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第52回目(2015年9月)の課題本


月課題図書

 

世界史で学べ! 地政学


みなさんは地政学という単語はご存じでしょうか?

地政学とは、国やあるエリアがどういう場所に存在して、その周りの国とどういう関係性
を持っているのか、という地理的条件と政治の関係性の学問です。


世界史を地政学の観点から見たら、歴史が一本の線で繋がって、それが現在の世界関係に
も応用可能だよということを著者が分かりやすく解説しているのが本書です。特に斬新な
のが、アメリカを「島国」、ヨーロッパを「半島」と定義して歴史を振り返ると、世界史
がものすごく有機的に繋がって、納得感が高まるんですよね。


こういう新しい視点で歴史を見るというのは、ひとつのパラダイムシフトですから、知識
としてインストールしておくべきだと思いますよ。

 【しょ~おんコメント】

月優秀賞

 

今月の本は、内容が平易だったためかたくさんの方にご投稿いただきました。

これだけあると読むのに一苦労です。

で、みなさんの感想文を一読して・・・全然本書と関係無いじゃん!って人が多すぎです。

ちょうど安保法制について喧しい議論が行われている時期だったのもあるんでしょうが、

ご自身が安保法制をどう考えているのかを縷々論じられても、それで終わってしまったら

感想文じゃありませんから。

ここはあなたの政治的信条や意見を表明する場では無いのです。あくまでも課題図書と絡

めて、感想文の形にしてもらわなきゃ評価のしようがありません。

今回はそういう方が多すぎて、投稿者が多い割には選ぶのはラクでした。

今回の受賞者は、「kawa5emon」さんにします。この方は自分の意見もチャンと本書と絡

めて書いてくださって、内容も論理破綻をせずにまとまっていたので良かったと思います。

おめでとうございます。 

 

 

【頂いたコメント】

 
 投稿者 sakigake 日時 2015年9月17日

この本のエピローグを読んで少し驚きを覚えました。著者はバリバリのリアリストではないかということにです。地政学という学問自体、地理的観点から国家がどのように国際間の生存競争で生き残っていくべきか安全保障面から国益を重要視したリアリズムの要素が大きい学問だという認識が私にはあるからです。

私は地政学という学問に出会ったのは、2年前に大学時代の友人からの勧めからです。この課題本の参考文献にも取り上げられますが、奥山真司氏の「地政学―アメリカの世界戦略地図」(五月書房)を最初に読みました。課題本で出てくる、マハン、マッキンダー、ハウスホーファーの理論に加え、ニコラス・スパイクマンなどの理論を取り上げていました。いずれにしろ、核となるキーワードは「ランドパワー」、「シーパワー」、「ハートランド」、「リムランド」です。奥山氏はニコニコ動画でも毎週火曜日に時事問題を地政学に絡めて解説する生放送をやっています。

今、日本では集団的自衛権を認める安保法案が大きく議論されています。マスメディアはこぞって、安保法案反対のニュースを取り上げていますが、私は地政学・リアリズムの観点で考えれば、集団的自衛権は認めるべきだと思います。課題本著者の茂木氏は更につっこんで、憲法改正、兵器は国産し、自主防衛すべきだと書いています。なぜなら、ランドパワーの中国の脅威がシーパワーの日本にとって緊急の課題だからです。尖閣でなく沖縄も自国の領土だと主張し、昨年のダボス会議に出席した中国高官はなにか契機があれば、日本と戦争したいと発言したそうです。多くの日本国民は戦争など他人事で、日本は平和憲法に守られているから安全だと勘違いをしています。確かに日本は領土の四方を海に囲まれ地政学的に外敵が攻めにくい面をありました。しかし、すでに中国とは情報・経済面では戦争状態にあるのです。そのことを強く認識すべきです。(中国は対日プロパガンダ費用で年間1兆円使っています)

アメリカの代表的なリアリストであるジョン・ミアシャイマー、スティーブン・ウォルト、ケネス・ウォルツなどと親交の深い国際政治学者の伊藤貫氏の講演をYoutubeで見ましたが、そもそも日本国憲法はアメリカが日本を仮想敵国とみなして、武装できないように作られたものであると述べてます。驚くことに今でもアメリカ政府内の仮想敵国の中に日本は含まれているのです。先述した奥山氏も同じことを言っています。また平和憲法は明治維新後のシーパワー大国だった日本の再興を危惧して作られたものであって、そこには平和主義といった理念的なものはなく、ただアメリカの安全保障上の国益のために作られたものであるということが重要なのです。地政学は危険な学問として、GHQによって戦後抹殺されましたし、戦後教育においてもアメリカの国益にかなうような形で指導されてきました。そこには地政学は勿論入っていません。護憲派の人たちはそういった歴史経緯を知らずに、憲法9条を楯にして集団的自衛権反対を唱えても、地政学・リアリズムの観点から見れば、甚だ国際事情を知らない平和ボケした日本人としか見られないのです。今は日米安保が機能して、中国の脅威をなんとか免れていますが、課題本にも書いてあるように、アメリカは国益のためなら将来、日本を切り捨てることもあるということを念頭におくべきです。蒋介石の国民党、南ベトナムを見捨てた歴史がそれを物語っています。実際、アメリカのリアリストの中には、地政学のオフショア・バランシングを考慮した場合、アメリカは極東まで手を伸ばすべきではない、日本は中国の属国にすればいいという過激なレポートを出しています。

中国の属国になれば、今ある経済・政治的自由は奪われて、ウイグル・チベットと同じ状況下に置かれるでしょう。護憲派の方たちはそれでも平和憲法を守り・集団的自衛権は放棄すべきだと言えるのでしょうか?広瀬隆氏の最新刊「東京が壊滅する日」(ダイヤモンド社)では、ウイグルでは過去、何度も核実験の場所となったと書かれています。

課題本に詳細に書かれてますが、特に東南アジア、中東、アフリカは常にイギリス、フランス、ロシア、ドイツ、アメリカなどの欧米列強の安全保障・経済面の国益の餌食とされてきました。それに加えて、18世紀後半からロスチャイルド家を中心とするユダヤ財閥の飽くなき欲が絡み、アジア・中東・アフリカの鉱物資源を搾取してきました。ユダヤ財閥によるアジア・アフリカの収奪の歴史詳細は良書リストに記載されている「赤い楯」(広瀬隆著・集英社文庫)を読んでください。

現在の中東・北アフリカの混乱も、宗教対立もありますが、歴史的に見れば欧米列強の収奪歴史の産物であり、加えて、イスラエル建国歴史経緯も絡み、反米、反イスラエルの感情が高まり、一向に解決の糸口さえ見えません。

昨年からのウクライナ内戦は米ロ代理戦争ですが、ロシアがクリミア半島をすぱっと自国に併合したのも、地政学的に重要な要所だったからです。ここを押さえなければロシアは安全保障上、非常に不利な立場に追い込まれるからです。

国際協調、平和主義、人道主義が尊重されるなら、ブッシュ・ジュニア大統領は国連での安保理決議に従ってイラク侵攻をやめたでしょう。しかし、現実はネオコン、アメリカの軍需産業にそそのかされて、イラク侵攻し、罪もないイラク人を1万人強虐殺しました。それ以後、大義名分だった「大量破壊兵器」も見つからず嘘がばれたにもかかわらず、相変わらずアメリカは覇権国家の振る舞いをし、国連から制裁もうけてません。アメリカが強者たる所以だからです。おかしな話です。

今、中東・北アフリカからの難民がEU諸国に大量に雪崩れ込んで、難民受け入れで問題が生じてますが、過去の歴史を踏まえれば、イギリスは真っ先に難民を受け入れるべきですが、受け入れに難色を示し、受け入れ寛大なドイツとの温度差があります。来年か再来年に行われる予定のEU離脱を問う国民投票において、イギリスの最近の世論調査では、難民受け入れ問題で、EU離脱賛成派が51%と多くなっているという結果が出ています。

以上のことはまさにリアリズムの世界です。そこには国際協調、平和主義、人道主義はありません。あるのは国家間の生存競争、エゴイズムです。
 
どうすれば日本は過酷な国際間の生存競争を生き残っていけるのか?という問いに「ロシア政治経済ジャーナル」というメルマガ発行者の北野幸伯氏は、シーパワーのアメリカとランドパワー(ハートランド)のロシアを引き込み同盟関係を結び、ランドパワーの中国の脅威を封じ込めるべきだと主張しています。北野氏も日本は集団的自衛権を認めるべきだと早くから著書「隷属国家日本の岐路―今度は中国の天領になるのか?」(ダイヤモンド社)で唱えていました。彼もリアリストの一人です。また、日本人は自虐史観を捨て去るべきだとも主張しています。アメリカナイズされた歴史観を変えろということです。
 課題本の著者は更に進んで、自主防衛し、西太平洋の海洋諸国家をまとめて、西太平洋条約機構をつくり、日本はその要になるべきだと唱えています。
 また、伊藤氏は日本は自主防衛した上で、少数の核兵器を持ち、核抑止力を行使すべきだと過激な主張をしています。
 
課題本の著者、奥山氏、伊藤氏、北野氏ともに日本人はもっとリアリズムの観点から国際関係の情勢を読み取り、日本の今後の進むべき道を考えるべきだと主張しています。そのためには正しい歴史を学び、国家のレベルの問題においても個人の責任だとどこまで感じるかということだと思います。
 
日清戦争・日露戦争を戦った当時の軍人は自分の置かれた環境・組織を頼らず、自分がこの国を救うのだという強烈な使命感・自負心を持っていたと思います。第二次大戦敗戦後の人たちも俺がこの国を立て直すのだという気概を持っていたと思います。それは今の日本人に欠けているものではないでしょうか?だから課題本の著者は、「俺が一日休めば、日本が一日遅れる」という強烈な使命感・危機感を持っていた秋山好古が主人公である「坂の上の雲」を再び目指そうと本の結びに書いたのではないでしょうか?

そういった自負心・危機感・使命感はどうしたら持てるようになるのでしょうか?
それらを持つためには「自分にとっての世界、つまりこの今現在に、もし不都合な現状があるとしたら、それはすべて自分が原因である」という考え方を持つことから始まると思います。自分にとっての不都合な現状を他人や組織・環境のせいには決してしないということです。その強烈なまでの自己責任を持てるからこそ、自分は世界を変えられると考えるようになると思うのです。
そうした上に、個々が日本の将来の進むべきビジョンを明確に描くことが求められます。
と書いている私自身、その考え方を常に保つことができるよう日々奮闘しています。
以上が課題本を読んでの私なりの思索としたいです。

投稿者 dandandaniel 日時 2015年9月28日


「世界史で学べ!地政学」を読んで

この本を読むまで、理系出身の私にとって世界史とは、ヨーロッパ貴族の
紛らわしい名前や最低限の一般教養を残したくれただけの科目であった。

しかしこの本で語られる『ランドパワー』、『シーパワー』という国の
カテゴライズから、その時々の権力者の思考過程や行動原理を理解する
することができ、今後の世界情勢を推測する手がかり得た。

この本を読んだことによって、僅かばかりの世界史関連の単語や、社会人に
なった頃に無理して読んだ『坂の上の雲』、さらにニュースで名前を聞く
遠い中東の国々の紛争や難民問題といった物事が、有機的につながって
いったのだ。

ただし1回通読しただけでは、地政学という思考回路が脳内で何とか
通電したに過ぎない状態であり、日本の現状や今後を見据えた今後の
行動に落とし込むまでには至っていない。2回、3回と読むことで、
自身の思考回路を世界情勢と結びつけてくれるであろう良書と言える。

そこで、本書の読書効果を高めるための個人目標を以下のように決めました。
 1.本書の最低2回の再読
 2.途中で挫折した『戦艦大和ノ最期』の通読
 3.『坂の上の雲』の再読

読者歴は長いですが、勇気を振り絞って初めての投稿です。 

 

投稿者 2l5pda7E 日時 2015年9月28日


「世界史で学べ! 地政学」を読んで。

本書を読むまで、私の頭はまさに「脳内お花畑状態」でした。

・抑止力って必要だったんだ
過去の争いによって散った命の上に、私たちは成り立っているのだと感じました。
領土の奪い合いというのは、弱肉強食の世界。
侵略は攻める方も、攻められる方も生存本能から来るものと考えます。
私は今までの人生をのほほんと生きてきましたが、今後の日本はどうなるかもわからない状態だったのですね。
昨年2014年ぐらいにネットで話題になった中国の領土拡大計画を見て、当時は鼻で笑っていましたが、本書を読み振り返れば納得できます。

・歴史の教科書を地政学にしたらどうだろう
私がまだ学生の時、歴史があまり好きではなかったのですが、本書はすんなりと納得しながら読み進める事ができました。
主にランドパワーとシーパワーで書かれた説明がとても分かり易かったです。
地政学による歴史を学べば、日本の将来を担う若者の意識を高められるに違いありません。
なぜなら、私の様な(私は若者と呼べる年齢ではありません)「脳内お花畑状態」の人が、
”このままじゃまずいだろう、なんとかできないか~”の様な想いを持つことができたのですから。

・宗教は争いの火種になる
本来、宗教は人の幸せを願うものじゃなかったのか?と読みながら何度も疑問が頭に思い浮かびました。
宗教の内容にもよるのかもしれませんが、宗教という考え方の違いで殺しあうのは日常だったのですね。
宗教の教え・考え方に縛られすぎて排他的なのでしょうか。ナンセンスです。
私自身は他人と共に生きてゆく上で、他人が幸せだと自分も幸せ(まだ深いどこかで自分の幸せが勝っている気がしますが。。。)と考えられるようになってきましたが、宗教と共に今後学習が必要と感じました。

本書をご紹介いただき、誠にありがとうございました。 

 

投稿者 fuchiyan 日時 2015年9月30日


この本を読んだとき、僕はほとんど何も世界のことを知らないと知りました。
世界が紛争や戦争を引き起こすのも、何かの利権が絡んでのこと。自分の国を守ることや、増やすことを理由に世界は動いているのだと38年生きてようやく少し分かった気になりました。

 この地政学ではシーパワーとランドパワーのぶつかりあいという視点から物事を見ていて、日本は島国でシーパワーに属し、第2次世界大戦ではエアーパワーと核兵器によって負けた。今もアメリカの保護国としての地位のままだが、今後『2050年にアメリカの人口でヒスパニック系が50%を越える頃アメリカの覇権が終る』と予想されていて、日本は核兵器を持つことで抑止力を持つことができるので持つべきだという論調であった。

確かに、日本が自立していくためには核兵器を持つことも一理あるかもしれないが、日本は核兵器を使用された国で、逆に使う側に回るというのは、あの広島長崎の惨状を想像するだに恐ろしく、二度と使ってはいけないものという認識しか持ち合わせられない。しかし、それではまだ平和ボケだと自認する自分がいる。読んでいる途中でもそう思った。

今月の課題図書は、ちょうど今月に安保関連法案が可決され、南スーダンの話も出ていて本当にベストタイミングの本だと思いました。
あの国会での安保関連法案は、憲法違反だと思うし、また、採決もほとんどゴリ押しで、あんなのでいいならなんでもありかと思わせられた。アメリカの属国(保護国?)という風な流され方だったと思う。でも、そういうところまでくるほど切迫した状況なのかという危機感を覚え、戦後70年というサイクルでまた何か起こるのではないかと考えて今後自分はどうすべきか、感じなければいけない。

今、もし徴兵制で赤紙がきて、歩兵で銃をもって訓練し、昔のように戦艦に乗って途中で撃沈させられたら悲しいし、何のために死ぬのかわからないけど、行けば帰ってこれないかもしれない。自分を毎日訓練して、昨日より明日、明日より明後日、より生きるために生きていく。戦争になったら生きるか死ぬか、それしかないから、生きることに執着し、より頭を使うようになると思うし、体も鍛えると思う。

そう思うと、今の生活がのんべんだらりとした風に感じて、今もっとできるはずと思う。
もっとしっかり生きなきゃと。どんな状況になっても生きられるすべを知りたいと思うし、訓練していきたい。

今後、日本や世界はどうなっていくのか。今までならほとんど自分とは関係ないと思っていましたが、世界が動けば自分も変わる、もし逆も真なら自分が動けば世界も変わる。この感想文を書くのも初めてで、まとまりがついておりませんが、自分の意見を表にだすことに消極的だった自分が書いたことが第一歩だと思い、これを書く機会を作っていただいたことに感謝いたします。

投稿者 Bizuayeu 日時 2015年9月30日


皆さんはParadox Interactiveという会社をご存知でしょうか。
歴史シミュレーションゲームの開発を専業とするスウェーデンの会社なのですが、
このゲーム会社の作るゲームには大きな特徴があります。
それは、ゲーム内のCPU国家が持つ行動AIの核が地政学となっていることです。

特にEuropa Universalis 3というタイトルでは、国別のAIが存在せず、
全てのCPU国家は国内環境と国外環境のパラメータを勘案した上で、
単一の地政学的なロジックを基に行動を決定します。
これできちんとゲームとして成り立つのかという点は、
以下の連載プレイ記事を読んでいただければ明らかです。
http://www.4gamer.net/games/040/G004028/20080218028/

では、何故ゲームとして成り立つのか?
地政学とは単に国と国との競争の条件が整理されたものであり、
道徳や善悪といった概念とは関係無いものだからだと思います。
個人個人が生存競争に晒されるように、国も生存競争に晒される。
そして単なる競争だからこそ、ゲームとして面白いわけです。
(そういえば、イギリスとロシアの中央アジアを巡る戦いを
グレート・ゲームと評したりしますもんね。)

国と国のゲームに巻き込まれる我々としては大変ですが、
ゲームのルールを知らないで場に放り出された人間は
カモと称されたりするわけですから、きちんと勉強が必要です。
同様に、マキャベリの君主論も、競争手法を学ぶには良い教材なので、
道徳とか善悪とか言ってないでサクっと読んでおきたいものです。
理想云々は勝てるようになってからにしましょう。自戒を込めて。
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投稿者 J.Sokudoku 日時 2015年9月30日
「世界史で学べ!地政学」を読んで

1. 日本の過去、現在、未来
海に囲まれた島国という地理的条件から国境線の問題もほぼ無く、また単一民族であることから民族紛争とも無縁という恵まれた環境に日本が、そして現在の自分自身が置かれていることを本書によって認識させられた。世界を見渡すと、大陸国家の国々は、潜在的敵国である隣国が攻め込んでくるという可能性と常に隣合わせという状況に置かれている。また、世界の殆どの国々は多民族国家で形成され少なからず民族間問題に直面している。中には帝国主義時代に列強諸国に人為的に民族分布を無視された国境線を引かれた国々も多々ある。そんな国々では、宗教問題、民族問題、ナショナリズムが複雑に絡み合い紛争となり、未来のことを考えるよりも今日を生き延びることで精一杯の人々がいる。そのような状況下に置かれた人々と比べ現在の日本人は如何に恵まれていることか。
ただし、この恵まれた現在の日本の状況が続く保証はどこにもない。まず、大陸には巨大なランドパワーを背景に新帝国主義的傾向をみせるロシア、中国がいる。そして、朝鮮半島には歴史上、常に大陸内部からの圧迫に晒されてきた韓国と独裁国家北朝鮮がいる。日本人は今後このような国々に否応無く対峙していかなければいけないのである。日本の過去、現在、未来を考える上で地政学は非常に有効な1つのツールである。

2. 生存競争?
「生存競争」という単語が本書では幾度と無く使用される。ただ、私はこの「生存競争」という単語の使われ方に違和感を覚えた。例えば、本書では現実主義は以下のように定義されている。「歴史には正義も悪もない。各国はただ生存競争を続けているだけだとみる現実主義」だと。そして、本書エピローグにも、未来において「生存競争」は続いていると記されている。確かに生存をするために必死に戦っている国家や民族は過去にも現在にも未来にもいるだろう。そして「生存競争」はなくならないであろう。なぜなら、生存欲は人間の本能であり制御できないことだからだ。しかし、歴史上において強い立場の国々が行ってきた競争は、この「生存競争」と同列に扱ってよいのだろうか。否である。強国は、生存を目的することだけでなく、自らを膨張させる“膨張競争”をしてきたのである。
生存欲も膨張欲も人間は、持って生まれる。しかし、この2つの大きな違いは、生存欲(生存競争)は絶対に不可欠だけども膨張欲(膨張競争)は絶対に不可欠とういうことではなく制御することができるはずであり、ある程度はするべきことなのではないだろうか。何故なら膨張欲(膨張競争)は、時として不必要な争いを生むからである。この膨張競争に拍車をかけているものは何なのか。世界史を見れば背景に膨張(増殖)を宿命づけられた資本主義があることは明白だろう。

3.海洋国家日本と海洋国家イギリス(1600~1860年)
現在の中東問題の元凶である1916年に結ばれたサイクス・ピコ協定。そして、その協定の一端を担ったイギリス。サイクス・ピコ協定以前にもイギリスは東インド会社の設立を足がかりにアジアへの侵略を進めていた。1600年東インド会社設立から1860年第二次アヘン(アロー)戦争終結までは、ちょうど日本の江戸時代にあたる。この期間の日本とイギリスは同じ海洋国家でありながら全く違う歴史を持っている。内外的に平和をとおした国日本と侵略を続けた国イギリスである。何が日本とイギリスの違いを作ったのだろうか?日本とイギリスの主な違いは、日本が単一民族国家であることに対してイギリスは多民族国家であること。また、元々日本が農耕民族であり、イギリスは狩猟民族であること。確かに、これらも2つの国を違いづけた大きな要素である。ただ、2カ国の資本主義(重商主義)とのそれぞれの関わり方も理由となるのではないだろうか。イギリスは、一説では資本主義を生み出した(初めて労働力を商品化した)国であり、資本主義(重商主義)を背景に植民地政策を進めていった。対して日本は、その資本主義につながる重商主義を一時的に遠ざけた時代があった。それが、江戸時代である。

4.“パクス・トクガワ”と資本主義
 本書にも説明があるとおり、“パクス”とは力による強制的な平和である。「パクス・ロマーナ」、「パクス・ブリタニカ」、「パクス・アメリカ」等が有名である。そして、日本史上にもそんな時代があった。江戸時代である。それは“パクス・トクガワ”と呼ばれ世界から平和な時代として評価されているという。江戸時代は、1615年大阪夏の陣を最後に幕末まで約250年、これといった内戦、そして日本から海外侵略を仕掛けることも無い“泰平の世”だった。内外的に平和を維持したその“パクス・トクガワ”から我々は学ぶことがあるのではないだろうか。“鎖国”という閉鎖社会、“士農工商”からなる階級制度等、現代社会では受け入れられない面があるのは確かだ。しかし、江戸時代は犯罪も少なく、都市環境は清潔に保たれ、国民は勤勉で道徳心があった。
 江戸時代について1つの特筆するできることは、「資本主義(重商主義)との距離」ではないだろうか。例えば寛政の改革を行った松平定信は朱子学を重んじた。朱子学において“商”は重要視されていない。むしろ蔑視されていた。そして松平定信は重商主義の田沼意次を排除している。井沢元彦氏のように松平定信が重商主義を排したことで経済の停滞を招いたと批判する見方もある。ただ、もしかすると松平定信は、資本主義の膨張性、凶暴性、制御不能性を喝破していたのではないだろうか。そのくらいの知性、先見性が当時の日本を仕切る人間が持っていたとしても不思議ではない。そして、当時の支配階層であった多くの武士たちは、分をわきまえて質素倹約に自らを律して膨張欲を制御していたのではないだろうか。

5. 「世界史で学べ!地政学」の意味
 世界史は、争いを繰返す人類の歴史である(勿論それだけではないが)。その争いの原因は、人間の持つ欲だ。それは、生存欲、保全欲、認知欲、自己実現欲等様々だ。そして資本主義の登場以来、争いが拍車をかけられたことは間違いないであろう。当方は、資本主義を否定はしているわけではない。誰でも成功してお金持ちにはなりたいだろう。それは悪いことではない。但し、皆が個人レベルで際限なく物質的な幸福を求めた時に、社会に歪が起こってしまう。日本の場合、貧富の格差、そこから派生する社会犯罪、企業の不正行為等の資本主義によって起こされている問題を真剣に考えるべきだろう。では、我々が個人レベルでできることは、何であろうか。それは、抽象的な言い方であるが、過度に物質的な幸福を追い過ぎないように自制、自律をすることではないだろうか。個人レベルでできることは、とても小さいことだが、その積み重ねが大事なのではないだろうか。

~終~

【感想を書くにあったての併読した本】
 「世界史の極意~佐藤優~」
 「資本主義の終焉と歴史の危機~水野和夫~」
 「『ドイツ帝国』が世界を破滅させる~エマニュエル・トッド~」
 「ケマル・パシャ伝~大島直政~」

投稿者 satonaka 日時 2015年9月30日


「世界史で学べ!地政学」を読んで

 私は中学生の頃、ちょっとした流行だったシミュレーションゲームにはまっていた。まだパソコン上で動くようなものはなく、床にボードを広げ数多くの駒を動かしながら争う戦争ゲームである。ゲームを行うためにはゲームのルールを覚えなくてはならず、これが結構厄介だった。当然自分以外にも覚えてもらう必要があり、購入してから実際に遊べるまで1か月以上かかるのもざらであった。
 しかし自分が作戦参謀になったかのような高揚感が味わえるため、形だけのようなものであったが友人とかなりのめり込んだ記憶がある。勝利条件は相手の壊滅であったり、自軍の生存であったり、拠点の奪取であったりゲームによって異なっていたが、実際の史実に基づいた戦力と勝利条件は、中学生を高揚させるのには十分だった。
 ゲームの中で勝利条件を満たすためどうしても譲れない拠点が存在することがある。橋であったり高台であったり将軍駒のいる場所であったりするが、これを守る、または奪取するために多大な戦力を終結させたのを覚えている。
 今回の課題本を読みながらそんな昔のことを考えていた。当然世界史の中でも譲れない場所ってのは存在するよなあ、ここで言ってることって至極当然のことだよなあ、と勝手にかつてのゲームに置き換えながら読み進めていた。自国がどのような地形的特徴があり、自国の利便を図るためには地理的に何を手に入れなくてはならないのか。この課題本を読んでいると以前の高揚感がわずかながら復活するようであった。
 しかしよく考えれば、ゲームは史実に基づいているため勝利条件が明確であり、明確である勝利条件を満たすために行うことは当然明確である。翻って世界史で行われてきたことは勝利条件の設定から行う必要があり、現在からみれば「あの時こうしておけば」とか「この状況ならどの国でもそうするよね」となんとでも言えるのだが、勝利条件をどこに設定するかという点が戦術以前に重要なこととなる。勝利条件の設定においては現在のどの大国もほぼ納得できる設定を行ってきたように思えるが、納得できない設定を行った国・民族は大国になれていないのであるから当然と言えば当然である。
 さて、日本は勝利条件の設定はいかがであろうか。マンガ「沈黙の艦隊」で海江田艦長は「明確な目標さえあれば、人間は超人的な行動をとることができる」といったことを言っていた。日本の美徳はこの超人的な行動が行えるということであるが、目標設定能力についてはあまりほめられたものではないと私は思っている。課題本の筆者も同じようなことを思っているのではないかと、日本に関する記載を課題本を読む中で私は感じた。
 地政学というタイトルであったが、私が読み終えて思ったのことは地理的なこととはほとんど関係のないことであった。
・勝利条件をどのように設定するかが、戦略的に重要である。
・勝利条件を満たすためにどのようにすればよいかは、あくまでも戦術である。
・日本は勝利条件の設定ということについて、現在実際どのように考えているのか。
 特に三つ目については、最近話題のSEALDsの抗議活動も一体何がしたいのかさっぱりわからず、きっと当人たちも勝利条件の設定は何一つしてないんだろうなあ、とちらっと思ってしまい、極端な例ではあるが日本人はやっぱり勝利条件の設定って苦手なのだろうと考えてしまったのである。
 自分に置き換えれば、この本から私が勝手に得たことは「勝利条件の設定が重要」という、下手をすれば著者が微塵も伝えようとしていないかもしれないことであった。

 もう一度しっかりと素直に読み解いてみたい本であった。今度は世界地図を横に置きゆっくりと読み解いてみたい。

投稿者 BruceLee 日時 2015年9月30日


地政学ティックな「ま、いっか」家事術

**どんな本も肥やしにしちゃいましょう***********

さて、本日は開き直りも大切という話。

先日、「世界史で学べ!地政学」という本を読んだんです。「地政学」というのは
要するに地理的な環境が国家に与える政治的、軍事的、経済的な影響を考察する
学問なんです。例えばアメリカを「島国」、ヨーロッパを「半島」と捉えると歴史
の見方が変わってくる、なんてことが書かれてます。

え?専門的過ぎ?コムズカシそう?自分とは関係無さそう?(@@;)

いえいえ、そんな事ないんですよ~。確かに「地政学」と家事は直接関係しない
かもしれません。でもね、こういうメルマガなもんで、アメリカを「島国」に
捉えるように、捉え方を変えて新しい視点を持つことで、日常生活に役立つ
エッセンスとして応用できると思うんですよね(^^;

例えば、本書では幾つかキーワードが出てくるんですが、そのうち最も重要なのが、
欲しいものをゲットするために大事なのは、

「チョーク・ポイントを押さえる」

ってことなんです。

ん?これだと何だか分からない?ああ、まあそうですよね。じゃ、これをもう少し
分かりやすく表現すると、

「相手の首根っこを押さえちまえばコッチのもの」

ってことなんです。ホラ、少し身近な話題に近付いてきたでしょ♪
では、具体的に説明しますね。

このメルマガの読者さんは女性が多いと思うんですけど、例えば貴女の意中の男性を
惹きつけるにはどうしたら良いんでしょう?カレシやオットが他の女性になびかない
ようにするにはどうすれば良い?そう、答えはカンタンです。男性の首根っこを
押さえて


わがものにしちまう♪


のです。でも具体的にどうやって?って思うでしょ。知りたいでしょ?
それはね・・・男性の首根っこを押さえる、とっておきの法則があるんです。

あぁ・・・ここでコノ秘密を無料で公開しちゃうのは惜しい気がするわ・・・
でも、ここまで書いたしな~、どうしようかなぁ・・・え?もったいぶる
なって?あ、いや、じゃ仕方ない、大盤振る舞いですよ(笑)。
その法則とはね、


料理の上手い女性から男性は離れられない(◆_◆)


ってヤツなんです。

貴女がどんなにキレイでスタイルが良くても、寄る年波には勝てない悲しい現実
があります。でも料理さえ上手くて、相手の男性の舌を貴女の味で染めてしまえば
相手はもう逃れられません(笑)。たとえケンカして、一時離れたとしても、必ず
帰ってくるって法則なんです。

だからね、好きな人と食事する時は出来るだけ手料理を振舞ってください。
意中の人、付き合ってる人には機会を逃さずお弁当を作ってあげる。また既婚で、
共働きで忙しいとしても、間違ってもコンビニ弁当で済ましちゃダメです。
そして、たとえ外食する場合でも、普段は食べないようなチョット高級なものを
食べるようにしてください。そうする事で相手の潜在記憶には、


○○(貴女)と一緒だと何食べても美味しく感じるなぁ(^▽^))


とインプットされますから(笑)。
だから、食事は出来るだけ貴女の手料理で相手の首根っこ(コノ場合は舌ね)
をムギュっと締め上げちゃってください。

え?手料理で毎日頑張ってるけど、相手がなかなか美味しいって言ってくれない?
そもそも何を作ったらいいのかよく分からない?


ふぅ(@@;)


いや、あの・・・何年このメルマガの読者さんやられてます?
注)最近の新規読者さんは除く

貴女のパートナーが外国人ならともかく、日本人である限りコレからは逃れられない
魔法の調味料ってのがあるでしょ?え?知らない?イヤイヤ、このメルマガの冒頭で
毎回目にしてるはずですよ!そう、その調味料こそ、


みそ


です。このメルマガで、何故『手前味噌の作り方』PDFをお配りしてるか、やっと
分かってもらえたかしら(笑)

うちなんてさ、この手前味噌でオットの舌を掴んじまったからさぁ、今や「ラブラブ」!
じゃ収まりきらない「ラブラブラブ」なドリカム夫婦でさぁ♪♪♪(≧▽≦)♪♪


閑話休題。


とにかく、味噌は日本人に欠かせません。お味噌汁は勿論、多くの日本食に加え、
最近ではパスタやサラダのドレッシングなど、西洋料理にも使われます。なのでこの際、
貴女オリジナルの手前味噌を作ってチョットでも味噌が合いそうな料理には、隠し味
としてコッソリ入れてみてください。勿論、外食時でも手前味噌を持参して、ササッと
入れちゃうんです。そうすると、相手が気付かぬうちに、サブリミナル効果の如く相手
の舌は貴女の味に洗脳されていく筈です(笑)。

ね?是非試してみてください。これが「相手の首根っこを押さえちまえばコッチのもの」、
つまり「チョーク・ポイントを押さえる」ってことなんですよん。

<終>

P.S.
ということで、「どんな本からもポイントを読み取り、それを実生活に落とし込んで活用
する姿勢に意味があるのだ!」と、表現してみたものの、気付いたら課題図書の内容とは
多少離れてしまいましたが、「ま、いっか」と開き直ってみました。

失礼しました。

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 投稿者 kawa5emon 日時 2015年9月30日


書評 「世界史で学べ!地政学」茂木誠 著

読後の所感は、今までに得たことのないスッキリ感であった。
ここまでシンプルで、切り口鋭く世界史と世界情勢を語った本に今まで出会ったことはなかった。
日常自分が触れている、情報源の情報の質が如何に低いことか、
スッキリ感と共に、ガッカリ感も味わざるを得なかった。

果たして今まで、どのような視点、視野、視座で歴史を学んできたのか?
自分の歴史勉強への姿勢に稚拙さを感じざるを得なかったとともに、
著者、茂木誠さんの予備校での講義に一度参加してみたいと読みながら何度も感じた。

歴史を学ぶとは今後の人生をより良く生きるために先人達の経験を学ぶこと。
この本で語られる地政学を基礎にしての世界情勢分析及び、事象が起こる基礎的要因解説は、
視点を変えてみれば、個人の人生戦略へも使えそうな内容だ。

さて内容に関して、地政学というツールの内容の前に、
本書全体に流れている、国際政治、国際関係での大前提を特に強調したい。

それは、既に冒頭プロローグで言及がある通り、
「歴史には正義も悪もない。各国はただ生存競争を続けているだけだ。」
それを現実主義(リアリズム)と呼び、生存競争は無限に続き、歴史が終わることはない。
「つまり、国際紛争の主要因は常に国家間の生存競争であり、
これを正当化するために、宗教やイデオロギーが利用されている。」
ここが決定的に重要だ。

 本書では真逆と解説のある、世界史を正義の実現と見る「理想主義」、
日本の場合であれば、第二次世界大戦の敗北は、戦略・戦術の誤りではなく、
「倫理的に間違った戦争をしたから」であり、「日本が深く反省し、謝罪を行なえば」戦争は無くなる、
だから「憲法9条を守らなければならない」という脳内お花畑歴史感。
 これが如何に何者かによって宣伝、伝播された考えであるかを、日本の事例だけでなく、世界各国の事例で本書は無碍も無く喝破してくれている。

 その脳内お花畑歴史感を、憲法9条死守グループ対しに「念仏平和主義者」と命名した、
故司馬遼太郎氏著作、風塵抄から平和の概念の部分も引用したい。

「平和とは、まことにはかない概念である。
 単に戦争の対語にすぎず、”戦争のない状態”をさすだけのことで、
天国や浄土のように高度な次元ではない。あくまでも人間に属する。
平和を維持するためには、人脂のべとつくような手練手管が要る。
 平和維持にしばしば犯罪まがいのおどしや、商人が利を逐うような懸命の奔走も要る。
 さらには複雑な方法や計算を積み重ねるために、奸悪の評判までとりかねないものである。
例として、徳川家康の豊臣家処分をおもえばいい。家康は三百年の太平をひらいた。
が、家康は信長や秀吉にくらべて人気が薄い。平和とは、そういうものである。」

 今まさに安保法案で実の無い主張を重ねている方々に是非是非読んでいただきたい。

 さて前置きが長すぎたが、地政学についても言及したい。
実は地政学というツールに出会ったのは初めてではなく、その切れ味は実感済み。
 その初めての出会いで、その著者が新たに提案していたのは、以下の思想だった。

 主に欧州を中心として栄えてきた民族、国々で、大陸中心の生活を営んできた民族、国家を、「大陸国国家」。
その対極として、主に島での生活が基盤であり、海中心の生活を営んできた民族、国家を、「島国国家」。
とする思想だった。
 
 このアイデアを前提とする時、欧州各国はイギリスを除いて、ほとんど大陸国国家。
古くから文明を有する欧州外エリアの国々を見た際に、中国、インドも大陸国国家になる。
今回の著書で言うと、ランドパワーがそれに該当する。
 主な特徴は今回の著書でも随所に見られるように、国境を接しているため、争い事が絶えない。

 ではその逆の島国国家となると、欧州では独特の距離感を保つイギリス、
アジアで言えば日本がその筆頭となる。今回の著書で言うと、シーパワーがそれに該当する。
 主な特徴は国境線が他国と陸続きないために、争い事は少な目で、他国とのバランスが取りやすい。
しかし、攻められると逃げ場がないので、一度逃げて再度挑戦の手は使えない。

 では、建国以来の大国、アメリカはどうなのか?

 その著者は、アメリカは両方を兼ねる国家だという。
確かに開拓者は欧州から来て、その思想は大陸国国家思想に違いない。
 しかし、北アメリカ大陸を世界地図で見たとき、その地形は島にも見える。
そもそも開拓者は海路でアメリカ大陸に入っており、島国国家の思想も有りそうだ。
 
 この著者は、パックス・アメリカーナはこの二つの基本思想の使い分けによって完成したと主張していた。
大陸国国家に対しては、大陸国国家の思考回路をもってして対応する。
島国国家に対しては、島国国家の思想回路をもってして対応する。
たから、国の歴史が比較的短くても、世界の警察官に成り得たのだと。

 約15年前の学生時分、その思想に出会った時は、世界情勢を見るのはこれだ!と直感した。
地政学こそ世界情勢分析と各国の国際政治に於ける世界戦略、強いては日本国の今後の方向性を見極めるツールだと。

 時が経って現在、著者指摘の通り、アメリカの衰退を目にしている。
もうアメリカの覇権は夢の跡で、これからが日本にとって新たなステージとなることは間違いない。
そんな時、この地政学というツールが改めて注目を浴びるに違いない。

 地政学がその基本としている地理的条件の影響度如何、ここに現在の国家力を測る、
軍事力や経済力などの各要素を補足し、各国と比較・検証すれば、今後の日本が取るべき進路はそう多くはないはずである。
だって、世界各国は相変わらず、国家間での覇権競争、生存競争の中にあるのだから。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

投稿者 magurock 日時 2015年9月30日


地政学? 島国の日本にあんまり関係ないんじゃないの?
なんて思っていたのだが、そんな自分は甘かった!
考えてみれば、ずいぶん昔から元寇やら黒船来航やらいろいろあった。
もちろん地続きの国々ほどではないが、日本だって昔も今も外圧に悩まされているのだ。

それにしても、本書のように違った方向から世界の動静を見てみると、普段何気なく見たり聞いたりしているニュースの本当の意味がわかるようになる。教科書でサラッとなぞった世界史が、こんな側面を持っていたなんて驚きだ。

安保法案廃案! 米軍出て行け! 北方領土を還せ! など、私たちは「平和」を盾に気軽に口にしてしまいがちだ。
でも、もし今「あ、そうですか」と米軍が撤退したら、虎視眈々とチャンスを窺っている中国がどう出るか。
ネットでは沖縄の翁長知事を「中国の手先」と揶揄する声が、少しずつ増えてきている。
それは言いすぎじゃないの? と思っていたのだが、本書を読んで、同意はできないにしても、そういった発言する意図はわかるようになった。

これらの日本を取り巻く問題は、国防力を今よりうんと上げなければ何も解決しない。
でもそのために防衛費や自衛隊員を増やそうとすると、「軍拡反対!」「徴兵制を復活する気か!」という声があがる。
考え方や知識の量と理解の深さは人によってさまざまだから、なにをやっても反対する人が出てくる。
民主主義はいつでも八方塞。本当にマツリゴトはたいへんだ。

政府だって、国民にもっとわかりやすいように説明すればいいのに、と思うことがある。
この本を、国会前でデモをしている人が読んだらどう思うだろうか。
「知らなかった!」と意見を変えるだろうか。それとも「政府の手先が書いた本」ととるだろうか。

ここまで書いて、インターネットで見かけた、
「デモの是非はともかくとして、そのとき中国に滞在していた私は、デモのニュースが流れることによって日本国民は平和を望んでいると中国の人にわかってもらえて危険を感じずに済んだ」
という言葉を思い出した。
もしかして首相や側近は、そういうことまで計算に入れて、わざと情報を制限しているのだろうか? 考えすぎか?
でも、デモは諸刃の剣だが、目眩ましにはなる。日本の政治を動かす大任を担っているのだ。それくらい想定の範囲内かも知れない。
ということは、森喜朗氏の数々の失言も、実は計算!?
いやいやそれはないだろう、と思いつつ、アヤシイ世界をちょっぴり垣間見た今は、「日本は神の国」発言は、公の場で言うべきではないにしても、あながちウソではないと思うようになった。
こんなことを考える自分も、失言には充分気をつけるようにしよう。

本書を読んで、一番強く抱いた感想。それは、「人間って、なんて欲深い生き物なのだろう」。
このことをしっかり心にとどめておいて、欲に走らないよう、自分を律して生きていこうと思う。

投稿者 andoman 日時 2015年9月30日


「世界史で学べ!地政学」を読んで

本書のはじめにある通り、学生時代に学校教育で習った歴史は、正義云々や思想が含まれており、非常に偏りが強いと感じる。
戦争の背景や理由がイマイチわからず、年号と事件名の単語をひたすら覚えるだけの歴史という学習に、常に退屈だった。
(元々勉強は嫌いでしたが)
本書は180度真逆で、土地や民族の関係性など、非常に興味深く、ついつい時間を忘れて読み続けてしまうほど…。

昔、戦争が起こる理由は何だろうと考えた事があり、その答えは「エネルギー」というものにあると仮定した。
人間が生きていくための、あらゆるエネルギーの事だ。
穀物や動物を食べる事で肉体を維持する生命活動のエネルギー。
他の物質に変換可能な石油などの燃料エネルギー。
自分の労働エネルギーに取って代わる、奴隷という労働エネルギー。
自らの心が生きるための、思想というエネルギー。

これらを戦争の原因と仮定した事があったが、自分の知り得る歴史知識の範囲では、あまり強い理由付けが出来ずモヤモヤしていた。
そして、その仮定そのものを忘れつつあったが、本書により、そのモヤモヤが少し晴れてきた。
本書にある歴史を見ると、アフリカで土地や労働力を得るために発生した侵略戦争からはじまり、ある程度それが落ち着き、集団としての安定が確保されると、人はヨーロッパ等の遠距離に進出し、今度は遠く離れた土地間で独自に発展した文化間の交易がはじまる。
交易が盛んになり、生活や物が豊かになると今度は、生存のためのエネルギーに重きを置く必要がなくなり、物質欲や、思想支配欲というエネルギーを強く求め始める。
その結果、侵略戦争の繰り返しが生じる。
近代になるにつれ、そうした欲を満たす事を目的とした戦争に発展して行っている事が、本書に記載された歴史から見て取れた。
(まだまだモヤモヤした部分が多く、書いていて自分でもうまくまとまってはいないですが…)

今回、歴史というものを学校教育視点からではなく、環境や民族同士の因果関係の視点で見る事で、戦争が起きた「なぜ?」がかなり明確となり、一味も二味も歴史を知る楽しさを感じた。

投稿者 akiko3 日時 2015年9月30日


「世界史で学べ!地政学」を読んで
  
  歴史は繰り返すとはよく聞く言葉だが、その“歴史”があいまいだったり単に事実のぶつ切れ状態でそれもかなり穴ぼこだらけだった。(正真正銘脳内お花畑の一人だ…)地球のあちこちで人の生活が営まれ、ずっと繋がっていて細胞分裂のごとく敵の敵は味方となり、弱肉強食の時に代理戦争だったり…と一枚の帯に刻まれてきたのが歴史なのだ。何かが起これば必ず得をしている人がいて、それが熊や虎だったりとわかりやすく各国の習性や過去の事例が説明されており、わからなかった世界情勢の何点か腑に落ちた。さらに日本はどうすればいいんだ?と少しは考えられるようになった。

・ 敵を作らない
会社勤めの時にも、どこでどう一緒になるかはわからないし、立場が変われば見方も変わるし、安易に敵を作るようなことはしないと自警していた。
・ 愛される、魅力ある国になる
日本は嫌いだけど、ドラえもんは好き!とドラえもんにフィーバーしている報道があった。日本の魅力的部分から情報操作されていない本当の姿に気づくかも。
また、利権ではなく、利他の心で行動を選択できる大人になる。トルコの難破船を助けたように、いざという時、日本を助けてくれるような信頼関係に育てておく。日本の技術力を高くかい、一緒にと向こうから歩み寄ってくるように優位な立場になる。
八百万の神を自然に受け入れている日本は多様性を受け入れる国と安易に争いに巻き込まれないように。
 ・自立した国になる
   媚びなくていいように自給自足ができ、守る術と知恵を持つ。多くの争いの素の石油に頼らないエネルギー源の開発で技術力にエネルギーも加われば手ごわい日本になれる。新たなエネルギー源の開発と同時にそれを守る術も必要だ。相手の矛盾を突き、本質を見極めた交渉が必要だ。誰が得をしているのか?相手の要求の裏にある本心を知らないといいように使われたり、丸裸にされてしまうのだ。でも、得たものを上手く世界に還元できれば近隣の悪さを世界が制止してくれるかも。二手も三手も先を読み、知恵を絞らないといけませんね。
  しかし、しれーとダブルスタンダードを取ったり、ごねたもん勝ちがまかり通る世の中に対し、上手くかわす賢い日本にならないと。賢さを示す発信力も大切だろう。被爆国日本だからこそ核を使わないと宣言しないと核は世の中から消えない。多くの争いは荒廃や憎しみしか生んでいない。核抑止力は必要というけど、脅すだけでもグローバルにつながっている経済は打撃を受けるし、混乱も生む。核がどういう結果をもたらすか、原発のデメリットを世界に語り、有益な発言をすると日本の地位確立、安定につながるのではと思った。
  
歴史は繰り返す、幕末から明治の大転換期の歴史を学びたくなりました。今回も大変有意義な情報が得られ、感謝しております。

投稿者 senumishima 日時 2015年9月30日


世界史で学べ!地政学 を読んで

日本はどのような国になるべきか。
この本を読んだ人なら、ほぼそういう気持ちになったのではないかと思います。
開国以降、世界に通用する武力も目立つ資源も全くないところから、世界でもトップクラスの豊かな国になった日本。
戦後、アメリカの保護の元に経済発展をしてきました。(代償も多くありましたが。)
アメリカがアジアから手を引く流れの今、日本も「敗戦国」という立場から脱却するチャンスでもあります。
ずっとあの国に保護され従っているのであれば、いつまでたっても敗戦国のままであり、近隣の国が勝戦国という立場で振る舞ってしまいます。

相手の境遇や考えを知ること。これは本書のテーマでもあり、国同士が付き合っていくために、最も重要な地盤であると思います。
開国から戦前まで、植民地になることなく急成長してきた日本は、広い視野を持っていたと思います。
相手国、世界の文化を取り入れようとすることで、生活様式も大きく変わりました。
そしてもちろん相手国が日本をどう利用したいのかを見抜き、交渉に臨んだのではないでしょうか。
その人物たちは、安定志向で民間企業のリスクを避け、試験をパスして就職した公務員ではなかったはずです。
これからアメリカの後ろ盾が薄くなり、今以上に強気で領有権を主張する国もあるでしょう。
本気で近隣国との問題を解決したいのであれば、国の中心機関は、もっと優秀な人材を確保して外交面を強化していくことが重要なのは明らかです。
「嘘をつかない仕事に責任を持つといった日本人が持つ倫理観」を今までのように利用されてしまうことなく、無用なトラブルとお互いの不利益を避けるために、交渉力を高めていってほしいと思います。

そしてもう一点、本書を読んで強く感じたことは、国同士の話なのにまるで人間関係のトラブルの事例のようだ、ということです。
Aさんは仕切り屋。だけど、トラブル解決どころか泥沼化させてばかり。
Cさんは目先の利益のためだけに因縁をつけてくる。
Eグループはしょっちゅう揉めている。等々。
読み進めながら途中からそういう目線で見てしまったので、世界情勢が遠い遠い問題ではなく、少し身近に感じました。
現在は情報を手に入れようと思えば、いくらでも方法はあります。
しかし多くの人は近目で与えられた情報が全てであると思い込み、その中から判断をしています。
個人の犯罪にしても、企業の事件にしても、目先のことしか考えずに行動してしまった結果のトラブルが多く目につきます。
視野を大きくすること、知識を得ることは、そういったトラブルの芽を摘むことができるはずです。

相手の正しい情報を多く手にするということは、国家間ばかりでなく、人間関係の改善にも役立ちます。
逆に、人間関係の駆け引きのなかに、国家間の交渉にも通用するヒントがあるかもしれません。
このように、国家間の世界と身近な世界を背中合わせで想像しながら読めたので、読書の時間をとても楽しむことができました。

投稿者 diego 日時 2015年9月30日


世界史と地理と、重要ポイントをかいつまんで現代を読み解く、とってもおトクな本でした。
現在の世界に存在する謎を、すっきりと理解できました。
学生時代にこの課題図書を読んでいたとしたら、私は著者を絶賛し、賛同したことでしょう。
この本は強い。

でもね、思うんです。
事象のつなげ方、提示の仕方で、見え方がものすごく変化すると。
本書にあるように、自然の地形(山脈や河川・海峡)という視点と、
人やモノの流れ(移動)とを意識するだけで、こんなにも世界の見え方が変わる。
そこで思うんです、
まだ見えていない地形があるのではないか、まだ理解できていない世界史があるんじゃないかと。
あまりにすっきりとしすぎていて、何か重要なことを見落としていないかと。

そして、更に思うのです。歴史と現状と、著者の意見とを分けて考えないと混乱すると。

初めは、著者の意見にどうやったら反論できるのか、と思っていました。
ですが、私に何ができるというのでしょう。今まで、何をしてきたというのでしょう。


先日の大阪市の都構想の際、私は投票権を持っていたため、これはしっかり考えようと思い、
情報を収集して賛成/反対の検討をしました。
私にはオールOKと思えるサイドはありませんでした。
ですが、関係者や他の地域から見れば、
投票結果=「こちらがオールOK」と思われてもおかしくないのではないか?という痛みが生まれました。
部分的には賛成でも、少ししっくりこないところもある。
だとしたら、しっくりこないほうが少ないほうを選ぶという、
消極的な選択肢しか私にはありませんでした。
権利があることで逆に責任が重く感じられ、
中途半端な困難さ、息苦しさを感じました。

新聞などで、ヨーロッパでの「住民投票の結果」というのを見ると、我が身を省みます。
多数派の意見がその土地の意見になっていくことに興味を持ちつつも、ある息苦しさを感じます。
小さな地域での選択でさえ、私はあんなにも苦しみ、後の世代への影響を考え、
一票の意味を思い、我が身の無能さを感じ、知識のなさを悔やんだというのに、
日本で国民投票が行われたら、もう、どうしたらいいのか。
そして、国民投票が行われた地域の人たちは、
自分の選択を、自分たちの結果を、どう感じているのだろうか。

地域や共同体、会社や家庭内ですら意見の対立や不和、理解しあえないことがあります。
妥協したり、慮ったりすることで歩み寄ったりすることもあれば、
権力を行使したり屈したりという場面があるという印象を受けます。
それが地域、国家、世界と広がる。
とんでもない規模と、長い長い時間、そしてさまざまな人々。

途方もない範囲に目がくらむようですが、今となっては後戻りできなくなりました。
これから勉強しなくては、勇気を持って大きな現実と向き合わなくてはと、切実に思います。
妥協点を見出す、よりよい方向を模索することなら、できるかもしれない。
そういう意味では、本書からは「人生を変えた一冊」という印象を受けています。


初めは、本書に対し、論破しなくては、全く別の提言をしなくては、と思っていました。
ですが今は、反論するのではなく、妥協点を見出して、
よりよい提言をできれば、意見を投じられれば、と感じます。
そして、全世界のお花畑を夢見ながら
(あり得ないかもしれなくても、夢を見るのは自由ですよね)、
心の中に花を育てたいと思っています。

投稿者 6339861 日時 2015年9月30日


世界史と地政学が学べて、大変有意義でした。
それにしても人類というのは、侵略する方と
侵略される方の戦いの歴史なんだなと感じました。

地理という所与の条件があり、そこに隣接する各国の思惑があって、
あるいは、第三国の思惑もあって、そこで利害が衝突すれば
戦争にも発展する。
そうならないように各国が政治や武力やいろんな駆け引きをする。
世界ってそういう果てしない競争にさらされているのですね。

利害が衝突すると簡単に戦争って起きるもだと理解しました。
これも人類の性なのかなと感じてしまいます。

日本でも安保関連法が成立しましたが、
これもアメリカや中国、北朝鮮やその他利害関係者の
思惑があって、成立したものだと考えると、
単純に戦争につながるから反対だとも言えないものだと理解しました。

自分の所属しているサラリーマンのビジネス世界も同じように競争相手が
たくさんいて、所与の条件の中、戦っているという状況は同じなのかなとも
思いました。

この場合は地理的条件だけでなく、製品・サービスそのものだったり、
物流、製造、マーケティング、サービスなどいろんな強みであったり
逆にチョークポイントとなる弱みだったりが絡んできますが、
国と国の争いもそのように地理的条件以外に複雑な要素が絡み合って
政治が成り立っているものと思います。

国でいえば政治、ビジネスでいえば戦略というものが一番大事なのではないかと
感じた次第です。

投稿者 sakurou 日時 2015年9月30日


「世界史で学べ!地政学」を読んで

本書を読んで「半島は付け根を押さえる」等、地政学に理解が無かった私でも分かりやすく、かつ深い本だった。
地政学は政治、地理、歴史、経済(敵の敵は味方等、ゲーム理論に近い考え方)等、幅広い学問領域と関係が深いことに気づき、改めて地政学の面白さに触れられる一冊なのだと思う。

本書を読むまで「日本は島国」としか思っていなかったが、地政学的に「アジア大陸の朝鮮半島の先」と言えるし、かつ、戦後はアメリカ(シーパワー)の先端として、米ソ冷戦、最近では実効支配を進める中国(ランドパワー)の台頭を牽制するための最前線という見方ができる。

地政学で考えると、米軍基地移設問題や集団自衛権への見方もガラッと変わる。
地政学上、沖縄は中国からの防衛線と言わざるをえないし、日本は安保条約を締結するアメリカと連携した作戦行動を取る上では不可欠という見方もできる。

先月の課題図書では沖縄陥落後、本土防衛という掛け声の下、無謀な作戦に従事し壮絶な戦いの現場を、いわばミクロな視点で感じ、今月の課題図書では、地政学という、いわばマクロな視点で国土やエネルギー資源のために争い続ける人々を捉えられた。

そこに横たわるのは「人は平和を願いつつも、自国の存続のためには、他国の侵略を防がなければならない」という根本的な問いである。

本書では再軍備化、兵器提供等による東アジア版NATOの創設を提唱しているが、果たしてそれが良いのか、私自身答えが出ていない。

日本の方向性として、親日国であるトルコ、インドへの(既に進んでいる)インフラ輸出によるもあるし、いわゆる「クールジャパン」に見られるように文化が注目されている。そこで、日本の文化を理解・共有できる国を見つけ、インフラ等の輸出につなげる戦略というのもあるだろう。
(インターネットの普及によりコンテンツが見られるようになっただけでなく、自動翻訳技術の進展により言語の壁は下がってきている。)

本書で印象的だったのは「ソマリランドやイスラエル等、人工国家はうまくいかない」という事実である。
人工国家は民族や宗教が異なるだけでなく、国家への帰属意識が希薄なため、国家として存続するのが難しいのだ。

日本は国家として、戦後アメリカの影響は多大に受けつつも、傀儡国家ではない、独立した国家として存在している。

インターネットの普及による創られる新たなフラット世界は、従来のシーパワー・ランドパワーに代わる新たなパワーゲームを生み出していくと考える。

イランで「おしん」が流行ったように日本の歴史や伝統は世界に誇れるものであり、イチロー等が「アメリカに行って日本の誇りを感じるようになった」と語っているように、日本人はもっと世界に伝統・文化を発信し、対話を続け、トルコ、インドに続くパートナー作りをもっと模索すべきだと思う。

従来のパワーゲームの根幹は地政学的な領土、人口、エネルギー資源であった。今後はこれに情報が加わる。日本の文化・伝統という情報が(かなり突飛かもしれないが)新たな日本の「パワー」を生み出していくのではないか。

先月、今月の2冊の課題図書は平和を中心に深く考えさせられた。今後も折りに触れ地政学的なカットで様々な事象を捉えてみると、思考がより深くなりそうで楽しみである。

投稿者 gizumo 日時 2015年9月30日
「世界史で学べ!地政学」を読んで

世界史は受験科目で選択し、予備校時代に名物先生から学んだことで好きな分野ではあるものの、特に近代史は端折るそして丸暗記で、理解が進まず日々のニュースが今一つしっくりきていなかった。

本書を読んだ感想は一言でいうと、当たり前ではあるが「物事には前後左右があるんだなぁ・・・」という事である。時は流れ、人は変わり、状況は変わっても地理的な条件は変わらず国家と国家が国益をかけて衝突する際のリアリティ、それが解っていないため理解できないのは当然だったわけである。

「地政学」という目からウロコの視点は、斬新ではあるもののやはり島国で侵略や支配をあまり経験していない日本にはなじまない視点かもしれないとも思った。たとえそれが「脳内お花畑」といわれようと・・・。
しかし、確実に過渡期にある隣国の行動を予測し、対応するには持っておくべき視点なのかもしれない。

さらに、これも日本人には理解が及ばない、宗教・信仰、人種というものの根強さも実感した。それらを巡って他者と戦うという事は、残念ながら特に現在の日本人には理解が及ばないことだと思われる。

自分自身、時々無性に「今の日本に生まれてよかった」「この時代を生きていく幸せ」を実感することがあるが。なぜかこの本を読了後にも強く感じた気持である。

投稿者 vastos2000 日時 2015年9月30日


『世界史で学べ!地政学』


この本を読んでまず考えたことは中国の今後の動向。
中国の立場から考えると、周辺国(東は日本、南はマラッカ海峡、西と北は現在の国境を維持)まで勢力下に収めたいのではないか。当然、日本はターゲット内。
中国は、本質的には大陸国家なのであまり海洋進出を延伸すると自滅することになる。それに他国の干渉(水面下での経済的援助等)を受け、チベット自治区などが独立の機運を高めるようなことになるとまずいので、足元を固めつつ、周辺国のエラーにつけ込むというのが良い戦略ではないか。
日本としては、もし中国がそのように考えているのであれば、今回の安保法案を通したことは中国に対するけん制になったのではないか。あとは沖縄の守備をどうするかという問題をクリアすれば、ひとまずは西からの脅威は抑えられるのではないか。

さらには、中国のこと以外に考えたのは、先々月の課題図書である『第五の権力---Googleには見えている未来』が思い出され、戦争の歴史がその主戦場を、陸戦→海戦→空戦、と変えてきたように、今後はサイバースペースでの戦いが主戦場になるのではないかと思った。
国防、軍事面では地政学上の制約条件を前提にして行動し、経済面では今後はサイバースペースで存在感を示すことが日本の生き残る道ではないか。この点すでにアメリカや中国に先行されている気がする。シリコンバレーや大連といった、IT産業の集積地のような、知の拠点が日本にはない(少なくとも私は思い浮かばない)。

その他、「英国は海洋国家としてうまく立ち回ってきたのだな」などと感じたが、このように考えたところで個人レベルでは何をすれば良いか?

当然のことながら、自国の世界の中での位置付けを知り、日本周辺の競合相手となりそうな国のことを知らなければならない。
私の仕事が今のところは完全にドメスティックな仕事なので、いままで海外のビジネス情報にあまり関心を払ってこなかったが、これからはじわじわと国際的な競争に巻き込まれていくだろう。日本の商品の海外展開も増えるだろうし、ITやAIの技術も進歩するだろう。文部科学省も「グローバル」と「ICT」という言葉はよく唱えている。
(ところで”海外”="他国”というのも島国の発想?)

これらのことを進めるにあたり、相手があることなので、「相手の立場に立って考えてみる」鉄則を忘れないようにしたい。

具体的なアクションとして、まずは、7月、8月の課題図書だった『第五の権力---Googleには見えている未来』、『戦艦大和ノ最期』を地政学の概念をインストールして読み直すと新たな気づきが得られるのでないかと感じているので再読することにした。


今回の課題図書の発刊は6月だったということは、Googleの本と今月の課題図書が続いたのは(8月の太平洋戦争を取り扱ったものは別として)、しょ~おん先生が意図して配置したのでしょうか?

 投稿者 morgensonne 日時 2015年9月30日


「世界史で学べ!地政学」を読んで

読み終えて35年後の日本がどうなっているかを考えていました。

日本は東アジア諸国の「シーパワー」の中心的存在として周辺国のリーダーとなっているのか。
安倍首相はそこまで考えて現在の安保法案を通したのか。

この本で世界史の面白さを改めて垣間見ることができました。歴史をその時代だけで見るのではなく、現代につながる視点、そして人物を中心に書かれているため、入り込みやすく理解しやすくなっていると思います。学校の授業もこの本を使えば面白く感じる生徒が増えるのではないかと思います。そして日本人がもっと歴史を意識するようになれば、周辺国の動きに敏感になり、もっと政治に関心を持つようになるのではないかと思います。今回の安保法案についても賛成反対だけではなく、もっと将来を見据えた深い議論ができるのではないかと思います。

現代の日本の立ち位置を現在の点だけで捉えるのではなく、時間軸で過去と未来を捉えるとともに、周辺国との関係性を理解することで多面的に理解することができると思います。インターネットで世界と瞬時につながる時代であるからこそ、日本の過去・現代・未来に対して自分の意見を持って接することができるようにしていきたいと思います。

35年後に日本がどのような立ち位置にいるかは、私たち含め子供たちの年代に関わってきます。このような情報をこれからもインストールして広い視野を持ち続け、子供たちにも引き継いでいけるようにしていきます。

ありがとうございます。

投稿者 ken2 日時 2015年9月30日


「世界史で学べ!地政学」 を読んで

地理的条件と政治の関係性を説く地政学。
この地政学が戦後の日本で禁じられ、タブー視されていたのは知りませんでした。
その結果、学校で習う歴史にこのような観点が欠落していたとは。

世界地図を上下逆さまにすると違った見え方をする。
・中国が海洋進出を考えたとき、日本列島、沖縄諸島、フィリピン諸島が邪魔に見える。
⇒世界最多の人口を抱え、太平洋に進出したいというベクトルが見える。
⇒北太平洋の両側、北米大陸とアジア大陸が相似形に見えるため、米中で太平洋を半分ずつしよう、という発想も容易に浮かぶ。

・ロシアは面積は広いが寒冷地がほとんどで居住に適した温暖な土地が限られている。不凍港の所有が念願。
⇒不凍港のウラジオストクから太平洋に出ようとするときに日本列島と千島列島が邪魔に見える。南下政策したくなるわけだ。

現在、日本は四方の海という自然、米軍、自衛隊、憲法に守られ、戦後70年の平和を保っているが、世界史を振り返れば、それは戦争の歴史だ。
時代ごとの世界地図を広げて、世界史を振り返れば、国境線の引きなおし、色の塗りなおしの歴史だ。

なぜ、戦争はなくならないか?
の答えは、本書にもあるとおり、「国家間の生存競争であり、これを正当化するために宗教やイデオロギーが利用されているため」とある。

それでもなぜ、戦争はなくならないか?
それは、ゴールドラッシュのアメリカで、一番儲けたのは誰か?の答えからも類推できるであろう。

一番儲けたのは、金を見つけた人ではなく、つるはしなどの道具を売った人である。
誰がどれだけ金を見つけようと一切関係なく、道具を売った人が儲かる。

つまり、金を戦争に置き換えると、武器商人(軍需産業)が儲かる。
そして、資金を融通する銀行(国際資本家)が儲かる。
どちらが勝とうが関係ない。両建てで儲かる。
倫理的、人道的は問題はさておき、こういった構図がある以上、戦争はなくならない。
そう考えると、暗澹たる気持ちになってしまうが、日本に、日本人にできることは何であろうか?

世界地図を見ると、大陸のへりに位置する島国、イギリスと日本。
オフショアという配置上、バランス・オブ・パワーとなりうる存在。

20世紀初頭、シーパワーのイギリスはランドパワーのロシアをけん制するために日英同盟を結んだ。
状況に応じて、協調する相手を変えていく。
二枚舌でも三枚舌でも使う。

イギリスの三枚舌外交は、中東の政情不安の原因となっているだけにプラス評価ではないが、ともすれば弱腰の日本の外交はもう少したくましくあってほしい。

何ができるか、という点について明確な答えは出ていないが、世界地図をひろげ、俯瞰しながら世界各国の出方、日本のあり方を自分なりに考察していこうと感じた次第です。

今月もありがとうございました!

投稿者 nkatani 日時 2015年9月30日


「世界史で学べ!地政学」を読んで

この本を読んで、
今までの自分にとって「年号と出来事の羅列でしかない無味乾燥なもの」でしかなかった歴史が、
時系列と場所でつながった一つの歴史という物語になり、初めて歴史の面白さを知ることができました。

「何が起こったのか」だけでなく、「なぜそれが起こったのか」もセットになると、
面白く、かつ理解もより深まるなと感じました。

また、この本を読み進めていくにあたり、
「地政学的に同じ国々でも脅威に対する行動のとり方に違いが出るのか」というところに疑問を持ちました。
例えば、下記のような違いを生む要因は何だったのでしょうか。
・『強い側に寝返ることでしか生き残れなかった朝鮮半島』と
 「ドイツを破り一時はロシアに攻め入るまでになったヨーロッパ」や、
・「世界に艦隊を送り、植民地を増やしたイギリス」と
 「植民地を持たなかった日本」

国の広さ、緯度経度による気候の違いや宗教の違いなどもあると思いますが、
ふと、「人種の違い」も大きな要因になるのでは?と考えました。

人種による特性の違いをサクっと調べ、国の主な人種からあてはめることによって、
背景になる思考から考えてみることにしました。
また、人種と特性の関係については下記のURLを参考とします。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13101051423
#人種の優劣を決める意図や人種差別をする意図はありませんのであしからずご了承ください

■主な人種
  朝鮮半島の人々=黄色人種
  日本人=黄色人種

  ヨーロッパの人々=白色人種
  イギリスの人々=白色人種

■人種と特性について
  白色人種
    行動力、好奇心に優れている。
    「もっといい場所があるかもしれない」と、常に求め続ける

  黄色人種
    忍耐力に優れる。

■仮説
  『強い側に寝返ることでしか生き残れなかった朝鮮半島』
   →突飛な行動に出るよりも忍耐を選択した結果、
    強い相手に従うことにしたのではないか?

  「ドイツを破り一時はロシアに攻め入るまでになったヨーロッパ」
   →忍耐よりも行動することを選択した結果革命が起こり、
    
  「世界に艦隊を送り、植民地を増やしたイギリス」
   →新天地を求め海外へと進出した結果、
    新たな土地を発見し植民地支配をしていけたのではないか?

  「植民地を持たなかった日本」
   →海外への進出をしなかったから。


こうしてみてみると、的外れな答えがあるものの、当たらずとも遠からずかなものもあると思います。
なので、「地政学的に同じ国々でも脅威に対する行動のとり方に違いを生む要因」に、
人種の違いによる特性も影響しているだろうなと思いました。
#人類学に関する知識があればもっと正確な答えを出すことができると思いますが、勉強不足です。

このように、別の学問を持って来て考えると、
また違った見え方がして理解が深まるとともに面白いと感じました。


この本を読んで「つまらないと思っていた物の面白さを知る」という体験を通して、
「世の中にあるものに対して自分がつまらないと思うのは、面白さがわかるための知識がないからだ」
と考えられるようになりました。

世の中にあるつまらないと感じたものに対して「何を知ったら面白いと思えるだろう」という考え方をすることによって、
より人生を楽しむことができるようになったと思います。

投稿者 chaccha64 日時 2015年9月30日


「世界史で学べ!地政学」を読んで

確かに昔から国家は土地を求め、奪い合ってきた。それは国を守るためであり、国が繁栄するために。しかし、その範囲は隣国の域であった。ローマ、元やオスマントルコなども、隣国の征服を継続したものなので、この範囲になる。
しかし、16世紀以降、シーパワーの出現で様相は一変したと思う。欧米の大国は、植民地という飛び地の獲得を目指してきた。植民化できない場合は、傀儡政権や、経済的な権利、利益の獲得に躍起になっていた。それらの代表が、イギリス、フランス、オランダ、
スペイン、ポルトガルであり、今はアメリカだ。このシーパワーの出現から、世界が狭くなり、「国を守る」という意識が変わってきたような感じる。「守る」のではなく「利益を得る」ことに。
「国を守る」ためには、豊かでなければできない。武力を持つにもお金が必要だ。戦争するにも、攻めて来れなくするために武力で脅すにも。そのために、経済発展が必要。利益を追求しないといけない。
それはわかる。しかし、必要以上に利益を追求している。それが、この本に書かれているような、インド、東南アジア、中東、アフリカの例だ。民族、宗教などに関係なく、イギリス、フランスの思惑と利益だけで分割してきた。そのために、これらの地域の今の問題がある。第2次大戦後はイギリス、フランスの力が弱くなって、代わりにアメリカ、ソ連になり、そして今は中国も参加してきている。
これらの国は徹底的に現実的で大人の対応をしている。自国の利益になればなんでもする、それが相反することであっても、ダブルスタンダードであっても。国としては、国家を守るために当然なのかもしれない。しかし、「国を守る」というレベルを超えているように思える。
スエズ運河の利益が、石油の利権が、一体どのくらい一般イギリス国民の利益になったのだろうか? 税金などで少しはなっているのかもしれないが、ある特定の階級だけが潤っているような気がしてならない。それは、征服された、利権を奪われた植民地側の特権階級が潤い、一般国民が搾取されている構図と同じではないのだろうか。
イギリス、アメリカの利益のために、征服されたこれらの地域では今地域間紛争、内戦、貧困の問題が続いている。これが不の遺産だ。これらは利益以上の負の側面だと思うし、これからも長い間中々解決しないと思われる。
これらの地域間紛争、内戦、貧困の問題を解決するために仲裁機関が必要だ。それが国連なのだろうが実質的な力はない。だからこそ、問題を起こして複雑にしてしまったアメリカ、イギリス、フランスは自分の国の利益を一度脇に置いて、これらの地域のことを考えてほしい。そして解決に努力してほしい。それには長い時間が必要だろうが、そうあってほしいと願います。
(無理かなぁ、無理だろうな? アメリカ、イギリスの裏には自国民でなく、営利グループがいるからなぁ)

投稿者 KomuStrauss 日時 2015年9月30日


  中高生には読ませることなかれ

茂木誠『世界史で学べ!地政学』祥伝社、2015/6、309ページ

近現代史は資料が膨大で評価が定まっていないゆえに複雑に語られがちですが、
書き手が自分の伝えたいことに合わせ、語る事象を取捨選択し順序よく並べれば、
分かりやすく、また面白くなります。

本書は近現代史に関する膨大な知識を整理し、著者独自の観点から語り直した結果です。
しかし、著者自身が知識を蓄えただけの中高生のように思われます。
科学的、客観的な視点に乏しく、考え方・主張が子供じみています。

ただ、極端な考え方は、得てして面白く、強いインパクトを持つものです。
こういう本は、科学的な視点を持った成熟した人間が読めば、一つの考え方として受け入れられますが、
著者と同レベルの中高生が読むと、感動して大きな影響を受けてしまう可能性があります。
思想的にまっさらに近い中高生には読んでほしくないものです。

投稿者 19750311 日時 2015年9月30日


「世界史で学べ!地政学」

1.
先月の戦艦大和から始まり、今までとは桁違いの歴史の本を読んだ夏でした。春に速読編受講から訓練を続けてきて、音読する事なく1時間程度で読了する本も出てき始めましたが、こちらの本は私にとって初めて触れる事実背景も多く、気が付くと音読していて4,50分経ってしまう事があるほど感情的に読みました。

2.
人類の文明が発達し移動距離が長くなり、取得出来る情報も増えてくると、人間のより良いものへの欲求や、平穏に暮らしていける生存競争の為の代理戦争を含む戦争が、地政学で説明できる形でずっと続いてきている事が容易に理解できます。その戦いのキーとなるのが、油田や農作物、解散物、そして天然資源をベースとして、それを運ぶための昔からの航路の確保です。

3.
その戦いの場では、日本人が大事にする道徳心や、倫理観なども全く関係ない事がわかります。韓国との歴史認識の相違、明らかに近隣諸国に対し方針変換した中国に対し、我々の受けた教育環境では「何、馬鹿なことを言ってるんだ」という事が最初に浮かびますが、そんなものは百も承知の上で言動を選択してきている事を理解すべきでしょう。

4.
政治や国策にまで影響出来るレベルではないとしても自分も歴史を学ぶだけでなく、歴史に学び、ビジネスを通じて日本や日本人の良さを伝えたいと考えている日本人として、日本の考え方だけで判断することなく相手側の根底にある考え方や狙いなども先読みした上で、必要な意思決定をしていきたい

 投稿者 tractoronly 日時 2015年10月1日


世界史で学べ! 地政学 を読んで

今まで教科書でしか習っていなかった、そしてぼんやりとしか認識できていなかった各地の歴史が構造的に理解できました。
それを踏まえて感じたことを書いてみたいと思います。

○今まで白人はやりたい放題やってきた
 民族や宗教の分布を全く考えずに国境線を引いたり、植民地の領有権争いをしたり、裏条約を結んだり、はたまたチョークポイントを軍事力で抑え経済を牛耳るなど、相手の都合を考えずに搾取するばかりの歴史を500年以上も続けてきた。植民地を維持できない状況になると都合の悪いことはダブルスタンダードなどの口八丁やお金や軍事力に訴えて乗り切る様は目に余るものがあります。

○今後の世界
 そんな白人国家も今後は経済力が衰えたり、イスラム文化圏からの人口流入などにより衰退していくのが目に見えてきました。今後はランドパワー、シーパワーどちらの力が隆盛してくるのか。おそらくどちらも軽視することはできないと考えますが混乱期を終え成長期にある中国、インドの動きからは目が離せないでしょう。

○日本人の振る舞い方
 上記のような世界情勢を一体日本人の何割が理解できているでしょうか。過去、平沼騏一郎総理は「欧洲の天地は複雑怪奇」という迷言を出し、最近話題になった安保法案で野党政治家や市民活動家があれだけの醜態を晒していたため、日本人がもっとも不得手とする分野ではないかと思います。個人的には1割もあれば上出来ではないかと感じます。政治的な話でなくても今後日本人以外の人とビジネスをする機会も増えてくるでしょう。そのときに恥をかかないために世界史&地政学というのは必須の知識であると思いました。

今後はランドパワー、シーパワーに続く”サイバーパワー”などの概念が出てくるのかもしれませんが、勉強を怠ること&政界情勢を追跡できないこと=日本の衰退であることが本書から学べました。

ありがとうございました。

投稿者 satoyuji 日時 2015年10月1日


『世界史で学べ!地政学』を読んで


一言で言うなら縦横無尽。それが読んだ率直な感想でした。

私が受験生だった時に、「縦の世界史」・「横の世界史」という参考書がありました。縦の世界史とは、その地域歴史を過去から現代に向けて学ぶ、所謂各国史でした。横の世界史は同時代の中で周りとの関係にフォーカスして、テーマごとに学ぶものでした。縦の関係性と横の関係を編み合わせて、世界という一枚の織物を作るような印象を受けました。

今回『世界史で学べ!地政学』を読んで感じたのは、時系列という縦からでもなく、同時期の空間関係という横からの視点からだけ説明するのでもない、時間と空間の条件を前提として縦にも横にも斜めにでも繋がる関係性を主軸にした世界の捉え方だと思いました。なので、読んでいて無味乾燥なところがなく、それぞれの国が空間的条件故に取る選択に「なるほどな」と思うところがたくさんありました。限られた紙面に詰め込むことでいっぱいいぱっいになっているY川出版の教科書とはえらい違いです。

歴史には二種類の記述方法があると習いました。紀伝体と編年体です。物事を捉えるときに、人は自分の持っている思考フレームを持って編集します。今回本書を読んで感じたのは、地政学という編集方法は既存の歴史・地理を理解していることを前提にして、地球という一つの物体をどのように効率よく支配するかを考えている非常に高度な編集だということです。

そのように考えていくと、地政学という学問が20世紀になって発生したのかも自然とわかってきました。地球から未開拓地域がなくなり、グローバルな視点からの支配が必要になった時代だからこそ地政学のような学問が生まれたのだと思います。

現代、インタネットが発達したことにより、一瞬で情報が一周してしまう時代に私たちは生きています。このような時代において、「自分がいる場所をどのように理解するか」を考える時、地政学の視点は必須なのだと思います。
使い古された表現ではありますが、情報が溢れかえった時代に生きている身としては、地政学のような、広く俯瞰して空間的条件を考えられることが、盲目ではなく自分の頭で考えて判断する能力を育てることになるのだと思います。

今回も面白い本をありがとうございました。

投稿者 dukka23 日時 2015年10月1日


残念ながら納期遅れです・・・
が、投稿させていただきます。



大国同士が覇権争いをし続ける、
というリアリズムの一つである地政学を
米、中、朝鮮半島、東南アジア、インド、ロシア、ヨーロッパ、中東、アフリカ
の地域に分けて、歴史も交えて解説している。

各地域での争いや、覇権国家の動き、
民族間の未解決問題などを「地政学」というキーワードで
紐解いており、歴史アレルギーがある人にも非常に分かりやすい。

私自身も、大学受験では一切歴史系を選択しなかったほど、
苦手意識を持っていたが、
この本は、スラスラと小説を読むように入ってきて、
あっという間に一冊を読み終えてしまった。

歴史の勉強をする前に、
この本を一冊読んで流れを理解しておくだけで、
教科書に書いてあることの理解度は数倍違うのではないか。
それほど、「歴史の事実」だけではなく「歴史のメカニズム」を
分かりやすく説明している。

そのメカニズムのベース理論=地政学は
戦後日本では研究が禁止され、今では防衛大学等の一部に残っているだけという。

それもそうだろう、戦勝国側としては、
考えていることや次の行動がモロバレになってしまうからだ。
それほど地政学というのは、
コミュニケーションツールとして素晴らしいものだと私は考える。

一般にコミュニケートする相手とは、
共通の価値観や考え方があると、意思は伝わりやすい。

その考え方を適用すると、(価値観というほど良い物ではないが)
「地政学」という理論が、双方の知識や土台となっていれば、
よりコミュニケーションは円滑に行われる。故に利害が一致する相手とは組みやすい。
またその反対の反発や対立が起こっても、
その原因や理由が突き止めやすいし、相手の次の一手も読みやすい。
利害が対立する相手とは戦いやすい。(相手もそうだが)

現在、覇権争いをしている主要国は、
それぞれ地政学の研究の進み度合いは違えど、
原理的な理論の理解はしたうえで外交している。
そのため同じ土俵で戦っているといっても過言ではない。

しかし、残念ながら日本はそうではない。
少なくとも一般国民は「お花畑史観」を持っている人が多数のため、
世論というものも、それによって作られる。(マスコミの誘導のせいでもあるが)
また日本では、そもそも地政学を学ぶ機会がほとんどないため、
国同士が、自国の利益(国益)獲得を全面に押し出して、
こんな生々しい利益獲得合戦をしているとは想像しにくい。

そんな現状を変えていくために、
教養として地政学を学ぶことは非常に意味があると感じた。

そして、この学び方を応用すれば、
特に国際政治に限らず、普段の人間関係や、
サラリーマンであれば社内政治にも適用できるのではないかと思った。

地政学では、ランドパワーとシーパワーという2つが大きな軸であるが、
例えば、社内政治であれば、
各個人の利益(≒出世)を求めて、
リスクヘッジパワーと、リスクテイクパワーのぶつかり合い、
さしづめ核兵器は「人事権」だろうか。

国際政治を舞台とした地政学は教養として必要であるが、
社内政治の例のように、
さらに、物事をシンプルに整理して現象を説明できる、
といった本質まで理解して、ものにできると、
身近なものへの応用も幅広い学問だと思う。