田舎暮らしの手引き その7

現地に行かなきゃ分からない

2ヶ月くらい時間を掛けて、雑誌や書籍で情報を集め、それを脳内で組み立てて、こんな田舎暮らしが出来そうだな、というイメージを作りました。ここから先は体当たりで現地の人にリアルな話を聞かなきゃダメだろうと考えました。

そこで再度雑誌を見ていたら、中国地方の物件を毎回たくさん掲載している不動産屋が目に止まったんです。それが「自然と暮らす」という会社で、ここが扱っている物件からそれなりにめぼしいモノを2つか3つピックアップしてコンタクトをしました。他にも何カ所かコンタクトをしたんですが、この会社以外は反応が鈍かったり、こちらの問いとあちらの答えがズレていて会話にならなかったりで、田舎と都会の違いをすでに感じました。

都会で暮らしている人には常識なんですが、メールやウェブで問い合わせをしたら当日に欲しい答えが返ってくると思うじゃないですか。田舎の会社にはそんな常識は通用しません。ヒドいところは連絡が来たのが一月後ですから。早いところで3日。しかもこちらは、「この物件に書かれている畑は家からどれくらいの距離ですか?」と訊いているのに、返ってきた答えが、「大丈夫です、すぐ近所です。山も付いています」だったりするとガクッとなるわけです。「携帯電話の電波は問題ないですか?」と訊いたら、「私のヤツは通じます」って返って来て、じゃそれはどこのキャリアなんだよ!と一人でツッコミましたから。しかもその返信が1週間後だったら、こりゃ付き合えないよなぁと思いますよね。その中で前述した会社だけはストレスなく意思疎通が出来たので助かりました。

また、ちょうどその時期に、友人から小豆島で有機農業をやりながら、民宿を経営している方を紹介してもらったので、そこに遊びに行ってみることにしていたので、そのタイミングと合わせてもらいました。

こうやって実際に動く計画を立てるのって大事です。頭の中で妄想するだけでは現実が反響してくれません。自分で考えたこと、イメージしたことに対して現実がどういうボールを投げ返してくれるのか(これが反響です)は、行動しないと分からないんですね。確かトータルで4泊する予定で現地に行ったんですが、これは良い勉強になりました。

小豆島の民宿では、農業以外に何か生活の糧を持っていないと厳しいこと、温暖だと思われていた瀬戸内も冬はそれなりに寒いことが分かりました。また小豆島を車で移動してみて、このサイズの島に永住するのは色んな意味で大変だということも感じられました。私の場合には仕事柄、定期的に東京や大阪に行かなきゃならないんですが、島には飛行場が無いんですね。となると、フェリーで本州まで出なきゃならないわけです。ところが台風などで海が荒れると、これが結構呆気なく欠航になるみたいなんですよ。

また、田舎というのはどこでもそこそこ閉鎖的なものですが、島となるとその閉鎖性がさらに強くなってしまうことにも気付きました。逃げ場の無い島で、ブルーな気分で生活するために移住するわけじゃありませんから、この体験で島暮らしは無いなと理解出来ました。

そして本州に帰って来てから、アポを取っていた前述の不動産屋に岡山県内の物件をいくつか紹介してもらったんですが、物件の程度と価格は完全に比例関係にあることが分かりました。やっぱりすぐに住めるような物件って、安くないんですよ。安いところって水回りを直したり、屋根を修理したりしなきゃいけなかったりで、要するに先におカネを払うか、後で買ってからおカネを使うかの違いに過ぎないんです。

内覧した物件はどれも帯に短したすきに長しという印象で、ここまで来たのに結局この程度の収穫なのかと、ちょっとガッカリしたのを憶えています。そして翌日は自分たちで車で走りながら風景や街並みを見て、その土地の空気感を掴むことにしたんです。これが私たち的には奇跡の出逢いに繋がるわけですけど。

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