やっぱりふるさと納税は市場原理で動いていた

昨日、つまり1月26日の夜にNHKでやっていたクローズアップ現代という番組で、ふるさと納税が取り上げられました。

ふるさと納税 ブームが問うものは

このリンクから番組の一部を見る事が出来ます。

私も去年の10月にふるさと納税についてメールマガジンで特集をしました。

ふるさと納税について考える

ふるさと納税のここが素晴らしい

どうやればふるさと納税で成功出来るのか

ここで私は、ふるさと納税は既得権にどっぷり浸かった役人に市場原理とは何か?を体験させ、価値観をひっくり返すスゴく良い政策だと書いたんですが、まさにそのとおりの事が起こっているという事をこの番組では伝えていました。北海道の上士幌町では町の予算の2倍の寄付金(寄付金ってどういうこと?と思った人は、私が書いた「ふるさと納税について考える」というエントリーを読んで下さい)が集まってしまったらしいんです。この町の取り組み方はまさに市場原理でお客さんにどうやって気に入ってもらうかを考え、実践した結果だったんですね。

同じく北海道の東川町もスゴいです。寄付者を北海道に招待して(飛行機代の一部を町が負担して)、この町をもっと知ってもらおうという取り組みをしたら、なんと鹿児島県の指宿から寄付者が毎年来るようになったんですね。私もメールマガジンで、「とにかく人を集めるネタにこのふるさと納税を使うべし」と書いたんですが、本当にやっているところがあるとは思いませんでした。

我が家でもこのふるさと納税をフル活用しているんですが、実は去年の大晦日にちょっとした事が起こったんです。大掃除が終わってホッと一息入れていた時に届いた宅急便。中には冷凍された食パンが6斤も入っていました。送ってきたのは北海道の鹿追町。家人がやったふるさと納税でした。ところが、家人が頼んだお礼の品は食パンでは無くチーズ詰め合わせ。しかも届いたのが大晦日で、我が家の冷蔵庫、冷凍庫ははち切れんばかりの満載状態。しかし箱には「要冷凍」の文字が。我が家ではどうしようも無いので、慌ててご近所に配って歩いたわけですが、これには家人がプンプンになりました。

それを受けて私がツイッターでこんな事があったのだと呟いたんですが、驚いたのはその後です。年を越して仕事初めになった頃、一通のメールが私のところに届きました。それは鹿追町のふるさと納税を担当する課の方からで、私のツイッターを読んで連絡をして来たんです。詳しい状況を知りたいから連絡が欲しいとの事。翌日家人が電話をすると速攻で状況を調査してくれました。結局この件は、家人が証拠のメールを削除してしまったためどちらのエラーなのか分からなかったんですが(役場の記録では食パンを選択してあるようでした)、この担当の人が丁寧に家人のクレーム(いくらなんでも大晦日に食パン6斤を、連絡も無く送りつけてくるのはヒドいんじゃないの?というクレーム)を丁寧に聞いてくれて、今後はそういう事が無いように対応するという話で落着したんです。

ところが、実はこれで終わっていなくて、今回我々が香港に行っている間になんとこの鹿追町からチーズの詰め合わせが送られて来たんです。しかも町長からの謝罪のメールも同梱されてました。これを読んで家人が鹿追町のファンになったのは言うまでもありません。鹿追町という町名はふるさと納税が無ければたぶん一生知る事は無かったでしょう。それが今では家族の全員が知っているのみならず、この件を家人がご近所で説明して宣伝していますからウチの部落では知っている人が結構いるんです。これってスゴい宣伝効果ですよね。

こんなのは民間の会社では当たり前のクレーム処理で、多少気の利いたところなら同じような対応をするお店はいくらでもあるはずです。ところがこれが役所となるとそうでは無かったんですね。高飛車に木で鼻を括るような対応をされるのが常だったんですが、この町の対応は立派な民間企業のそれでした。そういうところに人気が集中するのも当たり前で、まさにこれこそが市場原理に即した対応なのです。

つまり、ふるさと納税で寄付金を集めるという事は、市場原理、顧客満足度、顧客目線、そういったものを考えるという事です。番組ではこれと真逆の自治体も紹介されていましたが、こういうところもこれから変わって来るんじゃないですかね。変わらなければ自治体が手にする税額が減るという事ですから。しかも今年はこの寄付金の枠が去年の2倍になるわけで、つまりこれは多く手に出来る自治体はさらに富み、多く失う自治体はさらに奪われるという、まさに資本主義そのものを具現化している状態が生まれるわけですから。

自治体でふるさと納税を担当している人は、本稿で紹介した私の過去ログをじっくりと読んで対策を練った方が良いですよ。あんまり税収が減ると議会で叩かれますからね。

 

 

 

カテゴリー: メルマガ補足, 政治・経済, 時事ネタ パーマリンク

コメントは停止中です。