行く事、戦争に加担する事をプログラムしちゃってるんですから。人間として生まれて最初に聞かされる言葉が、兵隊や海軍じゃそりゃ潜在意識に残りますよ。

こうやって綿密にプログラムしないと、国民が戦争に参加する事は出来ません。これは軍人にならなくても同様で、新型の兵器や武器を考案して設計するエンジニアが、「オレは人殺しの道具なんて作りたくない」って思ってたらどうなりますか?学問というのは自由意志の発露ですから、これを強制させる事は(基礎教育ではなくて、高いレベルでやるものについては)出来ないんです。零戦を設計した堀越二郎氏のような優秀な技師だって、お国のためにと思ってやったわけで、彼が心の底から戦争反対論者だったのなら、必ず何らかのサボタージュをしていたはずなんですよ。

一般人でさえこうですから、実際に命を捨てる可能性が高い軍人になるというハードルを越える(超えさせる)ためには、遠大なプログラムが必要な事は論を俟ちません。当時は本当に優秀な人ってみんな東大じゃなくて陸軍士官学校か、海軍兵学校(どちらも幹部養成学校)を目指したんですから。これに落ちた人が仕方なく東大を受験したんです。しかも脳みそだけじゃ無くて身体強健、堅忍不抜で無ければ合格しなかったんですから、単なる秀才じゃダメだったんですね。現代でこういう若者が競って防衛大学に行くかというと、どう考えてもノーですよね。これを変えさせるような教育プログラムを作って、それを浸透させ、実際に成果が上がるまで何年かかるんですかね。

【日本が戦争出来ない理由その3】
さらに彼ら幹部候補に加えて、実戦部隊としての兵隊を集めなければ戦争は出来ません。将棋を指す人ばかりいても、将棋の駒が無ければ話になりませんから。つまり、徴兵制の復活が必要になるんです。これは憲法改正と同じくらいハードルが高いと思いますよ。民主制で、移動の自由が保証されていて、しかも国民等しく衣食住が足りている状態で、誰が好き好んで徴兵されるんですか。当時は20歳になったら徴兵検査があって、甲乙丙のレベルに分けられて登録をされたのはご存じでしょう。その後、召集令状(所謂赤紙)が来ると、すべての生活を放擲してでも期日までに入営したわけです。

いま、これをやったらどうなると思いますか?まずパスポートを抱えて、預金を全額引き出して家族を連れて海外に逃亡しますよね。そしてそれを誰にも止められないんです。全てを抛って馳せ参じるなんて人がどれくらいいると思うんですか?だって軍人になったら死ぬかも知れないし、敵国の人を殺さなきゃならないわけで、こんな事を喜んでやるのはヤクザものか、一部の人格破綻者だけじゃありませんかね。それを仕方の無い事だ、イヤでもやらなきゃならないのだ、と精神的に納得させ、そして法的に国家が権力を行使出来るようにするためのハードルを、今の日本という国が超えられるとは思えません。

【日本が戦争出来ない理由その4】
もう一つの問題がマスコミです。戦前はマスコミは完全に政府の支配下にあって、反政府的な発言は出来ない仕組みになっていたんです。検閲も当たり前でしたし、発禁処分も頻繁にありました。だからこそ、国民は限られた報道で、しかも偏った報道だけを目にし、耳にしたわけで、それがあったから全体国家として、戦争というひとつの方向にまとめる事が出来たんです。でも今は、発禁処分出来ないでしょ。検閲もやれますか?ネットの時代で、誰でもブログやメルマガ、ウェブサイトやツイッターのアカウントを持てる時代に、どうやって検閲が出来るんでしょうか。まさか中国みたいに数百万人を雇ってネットの書き込みをチェックしますか?そもそも戦後の日本には言論の自由という文化が完全に浸透していますから、今からこれを制限する方向に動く事は、国民主権、民主制の国では不可能です。これを強行した瞬間に政権はひっくり返ると思います。では今の状態のまま放置していたら、国民は戦争に賛成するんでしょうか。これもまたあり得ないというのが現実的な答えですよね。

【日本が戦争出来ない理由その5】
よしんばここまでの事を全部クリアしたとしましょう。日本に新しい巨大金鉱が見つかって、なぜか三陸沖で巨大油田が見つかって、財政問題がクリアして、エネルギー問題も解決した。さらに国民への洗脳が上手く機能して、婦女子から老人まで全国民が、お国のために命を捨てるのは尊い、素晴らしい行為で、願わくば私もそうやって国に貢献したいと思ったとします。それでも日本は戦争が出来ません。正確に言えば、戦争をやった瞬間に、宣戦布告の10分後に日本は滅亡するんです。

それはなぜかというと、日本に原子力発電所があるからです。原発と戦争になんの関係があるのかって?これが大ありで、GPSで進路をコントロール出来る通常ミサイルを、原子炉に当てられたら日本は一貫の終わりですから。中国や韓国、台湾、北朝鮮、樺太あたりから狙われたらかなりの精度で当てられると思いますよ。

こんなのはアメリカもイギリスもフランスも同じじゃ無いか、という人がいそうですが、彼は自国の周りに仮想敵国を持っていないんです。イギリスやフランスはEUという一心同体の共同圏を作っていますし、アメリカが敵視しているロシア、イラン、アフガン、中国、北朝鮮はどれも本土からかなり離れています。ここにミサイルを狙ったところに撃ち込むには相当な技術力が必要で、これが出来るのなら世界は核戦争によって滅ぶでしょう。近所にキューバという敵がいますが、あの国の国力では何も出来ませんし、最近は和解もしそうですから。

ところが日本の周りには、日本の事が気に入らない国がたくさんあるんですよ。日本が嫌いな国としては中国、韓国、北朝鮮が挙げられますし、逆に日本の方が快く思っていない国としては、北方領土問題を抱えるロシアもすぐ近所に存在します。その意味では隣国といっても良い国々と、今ひとつ仲が良くないわけで、それはイコール将来の仮想敵国にもなり得るわけです。そういう国が福井や新潟にある原発にロックオンしてミサイルを飛ばしたら、距離が距離だけに当たりやすいは、撃ち落とすための時間が無いはで、どうしようも無いと思うんですよね。

つまり日本が戦争をするのなら、原発は全て止めて、使用済み核燃料を一か所に集めて、その周りには迎撃用ミサイルをビシッと配備しておく、という事が必要なんです。原発大嫌いだけど、このおかげで日本が戦争をしなくて済むのなら、これはこれで役に立っているなあと思うわけです。

ここまで、日本が今後も戦争は出来ない理由を5つ挙げましたが、逆に言えばこの5つを修正させる如何なるアクションも見逃しちゃいけないって事です。ここさえしっかりウォッチしていれば、良いと思うんですよね。

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