まぐまぐ大賞を受賞して考えてみた。

本日のメールマガジンでご案内したように、なんと弊誌がまぐまぐ大賞の「ビジネス・キャリア部門」で大賞を受賞してしまいました。

まぐまぐ大賞ビジネス・キャリア部門大賞

苦節6年、もうそろそろ7年、最初の半年は読者が2桁という状態から、今では5万部を超える配信部数になったおかげかと喜んでいたのですが、どうも事情はそんなに簡単では無さそうです。私は粘着質なせいか、この受賞リンクをあれこれほじくって、他の方が書いているメールマガジンをチェックしてみたんです。そうしたら総合大賞という私が受賞したのより一段グレードの上の賞を受賞したメールマガジンをチェックしてちょいとビックリしました。総合大賞と総合2位は分かる。私も数年に亘って購読していますから。読者数もそれなりですし。ところが総合3位のメールマガジンは聞いた事も無かったんです。で、さっそく登録をしてみたらなんとこのメールマガジン、読者が6000名程度だったのです。こう言っちゃ失礼ですが、たったの6000名の読者数で総合3位って、読者がどれだけアクティブなんだって話です。

まぐまぐ大賞の告知をしてから一定期間で読者がお気に入りのメールマガジンを推薦するんです。ここまでは分かっているのですが、そこから先の選考方法は公開されていませんから推測するしかありません。もちろんこの推薦人の数は重要でしょう。推薦コメントも重要だと思います。たぶんノーコメントで推薦するよりも、熱いコメントを書いた方が受け手としてはプラスにしたいはずですからね。たぶんIPアドレスのチェックもして同一人が繰り返し投票しないように(そういうのは除外する)しているはずです。そしてその推薦数の多寡によって受賞メルマガを決めるのだろうと思うのですが、総合大賞の読者数が14万人、総合2位が27,000人まではまだ分かる。特に2位のメルマガは朝と夕方の2回配信があるので実質日刊54,000部だから。これらのメルマガのコア読者が本気で推薦すればこういう結果になるのは分かるんですが、ここの6000部のメルマガが食い込んでくるとなると、この読者さんはさぞやみなさん推薦されたんだろうなあと思ったわけです。これが前述した「アクティブ」という意味です。

今日言いたい事はそこじゃなくて、この流れで他の受賞メールマガジンをチェックしてみたんです、特に読者数に注目して。この賞は全部で17の部門に分かれていて、それぞれで大賞(1位)から10位までを受賞メルマガとしているんですが、とりあえず1位から3位をザクッと調べてみると読者数が少ないんです。多いところで3万人くらい、少ないと1600とかです。ここでふと思考してみます。そうすると、この現実を消化させるにはふたつの仮説が成り立つ事に気付きました。

ひとつは、先ほども書いたように『人数は少ないけど、コアの読者がアクティブに投票した結果受賞した』という論理が成立します。もうひとつは、『そもそも少ない読者しかいないところで、たまたまごく少数の人が行動(推薦)して、どんぐりの背比べ状態で順位が付いた』という考え方です。前者なら発行者および配信スタンドとしては嬉しい限りですが、もし後者ならこの賞の意味というか意義がなくなっちゃうような一大事です。だってこれって、メールマガジンという媒体はもうオワコンだよ、という事ですから。

このまぐまぐ大賞って2008年を最後に中止になっていたんですが、今年6年ぶりに復活しました。この背景にメールマガジンをもっと活性化させてパイを拡大したいという想いがあったのは間違いないでしょう。みんながもっとメールマガジンを読んでくれれば、発行する人も増える、そうしたらそこにビジネスが成立するという流れが生まれるのですから。ところが現実にはこの流れが逆向きになっていて、パイは小さくなって来てるんじゃありませんかね。それは発行者としてヒシヒシと感じます。以前に比べて反応率が下がっていますから。だいたい今回受賞した事でどういう変化があったのかというと、読者が2名増えただけですから。(笑)メールマガジンという媒体の勃興期なら軽く2000人くらいは増えたと思うんですけどね。私がメールマガジンを書き始めた当時って、ちょっと広告を打つだけで週に5000人とか増えましたから。今じゃ5000人増やすのは至難の業、しかも反応率が下がっているから5000人の価値も半減してますし。

スマフォとスマフォアプリによって、欲しい情報がワンクリックで手に入れられるとなると、メーラーをいちいち立ち上げて文章を読むというやり方が面倒だと感じるのも仕方ないんでしょう。しかもほとんどがテキストメールで、文字飾りも、スタンプも、写真も載せられないとなると見栄えもイマイチ、それを文章で補うために分量が増え、ただでさえ日本語力が低下している若年層には読み切れないわけで、その結果見向きもしなくなった、という流れが容易に読み取れます。

ではどうしたら良いのか?

この問いはメールマガジンでご飯を食べていた人にとっては切実です。でもビビる必要は無いんです。見向きもされなくなったのは、メールマガジンという媒体であって、そこに書かれたあなたのコンテンツではないんですから。コンテンツが輝いていて魅力的なら、媒体を変えれば良いだけです。実は私もこれを考えていて、来年以降徐々に軸足を移動させようと思っています。

ひとつはスマフォアプリの作成。メールで受け取るのではなく、アプリを起動させる事でコンテンツを表示させるというやり方に変えていきます。これが最も時間切迫性が高いタスクです。なぜならスマフォのホーム画面に登録出来るアプリの数には上限があるからです。今はまだホーム画面に空きスペースがある人がたくさんいますが、あと3年もしたら空いているスペースは無くなるでしょう。そうなると新規アプリを登録してもらうためには、今持っているアプリを何か消さなきゃならなくなるわけで、このハードルはスゴく高いのです。だからこれは一気にやらないとダメなんです。

もうひとつはオウンドメディアによるブログ化です。メールマガジンというのは登録しなきゃ配信されないという弱点があるんですね。知らない人が検索で見つけてくる、SNSから流入するという事が難しいんです。なんたって配信登録をするという一手間のハードルが高いですから。しかも登録という行為自身が、自らを縛るというニュアンスを持っていて、「これからこのメールマガジンを読むぞ」という気合いが必要だったりするんです。お気楽ご気楽にテキトーに読み飛ばすという雰囲気とはちょっと違うんです。ところがブログは読み手にそんな心的負荷を与えません。読みたい時だけアクセスしてサラッと読める、気分が乗らなきゃ読まなくても良い、そういうメディアです。メールマガジンはそれに比べると重いのです。毎日発行者が有無を言わせず送りつけてくるわけですから、これって「読んであげてる」よりも「読まされている」という表現の方が近かったりします。その意味でブログでコンテンツを公開するというのもひとつの手段だと思います。私のところでも来年は日々のメールマガジンと同じコンテンツをウェブサイトで見られるようにしようと思っています。

最後はLINEの活用です。LINEに登録してもらいグループ配信でコンテンツを届ける。これが現時点で最も即効性、即配性、開封率、反応率が高い手段でしょう。ただしこれにはある程度の資金が必要です。これは私も検討中です。私はプライベートでもLINEをほとんど使っていないので、まずはここからかなあと思っています。そもそもほとんど外出をしないのでLINEを使う機会が会社員時代に比べて激減しているのが原因です。それでもこのメディアが独り勝ちをしつつある現状は理解しているので、この波に乗っておかないとマズいという自覚を持っています。

おまけで、これは私はヤル気がありませんが、自己顕示欲の強い方はYouTubeを活用するのも手でしょう。やっぱり動画ってインパクトがあるんですよ。情報を動画で配信するというのはこれからもっと増えるはずです。反対に音声データしか扱えないポッドキャストのようなものはシュリンクしていくんだと思います。

これからはこうやってメディアを多面的に運用出来るようにしておかないとダメだと思います。投資の世界の格言に、『たまごをひとつのカゴに盛るな』というのがあるんですが、これと同じでひとつのメディアだけに依存していたら、そのメディアがこけた時に打つ手がありませんから。そしてそれぞれのメディアには強みと弱みが明確にあるのです。ビジネスコンサル的に言えば、SWOT分析をしてみる必要があるくらいのテーマだと思います。

しかしこれはあくまでも『メディアの選択』というテーマに過ぎず、『コンテンツのクオリティ』とは全く相関関係の無い次元の話です。そしていつの時代も、メディアの変遷に拘わらず質の高いコンテンツを作れる人は生き残れるのです。その意味で、コンテンツ力を高める事が主で、メディアの選択はあくまでも従であるという位置づけがグラついてはならないと思うんですよね。

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