本当に公平な選挙にする簡単な方法はこれ

今回のエントリーはずいぶん前にメールマガジンで書いたんですけど、ここのところまたぞろ政治家とカネの問題がクローズアップされて来たのでブログにまとめてみました。

 

第二次安倍政権になってから、政治家のカネ問題が表面化せずちょっとはマシになったのかと思ったらやっぱりそういう事は無く、今回は改造内閣の目玉だった小渕優子氏で問題発覚、あっという間に辞任という結末になりました。

これはこれで書きたい事がたくさんあるんですが、今回は措いておきます。

それよりもネットを見ていて驚いたのがこれでした。

世襲議員リスト
世襲議員家の一覧

 

日本って本当に世襲議員ばっかりなんですね。
政治家って商売は世襲したくなるほど、世襲させたくなるほど美味しい商売だって事なんでしょうか。
こういう時にはググるのが一番。あっという間に結果が出て来ます。

なになに、月給130万円にプラスして文書通信交通滞在費として非課税で毎月100万もらえて、さらにボーナスが500万円、これに所属している党に一人あたり月65万円の立法調査費がもらえて、公設秘書2名と政策秘書1名分のお給料も税金で賄ってくれます。

さらにさらに、党には政党助成金が議員全体で319億円使われているようで、これを衆参両院の定数(717人)で割ると一人あたり4400万円という巨額になります。隠れたところではもう廃止されましたが議員年金という制度がかつてあって、引退後に庶民の数倍の年金をもらえたんですよね。
現金以外にも、新幹線のグリーン車を含むJRが乗り放題のパスに加えて国内線の航空券がもらえ、議員宿舎という名のマンションが使えて、衆参両院で200台のハイヤーがあって、海外視察と呼ばれる海外旅行には年間200万円まで無料で、往復ファーストクラスが使えるんです。
これがしょっぱい商売だという人はいないでしょう。もう笑っちゃうくらいボロい商売ですよ。
これで会期中に昼寝をしていても文句を言われないんですから、息子や娘がやりたくなってもおかしくありません。
しかもこれ、選挙以外には知性や常識、道徳心などを確認する試験が無いんですから。
ここで問題になるのは選挙です。とにかくこのハードルが高いので誰でもが立候補出来るわけじゃない(正確に言えば立候補するわけじゃない)のです。昔から良く言われるように、「地盤(選挙区の支持者)」、「看板(知名度)」、「カバン(選挙費用)」の3バンが必要で、これが揃わないと当選は覚束ないんですから。

ところがこれ、世襲議員には最初から具わっているわけですよ。
親が長い事地盤を開拓していれば、知名度が低くても地域の結束が固ければどうにかなります。自己資金が無くても(カバンが無くても)パパが持っているお財布(政治団体)を相続すれば問題ありません。
日本は法の下の平等を謳った国だったはずなんですが、最も美味しい商売をやろうとした際に出自によって大きなアドバンテージがあるというのは、これってある種のカーストじゃないんですかね。政治家の子供に産まれたら、それだけで一般平民に比べて極端に低いハードルを跨ぐだけで半ば自動的に政治家になれるわけですから。

しかも、この相続には相続税がかからないというオチまで付いています。

いくらなんでもこれってやり過ぎじゃ無いですかね。

これだけの巨利を受け継げるわけですから、相続税くらい払ってもらわにゃ釣り合いがとれません。
世襲議員は相続税代わりに、同じ地盤から出馬する場合には永遠に議員報酬半額とかね。

でもこういう制度変更は、まさに国会議員が立法化しないと実現しないんですが、自らの既得権益を無にするような変更を彼らがやるわけがないのです。
国会議員については、一票の格差問題というのがこれと同じ理屈で解決していません。
同じ理屈というのは、定員が減らされそうな選挙区(高知とか鳥取とか)で当選した議員が強固に反対しているからです。つまり、これもまた既得権益を守ろうとする争いなんですね。
つまり日本の選挙って、ドロドロの不公平さを制度として内包しているんです。
この不公平さが戦後70年近く正されなかったために、世襲議員が与党にも野党にも雁首並ぶようになったのです。
これ、予言出来ますがこの制度が変更されなければ、あと50年後には世襲議員が過半数を超える事は間違いありません。この状態は与党も野党も同じなんですよ。政権交代しようがこれだけは変わらないんです。

それで良いんですかね?この国は?

そういう時代になってしまったら、ビンボー人が這い上がる事がスゴく難しくなると思うんですよ、戦前のように。日本が軍国主義になったひとつの要因に当時の格差社会を挙げても良いくらいなんですから。(当時は累進課税が今ほど厳しくなくて、富裕層はひたすら富が増え続けてたんです。そのあたり、このサイトが詳しいです)

このような政治に関する問題を解決させるために一時期「政治改革が必要だ!」ってスローガンが流行ったわけですが、結局中選挙区から小選挙区比例代表制になっただけで、肝心の問題は一切解決しなかったばかりか、今度は死に票が増えちゃって民意が反映されにくくなっちゃったんですね。だいたい消費税だって民主党政権も自民党政権も増税に賛成したわけですから、庶民はどっちに投票しても政策を変えさせられなかったわけです。こういう政治状況がドンドン亢進するだろうというのが、世襲議員が今よりも増える世の中だという事です。で、これは彼ら政治家には解決させる意欲も意志も無いのです。つまり何度も言うように泥棒に自分を捕まえる縄をなわせてもダメなんです。

こんなのやる気になったら1円も費用(税金)を掛けずに、根本から直せちゃうんですけどね。

そのひとつの方法は、立候補する選挙区を毎回抽選で選ばせる事です。もうこれだけで今の政治にまつわる諸問題のほとんどが解決します。まず世襲議員の大半が落ちるでしょう。地元ではおぼっちゃまかも知れませんが、選挙区から一歩外に出れば世間知らずのバカボンというのが良くあるパターンですから。一票の格差問題もキレイになります。そもそも選挙区が固定化されていないのなら、既得権を持つ政治家にとってこの変更に抵抗する理由は無くなります。苦労してオラが選挙区の定員を維持しても、もしかしたら次回は都会が選挙区になる可能性があるんですから。そうなったら地方の議席を減らして都会を増やしておけば良かったって話になっちゃいます。

そもそも、こういう制度ならば親の方だって連続当選は難しいと思いますよ。今のように知性も教養も無くて寝技だけで政界を生き抜いてきた人が、何の実績もなく他の選挙区で当選するとは思えません。まじめに政策調査をして、議員立法をして、ソーシャルで自らの意見を発信し続け、そこに一定の支持者を全国規模で持てるようにならないと当選は出来ません。逆に言えば、そういう能力を持っている人には、公平なドアが開かれる事になります。つまり政界の人材が活性化するのです。

あらゆる組織は、人が一定のレベルで入れ替わる事で組織としての発展、成長が促されるのです。新しい人たちが入って来て、その分淘汰されいなくなる人たちもいる、そしてそこに競争がある。こういう状態はそこに所属する全ての人に危機意識を植え付けますし、その結果一人ひとりが成長し、よって組織も成長するのです。これと全く逆の構造になっているのが今の国会議員なんです。与党も野党も親から議員資格を受け継いで、同じ選挙区で何度でも労せずして当選出来ちゃう、おまけに当選するとカネも権力も思いのままとなったら、国を良くしようなんて想いが逓減してしまうのは当たり前です。その結果、日本では国債残高が1000兆円を超え、医療費は増え続け、年金は破綻寸前、それなのに何一つ有効な解決策が見つからないという袋小路に陥ってしまったのです。

日本の政治の問題は議員の定数でも、歳費の金額でも、世襲制でもなくて、根本の問題は議員が頻繁に入れ替わる事を阻害する制度になっている事なんです。長くやればやるほどその地位に留まりやすくなる、そしてそれをそのまま子供たちに譲る事が出来る、彼らはさらに楽にその地位に留まれる、ここに問題があるのです。それを抜本的に解決させるには、現職議員については毎回選挙のたびに、立候補する選挙区を抽選で決めるという方法が最も簡単で効果があるやり方だと思うんですよ。

 

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