選挙に絡めて若者にアドバイスでも。

衆院選が公示されたわけですが(ちなみに衆参院のフツーの選挙は公示、これ以外は告示だそうです)、今回は投票率が50%を切るレベルにまで落ちるんじゃないかと思っています。過去の投票率推移は、
http://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/news/sonota/nendaibetu/
こうなっていて、前回は59%と過去最低だったんですね。

そうなると組織票を持っている某宗教団体や、労組のバックアップが期待出来る某政党に有利ですね。でも低投票率という事は、投票した人間の意志が反映されやすいとも言えるわけですから、ここは逆張りをした方が良いと思います。

そんな投票率ですが、このグラフを見ると60代が最も高く、次いで50代となっていて意外な事に70歳以上は第三位なんですね。これってやっぱりもう歳を食っちゃって投票所に行くのすら大儀になっちゃったって事ですかね。それでも分母が多いから彼らがヨダレを垂らす政策を止めるわけがありません。

これまた言われているように、20代はダントツの最下位でオマケに人数も少ないんですから、どの政治家も若者が喜ぶような政策をやらないわけです。でもこういう人たちも歳を取るわけです。じゃ、彼らが相応の年寄りになったら選挙に行くのか?というとこれはもう期待薄だと思います。これはこのグラフの多くで右肩下がりになっているのを見れば分かると思います。

つまりこれから10年、20年と時間が経てば経つほど、投票率は低下しその結果、ごく少数の投票に行く人たちの意志を付託された政治家が跋扈するという事です。それはいつの時代も、何らかの利権を背負った団体であって、そこに属さない人々に恩恵が降りてくる事は無いのです。

民主制の欠陥って、こうやって個人の幸福ではなく組織、団体の幸福を優先して実現させる事を推し進めるというところで、しかもタチの悪い事にここに異を唱える事が制度上出来ないというところだと思います。これは、前提としてあらゆる個人は必ずどこかの団体に所属して生きていると考えられたからなんでしょう。

そう、つまり現代人は徒党を組むという事が個人の利益を担保してくれる事になっているんです。今の派遣社員、非正規、ワーキングプア、母子家庭の貧困、待機児童問題などが解決されない(もっといえば放置されている)のは、彼らが純粋な個人の集まりだからです。これが何らかの集合として意思統一がなされ、上意下達的な動きが出来るようになると、日和見の政治家の流れはガラッと変わると思います。

マルクスが「団結せよ!」と喝破したのはまさに慧眼で、彼ほど民主制の本質を見抜いていた人はいません。(この言葉は共産党宣言の時のものですが、共産主義を実現させるために、既存の民主制を踏み台にしなければならなかったわけです。その意味では民主制の弱点を熟知し、ここを攻撃しなければ共産主義の成立はあり得なかったという点で、マルクスは相当程度民主制の研究をしたんだと思っています。)
つまり私が日頃説いている、「群れるな、孤高に生きろ」という生き方って、弱者には厳しい話なんですよね。本当はね、努力したくなくて、才能もない人はとにかくどこかに潜り込んで組織に助けてもらう、庇ってもらう必要があるんです。

ところがこのやり方にも問題があって、これをやると組織に中抜きされるというか、上前を撥ねられるというか、テラ銭を取られるわけです。大企業に於ける組合費の天引きなんてまさに典型例で、守ってもらう代わりに幹部になにがしかの付け届けや上納金、それに類する労働力を提供しなきゃならないのです。

ちなみに、日本人として生きているのなら最後のところ、我々は日本国という団体に所属しているわけですから、国家という組織が命や財産を守ってくれます。そのための上納金が各種税金なんです。その上納金をどうやって分配すれば公平になるのかというのを決めるのが政治で、そのメンバーを決めるのが選挙というわけです。

そう考えると、なぜ団結しなきゃいけないのかが分かりますよね。それは我々が日本国民という団体を構成しているからです。最も大きな枠組みのところで、団体という組織を作っているのですから、組織という呪縛から逃れられるワケが無いんです。

それは国家間の諍いを振り返れば分かりますよね。中国漁船が小笠原でサンゴを密漁しているというニュースを聞けば、日本人のほとんどは憤りの感情を持つはずです。それは我々が日本人という団体を構成していて、一人ひとりがそのメンバーだからです。殆どの人は、サンゴの密漁によって経済的不利益を被る事はありません。それなのになんでムカッとするのか。これはみなさんが日本という国家に属しているからなんです。自分に直接関係ない事でも、自分が所属する組織の誰かに不利益が起これば、組織を防衛しようという気持ちが働くのです。

これが官僚たちが省益の維持、拡大に躍起になる理由でもあり、宗教団体が他の宗教を攻撃する理由でもあり、究極的には国家間で戦争が起こる理由でもあるのです。この極少化された現象が、ヤクザの抗争だったりするわけで、我々は彼らの抗争を嗤う事など出来ないんですよ。だって構図としては全く同じで、違うのはスケールと手段だけですから。
で、話を戻すと、一生に於いて最も力や能力が無い時代は「若者時代」なんです。カネもなければ人脈もない、スキルもまだまだなら経験も積んでいない、そういう世代間競争に於ける弱者って、これはもうどう考えても若者なんです。そういう時代に、どの組織にも属さず生き抜くというのは、スゴく不利な戦いを選択したという事です。その意味で私は、学校を卒業したらまずはサラリーマンになるべきだと思っています。私が書いているメールマガジンは、そんな弱者である若手サラリーマンがどうやったらスキルや正しい知識を手に入れられるかという主旨で書き始めたのです。

だからいきなりスティーブ・ジョブズや、ビル・ゲイツ、スケールは小さいけどホリエモンみたいな起業家を目指しちゃダメだと思います。能力が無いヨチヨチ歩きしかできない、誇れるモノは体力だけという若者がいきなり起業なんてやっても上手く行くはずが無いんです。だってその人を守ってくれる組織は日本という国家だけになっちゃうんですから。国家が守ってくれるのは建前上、生命と財産だけで、後者の財産をまだ持っていなければ、守ってもらえるのは命だけですよ。しかもその守り方は、生活保護と国民皆保険制度が最後の砦なんですから。

これ以外の身を守ってくれる鎧というか傘というか、盾の役割をしてくれるのが会社という組織なんです。だからこれは最初のウチは絶対に手に入れた方が良いです。

でも都会の人は可哀想だよね。これくらいしか選択肢が無いんだから。これが田舎だと、集落、部落が手を差しのべてくれたり、場合によってはご近所さんがちょっかいをかけてくれたりするんですよ。だから田舎でその地域に溶け込んで暮らすというのは、これだけで新たなセーフティーネットを手に入れるのと同じなんです。もちろんここでも色々な形で上納金に類するモノを中抜きされますよ。でもこれは保険料のようなものですから。

こういう組織に属して、最初は自分を守ってもらいながら、徐々にスキル、ノウハウ、人脈を作っていって巣立ちの時を待つというのが良いと思うんですよ。

そう考えると、都会の若者は、会社以外に自分を受け入れてくれる組織を見つけてここに所属するという事をやった方が良いと思いますよ。一番受け入れてくれそうなのは、それこそ政治家じゃないですかね。親に見離されて、友達もいない若者が暴走族やヤクザの組織、場合によっては宗教になびいたりしますけど、それなら政治家の事務所を叩いた方が良いと思いますよ。

特に、非正規、ニート、ワーキングプアなんて人にはうってつけですし、こちらの方が勉強になるはずですから。しかも今はこの世界に飛び込んでくる人が、世襲を除いたら本当に少ないので、スゴくエコヒイキされると思うんですよね。

まさにこれが逆張りだと思うんですけどね。

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