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第65回目(2016年9月)の課題本

9月課題図書

 

ロケット・ササキ:ジョブズが憧れた伝説のエンジニア・佐々木正

久しぶりに伝記ものです。かつての日本にはこういうスゴい人がいたんですね。っていう

か、この人がシャープをあれだけの大会社にした立役者なのです。ご存命なら、今のシ

ャープの体たらくに呆れるやら、ガッカリするやらでしょう。

スケールの大きな人物ってどういうところに共通点があるんだろう、と考えながら読むと、

過去に読んだ人物伝とリンクするところが見つかるはずです。

広く深い人脈を作るためには、何をしなきゃならないのか、と考えながら読むと・・・以

下同文。

アッと驚く着想力を身に付けるためには、何をしなきゃならないのか、と考えながら読む

と・・・以下同文。

本書ではこれらの要素が全て盛り込まれていますから、読み方によっては無限の価値を生

む知恵袋になるかも知れません。

 【しょ~おんコメント】

9月優秀賞


今月は平易な内容でとっつきやすく、おまけ

に読んでいてワクワク出来る本を選んだので、多くの方に投稿していただきました。ま、

そういう時こそ実力の差が顕著になるんですけどね。

昨日の帰りの新幹線で一周目を読み、乗り換えた後のローカル線で再読し、一次審査を通

過したのが、『vastos2000』さん、『BruceLee』さん、『kawa5emon』さんの3名で、最終

的にはvastos2000さんに差し上げることにしました。

【頂いたコメント】

投稿者 Valentina 日時 2016年9月17日


このタイミングで、この本が課題図書になるとは!!正に、今の私が読むべくして出会った本だった。

私がこの本を読み始めたのは、去年10月から通い始めた日本語教師養成講座の1年コースが終わりに近付き、そろそろ就職活動を意識して情報収集を始めた頃だった。私が日本語教師になる目的は、海外で仕事すること。大好きなヨーロッパに行ければ最高だけど、ヨーロッパでは日本語教師の需要が非常に少ないので、次に興味のある中南米のスペイン語圏について調べた。どの国にどのくらい日本語学校があるか調べ、そこのホームページや採用情報を見たり、その国在住の日本人のブログを読んだり、現地の街並や食べ物を(あとイケメンも)画像検索したり…。JICAの募集要項も見て、青年海外協力隊経験者のブログも読み漁った。まずは需要の多い地域で仕事を見付け、数年間経験を積んでからスペイン語圏に挑んだ方がよいのでは?と見方を変えて、東南アジアに関しても情報収集した。見知らぬ土地での未経験の仕事について、少しでもイメージを湧かせることで自分を安心させたくてネットサーフィンしまくっているうちに、私は“安心”どころか空しくなっていた。こんなに時間を割いて、ネットの情報だけ詰め込んで頭でっかちになって、何か良いことがあるんだろうか?

そんな中、時代の流れや国からの命令、厳格な父の言葉に翻弄され続けた佐々木氏の青年期のエピソードを読み、私の心に一つの解が浮かんだ。

「どこに行っても正解。」

文学青年だったが父の一言で技術者への道を歩むことになり、技術者なのに反物の営業をやらされ、畑違いなのに工場の設計を任され、現場監督までやらされる。普通の人なら、他人の意志によって自分のやりたいことを曲げられれば、全力を尽くそうというモチベーションはなかなか湧かないだろう。だが、佐々木氏は、与えられたどんな任務に対しても、読んでいて気持ちが良くなるほど常に全力投球だった。置かれた状況で出会うもの全てに興味を持ち、学べるものは何でも学ぼうとする彼の好奇心がそうさせたのだろう。自分で選んだ状況でなかったとしても、自分次第で全てを成長と喜びに結び付けられるのだ。

ネット上の情報に振り回されて「この国で働くのはちょっと…」と尻込みしていた自分がとても小さく感じた。住み心地が悪くたって、食べ物が合わなくたって、見知らぬ土地に移り住んで様々な気付きを得、人脈を作り、新しい経験を積む、それだけでもう私にとって大きなプラスであり、それはどこの国へ行こうと叶えられるのだ。どこへ行っても、正解なのだ。佐々木氏の生き方は、就活に悩む私の背中を力強く押してくれた。

そんな佐々木氏と私には、いくつか共通点も見出すことができ、とてもうれしく思った。佐々木氏は、ジャンルを問わず様々な本を読み、英語以外にドイツ語や福建語も話し、大学では電気工学を専攻した。一見すると独立した才能をいくつも持っているように見えるが、実際は、彼が何か大きな成功を遂げるときは、必ずと言っていいほど、彼がそれぞれの領域で蒔いてきた種から生まれたものが見事に結び付いている。私は佐々木氏と違って何も極めてはいないものの、大学院で物理化学を専攻した一方、英語・スペイン語・フランス語を解せるようになり、今は日本語教育能力も身に付けつつある。これまで何度も「最初から外大にでも入って語学を勉強すればよかった。」と悔やんだことがあったが、今ならそれは違う!と断言できる。例えば、『投影された宇宙』を読んだとき、「私はこの本を読むために量子化学を勉強したのか!」と、脳の奥で何かが繋がって閃いたのを感じた。もし私が量子の世界についてイメージを描くことができなかったら、こんな難解な本は数ページで投げ出していただろう。佐々木氏はドイツ語を勉強していたので、突然「ドイツへ行け。」と言われたとき、少なくとも言葉に関しては用意ができていた。私も、今すぐにはスペイン語・フランス語を使う機会がないとしても、いつお呼びがかかってもいいように勉強を続けておこうと思った。

日本語教育能力検定試験を来月に控え、私は試験勉強のラストスパートに突入した。去年の10月以来、週2日の休みは学校に通ってきた。フランス語検定が終わったかと思えば、次は日本語の勉強。検定が終われば、11月はスペイン語の試験。そして実習。エンドレスに続く勉強。好きでやっているとは言え、「この歳になって、なんでまだ学生みたいなことをやってるんだろう…」と空しくなることもあった。だが、『ロケット・ササキ』を読んで、その考えは大間違いであることがわかった。技術者や研究者達は、1つのことを追求するために、何年も情熱を絶やすことなく研究・開発に没頭し続けているのだ。学び続けているのだ。だから、私はこれでいいんだ。“学生みたい”じゃない。一流の大人として然るべきことをやっているのだ。そんな安心感を、この本からもらった。

佐々木氏に才能があったのはもちろんだが、いくつものエピソードから、私には彼がかなりの“強運”の持ち主でもあったように感じる。“殺人電波”を使って人を殺す実験をしなければならない状況を直前で免れたり、敵艦隊から狙われやすいUボートに乗って遥かドイツから無事に帰国できたり…、この運の強さは、彼が常に人類の役に立つために技術を使いたいと願う究極の“智の道”を歩む人間だった故ではないかと、私には思われる。人類の役に立つことが、自分の喜びでもある。だからこそ、天が味方したのではないだろうか。

佐々木氏は、その広い人脈の中から、自分が「この人とこの人を“共創”させたら良いものが生まれるのではないか。」と感じる人々を結び付けることに長けていた。これは、スケールこそ違うものの、しょ~おん先生の下に集まった塾生同士がリアルの場で出会い、自分にとって有益と感じる人脈を作っていくプロセスと似ているな、と思った。佐々木氏の計らいから強力なタッグが生まれ、そこから生じた“共創”が人類に画期的な変化をもたらす。そんな佐々木氏と同じような役回りを務められているしょ~おん先生の下で、塾生同士の“共創”から何か革命的なものが生まれる日も遠くはないのかもしれない。もちろん、私自身が生み出す日も。

本の終盤で登場する『「現実歪曲空間」を作る力』、これは技術者に限らず、私が今目指している教育者にとっても、非常に重要なスキルだと思う。なぜなら、技術者同様、教育者も、まだ見えない未来のビジョンを語り、学習者に鮮明なイメージを抱かせることで、学習へのモチベーションを上げさせる職業だからだ。日本語が話せない人には、日本語を話せるようになった自分をイメージするのはなかなか難しい。それを教師が手助けし、イメージを湧かせることで、上達のスピードを加速させることができる。そのために、私も『「現実歪曲空間」を作る力』をぜひ磨きたい。

9月は私の誕生月。この本で得たものを佐々木氏からの誕生日プレゼントとして胸に刻み、30代最後の一年の推進力にしたい。

投稿者 tsubaki.yuki1229 日時 2016年9月23日


「ロケット・ササキ」を読んで

1.イノベーションの新解釈

 これまで、イノベーションとは「今までに存在しなかった新しいものの創造」だと、信じてきた。
ところが、本書により、私の価値観はひっくり返った。
 佐々木正氏のイノベーションの定義は、
「他の会社と手を携えて新しい価値を生み出すこと」
である。(245ページ)。
「他の会社と手を携えて」・・・イノベーションに、こんな意味があっただろうか?
 念のため、英英辞典でinnovationを、国語辞典で「革新」を引いたが、「他者と協力して」に該当する説明は、やはりどちらにも明記されていなかった。
 佐々木正の価値観において、「たった一人で生み出した発明」はイノベーションとは呼ばないし、そもそも、そんなものは始めから存在しないのだろう。
 佐々木正、早川徳次、松下幸之助。彼らに共通していたことは、「人は自分一人では生きていけない」ことを、深く認識していたことに尽きる。己の弱さを知り、自分だけの力では何ひとつ成し遂げられないことを分かっていたからこそ、他者から受けた恩恵への感謝の念を忘れず、謙虚さを持ち、そして他者に恩恵を分け与えることを惜しまなかったのである。彼らの出会ってきた全ての人、経験してきた一つ一つの出来事が、彼らという人物を作り上げたのだから-。
 松下幸之助は、ライバル会社のトップに講演を依頼するため、プライドを捨てて頭を下げた。
早川徳次氏は、「敵に塩を送る真似をすべきでない」と社員に大反対される中、「佐々木くん、やってあげなさい」と依頼を受け入れた。「良い技術であれば、他社やお客さんにどんどん使ってもらえばいい」と、電子レンジの特許を公開したことも、人間として懐が大きく、見ていて清々しい。
 彼らのような、優れた技術者・経営者でさえそうなのだから、自分はもっと、周りの人と手を携えてイノベーションを起こすことに従事しなければならない、と気持ちを新たにした。人生に無駄な経験など何一つない。出会う人、経験した出来事、全てから貪欲に学ぼうと思う。

2.斬新なアイディアは、ボーダーレスな生き方から生まれる

 佐々木正のモットーは「共創」であったが、この定義をさらに広げると、「学際的」(P.43)という概念にも通ずる。佐々木の斬新な発想力を生んだのは、まさに学際的な生き方の成せる業だと思う。「学際的」を辞書で引くと、「研究対象がいくつかの学問領域にまたがっていること。諸科学が総合的に協力すること」とある。第二章の京大の文学部で京ことばについて教授を質問攻めにした話、アフリカで反物を売るエピソードでは、「一体この話、どこにつながるの?脱線してない?」と心配したが、一見このような彼のメインビジネスに関係ないように見える経験が、彼の「人となり」を作ってきたのだと、後から繋がって納得した。
 例えば、佐々木が開発したリンゴマンゴーのエピソードからして、国境も既成概念も凌駕した象徴的なエピソードだ。寒い国で育つリンゴと、暑い国で育つマンゴーを接ぎ木するという発想。しかも、それを行った場所は、佐々木の母国の日本ではなく、日本人と台湾人が共存するコスモポリタン国家・(戦前の)台湾だったという。
 このエピソードに教えられたのは、身の回りのあらゆることに興味を持つべし、ということである。例えば私の場合、仕事は語学教師で、自分は絵に書いたような文系人間であるが、本屋で本を選ぶ時に「私は文系だから、自分の専門分野でない科学や数学の本に興味はない」と、それらの本を避けて通るなど、以ての外、ということだ。こんな姿勢ではイノベーションが生まれるはずなど、ない。自分の専門分野だけに精通しようとした所で、成長することは永久にない。学問同士の壁、国と国の壁を取り除いてダイナミックに考えることで、イノベーションが生まれるのである。
 興味の持てそうな分野、自分と似ている人だけでなく、これまで全く出会わなかったであろう世界を積極的に取り込もうと思った。

3.職人的生き方

 一方、本書を読んでいて危機感と焦燥感を感じたのは、「日本の会社で偉くなるのは、技術者でなく管理者」という事実である。(本書P.156) どうしてこのような愚かなことになっているのか。やるせない。  日本社会と対照的なのがアメリカだ。アメリカでは、技術者の価値を経営者側が良く理解しているため、アメリカ人技術者には日本人技術者の倍の報酬が払われているという。

 第二次世界大戦中、佐々木氏達の勤務していた工場が、アメリカ軍の空襲の対象から外されていた理由からして、西洋人の合理性と戦略的思考がよく現れている。アメリカ軍は目先の戦争で勝つことだけでなく、「勝った後でどうすればスムーズに日本を統治できるか?」と、さらにもう一歩踏み込んだ未来を見据え、全てを計算に入れていた。神風特攻隊作戦しか思いつかなかった日本軍とは、天と地の差である。道理で「やるまえから勝敗が見えている戦争」と言われるわけだ。
 もちろん米国軍が、多くの罪のない日本の民間人を空襲で殺害したことは、許しがたい犯罪である。しかし、科学者達の勤務する工場を爆撃しなかったことは、少なくとも彼らの中に「科学は本来、人殺しでなく、人類の発展のために使うべし」というビジョンがあるがゆえの行動だったのだ。科学者、技術者達に一目置き、彼らに正当な報酬を払って敬意を表すアメリカ文化から、私達日本も学ぶべきだと思う。

 見方によっては、「日本の技術者は、報酬や名誉を求めず、ただ良い仕事をしようと、ひたむきに努力を続けてきた」という捉え方もできる。「日本人には優れた職人が多い」と一般的によく言われるが、技術者達自身が、周囲から評価を受けることを重視せず、「自分自身と、神のみが納得できる傑作をこの世に残すことに、人生をかける生き方」をしてきた(こういう仕事こそ、「天職」というのだろう。)・・・そんな側面もあると思う。
 それでも私は、職人や技術者は、経営者と同等に、あるいはそれ以上に評価されて然るべきだと思う。
 例えば、ここに腕の良いパティシエがいたとする。彼/彼女は自分のケーキ屋を開店しようとしている。もちろん、ケーキ作りの腕が良いだけでは、店を繁盛させることはできない。マーケティングリサーチ、チラシやHPでの宣伝、メニューや値段の設定など、ケーキを売るための戦略を立てて実行する経営者が絶対に必要だ。しかし順番として、始めに「美味しいケーキありき」で、「良い商品をお客様に買ってもらい、喜んでほしい」という思いがあるからこそ、経営者の腕が必要になるのである。「お金設けのノウハウは優れているが、ケーキは美味しくない」というケーキ屋があったとして、一体誰がそんな所に買いに来るのだろうか?
 この例で行くと、ケーキ職人よりも経営者の方が偉い、という理屈は絶対におかしい。ところが、おかしいことを実際にやっているのが、現在の日本の産業界なのである。
 ケーキ職人にも経営者にも優劣はない。両者がバランス良く協力しあわなければ、店の成功は有り得ない。
 現状を変えるためには、まず職人自身が経営のことを勉強するべきだと思う。かく言う私自身が、完璧なまでに「上に立って戦略を考える経営者」ではなく、「自分の目の前の仕事にだけ没頭する職人」タイプの人間である。組織に所属し、上からの命令に従ってのみ生きるのではなく、自分が世界のために何ができるのか考え、自分でイノベーションの道を模索し、主体的に行動する生き方をしようと心に誓った。

4.立ち止まったら試合終了

 佐々木正氏を始め、寝食忘れて新製品開発に没頭する技術者達は、自分の仕事を心から愛しているのだろうと思った。読了後、思わず自分のデスクの引き出しを開け、計算機のメーカーを確認したくらいだ。(カシオだった。)今では100円ショップで買える計算機に、半世紀前、こんなに熱い企業間での競争ドラマがあったのだ。
 日本社会は豊かになって成熟し、高度経済成長期のような熱い競争の時代は、終わったように感じられる。それでは、イノベーションは、この先起こらないのであろうか?
 答えは否だ。どんなに平和で豊かに見えても、周りを見渡してみれば、必ず何か困ったこと、改善したい点が見つかる。目を皿のようにして探せば、ビジネスチャンスはあるはずだ。
 現状に満足して足を止めたら終わり。常にイノベーションを目指して歩き続けよう。その際、佐々木氏が教えてくれた「共創」の精神を心に刻みつけて行動したい。
 良い本を紹介いただき、ありがとうございました。

投稿者 J.Sokudoku 日時 2016年9月27日


技術者って凄い!これが、本書を読み終えてまず思ったことだ。たまたま本書の前に読んだ本が、“零式戦闘機~吉村昭~”だったこともあり、技術者に対する尊敬の念が強まった。本書でも言及のあった零戦の主任設計士である堀越二郎と三菱重工の技術者達は、海軍から到底に不可能と思われる仕様の戦闘機を求められ苦心の末に零戦を世に送り出すことに成功する。技術者達は、世のためにやってやるという思いを強く持ち、そして出来る限りの努力を注ぎ込む。そして、苦心惨憺の末に新しい物を世に送り出していく、そんな技術者達が“零式戦闘機”に、そして本書に沢山登場する。

情熱を持った技術者達の積み上げた歴史。その上に自分は生きているのだと、本書を読むと実感させられる。ふと身の周りを見渡せば、便利なモノコト、必要不可欠なモノコトは無数にある。それらのモノコトの背景には、沢山の技術者達の物語があると考えると、今まで何気なく接していたモノコトに目が引かれ、頭の中にワクワク感が沸き出し、また感謝をするようになった。また、それらのモノコトの背景にある物語は決して1人の物語ではなく、色々な人の物語の断片が交差し重なり合いながら出来上がっていることを本書に教えられた。別の言い方をすれば、それらのモノコトの背景には必ず「共創」があることを学んだ。

スティーブ・ジョブスが憧れ、孫正義が恩師と仰ぐ佐々木正。佐々木さんの初対面でこの2人から何かを感じる直感力。本書に書いてある数々の偉業。更にウィキペディアを見ると、“1985年、御巣鷹の尾根に墜落したJAL123便に搭乗予定だったが、キャンセルしたため、搭乗しなかった”とある。今流行っている(?)“神っている”という形容詞は、まさに佐々木さんのためにあると言ってもよいだろう。

そんな神っている佐々木さんが座右の銘とし、そして人々に一番伝えたいこと。それは、「共創」という考え方だ。「わからなければ聞けばいい。聞かれたら教えればいい。」佐々木さんは、人脈を駆使して、人と人を結び付け、そしてその人達の知識、経験、技術等が互いに共鳴し合い様々な革新的なアイデア、技術、モノコトを世に送り出してきた。この「共創」の考え方が正しいことは本書を読めば明らかだ。

では、自分自身は「共創」はできているのだろうか。できていない、というのが率直な答えだ。その原因は幾つかあるが、今後最も意識をして取り組むべきことがある。それは、「共創」を本当に意味のあるものにするために、自分自身が何か光る“技”を持つということだ。言い換えれば、「共創」する相手に与えることができる、相手にとって価値のある何かを持つことなのだ。それは、知識、情報、経験、技術、人脈、資金力、情熱であたったり、様々な能力であったり色々なカタチがあるのだろう。これらが無くして、本当に意味ある「共創」に巡り合うことは無いだろう。仮に、自分に沢山の知り合いがいたとしても、その人達にとって価値ある“技”を自分が持ち、それを提供できなければ、本当に意味のある「共創」の実現は難しいだろうし、それを望むのは虫の良い話ではないだろうか。アップルとマイクロソフトの提携にしてもお互いに得るものがあっての「共創」だったはずである。今後意味のある「共創」に巡り合うために、今の自分にはその光る「技」が欠けている。では、今後どうして行きたいのか?それが、本書から突き付けられた自分に最大の課題である。

正直に言って、自分は大した“技”を現時点で持っていない。では、「共創」実現のために最も欲しい“技”は (もし獲得できるのであれば)何かを本書の中で探してみた。人脈か…?まずは、佐々木さんが持っていた豊富な人脈が思い浮かんだ。豊富な人脈があってこその「共創」の実現。これは、間違いの無い事実であろう。しかし、まずはその人脈を構築するために、そして人脈を有機的に働かせるために前提となるモノがあることに気づいた。

それは、本書に登場する早川さんも、佐々木さんも、孫さんも、片山さんも、ジョブスも持っている先を読み、その解決策を示す、本書に言う「現実歪曲空間」を生み出す能力だ。そう、佐々木さんがロケット・ササキと呼ばれるように、孫さんが宇宙人のようだと呼ばれるような、“未来を描く能力”なのだ。何故なら、その能力を持ってして、周囲の人に未来を示し、惹きつけ、協力を呼び込むことができるからだ。1964年に最初に発売された電卓は535,000円で重量が25Kg。それを、「八百屋のおカミさんが使える製品に」という未来を描き、周りの人々を惹きつけ巻き込んでいったのが早川さんであり、佐々木さんだ。現在、100円で買うことができ、ポケットに入れて持ち歩ける電卓を実現した「共創」の始まりは間違いなく彼らの”未来を描く能力”を無くしてはあり得なかった。「共創」を可能にする人脈を作るためには、”未来を描く能力”は必要不可欠なのだ。

では、この「現実歪曲空間」を生み出す能力を少しでも得るには何が必要なのだろうか。上に挙げた者達に共通するのは、知識、経験、情報を持つことは当然のことながら、その上に固定観念に囚われにくい性格を持っているのだと思った。それが、発想の豊かさを生み、人を惹きつけて行くのだと思う。

固定観念に囚われない。自己啓発本にはよく出てくるフレーズだ。そう言えば、今年の4月の課題図書、“成功の神はネガティブな狩人に降臨する~角田陽一郎~“にも”でも“頭の中の固定観念をもみほぐそう“と書いてあった。そして、角田さんも沢山の人を惹きつけ、巻き込むことで「共創」を実現している。

その自己啓発のお決まりフレーズを何度も何度も目にしてき、そして本書を通してようやく我が身心に沁み込んできた。他にも「共創」を実現するために、自分が身に付けて行かなければいけないことは多々あるが、就中固定観念に囚われずに未来を描いてみることから始めてみることにする。

~終り~

投稿者 akirancho0923 日時 2016年9月28日


『ロケット・ササキジョブズが憧れた伝説のエンジニア・佐々木正』を読んで

一気に読んでしまった。そして、どれだけ学びや気づきがあるのだろうと
考え込んでしまった。

そして、通して3回読んでやっと、この自伝の主人公の凄さが実感できてきた。

自分が今、この本に出てくる方々と圧倒的に違うのは、かつ足らないのは
ある対象に、いつの間にかのめりこんで、面白みを感じることだ。、と気づいた。

この頃に比べ、今の方が断然情報収集量も多いし早いし、人ともつながりやすいはずだ。
なのに、情報をこれだけ早くたくさん浴びているにもかかわらず
時間だけがあっと言う間に過ぎる割には、成長している実感が感じられないと
思っていた。

変えるべき点は、これだ!と思ったら、一気に激しくのめりこむこと。
そしてほかの情報はその間、一切シャットアウトする、成果が出ようと出まいと。

子供のころはそうだったはずだ。誰から話しかけられようと
夢中になっている間は顔を上げることはなかった。

私は本書の主人公のように技術には明るくないが
まとまった時間があればやってみたいことはある。

少し寝不足が続くかもしれないが、情熱を感じれるぐらい夢中になって
作り上げる感動を味わいたいと思います。

面白い伝記をご紹介頂き、ありがとうございました!

投稿者 ishiaki 日時 2016年9月29日


この本を読んで何か大きなことをやる人は
器の大きいというのを感じた

自分がいろいろな技術を持った人間だったらあそこまであけっぴろげに
技術を教えているだろうかと感じ、見ず知らずの者が訪ねてきても気にせずその人にあった人を紹介して
あげるなど、とにかく凄い人と感じた

投稿者 akiko3 日時 2016年9月29日


「ロケット・ササキ」を読んで
  
お見事!点と点が見事につながり、まるで勝利の女神から誘導されながら歩いているかのようだ。登場人物がトップクラスの方々なのは、氏自身が秀でた方だから引き寄せあって…上質な人生劇場をダイジェストで見るようでワクワクしながら一気に読んだ。しかし、戦時中のエピソードでは(殺人機開発ではあるが)研究に没頭したり、アフリカで布を売り歩いたり、こんな世界もあったのかと新鮮に思った。戦いに出ず研究することに罪悪感を抱き、仲間の訃報を聞くと“死に損なった、生き残ってしまった”と悔やむ言葉にここでもか!と生への罪悪感という戦争の負の面を重く受け止めた。さらに終戦により科学者として生き残れたと安堵する心理にも一生を台無しに、一生背負う罪の重みに、一方で命の重みを麻痺させ研究結果を得たいが為に人が道具にしか見えなくなっていた研究者達もいたのだから…戦争は本当に『幸せ』からほど遠い世界なのだ。
佐々木氏を始めヒット商品を生み出した人たちは、新技術・商品がもたらす『幸せ』を常に目標の先に描いて努力されていた。でも佐々木氏が言う『共創』はグローバルな社会では出し抜かれる危険とかないのか?なんで土壇場で早川に行くことにしたのか?もっと深く読もうと2回読んだがわからなかった。
  人と違う道を選べる根底にある価値観を知りたくて、佐々木氏の100才でも現役の頃の著書「生きる力活かす力」や、より詳しい開発エピソード・共創や哲学について語られている「原点は夢 わが発想のテクノロジー」を読み、少しは知識の水平転換、深堀が出来たようでしばし自己満足。いや~面白かった!で終わったらダメでしょっ。

10回ぐらい死にかけたそうだ。戦争でも寸で助かり、飛行機事故でも胸騒ぎがしてキャンセルしたから助かった分、“世の中に役立たねば”という思いを強く持たれている。“胸騒ぎがする”その感覚も今は解明されていないがいずれ解るはずだと考え、常識はずれ的な知的好奇心を持つことが新しいことを考え出す為には不可欠だとも述べられていた。
あと、視点が高いのだ。『共創』も人類に対していかに貢献できるか、科学・技術は人類の『幸せ』のためという哲学がどっしり腑に落ちているから言えることなのだ。多様な社会では皆が同じという“和”ではなく、個性を活かし切磋琢磨することで生まれる新しい恵みが大切なのだ。60年開発一線での経験(カシオに負けた時は、使う人の喜びより新技術に気を取られ過ぎていた“一生の不覚”“痛恨の極み”と悔やまれている)からの言葉は深い。
先人が発見した原理が実用化されるまで60年。その間技術者達はコツコツ探求し続け技術を繋げ進化発展している。過去から学び、さらに生活を便利に幸せにできる企業として生き残るためには、2年を目途に新しいものを考えねばならないからと最新情報にもアンテナを張り巡らせる。『共創』の概念があるから自分を育てる(活かす)ように人も育てる(活かす)。そして皆の幸せを目指す。その真摯な姿を女神は見逃さずチャンスを与える。成功哲学の鉄板なのだが相当ハードルは高いぞ!

クリスマスイブ「新しい分野の仕事で挑戦していただきたい。誰にもマネできないものを作って下さい」が決め手だったそうだ。勝負に勝つには相手の弱いところを調べてそこを責める。早川側のあっぱれだ。早川電機は追い込まれていたし周りにも理解されなかったが、早川社長は信頼してくれたのでやりたいことがやれた。前の会社で何度も辞表を出そうと思うほどに感じた働きにくさとは違うから歩み続けられた。ちなみに氏の人生哲学は“楽な道より茨の道を歩く”だそうだ。開発でもあえてリスクを取る方なのも納得。

自分の成長がいまひとつ感じられず、良きものをインストールしたかった。大脳は常に情報を探しているのでMAXになったら情報と情報がくっついて右半球で瞬間的に“閃く”のだそうだ。
特に守るものもないと思っていたが、人間つい当たり前に安心し、同じことの繰り返しが楽に感じるので、とにかく一歩前へ、新しい経験を選べる自分でありたいと思う。「人生は愉しい」と現役100才から言われると、凹んでる暇ないぞと消えました。ありがとうございました。

投稿者 sakurou 日時 2016年9月29日


~「ロケット・ササキ」を読んで~

今月は軽やかに読み進めることができた。本書は軽快な読み物調でありながら、書いてある内容はかなり深い。

冒頭、公園でのヒッピー集団に入っていく佐々木。また、孫という変わった人いる、という話。また、電卓戦争、半導体開発等も、決して重くはないし激しい競争を感じさせるのだが、その中にものづくりへの情熱や業績を挙げた喜び等、面白くて元気が湧く話がふんだんに盛り込まれている。

今月は「佐々木のようなロケットになるために」というテーマで纏めてみたい。

1.「行動力」と「カン」のスパイラル

本書を通じて一番感じたのは、当たり前かもしれないが、「ロケット」と評される佐々木の猛烈な発想力とスピードである。

佐々木の前に並ぶ様々な相談の列。相談するとその場で電話をかけ、秘書にスケジュール調整を依頼する。そのようなスピードで何十年も仕事をしていたら、圧倒的な行動力が身に付くだろうし、世界中に人脈が張り巡らされるし、発想も広がるだろう。

冒頭の佐々木が公園でラリっている(笑)スティーブ・ジョブズに話をしに行くときの一節は常識的には考えられない。まさに佐々木の経験に基づく「カン」が働いたのであろう。

もしかしたら強電より弱電を選んだのも「カン」なのかもしれない。もし佐々木が強電を選んでいたら今の佐々木もシャープもなかっただろう。そういう意味では佐々木は元々カンが働く方で、経験によりその「カン」の精度を高めていたのかもしれない。

では、「カン」を鋭くするにはどうすべきか。私はまさに佐々木がやっていたように様々な本を読み、いろんな人と話をすることが重要と考える。私自身、ここ数年でジャンルを問わず様々な人と話をすることで、刺激を受けてきたし、その分を周りを盛り上げるなど、お返しできてる(と自分では思っている。。。)。元々食わず嫌いせず、人から勧められたものはなるべく試すようにしていたらこうなったのであり、これだけで佐々木氏に近づける程甘くはないが、より良い「カン」が働くのではないか。

2.失敗しないためにチャレンジする

また、失敗しないためにチャレンジすることも重要に思えた。こう書くと一瞬矛盾しているよう思えるが違う。本書にもある通り、今のシャープを招いた理由は無謀とも思える液晶工場新設である。あれほどの大規模投資に踏み込むのはチャレンジではなかったのか?チャレンジと無謀は何が違うのか?当たり前だが、失敗した時のダメージの大きさ、許容できるリスク。大きなリスクを許容できるなら大きなチャレンジが出来る。

佐々木も自ら交渉の場に乗り込んでいった。チャレンジしないことには成功も失敗も無い。成功するためにはチャレンジが必要である。

佐々木も大きな失敗としているMPUのアイデアの実現。それは女子文系出身社員の一言について、文系出身だから等の理由で気にも止めず、アクションを起こさなかった、チャレンジしなかったためである。その時、小さな挑戦でもしておけば、インテルではなくシャープがMPUの覇者となっていたもしれない。また、電卓戦争で桁数にこだわり、カシオ製品の普及を許したのは、ユーザのニーズ以上のスペックにこだわって桁数の発想を捨てられず、そういう観点で製品開発できなかった、言わばイノベーションのジレンマだし、佐々木でさえもイノベーションのジレンマに陥ってたんだなと思う。

私も日々いろいろなことに取り組んで時間が無かったり、ときに失敗もするのだが、将来大失敗しないための勉強と思って、気楽に取り組んでいる。

3.アウトプットの質を高めるために

仕事、プライベート両方でアウトプットの質を高めるのは重要である。プライベートのアウトプットというのは単にいろいろ遊びに行っているということよりも、むしろ充実したという方がしっくり来るだろう。

アウトプットの質を高めるためには、(1)インプットの質を高める、(2)インプットとアウトプットのサイクルを早くする、ことの2つが重要と考える。

(1)のためにはより多くの本や人に会う等、様々な情報に触れるのが大事だし、(2)のためには、日記や個人的な読書メモやアイデアメモのようなものを書くクセを付けることが重要と思う。
メモを書き、読み返すことでフィードバックが働くし、また、大きなアウトプットを意識してサイクルが回らなくなるより、ちょっとしたメモでもアウトプットしておくとサイクルが早まり、よい訓練になるように思える。

一人Plan-Do-Seeを日々繰り返すし、「インプットの量を高めて、情報の濃度を高めるながら、常にアウトプットを出して、その結果を次のインプットに生かす」ことでロケットまでは行かないまでも、飛行機、新幹線、いや高速道路くらいまでは行けるのではないか。

4.「共創」が生む未来

本書に出てきて、今、改めて非常に重要なキーワードが「共創」である。Appleに復帰したものの、致命的な財政難に陥っていたアップルに救いの手を差し出し、そのお金でMacintosh版MS Officeを開発し、従来のどちらのプラットフォームで作ったドキュメントでも流通可能とし、それまでのWindowsとMacintoshという二項対立構造を崩したのは、何というか、運命のなし得た技としか思えない。それはジョブズがAppleが追放されなかったら起こり得なかっただろう。また、佐々木が犬猿の仲にあった孫と西を和解させ、その後の日本の情報通信産業の発展に貢献したのは火を見るより明らかである。

異なる考えどころか、むしろ両極端な考えの持ち主を引き合わせ、握手させ、同じベクトルに向かわせる。本書にある「リンゴマンゴー」とはこのことだろうし、以前のメルマガであった「人と人との間の触媒でありたい」という話にも通じる。

新しい価値を生むには尖ったもの、例えば楔のようなものを例えるとわかりやすいが、そういったが必要である。とはいえ、尖ったもの同士がぶつかるとお互いを傷つけてしまう。しかし、ベクトルが合うようにうまく重ね合わせれば、より先鋭な新たなものが生まれる。それは太いものかもしれないし、より長いものかも知れない。とはいえ、組み合わさってできたものはオリジナルのものよりもより新たな価値を生むであろう。

私の本業はソフトウェアの研究開発プロマネなのだが、佐々木のような共創を生み出せる、楔同士を上手く組み合わせる、リンゴマンゴーように上手くいかせるようなデザイナーでありたいと思う。


以上の通り、感想を纏めてみた。もちろん、今のシャープは厳しい状況にあるし、日本経済全体もそう言われているが、果たしてそうだろうか?

本書でLSIからMPUに主流が変わったように、AI、ロボット、IoT等、 この先の10年、20年の主流になり得る技術が出てきている。特にAIはインターネットのように間違いなく将来の基盤技術になるだろう。上記のように書いたようなことを少しでも実践すれば、成果は出てくると思うし、みんなが行動すれば、ちょっとでもより日本が良くなるのではないか?

自動運転、少子高齢化対策、地方創生、インバウンドの取り込み等、これらの技術を活かせば社会をより良くするものなるはずだし、自分も楽に幸せになれるはずである。

そう思いながら、ロケットを目指して日々暮らしていきたい。

投稿者 str 日時 2016年9月29日


「ロケット・ササキ」を読んで

スタッフが全員帰宅し、静まり返った会社のオフィスで一人本書を読み進めながらふと周りを見渡した。それはいつもの風景。パソコンや電卓など当たり前のものばかりが並んでいる。たった今身を置いているこの部屋にある数々の電子機器。元を辿っていけば佐々木氏が関わり、生み出したものが一体いくつあるのだろう。
ふとそう思った瞬間、鳥肌が立った。

技術者としての知識やスキルも含め、とんでもない人である事は間違いないのだろう。
けれど真に驚いたのは彼の人間性。佐々木正という人格だった。
誰でも一度は名前を聞いた事があるような著名人たちの素質・人を見抜く力。これは未来予知の領域だと思った。そしてただの偶然では片づけられないような出逢いの数々。人を惹きつける何か“視えない力”のようなものを持っていたのだろうか。
一期一会という訳でもなく、いつの日か再会へと繋がり異質なもの同士が『共創』へと向かっていく様は読んでいて非常に心地良いものがある。難題に立ち向かう時でさえ、とにかく人から信用され、それ以上に相手を信用し・任せる。そうする事で得た仲間達、時には競争相手とのモノづくりを心底楽しんでいたように感じた。

本書に出て来る人物達の現代の知名度と比較すると、佐々木氏の名前はあまり知られていない方かもしれない。けれど彼自身そんな事はきっと気にも留めないだろう。
佐々木氏の『人類の進歩の前に企業の利益など、いかほどの意味もない』という言葉。
自信の知識と技術を他者を蹴落とすための「武器」として使うのではなく、新たな芽を出す可能性を秘めた「種」として分け与え、その「種」を育てていく事が出来る人達との『共創』こそが彼の信念であり願いだったように思う。

もし「佐々木正」がいなかったとしたらどうなっていただろう。
頭脳明晰な技術者がいたとしても、企業利益のみを考え、企業機密として技術を占有していたとしたら。若き頃の技術者たちの可能性を見抜けず相手にしないでいたとしたら。
小さな規模でしか伸びていかない技術は遅れに遅れ、この時代にもスマートフォンなど存在していなかったかもしれない。

技術者ではない自分が本書を読み終え「凄い」「カッコイイ」とここまで感じられるのは、佐々木正という人物が、技術と知識のみで生き抜いてきたからではないからだろう。

今も世界のどこかで彼のような人物が「儲け」より「人類の進歩」に目を向け着々と動いているのだろうか。

投稿者 andoman 日時 2016年9月30日


「ロケット・ササキ」を読んで

以前から気になっていた言葉がある。
それは"偉人と言われる人間の周りには、同じような偉人がいる。"という言葉だ。
よくある偉人伝では、有名な〇〇氏と級友だった。とか、家族ぐるみの付き合いだった。などだ。
そういった話を見ると、まるで生まれながらに普通の人とは違い、神様によって特別な運命に選ばれ、その偉業が神様に決められていたかの様にも思えて、正直な所しらけてしまう。
当初、佐々木氏も同じ様な人かと思っていたが、そうではなかった。。。
彼の場合は、確かに幼少期にその様な出会いやシチュエーションはあったが、最後まで読み続けると、とんでもない!
そんな甘いものでは無い事が、とてもよく分かる。
ビルゲイツ、インテルのロバート・ノイス、ジョブス、孫正義など。
こういった、IT分野の伝説級との交流はおろか、彼らの考えや行動までも左右してしまう「力」は、生まれながらの環境とか運命では無いと思う。
彼の「生きる姿勢」そのものが、導き結んだ「縁」であり「力」なのだと強く感じた。
 ・先入観を持たず、好奇心旺盛で、相手の目と、放つ言葉で相手を判断する姿勢。
 ・見返りを求めず、他者に自分の知識を惜しみなく与え、互いに手を取り助け合い、お互いを正しく引き上げる『共創』という理念。
この理念に従い、行動して生きて来たからこそ、多くの人の信頼を受け、金銭に勝る、人としての財産を築く事が出来たのだと思う。
これぞまさに『智の道』の生き方そのものではないかと思う。
そして、以下にある様な、彼の神がかりな幸運が『智の道』を正しく歩んでいた。という事を証明してくれている。
 ・戦時中のドイツから生きて帰国出来たこと
 ・空襲から逃れられたこと
 ・マイクロウェーブによる殺人を行わずに済んだこと
 ・『共創』という理念に気付けたこと
 ・ロックウェルでの崖っぷちの大逆転劇
 ・電卓競争の勝利
 ・電子立国日本を築けたこと
 ・佐々木氏の描いた夢が実現に近づいていること
  →シャープの研究者によって、人の言葉を理解するロボットが生み出されたこと。
  →佐々木氏が脳にチップを埋め込む事になるぞ!と言っていた、脳でロボットを操作する「BMI」という技術が生まれていること。(http://robotstart.info/2016/09/26/atr-jst.html)

本書によって、私の心に強く刻まれている「人は心 人脈は宝」という言葉が、前にも増して深く強くなると共に、『共創』という理念が、自分と周りの人に素晴らしい結果を生むという事実を知る事が出来た事が、私にとって今回は非常に大きな収穫だった。
本書を読み終えた後、他者と『共創』する最初の一歩として、「周りの人との調和」を意識する様にし、周りからの信頼を得る事の出来る人間になれる様、心掛けている。

最期に…
P.150で、2徹明けで4000個のトランジスタを欠陥なし前提で基盤に埋め込み、MOS-LSIを手作業で作成した吉田氏が「さすが大野さんのMOSや」というセリフがあるのですが、
「いやいやいや。ぶっちゃけ、あんたの方がすごいよ」と、思わず心の中で突っ込んでしまった。
ニヤリ。

今月も素晴らしい課題図書をありがとうございました。

投稿者 diego 日時 2016年9月30日


世界は数少ない夢想家が創り上げている

夢を見る能力とは、どんな力だろう?
本書を読み、まずそのことに思い当たった。
『現実歪曲空間』と表現されているのが、それにあたるのではないか。
すでに、現実というシナリオが存在している中、
それをほんの少し書きかえ、書き足す。
こうなったらいいな、ああなったらいいな。
そんなふうに、もっと素晴らしく、もっと美しい現実を夢見ることは
本当はとても簡単なことなのかもしれない。

その考え方は面白い、この発想が素晴らしい、
これでいこう、やってみよう、
答えに行きつかなければ、教えてもらおう。
自分の中に答えが見つからなければ
その問いをあたためつつ、答えを探し、見つけよう。
いつか必ず、見つかる。

いつか必ず。
この、「いつか」のスピードが
高速であれば、それがササキなのだな。
そんなふうに思いました。

そこでササキの幼少期にさかのぼり。
父からの教育のおかげで、脳を休めながら
耳だけで話を聞く能力を身につけた。
これはもしかして、
人の話を聞く姿勢としては飛び抜けているのでは、
人を知るためにも重要な態度なのでは、
夢を見ることにもつながっているのでは、
そんなことを考えました。

人からの情報の急速な吸収と深い理解。
そして、互いに教え合い、共に広がり合い、世界を創りだす。
本書の中では流れるように急速に世界は美しく動く。
バッシングや痛恨の失敗があるとしても、それはそれとして
未来はまたやがて拓けていく。

ササキが不在になった途端
世界は迷走を始める。
そこで人は初めて、彼の不在というものに気付くのだ。


ありがとうございました。

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投稿者 vastos2000 日時 2016年9月30日


今回、『ロケット・ササキ』を読んで、その内容から感じたことを3つの切り口でまとめました。

【運・縁】
弱電やドイツ語を選んだのは、選択時点で未来のビジョンがあってのことではない。いずれの選択も少数派だったと書かれている。これらの選択がのちの幸運を引き込むことになるが、佐々木氏の人との縁を大切にする姿勢が幸運を掴む要因だったのではないか。(仮に強電やフランス語を選択していても、幸運を掴んでいたと思うが)
幸運は他者(人との交わり)が運んでくるので、この姿勢は見習いたい。具体的には「わからないことは素直に聞く」、「やるべきことはすぐにやる」「直感を信じる」。特に、わからないことを素直に聞くことが今はできていない。
ところで、今月の課題図書が発表された頃に見た雑誌記事で、日航機墜落事故の記事があったが、佐々木氏はあの日航機に搭乗予定だったのをキャンセルしたとのこと。ドイツからの帰国と言い、やはり運がある。

【技術力・発想力】
電卓を開発していたチームは、天外伺朗氏が言うところの「燃える集団」だったのではないか。解決不可能と思えるような難題もなんとかなっていった。『だが人間の集団である企業は、火事場に追い込まれると不思議な力を発揮する。トップが本気で「やる」と言えば、時に不可能が可能になるのだ。』(p.124)とある。人間が本気になるとこのようなグッドタイミングでモノゴトが進んでいくのかということを、また知った。
実際、半年ごとに重さと価格が半分になっていくような競争環境で大手電機メーカーに勝利したのは単純にスゴイと思った。価格競争の面で言えば、規模のメリットが生かせる大手が有利だからだ。当然、技術者も多く抱えているのは大手だろう。
今の私の職場は業界内で決して大手ではなく、どちらかと言えば小規模である。生き残るためには、小さいからこその強み(身軽である、稟議書のハンコが少ない)を生かし、燃える集団を作るしかないと思っている。それができなければおそらく潰れる。

【日本とアメリカ】
MOSの開発の場面で、シャープから派遣された社員とアメリカ企業の報酬が144倍違うとある(p.156)。社員(技術者)の引き抜きが普通に行われる風土であろうから、留めておきたい社員には高給で遇するのが当たり前なのだろう。
アメリカは技術の価値を重視している。それに対して日本はどうか。軽視しているわけではないだろうが、チームとして何をやったかを見るのではないか?
だからこそ、青色LEDで有名になった中村氏のようなことが起きる。実際のところは、青色LED,青色LDの実用化は中村氏個人と言うよりは日亜工業の開発チームの成果であったようだが、日本は「和を以て貴しとなす」国なので、(創業社長は別として)社員一人を特別待遇すると組織が死んでしまう。しかし、アメリカは実力のあるスタープレーヤーは称賛され、莫大な報酬を手にすることが認められている。中村氏がアメリカに籍を移したのもうなずける。山中伸弥氏のように、海外に行けば金銭面や研究環境が良くなることがわかっていても日本で頑張るのも、中村氏のようにアメリカの大学に移籍するのも自分が生かせる方を選べばよい。
閑話休題。
電卓開発では世界をリードしていた日本だが、最近は凋落傾向だ。中国・台湾やサムソンに負けている。アンドロイドスマホでも、台湾製や中国製、GALAXYをよく見るようになった。
この本を読んでから、『シャープ崩壊』(日本経済新聞社編)も読んだが、亀山工場を建設したころから、液晶に力を入れすぎて、新しいことをしなくなった(足を止めてしまった)と読めた。スピリット的なものの継承は難しいと改めて感じた。やはり組織が大きくなると官僚化が進んでしまうのか。技術畑出身者(片山氏)が社長になってもうまくいかないどころか、自分の得意分野にこだわり、結果的にはかえって悪い方向へ行ってしまった。
これを教訓とする場面に遭遇したことはないが、人のふり見て我がふり直すようにしたい。

【この本から得たこと】
まずは「足を止めない」ために、自分への投資を続けていく。今は目安として毎月1万5千円程度を書籍代等の自己研鑽に投下している。おかげで積読本は増えるし、書棚の余裕もなくなってきた。が、まだまだ続けていく。年度内に本を200冊読むのは達成確実だが、「年度内に良書リストの怪しい系と自己成長系を読破する」という目標については、まだ30冊程度残っているので月に6冊ペースを維持していかなくてはならない。これは気合と工夫が必要。
2点目としては、「共創」を忘れないようにしたい。私は自分一人で仕事を抱える傾向があるのでこの点は注意したい。今も取り組んでいるテーマがあるが、他のメンバーの意見も聞いてブラッシュアップしていきたい。それぞれ得意分野は違うのだから。
3点目として、今後は海外勢との競争があらゆるところで起こるものとして、姿の見えない競争相手と戦う覚悟を持つようにしたい。子育てにおいてもこの点を忘れないようにしたい。

【余談】
また、カシオの開発物語(電卓からGショックの開発まで)についても知りたくなった。Amazonや図書館で本を探したが、これぞというものがなかった。
長年、カシオのGショックケータイを愛用している身としては、ケータイ(スマホ)からの撤退は残念だった。

投稿者 magurock 日時 2016年9月30日


あるお笑い芸人の、「幕末に生まれてればな~」と寝っ転がってつぶやくニートのネタがある。それを見て笑いながらも、どこかで同じような気持ちを抱いたことはないだろうか?
もし幕末に生きていたら、もし戦後のどさくさに当たる商売をやっていたら、もしバブル前に株を買い込んでいたら、もし高度経済成長期に仕事の第一線にいたら。

しかし、佐々木正氏の生き方は、そんな甘い考えを吹っ飛ばすのに充分だ。彼の成功は、たくさんの失敗の中の一粒に過ぎなくて、そしてどんなに大成功を収めても、それに甘んじることなく常に次を考える姿勢が、次の成功を呼び込む。決して高度経済成長期の波に乗ったからではない。
次の時代を切り開くためには、時代のラッキー要素よりも、絶えることのない努力と探索、向上心がものをいう。そして人とのつながりを大事にする心と、共創、リンゴマンゴー。

努力しているつもりになって、その実いつもラッキー要素ばかり探し、幕末的なうねりをどこかで待ちわびている自分がいる。今の薄っぺらな私なら、そのうねりに真っ先にペシャンコにされるというのに。

時代の波を待つ生き方は、どうにかして自分だけ波に乗れないかという、独りよがりな生き方だ。もうそろそろ、そんな淡い夢は捨て去って、世界中の人が幸せになれるようなことを考える生き方をしたいと、本書を読んで心から思った。佐々木氏は、まさに智の道を生きた人だ。私もそれに続こう。

地球上のみんなが、宇宙一幸せになりますように!

投稿者 BruceLee 日時 2016年9月30日


「会社に帰属しないエンジニア」

本書の読了後、佐々木氏に対して持った印象がコレ(↑)ある。その時々で会社員として
組織に所属してはいる。が、本書を読んでいる間、例えば「この会社にいれば安泰」とか
「この会社に骨を埋める!」とかいう意識は勿論、「この会社のために頑張る!」という
意識さえも殆んど感じなかった。ここが一般的なサラリーマンとは大きく意識が異なる点
では無いかと感じた。バブル崩壊後の現代においては、会社に帰属意識を持たない姿勢は
一般的になりつつあるが、当時としては珍しいタイプではなかろうか。元々の性格が、
研究対象も主流を選択しない天邪鬼、であるが故に、発想もやる事も独特なのだが、見て
いるものが違うのだろうか。次の表現にそれが集約されている。

「人類の進歩の前に、企業の利益など、いかほどの意味もないのだ。小さなことにこだ
わらず、人類の進歩に尽くすのが、我々、技術者の使命なんだ」

つまり氏は、会社(の利益)のためではなく、「人類の進歩のため」というスケールで
ものを見ていた。GHQからの指令で川西機械製作所に行き、また何度も断りを入れた早川
電機には、早川徳次との出会いにより入社を決断している。これは個人的な推察だが、
運命や人との出会い(それも運命?)に重きを置く人であるのだろう。もっと言えば、
彼にとっては「早川電機に入社した」と言う意識はあまり無かったのではなかろうか?
それよりも早川徳次という、彼が惚れた人間と働きたいと思って入ったら、そこが結果的
に早川電機だった、というのが実態に近い感覚ではなかったか。見ているものが
「人類の進歩」であるなら、それも充分頷けるのだ。

逆に、そのくらいスケールが大きく、会社に帰属意識が無いからこそ、一人の技術者と
しての限界も、また一個人としての人間の小ささも感じていたと推察する。だから、
「共創」という信条を持つに至る「人と人とのつながり」を大切にしたのではなかろうか。
勿論その「人」とは「○○会社の○○さん」ではなく、 あくまで個人。その意味では、
彼にとって相手の名刺や肩書きは殆んど意味を持たなかったかもしれない。であれば、
当時は夢があるだけの1個人であった孫正義に1億円を委ねる行為も頷ける。孫さんその人
自身に何かを感じたのだろう。

その意味で、この人は会社に所属しつつも、真の意味でフリーランス的な意識を持った
エンジニア、のような気がするのだ。そして「人類の進歩」に繋がる事なら前向きに
進める。よって江崎玲於奈氏がソニーに引き抜かれた時も移籍に同意し、サムスンへも
技術情報を提供した。後者に関しては批判も多いようだが、会社の発展よりも人類の進歩
にプライオリティがあるならば、ある意味、軸はブレていないとも言えるのだ。

尚、本書の読了後にググってみたのだが、「モノゴトづくり」という佐々木氏の考えに
出会った。それは、多くの日本の製造業が目的としていた「モノ(ハードウエア)作り」
ではなく、仕組みを作ることが重要であるとする氏の考え方だ。大量生産の時代には多く
のメーカがモノを作って成長し、シャープも同じだったろうと思うのだが、もうそれで
成長出来る時代ではなくなった事に佐々木氏は早々に気付いていたのだろう。だから
そのアドバイスを受けたスティーブ・ジョブズは、今日のiPhoneやiPadの隆盛に繋がる
iPodを作った。では何故iPodは成功したのだろう?それまで携帯音楽再生機として世界
に君臨していたWalkmanでは無かったのだろうか?それはiTunes Music Storeという、
iPodが売れる仕組みが背後にあったからだと個人的には考える。使用するパソコンは
アップル社製品だけではなくウインドウズ搭載機でもよい。ハードウエアは単なる手段
であるからだ。

蛇足かもしれないが、佐々木氏は「1985年、御巣鷹の尾根に墜落したJAL123便に搭乗予定
だったが、キャンセルしたため、搭乗しなかった」とWikiにあった。神も「人類の進歩」
に意識を持って世に貢献する人間の命は、そう簡単に奪えなかったということだろうか。

最後に。本書に対する改善提案がある。折角なら諸々登場するシャープ製品やカシオ
製品の写真を載せて欲しかった。例えば電卓の製品推移などは、そのサイズの極小化
の歴史こそ、佐々木の実績そのものであり、我々一般庶民の生活に如何に浸透してきた
かを実感するには、写真で眼にすれば瞬時に分かる筈だ。それが読者にとって、より
感慨深い1冊となる気がするのだが。。。勿論、本書を読んだ直後、個人的には
「ロボホン」をググってしまったことは言うまでもない(笑)

以上

投稿者 kawa5emon 日時 2016年9月30日


書評 ロケット・ササキ 大西康之 著

何よりもまず自分の無知を大きく反省した。
それは当の佐々木正氏をこれまで全く知らなかったからだ。
一時世界を圧巻した日本の製造業界にこんな素晴らしい人がいるとは!
ましてやシャープは現在の会社の取引先の一つではないか。
ガックリと来たが、逆に考えれば本書を通じての佐々木正氏との出会い。
紹介文の内容通り、仕事、人生あらゆる面で多くの学びが満載の
本書との出会いにまず心から感謝します。ご紹介ありがとうございます。


読了後、自身の中にひとつの疑問が浮かんだ。
「佐々木さんのように振る舞う人間が少なくなったから、
日本の製造業は下降線を辿ってきたのではないか?」


まず何よりも自分の心を打ったのは、佐々木氏が貢献しようとする、
対象領域の大きさである。自分レベル?部門レベル?会社レベル?
産業レベル?国レベル?世界レベル?
いやいや貢献の対象領域が人類レベルという点だ。

これは別口で最近気付きがあった文言だったが、
「要求が能力を開花させる」
つまり自分に要求される内容が、レベルの高いものであればあるほど、
それに見合った人間の能力が開発されるというもの。
当文言の「要求」を前述の「貢献領域(環境でもいい)」に置き換えた時、
人類レベルが対象となると、それに見合う人間の能力が開発されるとことだ。
言うまでもなく、人類が対象である時、取扱う情報の質などは、
そんじょそこらの一般人とは全く違うものになる。
その現人の一人が、この佐々木正氏だと気付いた。
同様の感想を、ロケット開発の父、糸川英夫氏、
出光興産創業の出光佐三氏に持ち、見事にオーバーラップした。
つまり、自分の能力をより開発させるには、貢献領域(環境)を変えることが、
大きな転機になると改めて気付いた。
その証拠に、本書中で紹介の通り、佐々木氏は世界中を飛び回った。


次に心に引っ掛かったのが、自身が深く感銘した思想、「共創」。
とある目的を果たすためにあらゆる垣根を越えて実現可能性を探す。
その実現のためには有志との共創を大前提に事を進める。単独は危険。
国境も民族も宗教も、はたまた権威も、この思想の前には意味を成さない。
これこそ、今の日本が世界でサバイバルする中で、欠けている思想ではないか?
その証拠は本書中の、佐々木氏を失ったシャープとその後が示している。
そう、「オンリー・ワン」や「ブラックボックス戦略」だ。

一時の優位性を自分達だけで保持しようとしてはならない。
競争市場環境の中で、そのような態度を取ったものは、必ず後々駆逐される。
現在の日本は技術流出を未だに怖がっていると思うが、
保持するから次への一歩も遅れる。「足を止めたら負ける」。
この言葉は、製造業内での技術革新努力への警告と捉えがちだが、
いやいやどの領域でも、遅かれ早かれ誰かが次世代を開発してしまう。

そしてこの「共創」。もうひとつの大きな利点がある。
それはその思想だからこそ、世界を動かす組織の中心に居られるという点。
もちろんそこには人脈の広さと深さが付いてくる。
こんな一石何鳥?の思想は無いのではないか?
この証拠に、佐々木氏の世界レベルの人脈がシャープに莫大な利益をもたらした。
人類の進化のためにあらゆる垣根を越えて協力する。
特に一流の人ほど、これを最重要視するのではないだろうか?


もう一つ気になったポイント、それは次なるヒントの仕入れ先である。
共創から得られる情報もそうだが、ここで学んだ次なる成功のヒントは、
非日常、仕事外、そして足元に意外と多くあると感じずにはいられなかった。
ミス、思い付き、他分野、当の佐々木氏も天邪鬼の目の付け所で、
誰もやってないからやる!というように進んで新領域に一歩を出し、
些細な出来事から次なるネタのヒントを多く掴んでいる。
目的を持って未来にフォーカス、そして行動していると、
不思議と引き寄せられるようにそれらしいヒントが集まってくる。
そう意味ではネタの源泉として、人を信用し、ある程度任せることは、
ヒントの源泉生成に繋がるなと感じた。


以上3点が特に自身の想像力を掻き立ててくれ、多くを学び取った点である。


最後に冒頭の疑問への自身なりの回答を出したい。
日本の世界競争力に於けるポジション低下、そして暗いと言われる未来は、
そもそも「共創」と反対の道を歩んだからではないか?ということだ。
人類史上他に例を見ない戦後復興と発展の後、本書終盤の佐々木氏の言葉の通り、
唯我独尊、そして驕り、これらが次なる一歩を遅らせたのは確実だろう。
そしてそのツケが現在に回ってきていると思う。
ここで守りに入ったら、それこそ明るい将来は絶望的になるだろう。

しかし自身は、日本人の未来を完全には悲観してはいない。

そのヒントは「共創」である。この思想にこそ日本人が日本人として、
世界に貢献できるヒントがあると思う。
しかもこれは日本人の一番の得意分野なのではないか?ということだ。
そもそも国境意識は薄いし、特定宗教への強烈な信仰心も薄い(と思う)、
そして、「間」を読むことに対しては、どの民族よりも長けている。
つまり従来の垣根を飛び越えやすく、両者間の「間」に溶け込みやすいはずだ。

そしてまだまだ日本内には、人類の幸せのために活用できる技術、情報がある。
これらを積極的に世界に提供し、間を取り持つ。
そう、佐々木氏が役回りを演じたカタリスト(触媒)を世界で演じるのである。

グローバル化によって世界が繋がった結果、コミュニケーションの基軸が、
欧米主流のローコンテキストから、その他エリアが主流の
ハイコンテキストコミュニケーションに移ってきている。
問題が複雑になればなるほど、「間」を取り持つ役回りが重要になる。
つまり、カタリスト(触媒)としての日本人の出番である。


自分のこれまでの経験を活かす次なる道のヒントだ!
そう実感し、気付かさせてくれた一冊となりました。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

投稿者 ktera1123 日時 2016年9月30日


次なる世界へ

月初に本を読んで最後に「この先の日本はどうなるのだろうか...」で終わっていたので、頭のなかでモヤモヤとしたものが残っていたので、とりあえずは放置していました。
そんなモヤモヤした中で資格関連のポイント取得の都合もあり、9/29,9/30の2日間業界関係のコンファレンスがあり参加して来ました。
まったく内容について多忙だったこともあり、気にしていなかったのですがコンファレンスのメインテーマは「仕事関連の情報の未来 IoTを支える仕事関連の技術」だったのですがその中で出てきた話で

1.アメリカの某社のように贅沢な予算があれば、必要と思われる会社は買収しまくるのだが、日本、欧州ではそのようなことはできないのでどの会社でも共創分野と競争分野を分けて協力できるところは協力し、独自の付加価値の必要な箇所で勝負する。「give and take」ある意味知の道を目指していること。

2.カスタマニーズに答えることにより付加価値をつけ、役に立つもの、人がほしいとうらやましがることができるものを編み出していく必要があること。

3.すべてのものが飽和している世の中で、今の世の中で把握できていないことを把握する。(IoTの真の目的?)

4.情報量が爆発的に増加するので、その中から必要な情報を取り出すために人工知能(AI)の技術活用(機械学習、深層学習など)。

登壇した発表者の人が、皆さん最新の状況や今後のトレンドを惜しみなく披露していて聞いていてこれ言っていいのかなと思わせる、また、話を聞いていても堂々としており、言いたいことをはっきり言える結構「器の大きな人」だったこともあり、おいおい、モヤモヤが解消したぞ。後は解消したことを活かして今後どうしていくか。それによって「面白い社会、楽しい社会」を実現するための一助を担えればということで。

課題を提示し、シンクロニシティで解決策を引き寄せてくれるそんな課題図書に感謝。

追伸
コンファレンスの中で半導体関連の業界紙の社長(本人はインサイダーになるので動けないので記事や講演で関連情報を公表するスタンス)が講演で言っていたのですが、IoT関連で日本がシェアを握っておりデファクトスタンダードになっているのは、フラッシュメモリ関係(HDDからSDDへの移行が進むのとデータ量が日々増大している、発明した人はそのうちノーベル賞をもらえるのではとのこと)センサー関係、ロボット関係ぐらいかな。
後はアジャイル開発で暗黙知(なんとなく、目と目が通じ合う、空気読めなど)が2000年来の文化になっているのでそのあたりを活かせればとのことでした。

以上

投稿者 6339861 日時 2016年9月30日


本書を2つの切り口でまとめてみた。

①佐々木正の成功の要諦
②シャープ失敗の原因

まず、①について

・先見の明
→ある技術を製品に応用し、それがが将来的に人間の生活をどのように変えるかイメージする能力
→突拍子もなさすぎて宇宙人と話しているようだ

・世界最先端の国(当時のアメリカ)から最先端の情報を入手
→アメリカやドイツの先端技術をよく知っている
→世界トップレベルの研究者、技術者との人脈を有する

・環境変化に敏感

・専門知識(真空管、トランジスタ、電波、IC、LSI)

・スピード
(この人はいつもこんなスピードで仕事をしているのか)

・開発にかける情熱
→試行錯誤の連続

・与える(人脈、金、情報)
→ジョブズ、孫、西と与えまくる

・とにかくよくしゃべる
→孫も同じ特徴

やはり、成功者は世界中を飛び回り
人脈形成や技術取得を図っている。

なかなかそうはできない我々一般のサラリーマンとしては、
自分の身の丈にあった領域(おそらく、ニッチな分野)
で、専門性を磨いていくことが、ビジネスチャンスに
つながると思います。

今はインターネット等で、情報の取得が用意になっており、
セミナー等で成功者本人から話を聞くこともできる。

そういった時代の流れを味方につけながら、
なにかしらユニークな専門性を身に着けたいと思いました。

②について
これは、本に書いてあることに私の想像を加えました。

・技術力はあったのに、組織力がなかった
例えば、ウォルマートのサムウォルトンは以下のように組織力を強化した
【ウォルマートの例】
*変化、実験、不断の改善を実行
*店舗の中の店舗
 ⇒部門責任者に権限移譲し、自部門を  
   自社のように運営させる
*ほかの店舗へ展開できる経費削減やサービス向上のアイディアを出した従業員を表彰
*集中販売促進コンテスト⇒従業員の創造的取組を奨励
*利益分配制度や従業員持ち株制度
*従業員のアイディアを社内報で発表
*衛星通信システムを導入し会社のどんな小さな情報も迅速に共有
*有能な後継者を育て時計をつくる志向を伝えた

・佐々木は後継者育成に力を入れなかった
*例えば、ゼネラルエレクトリックは、社内生え抜きの経営者を丹念に育成し
優秀な経営者を輩出している
(一世紀にわたってジャック・ウェルチのような経営者を輩出し、その全員が生え抜きである)

・「進取の気風」を組織に浸透する仕組みを構築しなかった
(採用、教育、報酬、帰属意識の強化 など)

・そのため、スパイラル戦略が組織に浸透しなかった

・結果、進取の気風を失っていく(液晶技術にたよって、新しいことに挑まなかった)

・企業は特定個人のカリスマだけでは、ゴーイングコンサーンになりえない

・組織力の強化にも注力すべきではなかったか


シャープのような大企業の経営など私には想像すら困難ですが、
企業が存続し続けるには、それなりの仕組みが必要で、世界で生き残り続けている企業は
理念・文化・風土など目に見えにくいものを形として残す仕組みを構築している。
やはり、結果には原因があるのだと感じました。

投稿者 dukka23 日時 2016年9月30日


「人類の進歩の前に、企業の利益など、いかほどの意味も無いのだ」

「小さなことにこだわらず、人類の進歩に尽くすのが、我々、技術者の使命なんだ」



この一言にシビレました。
しかもジョブズ氏や自分のことを経営者ではなく「技術者」だと。

何か、屈託のない少年の笑顔が思い浮かんで来て、
無邪気に技術を楽しむ様が想像できます。

こんな風に純粋に技術に浸かり、
「私(自分)」とか「会社」というちっぽけな存在のことなど無視して、
将来この技術がどうなっていくんだろう?
こうなったら良いな、と本当に心の底から思い続けている人なのではないでしょうか。

だからこそ、ロケットササキ氏が考えるように
技術は発展し、世の中は進歩してきた、
そんな風に思えます。

一方で、こんなことも考えます。
この本を読んだ人、特にビジネスパーソンであれば、
佐々木氏だけではなく、ジョブズ氏や孫氏、その他様々なあの時代を代表する方のように
「こんな風に生きたい」「世の中を変えるような仕事がしたい」
と思い、仕事にも身が入るのではないでしょうか。

ですが、
佐々木氏を敬愛し、明らかに世の中の流れを変えたジョブズ氏は
人間性という意味では評判はすこぶる悪く、
いい死に方をしなかったと聞いています。

また、今回たまたま親類にロケットササキ氏の部下だった方がいたので、
(神戸工業から一緒に早川に移り、孫氏の調査もおこなうような近しい部下)
当時どうだったかを聞きましたが、
仕事の以外の面でも尊敬している、というような声は聞けませんでした。

どうして、このような落差ができるのか、
突き抜けすぎた人は、
世間の感覚からすると、やっぱりとてもついていけない人なのか。
そう思ってしまいます。
逆に言うとそんな桁外れの感覚だからこそ、突き抜けた人生を送れるんだと思います。

では、普通の人は、
「オレ、そんなことはできないから」と早々に諦めて、
自分の殻を作って閉じこもっていて良いのか、というとそれも違うような気がします。

この本にも出てきますが、
佐々木氏のもとで、世に名を残すことなく、
現場を支えた人達がいます。

学歴関係なく、技術に侵食を忘れ、
無茶を言う佐々木氏の製品を実現にこぎつけ、
佐々木氏に魅了され投資をした人たちがいます。

これは、普通の人でも、こういった世の中を変える、一国の将来を動かすような
状況に携われるということだと思います。
もっとも、それは将来分かることであって、
当時は激流に飲み込まれて大変だな、ぐらいにしか思わないでしょうが。

普通の人は、
佐々木氏のような突き抜けた人に出会うための準備をしておくことはできます。
佐々木氏に会った時に目に留まるように、自分を磨いておくこともできます。
佐々木氏の言う無茶なことを、少しでも理解して心躍らせられるように感性を豊かにしておくことはできます。

こういった、「将来、佐々木氏のような人に会った時に・・・」と
本気で考え、願望として持ち、備えておく人だけが、
ちょっとだけ”普通ではないこと”に携われる人になるんではないかと思います。

何も自分が佐々木氏のようにならなくても、なれなくても、
(佐々木氏のような人ばかりだと、それはそれで国が潰れるかもしれませんし)
いくらでも、自分次第で、世の中変えることに携われるんだ、と思います。

投稿者 2l5pda7E 日時 2016年9月30日


ロケット・ササキ:ジョブズが憧れた伝説のエンジニア・佐々木正 を読んで。

敗戦によるハングリー精神を掻き立てる時代が背景であったが、佐々木氏は何がすごかったか、こう質問されたら次のように答える。
人脈の多さ、顔の広さだろう。
判断が早く、人を見る目や今後の事業に対する直感力に長けていて、レスポンスも速い。
また人と人を繋ぐコネクターであった。

すぐにビジネスに活かせそうな事は、稲盛和夫さんが提唱しておられる他利と同じ共創であると思う。
技術を独り占めしてはならないと言う考え方だと思った。
世界の技術の発展の為に他の会社に渡し自身はその先へ進歩するという考え方は、普段のビジネスの中でも会社間だけでなく、上司や同僚、先輩後輩でも使えると思った。

佐々木氏は長寿だ。
人のためになる事を使命におった人ほど長生きである気がする。
茶人はお持てなしとして自分を捨てて人に尽くす為か、著名な茶人は皆長寿です。お茶が身体に良いと言う考え方も勿論合致するが、お茶時の亭主は本当に大変な気配りが必要であると、つい最近茶事に招いてもらう機会があり、知ることが出来た。
今から約三十年ほど前のデータだが、長寿である職業を調べてみると、
1、僧侶
2、実業家
3、政治家
でした。僧侶は己を捨てて、修行に励む。
実業家や政治家は社会の繋がりがあり、世のため人のために尽くしたのだろう。
それらが良いのだと思う。

良き書をご紹介いただき誠にありがとうございました。

投稿者 jawakuma 日時 2016年9月30日


ロケット・ササキを読んで~共創を生み出す行動と心がけ~

恥ずかしながら、ロケット・ササキこと佐々木正という偉人を私は知りませんでした。私の浅薄な知識がゆえなのは当然としても、日本では技術者にスポットライトが当たらないからということも知らなかった理由なのではないかと思いました。
企業の経営者はトランジスタからMOSへの移行のタイミングがわからないんですよ。そりゃあそうです。当たり前ですけどね。その時に経営陣の一角にこういう技術がわかり先が読める人がいて経営判断をくだせるかどうかがとても大切ですよね。アメリカのように技術者に投資マネーがあつまり新たなビジネスがどんどんスタートアップしていく世の中であればトップは必然的に技術者の延長になるので現在もイノベーションの加速が続いているわけですが、日本のように大企業の大きな組織になると本書にもあったように官僚化が進んでしまい、技術者が経営陣まで入り込むことはなかなかなくなってしまうわけです。青色LEDの件は他の人も書いているので割愛します。

そしてまた恥ずかしながら電子レンジが太平洋戦争末期に日本軍が開発しようとしていた殺人電波の技術を応用して作られたということも知りませんでした。これからはチンするたびに戦時の苦労に思いを偲ばせます。カシオの創業者が樫尾4兄弟だったということも知りませんでした。私のGショックもこの電卓開発競争の延長線に生まれたわけなんですね。自分の恥をひけらかすのはこれくらいにして、成功者の法則を探るべく若き日の佐々木を見てみましょう。
佐々木正は高校までを台湾で過ごしています。
幼少期は多様化な社会に身を置きながらも、父上から武士としての教育を受ける。台湾の都会にいながら武士ですか。そのベースがあったうえ長じて英語も中国語もドイツ語もいけるんですから異文化理解力は相当なものがあったでしょうね。
そして驚くことにこんな小さな眼鏡のおっさんなのに甲子園を経験してるんですね。抑えの投手でマウンドにこそ立っていないようですが、行けませんよ普通。しかも台湾からの参戦でベスト4って!そのうえ東大でも京大でも選べるくらい勉強も抜群にできるわけですから。ほんと意味がわからないです。ここで大事なのは【若いうちに必死に何かに打ち込んでいる】ということです。努力が実を結ぶ経験をしておくことが後の努力の継続につながるわけですね。


イノベーションを生み出す環境
【わからなければ知っている人に教わりに行く】
シンプルなことですがなかなかできている人はいないのではないでしょうか?特に大人になると恥や面子などを気にしてますます腰が重くなり、そのままなし崩しにしてしまうことが多くなります。しかしロケット佐々木は違います。解っている人や会社があれば他の国だろうと出かけていき直接教わろうとします。それは学生時代から身についた凄い特性だったのではないでしょうか。またその逆に自分が持っている情報は教えてほしいと言われれば惜しみなくすべて教えてあげる。まずは【自分から与える姿勢】ですよね。困った人がいれば120%で助けるんです。相手の、世の中の役に立つ。すると当然、相手も大変ありがたがり、その得た情報で成功をおさめた後、他の人がおののく程の非常に強力な人脈になる。なんでそんな人と知り合いなのー!?と他の一般人はびっくりしますが、成功者とは順番がちがうんですね。他の人は有名な人にただただ教わろうとするけれど、まずは自分で経験を積み役に立つコンテンツを身につける。それを惜しみなく人に分け与える。そしてそれからが共創となるわけです。まさに【智の道】そのものです。そういう関係性ができていればいわばマスターマインド、損得勘定を超えたパートナーとなれるんです。この姿勢は松下幸之助も一緒でした。「電卓開発競争のことは佐々木さんに教えてもらいなさい。」と言える大企業のトップ。自分もやはり私塾を開いたりで人に与えることをしている松下幸之助だからいえることですよね。「だまらっしゃい!」の一喝で騒ぐ役員会を静まらせ「教えてあげなさい」と言った早川徳次も男ですなぁ~しびれました!
話は戻りますが、この相手が求めているもの、求めていなくても足りないものがわかるというのがまた凄いですよね。まさにその世界の第一人者だからできることです。そこで活かされていたのが【人の話を聞く力】ですよね。相手が話しているときは目を閉じてでもじぃーっと聞いている。そしてしっかりと理解している。これも凄い特技ですよね。聞いて相手を理解しないことには求めているものも、不足しているものもわかりませんからね。
そして最後は【ビジョナリー】ですね。現実歪曲空間というと魔法みたいですが、その頭の中の夢のビジョンを相手の頭の中に出現させてそれができる!実現したい!と思わせる能力です。これはリーダーには必要な素質ですよね。政治家や経営者ではなく、これを技術者でできるのがすごいですよね。ただの話が飛んでいってしまうだけのロケットではなくその裏付けがあるからこそ相手の頭にも‟できるかも!″とビジョンが浮かぶんですね。ビジョンの共有これも成功者の特性なのだとおもいます。

と成功者に必要な心構えと行動哲学が盛り込まれた一冊でした!
今月も良書をありがとうございました!

投稿者 19750311 日時 2016年9月30日


「ロケット・ササキ」を読んで

飛び抜けたレベルの技術者だったが故の戦時中の強制的な開発活動や働く工場への空襲経験など、先月の課題図書ともシンクロし胸が詰まる思いがしたが、読み終えて1番強く残っているのは、世界に誇るすっごくカッコいい日本人がいたんだなぁと言う小学生の様な憧れと嬉しさと同時に、自分も佐々木氏の様な国内海外を問わないネットワークの中で、人材やビジネスのプラットフォームとして私なりの「共創」を実践している姿を妄想して本当に読書を楽しんでいた事だった。

常日頃課題図書を読んでいると、感想文をどう書くかと言う事が頭から離れず、最初にあるべき読書の楽しさすら感じられずにいたが、今月は実在した日本人の伝記と言う事もあり、佐々木氏の経験に自分の将来を重ね合わせて、今は出来ない多言語を話している自分などを楽しんでいた事から、自分の潜在意識が望んでいる事はこういう事なのかも知れないと気付かされる、読書をしながら予知夢を見ている様な感覚があった。これは去年やっと人間になれた読書量(年間100冊以上)を実践し始めた頃には想像すら出来なかった事で、先生がおっしゃる継続の力の1つと感じ、例月感想文をアップ出来たとしてもメタメタなサルレベルの内容でも、それ以前に毎月課題図書をまず買って、私なりのに一生懸命もがき苦しみながら取り組んでいるプロセスに価値がある事に気付く事が出来、本当に勇気付いた。

小学生の主観的な感想はこれくらいにして、私に響いて来た内容について触れてみると、佐々木氏の実生活はしょうおんさんのメルマガやセミナーで教えて頂く事を、色々な面で相当な高い次元で実践されて来た方だと感じた。例えば「共創」とは智の道。爆発的な着想力は、100%新しい物を作り上げる発明や研究の成果物ではなくても、他の分野の違う事柄を横展開して加工して形にしても新たな物事を作る事が出来る事(ie.独身寮と家族用との構造の違い)。また、そのアイデアを見つける為の頭の柔軟性や、未来を予想する為に前の課題図書でも紹介された様に現在までの数年前からの変化のベクトルから、その数年先の未来の予想角度を少しでも上げる事など。

またカシオや、その他競合他社との戦争と言う言葉が使われる程の壮絶な戦いでは、アメリカの情報力に驚かされた経験から「共創」には最後に繋がるとは言いながら、徹底的に多角的な情報収集を実践されてた事が伺える。

私は今外資から国内企業に買収され、経理部でJ-SOxコンプライアンスや特命プロジェクト管理などをしているが、ここ数年のしょうおんさんのメルマガやご紹介頂く課題図書から完全独立までは決心していないにせよ、事業責任者や経営レベルに戻りたいと考えているので、その日の為の準備をコツコツしながら、この本を実践的な経営などの指南書として定期的に読み返したいと思う。

まずは5年毎のキャリアの棚卸しと、自分の人脈図を年内までに完了させる事から始めます。

投稿者 Devichgng 日時 2016年9月30日


佐々木氏という1人の偉人の各エピソードから、今まで読んだ良書リストの内容がつながり、
こうやっていけば人生充実するのだなと感じえたのが率直な感想です。

ホラ吹きと呼ばれようとも大きなビジョン描き、周りの人間に自分のビジョンを信じ込ませ、
現実歪曲空間を作った内容からは、『竜馬がゆく』や『成功への情熱』につながりましたし、
ちょっと視点を変えると『大きく考える魔術』にもつながりました。
また、目の前の目標達成に満足することなく、次の目標、次に来るものを常に考え続けたのは、
『成長するものだけが生き残る』につながりました。
生き残りをかけた科学技術の発達による競争も大変凄いことだと思いましたが、
技術よりも、それを何のために高めるかという心が大切であることは、
『カリスマ体育教師の常勝教育』で強調されていることと同じだと思いました。

こういくつもつながると、ひっとして良書リストの自己成長系すべてにリンクしているのでは?
という興奮を覚え、まだまだ見落としているつながりを探すために自己成長系を再読しています。

自己成長系の良書リストを読むことは、偉人の体験を個別に分解しているモノなのだですね。

つながりと言えば、本書では人と人とのつながりが新しい価値を生むことが何度も強調されていました。

個の利益よりも日本、そして世界全体への利益を考えるからこそ、
多くの応援波動を受け願望実現につながります。
これは、参加したセミナーで何度も教わったことです。

個の利益よりも自部門、会社のため、会社より業界のため、
さらには日本、、世界のために何か役に立てるような視点を持つことが大切であり、
その視点を持って行動すことで、参加したセミナーで何度も言われていた
より多くの応援波動を受け願望が実現するのだなと改めて感じました。

そのつながりの効果をもっと高めるためには、
リンゴとマンゴー、西氏と孫氏、ジョブス氏とゲイツ氏など、
異質なモノが良いという内容も見逃せないことでした。

自分の興味がなかったり、毛嫌いしているジャンルの本を読む機会を増やし、
今自分が持っている知識と「共創」できるような本の読み方をしていこうと思いました。

投稿者 chaccha64 日時 2016年9月30日


「ロケット・ササキ」を読んで

恥ずかしながら、佐々木正という名前は聞いたことがなかった。この本を読んではじめ
て知りました。こんなすごい人がいたんだと驚きました。
出てくる友人、関係者がこれがまたすごい、超有名人ばかり。技術者から経営者、学生時代の友人は政治家ですし、その幅が広さが、これがまたすごい。まさに引き寄せの法則を体現している人です。
この人の魅力は、技術、知識の豊富さ、人脈の広さだ。その上、単なる技術者にはない、豊かな発想、経営の感覚、そしてその実行力があるところだ。その例が、MOSの発想であり、日本で引受先を探すがどこも断られてアメリカで交渉し、ロックウェル社との$30Mの契約で引き受けてもらう話。(すらすらとそんな数字が出せるところがすごい) ここでも運も引き寄せている。
しかし、どうやってこの人は、こんな考え方、発想ができるようになったのだろうか?
いろいろなエピソードがあり、それらを通して培われていったのでしょう。一応はそれで説明がつくのですが。
そこで、いろいろ考えてみました。高校時代のストライキ、京大時代に京言葉を文学部の教授に教えてもらったりと、すでにこのころには実行力はあったと思われます。また、インド、アフリカで反物を売る時には、営業センスもあり、発想もすばらしいものがすでにありました。インド、アフリカに行くという行動力も。
商家で育ったこと、開拓精神があり、台湾人と日本人が共存する台湾で育ったこと。そして、リンゴマンゴーの教育実習の経験ではないかと思います。やはり、多感な青年期の経験は重要ではないかと思います。人との出会い、それもなるべく違った人との出会いというのは大きいのではないかと思いました。

投稿者 gizumo 日時 2016年10月1日


ロケット・ササキを読んで

 これほど、読み終わるのが惜しかった課題図書は始めであった。この先もないかもしれない・・・。
 思えば自分は最初に買ったパソコンが「シャープのメビウス」である。“シャープ”という点に納得のいかない顔をする自分に口下手そうな販売員さんが(実際に若干のドモリもあった)「みなさんそうおっしゃるんですが間違いのない商品です」と強力にすすめてくる。しかも全く商売っ気の姿勢は感じられず、それを信じてお買い上げとなった。その後、3代にわたってメビウスを愛用した。また、iphoneやノートパソコンの普及する前はザウルスを愛用しこれも2代にわたって使い続けた。もちろん、電卓もシャープ愛用である。ちなみに、最初のメビウスを意気揚々と抱えて駐車場のエレベータに乗りこんだ私に、ご一緒した年輩のご夫婦に話しかけられ、ご主人が「パソコンを買ったの?」、「夏のボーナス無くなっちゃいました!!」と能天気に話す自分に、「これからは必要だよ、よい買い物をしたね」と微笑みかけてくれたのも印象深い思い出である。
 孫さんの伝記も同郷であるので大変感動して読んだが、それとリンクする部分もあり、それ以来、シャープと言えばトップ企業ではないだけに、そこに目を付ける?!、そこに力入れる!?大阪の企業はちがうな~と気になっていただけに昨今の現状は残念な感はぬぐえない。
 また電卓競争やパソコンの普及は実際に目の前で起こり、体験したことであり、事実であるのが信じられない気もする。実際に小説のようなドラマチックさがこの本の醍醐味だと。
 技術と人脈・人徳の素晴らしさは、足元にも及ばないが、「共創」という理解していても実行できない大切なものを改めて課題として突き付けられたことを感じた読後であった。

投稿者 tractoronly 日時 2016年10月1日


ロケット・ササキ:ジョブズが憧れた伝説のエンジニア・佐々木正 を読んで

20年ぐらい前にNHKで「電子立国 日本の自叙伝」という番組をやっていて当時熱心に見ていたため、本著と内容がリンクしてとても楽しく読むことができました。
本著にもあった電卓戦争も取り上げれらており、佐々木氏が登場していたかは残念ながら記憶にないのですが、その時代がもつパワーというか、登場する人たちが輝いていたのは印象深いです。

さて、この佐々木正さんという方は何か型にとらわれない動きをする一方、ご自身の”肝”が据わってるというか、人間としての芯が通っている人なのだと感じました。
それを現したのが「共創」という言葉。
所詮、1人で考えられることなんてたかが知れている。知恵を出し合って面白いものが出来上がればいいじゃないかといわんばかりです。
アップルとマイクロソフトの協業エピソードでは
「小さな事にこだわらず、人類の進歩に尽くすのが、我々、技術者の使命なんだ」
と言い切っています。
私自身技術者ですが、恥ずかしながら人類の進歩というレベルで仕事をとらえたことなどありません。
職業をこのレベルで考えていたからこそ突飛な発想や行動が生まれたのかと思うと納得できます。

また、それ以上に理解できないのが人脈の広さ。
「あぁ、それなら□□の○○さんに話しておくよ」「△△の○○さんに相談してみるといい」なんて言葉がポンポン出てくる。
どうやってこの人脈を構築したのか。
プロローグにあるようにご自身とは全く違う分野に生きるヒッピーのようなところにも体当たりで突き進むような行動力と、上記のような肝の据わったコミュニケーションがそうさせるのではないかと推測しますが、おそらくそれだけではない運の良さのような何かがあるようにも思います。

現代の日本人でこれができるかといわれると私を含めほぼ全員に近い数の人がNoと答えるのではないでしょうか。
戦前、戦中を生きた人と比べると何もかも小さく考え、小さく行動し、小さくまとまってしまっている現代日本人。

本著は楽しく読めたものの、我々に課せられた課題を浮き彫りにするようでもありました。

投稿者 19750311 日時 2016年10月1日


「ロケット・ササキ」を読んで

飛び抜けたレベルの技術者だったが故の戦時中の強制的な開発活動や働く工場への空襲経験など、先月の課題図書ともシンクロし胸が詰まる思いがしたが、読み終えて1番強く残っているのは、世界に誇るすっごくカッコいい日本人がいたんだなぁと言う小学生の様な憧れと嬉しさと同時に、自分も佐々木氏の様な国内海外を問わないネットワークの中で、人材やビジネスのプラットフォームとして私なりの「共創」を実践している姿を妄想して本当に読書を楽しんでいた事だった。

常日頃課題図書を読んでいると、感想文をどう書くかと言う事が頭から離れず、最初にあるべき読書の楽しさすら感じられずにいたが、今月は実在した日本人の伝記と言う事もあり、佐々木氏の経験に自分の将来を重ね合わせて、今は出来ない多言語を話している自分などを楽しんでいた事から、自分の潜在意識が望んでいる事はこういう事なのかも知れないと気付かされる、読書をしながら予知夢を見ている様な感覚があった。これは去年やっと人間になれた読書量(年間100冊以上)を実践し始めた頃には想像すら出来なかった事で、先生がおっしゃる継続の力の1つと感じ、例月感想文をアップ出来たとしてもメタメタなサルレベルの内容でも、それ以前に毎月課題図書をまず買って、私なりのに一生懸命もがき苦しみながら取り組んでいるプロセスに価値がある事に気付く事が出来、本当に勇気付いた。

小学生の主観的な感想はこれくらいにして、私に響いて来た内容について触れてみると、佐々木氏の実生活はしょうおんさんのメルマガやセミナーで教えて頂く事を、色々な面で相当な高い次元で実践されて来た方だと感じた。例えば「共創」とは智の道。爆発的な着想力は、100%新しい物を作り上げる発明や研究の成果物ではなくても、他の分野の違う事柄を横展開して加工して形にしても新たな物事を作る事が出来る事(ie.独身寮と家族用との構造の違い)。また、そのアイデアを見つける為の頭の柔軟性や、未来を予想する為に前の課題図書でも紹介された様に現在までの数年前からの変化のベクトルから、その数年先の未来の予想角度を少しでも上げる事など。

またカシオや、その他競合他社との戦争と言う言葉が使われる程の壮絶な戦いでは、アメリカの情報力に驚かされた経験から「共創」には最後に繋がるとは言いながら、徹底的に多角的な情報収集を実践されてた事が伺える。

私は今外資から国内企業に買収され、経理部でJ-SOxコンプライアンスや特命プロジェクト管理などをしているが、ここ数年のしょうおんさんのメルマガやご紹介頂く課題図書から完全独立までは決心していないにせよ、事業責任者や経営レベルに戻りたいと考えているので、その日の為の準備をコツコツしながら、この本を実践的な経営などの指南書として定期的に読み返したいと思う。

まずは5年毎のキャリアの棚卸しと、自分の人脈図を年内までに完了させる事から始めます。